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人的資本経営に向けた課題と解決策!企業に求められる5つの取り組み

人的資本経営は、企業価値や競争力向上につながる経営の在り方として注目されており、企業全体で推進するうえで越えなければならない課題があります。

代表的な課題としては、人材データの効率的な収集や、人的資本経営の理解促進と浸透などが挙げられますが、具体的な解決策が求められます。

この記事では、人的資本経営に向けた課題と解決策について詳しく解説します。

▼人的資本経営の指標については下記で詳しく解説しています。
⇒人的資本経営で重要な指標とは?KPI設定の具体的な流れを紹介

  人的資本経営で重要な指標とは?KPI設定の具体的な流れを紹介! 人的資本経営は人材の価値やスキルを引き出す目的があり、企業価値の向上につながると考えられています。企業独自に指標を設定し、情報開示しなければなりません。概要や情報開示の理由、対象分野、重要な指標について解説します。 株式会社LDcube

▼人的資本を高めていくための研修施策については下記で詳しく解説しています。
⇒人的資本経営の実現に向けた研修とは?組織と個人に効果的な施策

  人的資本経営の実現に向けた研修とは?組織と個人に効果的な4つの施策 近年、人材を企業の資本として捉える人的資本経営が企業で導入されており、社員の能力を引き出せるような研修やスキルアップにつながる施策が求められています。そのためにはeラーニングやLMSなどを活用し、社員の学習行動のデータ取得とその活用を通じて、人的資本を高める取り組みが重要になります。概要とポイントを解説します。 株式会社LDcube

▼人的資本経営についてまとめた資料はこちらからダウンロードできます。

人的資本経営資料


目次[非表示]

  1. 1.人的資本経営に向けた課題とは
  2. 2.人的資本経営が課題となる背景(重要性)
  3. 3.人的資本経営に向けた課題の解決策
    1. 3.1.①経営陣に対する人的資本経営の研修・セミナーの実施
    2. 3.2.②従業員の能力とスキルのデータ化
    3. 3.3.③人事制度や労働環境の整備
    4. 3.4.④人的資本に関する情報開示のガイドラインに沿った情報整理
    5. 3.5.⑤従業員に浸透しやすい人事施策の検討
  4. 4.人的資本経営の実現に向けて
    1. 4.1.研修やeラーニングなどの学習環境の充実化
    2. 4.2.学習行動のデータ取得と活用
    3. 4.3.タレントマネジメントシステムの活用
  5. 5.スキル・能力のデータ管理ならLMS
  6. 6.まとめ


人的資本経営に向けた課題とは

人的資本経営とは、企業や組織で働く人材を経営的な観点で資本として捉え、その価値を最大限に引き出しながら中長期的な業績向上を目指す経営の形です。

人的資本経営の推進において課題とされるのが、

  • 経営層の意識改革
  • 人材データの収集と分析
  • ガイドラインに沿った人的資本情報の開示 
などです。

また、近年において多様化する人材を受け入れる組織体制づくりや、人材のパフォーマンスを最大限発揮させるための労働環境の整備も重要とされます。

そのため、組織の現状把握とともに、人的資本経営に足りない要素の洗い出しや課題解決に向けた具体的な取り組みが求められます。

人的資本経営が課題となる背景(重要性)

現代社会における企業の競争力と持続可能な発展の鍵となる要素として、人的資本経営の重要性が高まっています。以下にその主要な点をいくつか説明します。

  • 知識とスキルの最大化:人的資本経営は、従業員の知識やスキルを最大限に評価し、それを最大化することを目指します。従業員が持つ知識やスキルを企業全体のパフォーマンスに直結させ、競争力を強化します。
  • イノベーションの促進:従業員が自分の能力を最大限に発揮できる環境を整えることで、新しいアイデアや技術革新が生まれやすくなります。イノベーションは新しいビジネスチャンスを創出し、企業の成長と持続可能性を支えます。
  • 従業員の満足度向上:人的資本経営は、従業員のニーズやキャリア成長を重視します。適切な教育や研修の提供、キャリアパスの明確化などを通じて、従業員の満足度を高めます。これにより、離職率の低下や優れた人材の定着が期待されます。
  • 効率性と生産性の向上:適切な資源配分やチーム編成、柔軟な働き方の導入などにより、業務の効率性と生産性を向上させることが可能です。人的資本経営は、労働力の最大限の活用と費用削減を実現します。
  • 企業文化の強化:人的資本経営は、企業文化の確立と強化にも寄与します。価値観やビジョンを共有し、全従業員が同じ方向に向かって働くことで、一体感が生まれます。これにより、企業の信頼性やブランドイメージが向上します。
  • 社会的責任の遂行:人的資本経営は、企業が社会的責任(CSR)を果たすうえでも重要です。多様な人材の活用や働きやすい環境の提供を通じて、社会全体に対する貢献度を高めることで、企業の持続可能な発展が促進されます。

