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人的資本経営とは?人材を“資産”に変える実践プロセス【事例付き】

「人的資本経営とは何か、どのように実践するのか?」
「自社に合うなら、取り入れたい」

このような方へ結論からお伝えすると、人的資本経営とは、人材を単なるコストではなく、将来の収益を生み出す重要な資産と捉える経営のあり方です。

人材の定着率が低い企業や、競争が激化する業界、イノベーションが求められる事業領域では、とくにその真価を発揮します。

この記事では、人的資本経営の基礎知識から実践方法まで、人的資本経営を進めるうえでの重要ポイントを凝縮しました。

最後までお読みいただくと、人的資本経営の実践に向けて、自社が何をすべきか見えてきます。経営陣から人事担当者の方まで、本記事をお役立てください。

▼人的資本経営の関連テーマについては下記で解説しています。
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▼人的資本経営については下記にまとめています。

目次[非表示]

  1. 1.人的資本経営とは?基礎知識と注目されている理由
    1. 1.1.人的資本経営とは何か
    2. 1.2.従来型人材マネジメントの限界と課題
    3. 1.3.人材を“コスト”から“資産”へと転換する考え方
    4. 1.4.人的資本経営のバイブル「人材版伊藤レポート」とは?
  2. 2.人的資本経営に必要な3つの視点
    1. 2.1.【視点1】経営戦略と人材戦略の連動
    2. 2.2.【視点2】As is‐To be ギャップの定量把握
    3. 2.3.【視点3】企業文化への定着
  3. 3.人的資本経営の鍵となる5つの共通要素(事例付き)
    1. 3.1.【要素1】動的な人材ポートフォリオ
      1. 3.1.1.事例1:三井化学株式会社
      2. 3.1.2.事例2:日揮ホールディングス株式会社
    2. 3.2.【要素2】知・経験のダイバーシティ&インクルージョン
      1. 3.2.1.事例1:株式会社ブリヂストン
      2. 3.2.2.事例2:花王株式会社
    3. 3.3.【要素3】リスキル・学び直し
      1. 3.3.1.事例1:株式会社サイバーエージェント
      2. 3.3.2.事例2:三井化学株式会社
    4. 3.4.【要素4】従業員エンゲージメント
      1. 3.4.1.事例1:DMG森精機株式会社
      2. 3.4.2.事例2:オリンパス株式会社
    5. 3.5.【要素5】時間や場所にとらわれない働き方
      1. 3.5.1.事例1:日本電信電話株式会社
      2. 3.5.2.事例2:株式会社ニトリホールディングス
  4. 4.人的資本経営の次なるステージへのポイント
    1. 4.1.自社独自の教育プログラムを構築する
    2. 4.2.階層別育成カリキュラムを充実させる
  5. 5.まとめ

人的資本経営とは?基礎知識と注目されている理由

最初に、人的資本経営とは何か、基本的な事項から確認していきましょう。

  1. 人的資本経営とは何か
  2. 従来型人材マネジメントの限界と課題
  3. 人材を“コスト”から“資産”へと転換する考え方
  4. 人的資本経営のバイブル「人材版伊藤レポート」とは?

人的資本経営とは何か

人的資本経営とは何か、ここでは経済産業省の定義を引用しましょう。

人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。 出典:経済産業省「人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~」

人的資本経営は、従業員を単なるコストや労働力ではなく、企業の将来価値を高める重要な資産と位置付け、戦略的に育成・活用していくのがポイントです。

具体的には、従業員一人一人の知識・スキル・経験といった無形の資産を「人的資本」と捉え、その価値を最大化することで企業の業績向上や持続的成長を目指します。

従来型人材マネジメントの限界と課題

従来の人材マネジメントは、コストの最小化や短期的な業績向上を重視するあまり、従業員の能力開発やエンゲージメント向上がおろそかになりがちでした。

年功序列や画一的な管理では、個人の強みを生かしきれず、モチベーションの低下を招くこともあります。

【従来型人材マネジメントの課題】 

  • コスト重視:
    人件費を抑制するため、教育投資や福利厚生が不十分になる傾向にあります。結果として、従業員の能力開発が進まず、長期的な企業価値向上の機会を逃してしまいます。

