従業員エンゲージメントの向上に有効な施策とは?企業の成功事例を紹介
現代のビジネス環境では、従業員エンゲージメントの向上が企業の成功を左右する重要な要素となっています。
エンゲージメントの高い従業員は生産性や創造性が高く、企業の成長に大きく貢献します。
しかし、多くの企業がエンゲージメント施策を実施しているものの、その効果を最大限に引き出せていない現実があります。
では、従業員エンゲージメントを高めるためには、具体的にどのような施策を講じるべきでしょうか?
まず、従業員エンゲージメントが低下する原因を考えてみましょう。多くの場合、エンゲージメントが低下するのは、コミュニケーション不足やキャリア成長の機会の欠如、職場環境の悪化などが原因です。
また、従業員が自己の貢献が認識されていないと感じることも大きな要因です。その結果、モチベーションが低下し、生産性が落ち、最終的には離職率が高まるリスクが生じます。
本記事では、従業員エンゲージメントを高めるための具体的な施策を紹介します。
施策を実行することで、従業員エンゲージメントを高め、企業全体のパフォーマンスを向上させることが可能です。
エンゲージメントの向上は、単なる表面的な取り組みではなく、継続的かつ戦略的なアプローチが求められます。
従業員エンゲージメントを本気で向上させたいと考えているなら、今すぐこれらの施策を実行し、従業員一人ひとりの声に耳を傾ける組織文化を育てましょう。
その結果、企業は持続可能な成長を実現し、競争力を強化することができるでしょう。
▼従業員エンゲージメントについての全体像は下記で解説しています。
⇒従業員エンゲージメントとは?向上につながる5つの施策【人事担当者必見】
▼従業員エンゲージメント向上に向けては自己肯定感を高めることも重要です。
⇒自己肯定感を高める7つの方法とは?低い部下をケアするポイントと合わせて解説!
▼社員の成長につなげるためのレジリエンスについては下記にまとめています。
目次[非表示]
- 1.従業員エンゲージメント向上施策成功への基礎知識
- 1.1.従業員エンゲージメントとは
- 1.2.従業員エンゲージメントが重要視されている背景
- 2.従業員エンゲージメントを高める施策のねらい
- 3.従業員エンゲージメントを向上させる施策例
- 4.従業員エンゲージメント向上おすすめ施策⇒レジリエンス研修とは
- 4.1.レジリエンス研修とは
- 4.2.心理的安全性の高いチームを作る
- 5.従業員エンゲージメントの向上に成功した施策事例
- 5.1.①導入前の課題
- 5.2.②『SBRP』を活用した取り組み
- 5.3.③導入後の成果
- 6.従業員エンゲージメント調査の活用と施策の検証
- 6.1.従業員エンゲージメント調査とは
- 6.2.調査の活用と現状把握
- 6.3.施策展開後の調査結果の変化
- 6.4.定期的・継続的な調査の実施
- 7.まとめ
従業員エンゲージメント向上施策成功への基礎知識
従業員エンゲージメントの向上に向けて、さまざまな施策が展開されています。
自社でのエンゲージメント向上に向けて施策を検討する前に、基礎知識の確認です。
従業員エンゲージメントとは
従業員エンゲージメントとは、企業理念・ビジョンに対する理解度と共感度、そして業績向上に対して自発的に行動する意欲を示すものです。
従業員エンゲージメントが高いほど企業に対する信頼や愛着が深く、仕事での高いモチベーションを維持しながら高パフォーマンスを発揮するようになります。
従業員エンゲージメント向上は、他にもさまざまなメリットをもたらします。
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以上のように、従業員エンゲージメントの向上は、多方面にわたって企業に多くの利点をもたらします。