▼最近では人的資本経営の推進に向け『企業内大学』を設置し、上記の実現につなげる組織も増えてきています。下記で詳しく解説しています。

企業内大学資料

人的資本経営に向けた課題の解決策

ここからは、人的資本経営の推進で直面しやすい課題の解決策について具体的に解説します。

  1. 経営陣に対する人的資本経営の研修・セミナーの実施
  2. 従業員の能力とスキルのデータ化
  3. 人事制度や労働環境の整備
  4. 人的資本に関する情報開示のガイドラインに沿った情報整理
  5. 従業員に浸透しやすい人事施策の検討

①経営陣に対する人的資本経営の研修・セミナーの実施

人的資本経営の推進には、経営戦略と人材戦略の連動が不可欠です。

そのため、経営層と経営企画部門では人的資本経営の本質を理解するとともに、取り組みに積極的に参加する姿勢が求められます。

このような課題の解決策となるのが、人的資本経営の理解促進に向けた研修・セミナーの企画・実施です

人的資本経営に詳しいリソースが社内にない場合は、コンサルティングなどの外部サービスの利用を検討する必要があります。

▼人的資本経営の実現に向けた研修については下記で解説しています。合わせてご覧ください。
⇒人的資本経営の実現に向けた研修とは?組織と個人に効果的な施策

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②従業員の能力とスキルのデータ化

企業の人材を資本として捉えるためにも、各々の従業員が持っている能力やスキルをデータとして可視化することが重要です。

従業員の能力やスキルの可視化には、学習管理システム(LMS)が役立ちます。 例えば、スキルアップ研修を実施する場合、目標としているスキルの習熟度やテストの成績などのデータを学習管理システムで一元管理できます。

全従業員のデータを収集・分析できるシステムであれば、個人だけではなく、組織全体や部門ごとの人的資本の評価が可能です。

③人事制度や労働環境の整備

人的資本経営では、Z世代を中心とした多様な価値観と個性を持つ人材を受け入れられる体制の整備も重要となります。

そのためにも、人事制度や労働環境の現状の見直しを行い、ダイバーシティとインクルージョン推進につなげることが大事です

例えば、現行の人事評価制度や労働時間、業務内容に対してアンケートを取り、改善点を洗い出し、改善に向けた施策を検討します。

人事評価制度が老朽化しているなら、人事評価を適正化するなどの取り組みが有効です。

労働条件の満足度向上には、フレックスタイム制度や就業時間の自由選択制度などを採用して、フレキシブルな働き方を実現するのが望ましいです。

④人的資本に関する情報開示のガイドラインに沿った情報整理

人的資本情報の開示とは、人的資本経営の実現に向けて「企業がどのような取り組みで従業員の成長を支援しているか」という情報を社内外に公表することです。

企業のブランディングにおいて人的資本の情報開示は重要な要素であり、ステークホルダーからの高い評価にもつながります

しかし、多くの企業で人的資本情報を開示する方法が不明確になっており、人的資本経営の有効性が発揮されていないのが現状です。

自社に適した指標で開示するためにも、国内外にある人的資本に関する開示指針の動向をリサーチすることが大事です。

例えば、ISO30414(人的資本に関する情報開示のガイドライン)では、下記の領域における指標を定めています。

  1. コンプライアンスと倫理
  2. コスト
  3. ダイバーシティ
  4. リーダーシップ
  5. 組織文化
  6. 健康、安全
  7. 生産性
  8. 採用、異動、離職
  9. スキルと能力
  10. 後継者計画
  11. 労働力

ISO30414は、国際標準化機構によって2018年に『人的資本に関する情報開示のガイドライン』として策定されたものであり、今後も重要なフレームワークとして活用されていく見込みです。

▼人的資本経営の指標については下記で解説しています。合わせてご覧ください。
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⑤従業員に浸透しやすい人事施策の検討

人的資本経営に対する理解や目的が社内に浸透していない場合、推進に向けた人事施策の効果も十分に発揮されない可能性があります。

そのため、人的資本経営に向けた人事施策は、従業員からの共感を得やすいストーリーに仕立てるのが重要なポイントです

例えば、市場価値の高いスキル習得を目指す研修を企画するとします。

その研修を通じて従業員にどのような変化が起こり、スキル習得後にどのような恩恵を受けられるのかという具体的なストーリーを従業員に伝えます。

このような取り組みによって、人的資本経営に向けた人事施策の目的を理解しやすくなり、人的資本経営を組織全体で推進していくことが可能です。

人的資本経営の実現に向けて

研修やeラーニングなどの学習環境の充実化

人的資本経営では、社員一人一人が自己成長するために、研修やeラーニングなどの学習環境を充実させることにより、社員が自分自身で主体的に学習を行い、企業と社員双方が共に成長できる経営を実現します。