  • 短期志向:
    目先の業績に目を奪われ、人材育成の効果が表れるまで待てないことが多くなります。短期の数字を追うあまり、将来を見据えた戦略的な人材マネジメントができていません。

  • 個の埋没:
    年功序列や集団主義的な管理では、個人の強みや創造性が発揮しにくい環境になりがちです。多様な人材の能力を引き出し、イノベーションにつなげるという発想が乏しくなります。

  • 硬直的な運用:
    人事制度や評価基準が硬直的で、変化に対応できていない企業も少なくありません。外部環境の変化に合わせて、柔軟に人材マネジメントを進化させていく必要があります。

このような従来型の人材マネジメントを見直し、一人一人の人的資本に着目した経営手法へとシフトすることが、今の時代に求められています。

人材を“コスト”から“資産”へと転換する考え方

人的資本経営の本質は、人材を“コスト”から“資産”へと捉え直すことにあります。

従業員を「コスト」ではなく「投資対象」と見なし、教育などの投資を惜しまないのが特徴です。その背景には、人的資本こそが企業の持続的な成長を支える源泉だという考え方があります。

出典:経済産業省「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書」

【人材を“資産”と捉えると起きる変化】

  • 長期的な視点が身に付く:
    人材育成を「将来への投資」と考えると、短期的な業績だけでなく中長期的な企業価値の向上を目指すようになります。結果として、サステナブルな経営が実現します。

  • 従業員のエンゲージメントが高まる:
    自分の成長を会社が本気で後押ししてくれるという実感が、従業員の仕事への意欲やロイヤルティ(会社への忠誠心や愛着)を高めます。高いエンゲージメントは生産性の向上につながります。

  • イノベーションが生まれやすくなる:
    一人一人の強みを最大限に引き出し、能力を開花させる土壌があれば、新しいアイデアが生まれやすくなります。人的資本への投資はイノベーション創出の原動力になるのです。

  • 優秀な人材が集まる:
    「人材第一主義」の姿勢は、求職者にとって魅力的な企業文化として映ります。業界の枠を超えて優秀な人材を惹きつけ、高い競争優位性を獲得できます。

人的資本経営の考え方に基づいて的確に投資を行えば、従業員と企業が共に成長できる好循環が生まれます。

人的資本経営のバイブル「人材版伊藤レポート」とは?

人的資本経営について調べている際に、「伊藤レポート」を目にした方も多いのではないでしょうか。人的資本経営を理解するうえで欠かせない重要文献ですので、ここで整理しておきます。



「人材版伊藤レポート」は、2020年に経済産業省が発表した文書であり、人的資本経営の重要性と具体的な実践方法を示したものです。

このレポートは、従業員を「資産」として捉え、経営戦略における中心的な役割を担わせる考え方を普及させるきっかけとなりました。

「人材版伊藤レポート」の“伊藤”とは、伊藤邦雄氏のことです。伊藤邦雄氏は一橋大学名誉教授であり、コーポレートガバナンスや人的資本経営の分野で著名な学者です。

2014年に「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」という報告書(通称:伊藤レポート)をまとめ、日本のコーポレートガバナンス改革を牽引しました。

この伊藤レポートの考え方を人材戦略に応用したのが「人材版伊藤レポート」で、伊藤邦雄氏が座長を務める「人的資本経営の実現に向けた検討会」(経済産業省)が2020年9月に取りまとめました。2022年には、「人材版伊藤レポート2.0」が公表されています。