従業員エンゲージメントが重要視されている背景
近年、日本では従業員エンゲージメントを高める取り組みが重要視されており、その背景には生産年齢人口の減少と個人の価値観の多様化があります。
総務省が公開した『令和4年版 情報通信白書|生産年齢人口の減少』によると、15歳〜64歳までの生産年齢人口は1995年をピークとして減少し続けています。
2050年には、5,275万人(2021年比で-29.2%)まで減少する見込みです。
このデータに裏付けられるように、多種多様な業界で深刻な労働力不足に悩まされているのが現状です。そのため、エンゲージメントを高めて離職の抑制を強化する重要性が高まっています。
また、近年ワークライフバランス(仕事と生活のバランスが取れた状態)や、多様性のある働き方を求める若者が以前より増えたことも、従業員エンゲージメントが注目されるようになった理由の一つです。
ワークライフバランスを推進している企業は、多様な人材を引き寄せる魅力があり、従業員エンゲージメントも高い傾向にあります。
従業員エンゲージメントは、社会の変化に伴い重要性が増しており、企業の持続的成長において無視できない要素となっています。
▼少子高齢化という社会環境の変化の渦中においてはダイバーシティ&インクルージョンも重要です。⇒ダイバーシティ&インクルージョンとは?意味や違い・取り組み事例
従業員エンゲージメントを高める施策のねらい
従業員エンゲージメントは、組織の成功に直結する要素であり、高まることで生産性や品質、顧客満足度が上昇します。それを高める施策のねらいには、以下のようなものがあります。
(従業員エンゲージメントを高める施策のねらい)
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上記のねらいをもとに施策を展開していくことで、結果として従業員エンゲージメントが高まっていくことが期待できます。
▼社員個々人のセルフエスティームを高めることもエンゲージメント向上に寄与します。
⇒セルフエスティーム(自尊感情)とは?公式や測定尺度・高める方法
従業員エンゲージメントを向上させる施策例
従業員エンゲージメントには、組織文化・労働条件・評価制度・福利厚生など、従業員を取り巻く多岐にわたる要素が影響します。
以下は、従業員エンゲージメントを向上させる施策の一例です。
- アンケート調査結果に基づいた労働条件や人事評価制度の見直し
- フレキシブルな働き方の採用(テレワーク、フレックスタイム制度 など)
- 学習管理システム(LMS)を用いた成長支援の環境づくり
- 1on1ミーティングや面談を通じた成長支援の強化
- 社内SNSの活用や交流イベントを通じたコミュニケーションの活性化
- サーベイツールを用いたエンゲージメントの可視化と分析
- エンゲージメントの分析結果に基づいた人事施策のPDCA
- エンゲージメントの分析結果を活用した職場ワークショップ
エンゲージメント向上に向けたレジリエンス研修の実施 など
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これらの施策を組み合わせて実施することで、従業員エンゲージメントの向上を図ることができます。それによって、職場の生産性や従業員の満足度が向上し、持続可能な組織の成長を促進することが期待されます。
上記の中でも、ストレスや逆境に対する回復力を養い、問題解決力を身に付けるレジリエンス研修などはエンゲージメント向上に特に効果的です。次章で詳しく紹介します。
▼エンゲージメント向上に効果的な取り組みについては、関連記事でも詳しく紹介しています。興味がある方は合わせてご覧ください。⇒従業員エンゲージメントを高める効果的な取り組みとは?おすすめの方法6選も紹介!
