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従業員エンゲージメント調査とは?実施する重要な目的と期待できる効果
従業員が組織に対してどれほどの信頼や愛着があるのかを測定したい場合、サーベイツールを使った従業員エンゲージメント調査が有用です。
従業員エンゲージメント調査は、組織と個人の現状を定量的に評価して課題を抽出できるため、人事施策の企画に役立ちます。
この記事では、従業員エンゲージメント調査の重要な目的や期待できる効果などを詳しく解説します。
▼従業員エンゲージメントについての全体像は下記で解説しています。
⇒【人事担当者必見】従業員エンゲージメントとは?向上につながる5つの施策
▼調査結果を活用してチームの活性化につなげましょう。ポイントを紹介しています。
目次[非表示]
従業員エンゲージメント調査とは
従業員エンゲージメント調査とは、従業員の企業理念やビジョンに対する理解度・共感度、業績向上に対する行動意欲、現在展開している各種人事施策の浸透度・納得度を調査することです。
一般的には、サーベイツールを用いて従業員に向けてアンケートを行い、その結果からエンゲージメントを可視化します。
従業員エンゲージメント調査を通じて、部門単位や従業員一人一人の企業に対する愛着度や信頼度、仕事に対する熱意などが明らかになるため、改善点が見つかりやすくなります。
従業員エンゲージメント調査の重要な目的
ここでは、従業員エンゲージメント調査の目的である組織と従業員の状態の可視化、分析データの活用について詳しく解説します。
(従業員エンゲージメント調査の目的)
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①組織の状態の可視化
従業員全体のエンゲージメント調査により、組織の現状と課題を可視化できます。
エンゲージメントサーベイツールでは、さまざまな指標を数値化したりグラフで表したりできるため、組織に足りない要素を容易に把握できます。
組織の状態をより鮮明に可視化する場合、組織文化や労働条件、人事評価制度、福利厚生などのさまざまな観点から多面的に評価することが望まれます。
②従業員の状態の可視化
部門・職場のエンゲージメントを数値化することで、その部門・職場のメンバーと組織とのつながりの強さや、仕事に対する意欲などを見える化できます。
従業員の求めている理想と現状のギャップを洗い出す手段となるため、新入社員や中途社員に企業理念・ビジョンがどの程度浸透しているのか把握したい場合に役立ちます。
また、上司と部下、同僚同士などの人間関係や、現場での自己成長、キャリアパスなどに対する満足状況もエンゲージメント調査で測定可能です。
③人事施策に分析データを活用できる
従業員エンゲージメント調査は、組織と従業員の状態を可視化するだけではなく、調査結果の分析データを人事施策に生かすことができます。
例えば、「組織から適正な評価を受けていない」と感じている従業員が多い場合、人事評価制度の見直しや、管理者の評価スキルの向上などを検討します。
現場でのコミュニケーションや人間関係の構築に悩んでいる従業員がいる場合は、上司と部下の1on1ミーティングを実施してフォローすることが可能です。
従業員エンゲージメント調査の分析データは、他にも組織開発や労働環境の整備など、多岐にわたる領域に活用できます。
従業員エンゲージメント7つの調査項目
従業員エンゲージメントの状態を可視化して掴むには下記7つの項目で調査すると良いでしょう。
①事業の将来性 ②仕事の意義・貢献 ③自己成長実感 ④上司の支援 ⑤人間関係 ⑥多様な働き方 ⑦処遇の公平感 |
(出典:株式会社ビジネスコンサルタント)
7つの項目から調査をすることで、自組織におけるエンゲージメント向上における課題がどこにあるかを発見しやすくなります。
株式会社ビジネスコンサルタントが実施した従業員エンゲージメント調査結果から下記のようなことが分かりました。
2022年4月~9月の間に47社16,665人の方の回答を分析しています。その結果から言えることは下記です。
従業員のエンゲージメント向上に向けて介入すべき優先順位として「対話」「信頼関係」「役割期待」という職場における「上司の支援」が高いことが分かったのです。
このような調査結果も活用し、調査後のフォローをしていくことが重要です。
エンゲージメント調査後のフォローで期待できる効果
従業エンゲージメント調査と分析データに基づいた取り組みにより、従業員個人のモチベーションや組織全体の生産性向上など、さまざまな効果が期待できます。
▼期待できる効果
- 従業員個人のモチベーション向上
- 労働条件や人事評価制度に対する不満の解消
- 良好な人間関係の構築
- 組織全体の生産性向上
- 組織全体のコミュニケーション活性化
- 離職率の低下 など
エンゲージメントが低い従業員に対する適切なフォローは、組織内での人間関係や人事評価、成長支援に対する不満が解消され、仕事に対する熱意や行動意欲を呼び起こすため、離職防止につながります。
▼従業員エンゲージメント調査を生かして、エンゲージメントを高めるポイントについては下記で解説しています。⇒従業員エンゲージメントを高める効果的な取り組みとは?おすすめのソリューション6選も紹介!