以下のリンクより、PDFをダウンロードできます。

本記事でも、人材版伊藤レポートをベースとして、人的資本経営について掘り下げていきます。

人的資本経営に必要な3つの視点

人材版伊藤レポートでは、人的資本経営の人材戦略に必要なポイントを3つの視点と5つの共通要素に整理しています。

出典:経済産業省「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書~人材版伊藤レポート~」

まずは3つの視点について、見ていきましょう。これらは、人的資本経営実現のための基本的な考え方や方向性を示すものです。

  • 【視点1】経営戦略と人材戦略の連動
  • 【視点2】As is‐To be ギャップの定量把握
  • 【視点3】企業文化への定着


【視点1】経営戦略と人材戦略の連動

1つめの視点は「経営戦略と人材戦略の連動」です。

企業を取り巻く環境が変化するなか、持続的に企業価値を向上させるためには、経営戦略・ビジネスモデルと表裏一体で、その実現を支える人材戦略を策定・実行することが必要不可欠です。

【経営戦略と人材戦略を連動させるポイント】

  • 人的資本(人材)の明確な位置付け:
    人的資本を企業価値の創造源泉として位置付け、その戦略的活用を「経営戦略」と不可分なものにすることが必須です。経営トップが明確に方針を打ち出すことが鍵となります。

  • 必要となる人物像や組織能力の明確化:
    経営計画・ビジョン達成に必要となる人物像や組織能力を明確化し、ここから逆算して人材の育成・配置・評価・処遇・人事制度を設計することが重要です。

経営戦略やビジネスモデルが企業ごとに異なるのと同様に、人材戦略もまた企業ごとに異なって然るべきです。企業は自社のビジネスモデルや経営戦略に向き合い、自社に適した人材戦略を考える必要があります。

【視点2】As is‐To be ギャップの定量把握

2つめの視点は「As is‐To be ギャップの定量把握」です。

現状(As is)と将来あるべき姿(To be)を明確にし、その差分(ギャップ)を定量化して、人材ポートフォリオの課題やスキル不足領域を特定します。

【ギャップ把握のポイント】

  • 重要人材アジェンダの特定:
    自社の経営戦略の実現においてとくに重要となる人材領域を特定し、共通的な要素と併せて重点的に取り組むべき人材アジェンダ(重要な課題や方針)を明確化します。

  • アジェンダごとのKPI設定:
    特定した人材アジェンダについて、目指すべき姿(To be)を設定し、適切なKPIを用いて定量化します。現在の姿(As is)も同様に定量的に把握し、そのギャップを明らかにします。

具体的なKPIは企業戦略によって異なりますが、たとえばスキルマップやエンゲージメントスコア、人材育成投資額、人材流動性、離職率、ダイバーシティ関連指標(女性管理職比率、外国籍人材比率など)が挙げられます。

ステークホルダーとの対話においても、人材戦略とその成果について定量的なデータを示すことが求められます。「人的資本への投資がどのような形で、どの程度のリターンをもたらすのか」という投資対効果の側面からも、定量把握と情報開示が重要です。

【視点3】企業文化への定着

3つめの視点は「企業文化への定着」です。

企業文化は、日々の活動や取り組みを通じて醸成される動的なものです。企業理念や存在意義(パーパス)、持続的な価値創造につながる企業文化を定義し、その定着に向けて取り組む必要があります。

【企業文化定着に向けた取り組み】

  • 人材戦略との連動:
    企業文化は人材戦略の実行プロセスを通じて醸成されるものであり、人材戦略のアウトカムでもあります。人材戦略の策定段階から、目指すべき企業文化を見据えておきます。

  • 経営トップのコミットメント:
    企業文化の定着には、経営トップ自らが強いリーダーシップを発揮し、目指す姿を粘り強く発信し続けることが不可欠です。経営層が率先垂範し、社内への浸透を図ります。

  • 適切なKPIの設定と検証:
    企業文化についても、適切なKPIを設定し、定期的にモニタリング・検証することが重要です。組織の価値観や行動様式の変化を定量的に把握し、施策の効果検証とさらなる改善に役立てます。

企業文化は、人材戦略とも密接に関連しながら、企業の持続的成長を支える基盤となるものです。その重要性を認識したうえで、高次元での実践が求められます。

参考:経済産業省「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書~人材版伊藤レポート~」

人的資本経営の鍵となる5つの共通要素(事例付き)

