研修でロールプレイングを成功させる!内容例から進め方まで徹底解説!
「座学のみの研修では参加者が退屈してしまうので、ロールプレイングで動きを出したい」
「ロールプレイングを研修に取り入れたいものの、自社での設計方法が分からない」
ロールプレイングは、営業研修やビジネスマナー研修で取り入れられることが多い研修手法です。
本番の状況を想定した動きを練習できるため、実践的なスキルを身につけやすい特徴があります。
ただしゼロからロールプレイングを考えた際に、どのような形でロールプレイングを研修に取り入れるべきか分からないという人事担当者の方も多いようです。
研修でロールプレイングを取り入れるためには、まずはどの種類のロールプレイングを取り入れるかを検討する必要があります。
当記事では、4種類の代表的なロールプレイングについて紹介します。
種類 |
概要 |
こんな場合にオススメ |
ケース型 |
場面を特定したロールプレイング |
「商談」「受付」など場面を特定し集中的に鍛えたい場合 |
グループ型 |
複数人のグループで役割を変えながら行うロールプレイング |
「顧客」「上司」など相手の立場に立ちながら鍛えたい場合 |
問題解決型 |
ケーススタディをもとに解決策を考えるロールプレイング |
「課題形成力」や「解決策」など実践的スキルを鍛えたい場合 |
モデリング型 |
お手本となるモデル人材を参考にするロールプレイング |
「ビジネスマナー」や「クレーム対応」など決まった型を鍛えたい場合 |
ここまでお読みいただければ、「自社のニーズなら、この種類のロールプレイングがフィットしそうだ」という目処がつきます。
自社の状況にそぐわない種類を選んでしまうと、ロールプレイングの効果が得られないばかりか、参加者からの反感も買ってしまいます。
忙しい現場の社員を集めて研修をするからには「時間の無駄だった」「現場のニーズを分かっていない」などと言われないよう、注意する必要があるでしょう。
ただし、種類だけ知ったとしても、実際にロールプレイングを設計するには、さらにノウハウを理解する必要があります。
そのため記事の後半では、実際にロールプレイングを設計する際の以下のような実践ポイントについても解説します。
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最後までお読みいただければ、具体的にロールプレイングの内容が決まり、準備の第一ステップに進めるでしょう。
ぜひ当記事でロールプレイングの基礎知識をつけていただき、「参加して良かった!」「現場での実践に自信ががついた!」と参加者に喜ばれる研修設計の参考にしていただければ幸いです。
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- テレアポ獲得率が劇的に上がるロープレ実践術!4ステップで詳細解説
- 保険成約率を劇的に上げるロープレ実践術|4ステップで徹底解説
- 不動産営業のロープレは業績を高める!最新テクノロジー活用方法についても解説!
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目次[非表示]
- 1.研修でのロールプレイングには4種類ある
- 1.1.ケース型ロールプレイング
- 1.2.グループ型ロールプレイング
- 1.3.問題解決型ロールプレイング
- 1.4.モデリング型ロールプレイング
- 2.研修でロールプレイングを行う効果3つ
- 2.1.実践的なスキルを習得できる
- 2.2.成功体験を実感できる
- 2.3.個人課題を知ることができる
- 3.ロールプレイングが効果的な研修テーマ
- 3.1.営業研修
- 3.2.クレーム対応研修
- 3.3.ビジネスマナー研修
- 3.4.コミュニケーション研修
- 4.ロールプレイング研修の進め方3ステップ
- 5.ロールプレイングの効果を下げる注意点
- 5.1.シーンや場面設定に違和感がある
- 5.2.フィードバックが曖昧になる
- 6.ロールプレイングは型化すれば横展開可能
- 7.まとめ
研修でのロールプレイングには4種類ある
研修設計に入る前に、4つのロールプレイングの種類から、どれを取り入れるかを選ぶ必要があります。
具体的には、以下の4種類が代表的なロールプレイングの種類です。
- ケース型ロールプレイング
- グループ型ロールプレイング
- 問題解決型ロールプレイング
- モデリング型ロールプレイング
4種類のロールプレイングはそれぞれ特徴が異なるため、研修で身につけさせたい内容に合わせて使い分けるのがポイントです。
さっそく1つずつ具体的な内容を紹介していきます。
ケース型ロールプレイング
ケース型ロールプレイングは、業務で直面する特定の場面を想定して実施するロールプレイングです。
具体的には
- 営業での商品説明など、説明が必要となる場面
- ある程度、顧客からの質問が共通化している場面
などに効果的です。