従業員エンゲージメント向上おすすめ施策⇒レジリエンス研修とは
レジリエンス研修とは
企業におけるレジリエンス研修は、新入社員や若手・中堅層を対象とした階層別研修で実施されるほか、レジリエンス強化に特化した目的別研修として実施されるケースも増えています。
あるいは、「上司がレジリエンス研修に参加し、部下とのキャリア面談に生かす」といった取り組みも見られます。
レジリエンス研修は、おもに以下の要素で成り立っています。
【レジリエンス研修5つの要素】
(1)メンタルヘルスの理解促進
(2)ストレスの理解促進
(3)レジリエンスの理解促進
(4)逆境に直面したとき感情コントロール
(5)コミュニケーションスキルの向上
以下は2日間で行う、レジリエンス研修カリキュラムの例です。
出典:レジリエンス研修とは?実施で得られる効果と代表的な5つの要素
レジリエンス研修では、座学だけでなく、ワークやロールプレイを交えながら、実践的なスキルを身に付けていきます。
自己理解を深め、ストレス対処法やコミュニケーション術を体得することで、困難な状況でも折れない心の強さを養っていくのです。
心理的安全性の高いチームを作る
レジリエンス研修の展開と合わせて「心理的安全性の高いチームを作る」ことも重要です。
心理的安全性とは、チームのメンバーが安心して自分の意見を言ったり、ミスを恐れずにチャレンジしたりできる雰囲気のことを指します。心理的安全性があってこそ、組織のレジリエンスが高まっていくのです。
心理的安全性の高いチームを作るためには、リーダーの役割がきわめて重要です。部下の意見に耳を傾け、失敗を責めるのではなく、そこからの学びを引き出すことが求められます。
【心理的安全性を高めるリーダーのスキル】
失敗を恐れずにチャレンジし試行錯誤を重ねながら成長していく、心理的安全性の高いチームづくりが、組織のレジリエンスを支える基盤となるのです。 詳しくは、以下の記事をご覧ください。 |
出典:"心理的安全性"がビジネスに必要な理由?エドモンドソン博士の視点を解説
▼レジリエンス研修については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒レジリエンス研修とは?実施で得られる効果と代表的な5つの要素
▼レジリエンスのトレーナー資格については下記で詳しく解説しています。⇒レジリエンス(研修)トレーナー資格!SBRPライセンス取得認定講座
従業員エンゲージメントの向上に成功した施策事例
ここからは、LDcubeの『SBRP』を従業員エンゲージメントの向上に活用された企業様の事例を紹介します。
①導入前の課題
刃物メーカーA社様の製造本部では、自律自走の人材育成を目指してさまざまな取り組みを行っています。
その取り組みの一環としてエンゲージメント診断を実施したところ、職場メンバーと上司の関係性がエンゲージメントに大きな影響を与えていることが判明しました。
しかし、エンゲージメントを高める取り組みを進めるうえで、通常のコミュニケーション研修や外部講師によるエンゲージメントをテーマにした研修会は「自律自走の趣旨から逸脱する可能性がある」と考えていました。
そこでA社様では、自社の職場リーダーに職場活性化のための武器(ツール)を提供するとともに、リーダーを中心として職場変革を進める計画を立てました。
そして、現場に効果的に浸透させていける武器(ツール)として選ばれたのがレジリエンス研修プログラム『SBRP』です。
②『SBRP』を活用した取り組み
A社様は2つの工場の中核リーダーに対して、まずは株式会社ビジネスコンサルタントによるサポート付きでエンゲージメント研修を実施しました。
その後、SBRPライセンスの取得およびレジリエンス研修の内部展開を行っています。
▼ SBRP活用の流れ
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ポジティブ心理学の考え方やコミュニケーションスキルの向上を重点的に学習させたあと、中核リーダー4名を選抜し、エンゲージメント研修で得た知識を職場に効率よく浸透させるためにSBRPライセンスを取得させています。
その後、SBRPライセンス取得者は各工場に戻り、自身でレジリエンス研修を実施しています。
社内の中核リーダーによる内部研修のため、他のメンバーも気負うことなく率直に意見を交わすことができ、充実した研修会となりました。
※株式会社ビジネスコンサルタントはLDcubeの関連会社です
③導入後の成果