前述の3つの視点は、「何を目指すか」という方向性や概念的な枠組みを示していました。一方、それらを実現・推進するうえで共通して必要となる取り組み領域や着眼点が、5つの共通要素です。

  • 【要素1】動的な人材ポートフォリオ
  • 【要素2】知・経験のダイバーシティ&インクルージョン
  • 【要素3】リスキル・学び直し
  • 【要素4】従業員エンゲージメント
  • 【要素5】時間や場所にとらわれない働き方

以下では、事例紹介も交えながら解説します。

【要素1】動的な人材ポートフォリオ

1つめの要素は「動的な人材ポートフォリオ」です。

動的な人材ポートフォリオとは、経営環境や事業戦略の変化に合わせて、必要となるスキル・知識・経験を有する人材を、適時に確保・育成・配置し、組織全体の人的資本を最適化する考え方です。

固定的な人事配置や特定領域の人材に依存するのではなく、内外部を問わずに多様な人材を戦略的かつ継続的に活用していくことが鍵となります。

【動的な人材ポートフォリオ最適化のポイント】

  • データ分析・リアルタイムでの人材情報可視化:
    現在の人材ポートフォリオの状況を適時に把握し、目指す姿とのギャップを明らかにするためには、HRテクノロジーを駆使したデータの蓄積・分析が有効です。リアルタイムの人材情報を可視化し、迅速な意思決定に役立てます。

  • 人材パイプラインの構築:
    持続的な企業価値向上のためには、経営戦略上重要な人材の継続的な供給体制(人材パイプライン)を構築し、中長期的に人材ポートフォリオを最適な状態に保つ必要があります。リスキル・再配置・部門間異動・外部人材プールの活用など、多角的なアプローチが必要です。

  • 大胆な人材ポートフォリオ変革:
    M&Aやスピンオフなどの手法を用いて、大胆に人材ポートフォリオの最適化を図ることも選択肢です。外部リソースを積極的に取り込み、スピード感を持って組織能力の強化・転換を図れるようになります。

変化の激しい時代においては、人材ポートフォリオのギャップを埋めるスピードが競争力の源泉となります。動的かつ柔軟な人材マネジメントの実現が急務といえるでしょう。

事例1:三井化学株式会社

出典:人的資本経営コンソーシアム「好事例集」

三井化学株式会社では、経営者育成に向けて、約120ポジションの後継者を管理しています。未来の重要人材の育成に向けて、途切れぬ人材パイプラインを構築している好例です。

事例2:日揮ホールディングス株式会社

出典:人的資本経営コンソーシアム「好事例集」

日揮ホールディングス株式会社では、事業成長に求められる人材タイプを4つ定義し、育成する「Baysix制度」を導入しています。

入社時点でどの人材タイプに該当するかを特定し、入社後6年間の育成期間の方針を定めます。中長期的なキャリア形成を念頭に置いた自律的な成長を促しています。

【要素2】知・経験のダイバーシティ&インクルージョン

2つめの要素は「知・経験のダイバーシティ&インクルージョン」です。

非連続的なイノベーションを生み出し、中長期的な企業価値向上を実現するためには、多様な個人の知見や経験を掛け合わせることが重要です。

性別や国籍などの属性に加え、他業界経験などのキャリアパスや専門分野の多様性を積極的に取り込むことが求められます。

【知・経験の多様性を生かすポイント】

  • ダイバーシティの具現化:
    多様な経験や専門性、価値観を組織に取り込むだけでなく、それらを実際に活用し、具現化するプロセスが大切です。多様性を生かす組織文化の醸成とともに、適切なKPI設定によるマネジメントが求められます。

  • チームの協働スタイル見直し:
    従来の同質的なチームから多様性の高いチームへと移行するなかで、社内外の協働のあり方を見直す必要があります。心理的安全性の確保を土台に、多様な知見の融合を促す場づくりが重要です。

ダイバーシティを真に生かすには、「人材の多様化」から一歩進んで、「知・経験の多様性」にフォーカスすることが鍵となります。個人の持つ多様な知見や経験を引き出し、イノベーションにつなげる組織基盤の構築が急務といえるでしょう。