反復練習と、そこに付随する応用力をロールプレイングで鍛えることができます。
例えば、このようなニーズをお持ちの際に、ケース型ロールプレイングは効果的です。
【おすすめのニーズ例】
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ケース型ロールプレイングを実施する際は、想定している場面を詳しく状況設定することが大切です。
また、想定される場面を複数用意して、バリエーションの幅を広げるのもおすすめでしょう。
「分かる」と「できる」は違うように、実践をしてみて初めて躓くポイントが発見できることは多いものです。
いきなり仕事で実践して失敗してしまうと、本人の自信喪失だけでなく、顧客や関係者に迷惑をかけてしまいます
そのため、研修場面でのケース型ロールプレイングを行い、現場で実践できるまで練習することが必要でしょう。
グループ型ロールプレイング
グループ型ロールプレイングは、2名〜4名程度のグループに分かれてもらい、ロールプレイングを行う手法です。
グループのなかで、役割を変えてロールプレイングを繰り返してもらいます。
具体的には
- 顧客反応に応じて、最善の言動を選ぶ必要がある場面
- 型どおりに行うだけではなく、顧客にあわせた対応が必要となる場面
などに効果的です。
役割を変えることで、相手の立場に立つ必然性をロールプレイングで鍛えることができます。
具体的には、このようなニーズをお持ちの際に、グループ型ロールプレイングは効果的です。
【おすすめのニーズ例】
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ケース型ロールプレイングを行う場合は、異なる立場の人の状況を詳しく、リアルに想定設定することが大切です。
例えば顧客役の人にのみ「実は今期予算を使い切っていて、上司の説得が難しい状況がある」という、ある意味「裏の背景情報」を教えるなどの工夫も効果的です。
最後に種明かしをした際に「そういう状況にあるから、あんなに反応が薄かったのか」や「そういう状況にあるなら、先に価格の話をするべきだった」など、相手の事情を慮った深い考察もできるでしょう。
問題解決型ロールプレイング
問題解決型ロールプレイングとは、過去に発生したトラブルや困難を想定して実施するロールプレイングのことです。
より実践を意識するなら、現在実際に直面している問題をテーマとして設定する場合もあります。
具体的には
- 企画職など常に扱う問題が変わる場面
- 既存の解決策を越えたソリューションが求められる場面
などに効果的です。
中核社員以上で、考える力をロールプレイングで鍛えることができます。
具体的には、このようなニーズをお持ちの際に、問題解決型ロールプレイングは効果的です。
【おすすめのニーズ例】
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問題解決型ロールプレイングでは、過去のケースを扱う場合は、その時のベスト解決法などの最適解を用意する必要があります。
しかしこのロールプレイング手法では「本人の考える力」を鍛える目的もあります。
そのため、早めに最適解を提示してしまったり、議論の最中に否定してしまったりするような言動は避けましょう。
また、実際に起こっている問題をテーマとして採用すれば、これまでは見えてこなかった新たな問題解決の糸口が見つかる場合もあります。
モデリング型ロールプレイング
モデリング型ロールプレイングは、参加者から1人の代表者を選抜し、モデルであるロールプレイングを他の参加者が後から模倣して実施するタイプのロールプレイングです。
具体的には
- 自己流の方法ではなく、お手本通りにやる必要がある場面
- オーソドックスな方法を緻密に実践した方が良い場面
などに効果的です。
細かい所作のズレの是正などを、ロールプレイングで鍛えることができます。
具体的には、このようなニーズをお持ちの際に、モデリング型ロールプレイングは効果的です。
【おすすめのニーズ例】
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代表者を全員が模倣するため、決まりきった動作や同じ対応を身につけてほしい場合に役立ちます。
そのため、応用が求められる職種や年次が上の社員にはフィットしない手法といえるでしょう。
モデリング型ロールプレイングを行うには、単に見本を見せるだけではなく、具体的な解説を加えると効果的です。
例えば「なぜこのお辞儀の角度なのか」「この台詞の狙いは何か」など、言動ポイントごとに解説をしていきます。
意図や狙いが理解できることで、完全に模倣できなかった場合でも、その次にベストな言動が選べるようになるでしょう。
研修でロールプレイングを行う効果3つ
4種類のロールプレイングのいずれを選んだとしても、研修でロールプレイングを行う共通の効果はあります。
具体的には以下の3つが、ロールプレイングを実施した企業から聞かれる効果です。
- 実践的なスキルを習得できる
- 成功体験を実感できる