従業員エンゲージメント調査の実施タイミング
従業員エンゲージメント調査の実施タイミングは、組織の目的や課題、また組織のカルチャーや従業員の数などにより異なります。以下、調査を行う代表的なタイミングについて説明します。
定期的なタイミング: 通常のビジネスサイクルに合わせて年1回など定期的に調査を行うことが一般的です。定期的に行うことで、傾向値を追うことができ変化をつかみやすくなり、組織全体のエンゲージメントの動向を把握したり、改善策の進行状況を評価するのに役立ちます。 重要な変更が行われるタイミング: 組織改革や新たなプロジェクトの開始前後、リーダーシップの変更など、重要な変更点が発生したタイミングでも調査を行うことがあります。これにより、変更の影響を評価したり、変更後の従業員の受け入れ状況を把握することができます。 組織内で特定の問題が生じたとき: たとえば、ハラスメント事案があった後や、業績低迷や従業員の離職率が高い場合などです。このような状況では調査結果から問題の原因を特定し、解決策を考えるのに役立ちます。 |
注意点としては、調査を行った後は必ず協力者に結果をフィードバックすることが重要です。
このフィードバックを怠ると、調査への参加意欲が下がり、回答率などが低くなってしまうことがあります。
また、フィードバックに必要な労力なども踏まえ、適切な頻度で調査を行うよう考慮する必要があります。
従業員エンゲージメント調査の実施方法
従業員エンゲージメント調査は、自社で行うか外注で行うかを選択する必要があります。自社での実施と外注での実施にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、わかりやすく解説します。
①自社での実施
自社でエンゲージメント調査を実施する場合、好きな調査方法(紙やWebツールなど)を選ぶことができ、従業員に対する質問項目も自由に設定可能です。
さらに、調査の適用範囲も自社で選べるため、外注するよりもコストを抑えられます。
ただし、外部の専門業者にするよりも、エンゲージメントの調査・評価・分析に関して専門性に欠ける可能性があります。
また、計画から実施、分析までを自社で担うため、負担が大きくなることも想定しなければなりません。
②外注での実施
従業員エンゲージメント調査を外部の専門業者に依頼した場合、専門家による的確なアドバイスを受けられます。
専門家のノウハウが生かされた精度の高い調査と分析、その後のコンサルティングによって、従業員エンゲージメント調査の有用性が高まります。
ただし、自社で実施するよりも、コストが高くなりやすいのがデメリットです。
また、利用するサービスによって設問のカスタマイズ性や調査範囲が制限されるため、自社の要件をすべて満たせない可能性があります。
外注で従業員エンゲージメント調査を実施する場合は、複数他社を比較して自社に最適なサービスを選定しましょう。
従業員エンゲージメント調査の具体的な流れ
従業員エンゲージメント調査は、一般的に以下のような流れで進行します。
- 調査の目的を明確化して、従業員に共有する
- 調査の実施方法を選定する(紙かWebか、自社か外注か)
- エンゲージメントサーベイツールを選定する(Webの場合)
- 設問の内容、回答期限、未回答者への対応などを決める
- エンゲージメント調査を実施する
- エンゲージメント調査の結果を数値化して分析する
- 分析データに基づいて従業員にフィードバックする
- 分析データを用いて部門・職場単位でグループディスカッションを行う
- 分析データに基づいた人事施策を企画する
- 人事施策の効果測定と改善をする
従業員エンゲージメント調査は、組織と従業員の課題を可視化するとともに、課題解決に向けた人事施策の企画・実施・効果測定・改善のPDCAを回すことが重要です。
エンゲージメント向上を目的とした施策は多種多様ですが、サーベイツールを用いて現状の可視化と分析をすれば、何から着手すべきか明確になります。
エンゲージメント調査後の施策
従業員エンゲージメントの可視化と向上を目的とした調査では、調査をやって終わりではなく、結果を踏まえて部門・組織でディスカッションしていくことが重要です。
調査結果をもとに、上司・部下という関係性において、グループディスカッションの実施 |
まずは、調査結果をトップマネジメント含む経営幹部にフィードバックし、ディスカッションを行います。
次に、各経営幹部が自分の部署に持ち帰り、自分の部署の管理職に対してフィードバックし、ディスカッションを行います。