▼ダイバーシティについては以下の記事もあわせてご確認ください。
ダイバーシティ&インクルージョンとは?意味や違い・取り組み事例

  ダイバーシティ&インクルージョンとは?意味や違い・取り組み事例 ダイバーシティ&インクルージョンとは多様性を包摂(包み込むこと)して、新たな価値を創造する概念です。本記事ではダイバーシティインクルージョンについて解説します。また、企業の取り組みとして何をすべきか、行動ベースでの理解が深まるよう事例もご紹介します。 株式会社LDcube

▼心理的安全性については、以下の記事にて解説しています。
よく耳にする「心理的安全性」、その本質・作り方とは?今すぐ取り組みたい20の具体策を紹介!

  よく耳にする「心理的安全性」、その本質・作り方とは?今すぐ取り組みたい20の具体策を紹介! 組織や職場の心理的安全性が高い状態をつくる上では、ただ知識を知っているだけでなく、実践が大切です。本記事では心理的安全性の作り方について、阻害要因やその除去方法、注意点など解説し、リーダーが自分ですぐに試せる効果のある具体的な方法について紹介します。 株式会社LDcube

事例1:株式会社ブリヂストン

出典:人的資本経営コンソーシアム「好事例集」

株式会社ブリヂストンでは、階層別女性マネジメント比率を公開し、女性リーダーの育成・登用を促進しています。As is‐To be ギャップを定量的に把握し、ステークホルダーに向けて情報開示している好例です。

事例2:花王株式会社

出典:人的資本経営コンソーシアム「好事例集」

花王株式会社では、世の中の変化に対応し、常識にとらわれないものづくりを推進するために、領域横断的なチームを組成する「スクラム型運営」を推進しています。まさに、知・経験の多様性にフォーカスした協働のあり方で、仕事のスピードとレベルを最大化しています。

【要素3】リスキル・学び直し

3つめの要素は「リスキル・学び直し」です。

急速な事業環境の変化と価値観の多様化に対応するために、個人のリスキルやスキルシフトの促進、専門性の深化が欠かせません。

従業員一人一人の自律的なキャリア構築を支援し、学び直しの機会を提供しましょう。

【リスキル・学び直し支援のポイント】

  • ITリテラシーと人間力の向上:
    将来のタスクや働き方の変化を見据え、ITスキルの向上と並行して、AIでは代替できない創造性やデザイン力など、人間ならではの付加価値創出力を高めることが重要です。

  • 経営陣自らの率先垂範:
    リスキルや学び直しの文化を組織に根付かせるには、経営陣自らが率先して学び続ける姿勢を示すことが有効です。変革の旗振り役として、自己変革に努めることが求められます。

  • 適度な人材流動性の確保:
    汎用性の高いスキルや専門性の獲得は、人材の流動性を高める側面もありますが、イノベーションの源泉としても重要な要素です。個人のエンパワーメント(個人の能力を最大限に引き出すこと)と組織の新陳代謝の適度なバランスが大切です。

リスキルと学び直しは、個人と組織の双方にとって重要な成長エンジンです。時代の変化に即した学びの機会を継続的に提供し、個人の成長を組織の変革につなげていく取り組みが求められます。

事例1:株式会社サイバーエージェント

出典:人的資本経営コンソーシアム「好事例集」

株式会社サイバーエージェントでは、社内に十分なスキルがない領域は社外人材も活用しながら、従業員同士が学び合う勉強会形式でリスキリングを実現しています。

現在はIT技術の習得に向け、社内向けの「リスキリングセンター」と社外向けの「アカデミー」を設置しており、事業変化に応じたリスキリングについて、会社を挙げて推進しています。

事例2:三井化学株式会社

出典:人的資本経営コンソーシアム「好事例集」

三井化学株式会社は、DX人材の育成を推進するためにデジタル人材育成プログラムを充実させています。

各人のレベルに合わせた研修制度を整備しており、一部研修の成果物は、事業化を目指す例もあります。現場で役立つスキル習得に特化している点が印象的です。

▼リスキリングについては下記でも解説しています。併せてご覧ください。
リスキリングに最適なeラーニングの活用法と陥りやすい落とし穴とは?