- 個人課題を知ることができる
これらの効果を得られる、ロールプレイングならではのポイントとしては以下の通りです。
ロールプレイングがある研修 |
座学のみの研修 |
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実践的なスキル習得 |
〇自分で動いて習得できる |
△頭だけの理解に留まる |
成功体験の実感 |
〇自身の感覚で身につく |
△研修のみではイメージが浅くなる |
個人課題の理解 |
〇動いた結果で実感できる |
△課題の想定に留まる |
一つずつ具体的に紹介するので、自社での実施イメージを考える参考にしてください。
実践的なスキルを習得できる
研修でロールプレイングを行えば、実践的なスキルを習得できるというメリットがあります。
マニュアルや座学のみの研修では、頭では理解できたとしても、仕事場面で実践できるかどうかは分かりません。
例えば営業で顧客対応を行う際には、説明力や商品知識はもちろん、信頼関係構築を行うコミュニケーション能力や傾聴力、ビジネスマナーなど幅広い能力が必要です。
ロールプレイングを実施すれば、こうした実践に必要な能力を一通り復習することができます。
またロールプレイングを通じて、実践につなげるためには自分自身にどこが足りないのか、どういった部分を伸ばす必要があるのかを把握できるでしょう。
成功体験を実感できる
ロールプレイングを実施すると、実践を積む中で成功体験を積み重ね、自信を持つことが可能です。
疑似体験であっても「うまく行った!」という体験を研修内で得られることで、際の業務にチャレンジしてもらう敷居も低くなるでしょう。
例えば経験の浅い社員の場合、いきなり実践に入ることに不安を感じやすい傾向にあります。いきなり顧客対応やクレーム対応を任されるのは、本人にとってストレスとなりかねません。
特に社会人経験のない新入社員を対象とした研修の場合は、ロールプレイングでビジネスマナーを実践し、小さな成功体験を積み重ねてもらうことが重要です。
個人課題を知ることができる
ロールプレイングを実施すれば、個人ごとの課題を把握できるメリットがあります。
現実の忙しい仕事場面では、あらためて自分の課題を内省する時間が取れない企業も少なくありません。研修でのロールプレイングなら、「自分の課題はここだ」と確認できるため、研修及び実践場面での克服を通じ、さらなる成長につなげることができます。
具体的にはシミュレーションした内容を客観視したり、ロールプレイングの結果をフィードバックしてもらったりすることで、自分自身に何が足りないのかを浮き彫りにできるのです。
ロールプレイングで弱点を明らかにしておけば、実践でのミスを防げるでしょう。
ロールプレイングが効果的な研修テーマ
ロールプレイングは、クレーム対応研修や営業研修などで実践的な能力を身につけさせたい場合に役立つ手法です。
たとえば、以下のような研修テーマにおすすめです。
- 営業研修
- クレーム対応研修
- ビジネスマナー研修
- コミュニケーション研修
本章ではでは、ロールプレイングが効果的な研修テーマと、それぞれのプログラム例を解説します。
営業研修
実践的な力が求められる営業力強化研修では、ロールプレイングと取り入れる効果があります。
営業職は、コミュニケーション力や説明力、傾聴力などさまざまな力が求められるため、ロールプレイングでテーマを絞ってスキル開発することができます。
具体的な内容としては、顧客に商品説明を行う場面や、顧客との商談を行う場面を想定したロールプレイングを取り入れるのがおすすめです。
【営業研修のプログラム例】
タイムテーブル |
内容 |
狙い |
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研修プログラム例 |
9:30~10:00 |
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10:00~12:00 |
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13:00~15:00 |
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15:00~16:00 |
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ロールプレイングでは自社の商材を用いることによって、自社の商品知識を確認する機会にもなるでしょう。
そのため、新入社員や若手社員に、自社商品理解や特徴を浸透させる効果も期待できます。
▼ 営業で身に付けるべき「営業スキル」については下記で解説しています。合わせてご覧ください。⇒【営業スキル完全ガイド】営業力強化に必要な12のスキルとは?習得方法を解説
クレーム対応研修
クレーム対応研修では、ロールプレイングで何度も練習を重ねることが効果的です。