そして、管理職が自分の職場に持ち帰り、職場メンバーに対してフィードバックし、ディスカッションを行います。
上記の事をインターロッキングチェインオブカンファレンスといいます。
このような上司と部下がグループディスカッションという形式で議論を行った場合、プラスの変化がもたらされるとされています。
また、職場でのグループディスカッションに慣れていない場合、心理的安全性が確保されておらず、議論が進まないことがあります。
その際には、データを用いた議論に入る前に、職場メンバーでワークショップを行い、議論がしやすい土台をつくっておくことが大切です。
LDcubeではLIFOプログラムを活用した職場ワークショップ『MSS(マネジメント・スキル・シリーズ)』で職場単位の議論をするサポートをしています。
組織内外の『人』における問題解決力を有する人材を育成したい場合には、LDcubeの『MSS』もぜひご活用ください。
従業員エンゲージメント調査結果を研修などで活用する
従業員エンゲージメント調査は、調査後インターロッキングチェインオブカンファレンス形式で現場までディスカッションが展開されていくことが望ましいです。
またそれだけでなく、社内で階層別研修などの研修の機会がある場合には、研修のテーマにも取り入れると良いでしょう。
(研修での活用)
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階層別研修で活用する
従業員エンゲージメント調査結果は、階層別研修で有効に活用できます。
この研修では、各階層の従業員が自分の役割を理解し、目標に向かって活動しやすくすることが目指されています。
調査結果を通じて、各階層のエンゲージメントレベルを把握することができます。
低いレベルを示している階層では、問題点を特定し、対策を研修で提供できます。
一方、高いエンゲージメントを示している階層では、その成功要因を共有し、他の階層でも同様の効果を目指す取り組みが可能となります。
▼階層別研修については下記で際しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒階層別研修とは?達成すべき目標や習得させたい知識・スキルを徹底解説
職場ぐるみ研修で活用する
職場全体を対象とした研修では、従業員エンゲージメント調査結果を用いて、より効果的な改善策を実施することができます。
この研修の目的は、従業員全体が相互理解を深め、支え合う文化の醸成です。
従業員エンゲージメントの調査結果を全体で共有することで、職場の長所と短所を理解し、改善策を一緒に考えることが可能となります。
特にエンゲージメントが低いと感じる部分については、深く議論を進めることで、具体的な解決策を見つけ出すことができます。
また、既に高いエンゲージメントを保持している部分は、その状態を維持しながらさらに強化し、組織全体のつながりの深まりに貢献する戦略として活用することが可能となります。
▼職場ぐるみでの研修の有効性については下記で解説しています。合わせてご覧ください。
⇒職場の活性化につなげる方法とは?アイデアやポイントを紹介!
まとめ
この記事では、従業員エンゲージメント調査について以下の内容で詳しく解説しました。
- 従業員エンゲージメント調査とは
- 従業員エンゲージメント調査の重要な目的
- 従業員エンゲージメント7つの調査項目
- 調査後のフォローで期待できる効果
- 従業員エンゲージメント調査の実施タイミング
- 従業員エンゲージメント調査の実施方法
- 従業員エンゲージメント調査の具体的な流れ
- 調査後のエンゲージメント向上施策
業員エンゲージメント調査結果を研修などで活用する業員エンゲージメント調査では、さまざま設問を含めたアンケートの実施と結果の分析でエンゲージメントを数値化したりグラフ化したりできます。
エンゲージメントの可視化で組織と個人の現状を把握したあとは、分析データを活用して人事施策を改善することが重要とされます。
従業員エンゲージメント調査を行った後は、その結果を活用して、上司と部下という関係性において階層ごとにグループディスカッションをしていくことが重要です。それが、エンゲージメント向上には必要不可欠です。
グループディスカッションが不慣れな場合は、関係者でワークショップを行い、ディスカッションがしやすい環境の土台をつくることが大切です。
株式会社LDcubeでは職場ワークショップ「MSS」の提供で、職場単位のディスカッションをする環境づくりのサポートをしています。
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