  リスキリングに最適なeラーニングの活用法と陥りやすい落とし穴とは? 現在注目を集めているのが、eラーニングを活用したリスキリング支援です。本記事では、リスキリングへのeラーニング導入の概要や進め方、陥りやすい落とし穴と対策まで、網羅的に解説します。社員一人一人に寄り添った学習環境を実現し、組織力を強化していきましょう。 株式会社LDcube

【要素4】従業員エンゲージメント

4つめの要素は「従業員エンゲージメント」です。

経営戦略の実現に必要な人材が、能力・スキルを存分に発揮するためには、従業員がやりがいや働きがいを感じ、主体的に業務に取り組める環境を整備することが重要です。

【従業員エンゲージメント向上のポイント】

  • 企業と個人の成長ベクトルの一致:
    企業と個人が対等な関係のもと、企業の成長の方向性や組織目標の達成と多様な個人の成長のベクトルを一致させていきます。双方の発展を目指す好循環の構築を目指します。

  • 積極的な情報発信と対話:
    企業理念やパーパス、経営戦略やビジネスモデルについて、従業員に積極的に発信・対話し、共感と納得感を醸成することが大切です。情報の透明性の向上は、個人の自主性の向上につながります。

  • 多様で魅力的な就業機会の提供:
    兼業・副業、在宅勤務など、多様で柔軟な就業環境の整備とともに、社内外の多様なキャリアパスや幅広い教育訓練コンテンツの提供など、個人の価値創造を最大化する就業経験の機会創出を進めましょう。

従業員エンゲージメントは、持続的な企業価値向上に直結する重要な要素です。個人の自律性を尊重しつつ、組織としての一体感を醸成する双方向のアプローチを実践しましょう。

▼チームの活性化を通じてエンゲージメント向上を図るポイントは下記にまとめています。



事例1:DMG森精機株式会社

出典:人的資本経営コンソーシアム「好事例集」

DMG森精機株式会社は、給与を国際水準へ大幅に引き上げ、博士人材など専門人材の採用を推進しています。大胆な初任給の改定には、人的投資を積極的に行う人的資本経営の姿勢がうかがえます。

事例2:オリンパス株式会社

出典:人的資本経営コンソーシアム「好事例集」

オリンパス株式会社は、「健やかな組織文化」を目指し、その実現に必要な6つの要素を明示しています。組織づくりの進捗確認のため、コアバリューへの理解やエンゲージメントの定期的な調査も行っています。

【要素5】時間や場所にとらわれない働き方

5つめの要素は「時間や場所にとらわれない働き方」です。

新型コロナウイルス感染症への対応を通じて顕在化したように、いつでも、どこでも、安全かつ安心して働ける環境を平時から整備することが、事業継続力やレジリエンス(困難な状況からのすみやかな回復力)の観点からも欠かせません。

【時間・場所の制約を超えた働き方実現のポイント】

  • マネジメント力の強化:
    多様な働き方の従業員たちをまとめ上げるには、マネジャー層のリーダーシップとマネジメントスキルが不可欠です。とくに、業務プロセスの可視化が難しいなかでのタスク管理や育成・評価のあり方を見直し、マネジャーの能力開発と支援を強化することが大切です。

  • 業務プロセス改革とコミュニケーション刷新:
    制度の整備だけでなく、リモートワークに適した業務プロセスの再設計とコミュニケーション方法の刷新が欠かせません。オンラインとオフラインを融合させた新しい協働スタイルの確立を目指しましょう。

時間や場所にとらわれない柔軟な働き方は、これからの時代の働き方の基礎となるものです。試行錯誤を重ねながら、従業員の生産性とウェルビーイングの最大化を目指した働き方改革を進めていきましょう。