クレームを行う顧客は感情的になっているため、十分な訓練をしていない社員が対応をすると、さらなる大きなクレームにもつながりかねないからです。
具体的には、実際に顧客からクレームが入る場面を想定したロールプレイングや、クレームを他の担当者から引き継いで対応する場面を想定したロールプレイングを実践してみましょう。
【クレーム対応研修のプログラム例】
タイムテーブル |
内容 |
狙い |
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研修プログラム例
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9:30~10:00 |
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10:00~12:00 |
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13:00~15:00 |
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15:00~16:00 |
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クレーム対応は心理的な障壁を感じることも多く、クレーム対応自体に苦手意識を持っている社員も多いでしょう。
ロールプレイングを通じて研修の中で成功体験を積んでもらい、苦手意識を払拭することが大切です。
ビジネスマナー研修
ビジネスマナー研修も、ロールプレイングと相性のよい研修テーマの一つです。
特に新入社員はビジネスマナーが備わっていないため、ロールプレイで練習をすることで、自信を持って社会人をスタートすることができます。
具体的には、名刺を渡す場面を想定したロールプレイングや、電話応対を実施する場面を想定したロールプレイングなどを取り入れることがおすすめです。
【ビジネスマナー研修のプログラム例】
タイムテーブル |
内容 |
狙い |
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研修プログラム例
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9:30~10:00 |
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13:00~15:00 |
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15:00~16:00 |
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新入社員の場合、「社内ルール説明会」「部門ごとの説明会」などの座学研修が多いことから、ロールプレイングで動きを取り入れる効果もあります。
またグループ型ロールプレイングで交流をすることで、社員同士の交流の機会にもなるでしょう。
コミュニケーション研修
コミュニケーション力を強化する研修でも、ロールプレイングを取り入れてみましょう。
コミュニケーションの基本は「相手の受け止め方」です。そのため、ロールプレイングでフィードバックをもらうことで、他者の視界から自身の言動をチェックすることができます。
具体的には「面談」や「会議」などのよくあるケースを取り上げたうえで、「傾聴力」や「報告力」などのコミュニケーション力を鍛えます。
「説得力」「提案力」などより高度なコミュニケーションを鍛えたい場合は、課題となるケーススタディを設定し、グループディスカッションを取り入れるのも効果的です。
【コミュニケーション力研修のプログラム例】
タイムテーブル |
内容 |
狙い |
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研修プログラム例
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9:30~10:00 |
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10:00~12:00 |
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13:00~15:00 |
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15:00~16:00 |
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ロールプレイングにグループワークを取り入れると、参加者の交流効果もあります。
そのため、同部署でロールプレイングをすることでチームビルディング効果があったり、管理職同士でロールプレイングすることで、他部署交流も実現したりするでしょう。