特にeラーニングは、時間や場所にとらわれず自由な形式で学習ができ、個々の学習速度やスキルレベルに合わせた学習プログラムを提供できるため、効果的な学習ツールとして改めて注目されています。

学習行動のデータ取得と活用

2023年7月に、株式会社LDcubeでは「ポスト・コロナのOJTの人財育成の実態」についてのアンケート調査を実施しました(有効回答数223件)。

アンケートでは、「人的資本経営が重要になってきているという状況下で、貴社では『社員がどれくらい学習しているか』といった、社員の学習行動についてのデータを取得・可視化できていますか?」という問いを投げかけました。

学習データの取得状況画像

データ取得の結果、77%の組織が社員の学習行動のデータを取得できていないことが明らかとなりました。

社員が学習するために行った学習行動について、学習行動のデータとして取得し、活用することで、社員個々人のスキルや能力、幅広い知識の取得状況などを可視化し把握することができます。

データで把握することで人的資本の価値向上についてのPDCAを回していくことが可能となります。データ取得に向けては、LMSなどの学習のプラットフォームの活用がポイントです。

プラットフォームを用いない場合、集合研修やオンライン研修については十分にデータ化できないため、効果的な分析や改善が行いにくくなります。

プラットフォーム上で学習者が学習を行うことで、学習行動のデータを取得することができます。

タレントマネジメントシステムの活用

タレントマネジメントシステムは、人材の採用から育成、評価、配置までを一元的に管理することができるシステムです。

社員の学習行動のデータもタレントマネジメントシステムにデータを連携し運用することで、企業は従業員一人ひとりのスキルや経験、パフォーマンスを正確に把握し、最適な人材配置や育成計画の策定が可能になります。

また、社員が自分の学習進度やパフォーマンスを把握する機能を利用することで、自己成長を促すきっかけを提供します。

これらの機能を活用することで、企業全体としての生産性や競争力を高めることができます。


スキル・能力のデータ管理ならLMS

LDcubeが提供する『CrossKnowledge LMS』は、全従業員の学習進捗状況や全研修の進捗状況を一元管理できる学習管理システムです。

CrossKnowledge LMSは、200コース以上のコンテンツを備えたeラーニングや世界で著名なMBA教授陣によるマイクロラーニングなどの受講により、人的資本の充実化につなげることができます。

また、受講管理機能で従業員の学習度合いやスキルの習熟度を容易に見える化します

人的資本の価値を適切に見い出すために必要な人材データの収集を強力にバックアップするとともに、多様な個性を持った人材の成長をサポートします。

▼世界で著名や教授陣の教えを1つ紹介します。心理的安全性を唱えたエドモンドソン博士です。
⇒"心理的安全性"がビジネスに必要な理由?エドモンドソン博士の視点を解説

  "心理的安全性"がビジネスに必要な理由?エドモンドソン博士の視点を解説 現代の企業で最も重要な要素とは何でしょうか?革新的な製品?優れたビジネス戦略?それら全て重要ですが、最も重要なのは、「心理的安全性」です。本記事では、ハーバード大学の著名な教授である、エイミー・C・エドモンドソン博士の視点を通じて、なぜ心理的安全性が重要視されるのか、そしてそれを高める方法などを解説します。本人動画有。 株式会社LDcube


まとめ

この記事では、人的資本経営に向けた課題ついて以下の内容で詳しく解説しました。

  • 人的資本経営に向けた課題
  • 人的資本経営が課題となる背景(重要性)

  • 的資本経営に向けた課題の解決策

  • 人的資本経営の実現に向けて
  • スキル・能力のデータ管理ならLMS

人的資本経営は、従業員を企業の資本・財産と捉えながら、その価値の最大化と組織の持続的な成長に取り組む経営の在り方です。

人材資本経営の効果的な推進に向けて、従業員の能力とスキルのデータ化や全社的な人的資本経営の理解と浸透、人事制度や労働環境の整備などの課題に取り組むことが求められます。

組織に属する全従業員の能力とスキルの可視化と一元管理なら、LDcubeが提供する学習管理システム『CrossKnowledge LMS』にお任せください。

学習データの収集のみに留まらず、多種多様な学習コンテンツを含んだ研修やeラーニングの企画・実施、学習の進捗管理、各研修の一元管理で、組織に必要な人材の育成に貢献します。

魅力的な機能や導入効果を詳しく知りたい方は、ぜひこの機会に資料を無料でダウンロードしてみてはいかがでしょうか。

▼関連資料はこちらからダウンロードできます。

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LDcube編集部
LDcube編集部
株式会社ビジネスコンサルタント時代から約60年、人材開発・組織開発に携わってきた知見をもとに、現代求められる新たな学びについて、ノウハウや知見をお届けします。

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