事例1:日本電信電話株式会社

出典:人的資本経営コンソーシアム「好事例集」

日本電信電話株式会社では、場所と時間の自由度の高い働き方を推進する「リモートスタンダード」制度を導入しています。オフィスワーカー3万人を対象にリモートワークを原則とし、出社時は出張扱いとして旅費を支給しています。

事例2:株式会社ニトリホールディングス

出典:人的資本経営コンソーシアム「好事例集」

株式会社ニトリホールディングスは、「多数精鋭」の組織づくりに向けて働きやすい環境整備に取り組んでいます。転居が必要のない働き方を求める声に応じて「マイエリア制度」を導入し、報酬減額を設定せずに利用しやすさを高めています。

参考:経済産業省「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書~人材版伊藤レポート~」

人的資本経営の次なるステージへのポイント

人的資本経営をさらに進化させるためには、革新的な視点と実践が必要です。最後に、具体的な2つの重要ポイントを解説します。

  1. 自社独自の教育プログラムを構築する
  2. 階層別育成カリキュラムを充実させる


自社独自の教育プログラムを構築する

1つめのポイントは「自社独自の教育プログラムを構築する」です。

自社のビジネスモデルや企業文化に合わせてカスタマイズした教育プログラムは、従業員のスキルアップと組織への定着に非常に効果的です。

【自社独自の教育プログラム構築のポイント】

  • 経営理念の浸透:
    自社の経営理念や価値観を深く理解し、体現できるようなプログラム設計に努めましょう。従業員一人一人が組織の目指す方向性を共有し、自発的に行動できるようになります。

  • 戦略的スキル開発:
    自社の経営戦略に沿って、必要とされるスキルを明確にし、それらを習得するためのプログラムを提供します。組織の課題解決や競争力強化に直結する人材育成を実現します。

  • 実践的なカリキュラム:
    座学だけでなく、実際の業務に即した実践的なカリキュラムも盛り込みます。学んだことをすぐに現場で生かせるようになり、教育の効果を最大化できます。

具体的に、人的資本経営と相性の良いプログラムをご紹介すると、まず「ITS(イノベイティブ・シンキング・システム)」が挙げられます。

人材版伊藤レポートでは、人間ならではの付加価値創出力(創造性、革新性、柔軟な思考など)の重要性が指摘されていました。

ITSは、パターン化した思考を崩し、発想力と実践力を育てる創造性開発プログラムで、まさに付加価値創出力を開発するために最適です。

▼「ITS」の資料はこちらからダウンロードできます。



次に、自律型学習を加速し、スキル開発を最大化するという観点では、LMS・eラーニングシステムである「CrossKnowledge」が最適です。

自社の教育プログラムをデジタル化して運用効率を向上させるLMS(プラットフォーム)と、世界MBAレベル講義動画など、幅広いジャンルと質の高いコンテンツをそろえたeラーニングが、教育の質を飛躍的に高めます。

▼「CrossKnowledge」の資料はこちらからダウンロードできます。



階層別育成カリキュラムを充実させる

2つめのポイントは「階層別育成カリキュラムを充実させる」です。

人的資本経営を推進するためには、各階層に合わせた育成カリキュラムの充実が欠かせません。

新入社員から管理職、経営層まで、それぞれの役割に応じたスキルや知識を身に付けられるよう、体系的なカリキュラムを用意しましょう。

【階層別育成カリキュラムの充実のポイント】

  • 新入社員教育の強化:
    社会人としての基礎力を養うとともに、自社の業務に必要なスキルを早期に習得できるよう、新入社員教育を充実させます。メンター制度などを導入し、先輩社員からのサポートを得ながら成長できる仕組みを整えることも大切です。

  • ミドルマネジメント層の育成:
    組織をけん引するミドルマネジメント層には、高度な専門性とリーダーシップが求められます。戦略立案力やマネジメントスキルを高めるための研修を実施し、次世代のリーダー候補を計画的に育成していくことが重要です。