SBRPライセンス取得者によるレジリエンス研修の内部展開は、従業員の自己理解・他者理解を促進して、お互いの関係性を深める機会となりました。
外部講師ではなく同じ職場のリーダーが研修を運営したため、「研修の本気度が伝わってきた」という声が事務局に届いたそうです。
また、SBRPライセンス取得者は、職場の関係改善のために自身がレジリエンス研修の企画・実施を担当したことで、「より主体的に関わっていこうという気持ちになった」と声をあげています。
A社様では、エンゲージメント診断を例年2回実施しており、SBRPライセンスの取得者がいる対象工場でエンゲージメントの数値が向上したという結果が出ています。
▼レジリエンスを高めるポイントについては下記で解説しています。
⇒レジリエンスを高めるには?高い人・低い人の特徴と具体的な実践方法
従業員エンゲージメント調査の活用と施策の検証
いかに従業員エンゲージメントを向上させるか、そのためには調査の活用による現状把握、展開する施策、それら施策の検証が必要です。
ただし、施策をただ進めるだけでなく、その結果を評価し継続的に改善していくことが重要です。
従業員エンゲージメント調査とは
従業員エンゲージメント調査とは、従業員が組織の目標に向かってどれ程情熱を持って働いているかを評価する方法です。
働きがいを感じ、企業の目標達成を自身の目標と同化させている度合いを示すもので、組織の生産性、従業員の満足度、退職率などに大きな影響を及ぼします。
▼従業員エンゲージメントを調べる調査については下記で解説しています。⇒従業員エンゲージメント調査とは?実施する重要な目的と期待できる効果
調査の活用と現状把握
従業員エンゲージメントを向上させるためには、まず現状を把握することから始まります。具体的な調査結果に基づく施策展開は、より効果を期待することができます。
調査は従業員が直面している問題や認識やスキルのギャップ、コミュニケーションの問題、組織との関係性など、モチベーションの低下を引き起こす可能性のある問題点を探し出す手掛かりとなります。
この理解とそれに基づく対策により、より働きやすい環境を作り出すことが可能となります。
施策展開後の調査結果の変化
調査による現状把握に基づき、必要な施策を展開します。進行中の施策の成果を計測するためには、再度のエンゲージメント調査が重要です。
これにより、施策がどの程度成果をもたらし、どの施策に改善や再評価が必要であるかを明確にすることができます。
定期的・継続的な調査の実施
エンゲージメントは一時的なものではなく、定期的に評価し直すことが求められます。
組織の目標や状況、従業員のレベルやニーズは、時間とともに変化していきます。
そのため、同じ方法でエンゲージメントを維持しようとすると、それは時代遅れとなり、従業員の離職率の増加や生産性の低下を招く可能性があります。
定期的・継続的な調査により、組織は変化するニーズに対応し、エンゲージメントの向上と維持を図っていくことが可能になります。
まとめ
この記事では、従業員エンゲージメントの向上を目的とした施策の事例について以下の内容で詳しく解説しました。
- 従業員エンゲージメント向上施策成功への基礎知識
- 従業員エンゲージメントを高める施策のねらい
- 従業員エンゲージメントを向上させる施策例
- 従業員エンゲージメント向上おすすめ施策⇒レジリエンス研修とは
- 従業員エンゲージメントの向上に成功した施策事例
- 従業員エンゲージメント調査の活用と施策の検証
従業員エンゲージメントの向上は、将来性のある人材の確保や優秀な人材の流出防止につながるため、さまざまな企業で多種多様な施策が実施されています。
代表例としては、フレキシブルな働き方の採用や人事評価の基準の見直し、レジリエンスを養うための研修やトレーニングの実施などが挙げられます。
LDcubeでは、変化が激しい環境においても柔軟な思考を持ち、逆境を打開できる人材育成をサポートする『SBRP (ストレングス・ベースド・レジリエンス・プログラム)』を提供しています。
多岐にわたる研修でレジリエンスを効果的に養うプログラムを取り入れることで、組織と従業員のエンゲージメントを高めるための方法が身に付きます。
SBRPライセンス取得を見越したレジリエンス研修の内製化もサポートしていますので、ぜひこの機会に『SBRP』の導入効果がわかる資料を無料でダウンロードしてみてはいかがでしょうか。
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