  • 経営人材の育成:
    経営層には、変化の激しい経営環境においても適切な意思決定ができる力が必要です。社内外の優れた経営者との対話や、経営に関する最新の知見を学ぶ機会を提供し、経営人材としての資質向上を図りましょう。

▼階層別育成カリキュラム設計のポイントは、以下の記事もあわせてご覧ください。
階層別研修でおすすめのカリキュラム設計!新入社員・中堅社員・管理職向けに徹底解説

  階層別研修でおすすめのカリキュラム設計!新入社員・中堅社員・管理職向けに徹底解説 社員の年齢や役職などに応じて適切な学習を提供できる、階層別研修が企業で実施されています。 階層別研修は社員個人のスキルアップだけではなく、企業全体のレベルを底上げする効果も期待できます。 しかし、研修の効果を最大限発揮させるためには、それぞれの階層に合ったカリキュラムを設計することが大切です。 この記事では、階層別研修のカリキュラム設計の重要性や階層別のおすすめのカリキュラム例について詳しく解説します。 株式会社LDcube

階層別研修とは?達成すべき目標や習得させたい知識・スキルを徹底解説

  階層別研修とは?達成すべき目標や習得させたい知識・スキルを徹底解説 企業では材育成施策として、等級や役職、年次等で社員をグループ分けし、新人・若手・中堅・管理職など、それぞれのグループ・階層に合った教育を実施します。この記事では、階層別研修の概要や達成すべき目標、組み立て方、習得させたい知識・スキル例、効果的な展開方法について解説します。 株式会社LDcube


なお、階層別研修では、社内トレーナーの育成が重要となります。LDcubeでは「社内トレーナー養成・研修内製化支援」のサービスをご提供しています。

▼「社内トレーナー養成・研修内製化支援」の活用事例集はこちらからダウンロードできます。

変化の時代を乗り越えられる人材を確保・育成し、持続的な競争優位を確立することが、人的資本経営の次なるステージへの重要な一歩となります。さっそく歩みを進めていきましょう。

まとめ

本記事では「人的資本経営」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

最初に人的資本経営の基礎知識として以下を解説しました。

  • 人的資本経営とは、人材を「資本」と捉え、その価値を最大化することで中長期的な企業価値向上を目指す経営手法
  • 従来型の人材マネジメントは、コスト重視・短期志向・個の埋没などの課題があり、人的資本の価値を十分に引き出せていない
  • 人材を「コスト」から「資産」へと捉え直し、戦略的な育成投資を行うことが、持続的成長の鍵を握る
  • 人的資本経営の重要性を説いた「伊藤レポート」が、企業経営者の指針となっている

人的資本経営に必要な3つの視点は以下のとおりです。

  1. 経営戦略と人材戦略の連動
  2. As is‐To be ギャップの定量把握
  3. 企業文化への定着

人的資本経営の鍵となる5つの共通要素は以下のとおりです。

  1. 動的な人材ポートフォリオ
  2. 知・経験のダイバーシティ&インクルージョン
  3. リスキル・学び直し
  4. 従業員エンゲージメント
  5. 時間や場所にとらわれない働き方

人的資本経営の次なるステージへのポイントは以下のとおりです。

  1. 自社独自の教育プログラムを構築する
  2. 階層別育成カリキュラムを充実させる

人的資本経営は、従業員一人一人の能力を最大限に引き出し、中長期的な企業価値向上につなげる経営手法です。人材を「最大の資産」と捉え、その育成と活用に積極的に取り組むことが、これからの企業経営に欠かせません。本記事で紹介した視点や具体策を参考に、自社の人的資本経営を推進していきましょう。

株式会社LDcubeでは、人的資本経営を進化させるための独自の教育プログラムづくりや階層別育成カリキュラムの充実化にむけ、高品質な学習コンテンツや学習プラットフォーム、社内トレーナー養成支援などを行っています。お気軽にご相談ください。

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LDcube編集部
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株式会社ビジネスコンサルタント時代から約60年、人材開発・組織開発に携わってきた知見をもとに、現代求められる新たな学びについて、ノウハウや知見をお届けします。

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