▼コミュニケーション研修については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒コミュニケーション研修とは何をする?目的や具体的な内容・進め方
ロールプレイング研修の進め方3ステップ
ここまでで「自社でロールプレイングを実施したい」と興味を湧いた方は、次はいよいよロールプレイング研修の進め方のステップを理解しましょう。
進め方は以下の3つのステップに区切って考えると、スムーズに進められやすくなります。
- 研修準備
- 研修当日
- 研修実施後
具体的に各ステップについて紹介していきます。
研修準備の進め方
研修が決まったら、当日に向けて以下の準備を進めていきます。
- 目的を決める
- シーンや場面設定を決める
- 役割・人物設定を決める
- 資料を作る
具体的に解説していきます。
◆目的を決める
ロールプレイングを取り入れる目的をはっきり決めておきましょう。
あくまでもロールプレイングは、研修で能力を獲得してもらう手段の一つです。能力獲得の目的が曖昧では、参加者が本気になりにくくなります。
特に研修実施は、一定の時間は現場の仕事から離れることになります。現場からの反感を買わないように、参加する意味や意義はしっかり設定することが必要です。
例えば、以下のステップで目的を言語化することが効果的でしょう。
- 獲得して欲しい能力が何なのか
- なぜその能力が必要なのか
- その能力があると、仕事の成果にどのようなメリットがあるのか
このような目的を、実際の自社の状況に置き換えて具体的に設定するようにしましょう。
外部会場や外部講師など外部支払いが発生する場合にも、より説得力がある研修実施の目的が必要となります。
◆シーンや場面設定を決める
ロールプレイングの目的を決めた後は、シーンや場面設定を決めていきます。
ロールプレイングが効果を発揮するためには、できるだけ実際の業務に近い具体的な場面を取り上げる必要があります。
曖昧なケースや一般的なケースでは、表面的なスキルしか獲得できなくなってしまいます。
例えばクレーム対応の場合は、「どの商品に対するクレームなのか」「どのようなクレーム内容なのか」「クレームを入れた顧客の年齢や性別、購入履歴はどうなっているのか」といった設定を、入念に準備する必要があります。
本番に近い環境を設定できれば、実践に結びつきやすいロールプレイングができるでしょう。
◆役割・人物設定を決める
次に、役割や人物設定を決めていきます。
シーンや場面設定と同様に、役割や人物設定が曖昧では、ロールプレイングの効果が得られにくくなります。さらには当日の役割チェンジなどの段取りがうまく行かず、参加者のモチベーションも低下しかねません。
例えば報連相のロールプレイングであれば上司役と部下役、クレーム対応であれば顧客役と担当者役など、ロールプレイングを実施するのに必要な役を設定していきましょう。
同時に「〇分で実演」「〇分で役割交代」「〇分でフィードバック」など、当日の流れも決めていきます。
また、ロールプレイングを実施する際の人物設定には、さまざまなものが考えられます。
例えば3人以上でロールプレイングを実施する際には、第三者の視点からフィードバックを提供する「オブザーバー」を追加するのもよいでしょう。
◆資料を作る
状況や役割分担が決まったら、ロールプレイングの設定を資料に落とし込んでいきます。
先程までのステップで決めた内容を、箇条書きや図表などを活用しながら、わかりやすく資料にしていきましょう。
ここで大切なのが、できる限り資料を読んだだけで状況設定が理解できるような資料を作成することです。口頭での補足を前提とした資料作りを行ってしまうと、ロールプレイングを行っている最中に「どのような設定だったのか忘れてしまった」という事態を招いてしまいます。
ロールプレイングの質を高めるためにも、必要な情報をしっかりと盛り込んだ資料を作成してください。
研修当日の進め方
いよいよ研修当日です。
進め方はロールプレイングの種類や研修テーマによって異なりますが、おおよそ以下の進め方がスタンダードです。
- 目的を決める
- シーンや場面設定を説明する
- 実践してもらう
- フィードバックする
具体的に解説していきます。
◆目的を説明する
研修当日には、まず研修全体の目的や、ロールプレイングの目的を説明するところからスタートします。
研修目的が理解できていなければ、研修に対する前向きな姿勢を引き出せず、実践の効果が半減してしまいます。
目的を説明する際には、研修の冒頭で目的について触れるのがおすすめです。
例えば「この研修で、社会人としての基礎であるビジネスマナーが身につきます」「ロールプレイングを通じて、ビジネスマナーを実践するイメージが湧きます」といったように、目的を理解してもらいましょう。
場合によっては、経営トップや部門トップなどからもメッセージを送り、研修の重要性をアピールすることも効果的です。
◆シーンや場面設定を説明する
ロールプレイングの概要を説明したら、次はロールプレイングのシーンや場面を説明し、実施方法や注意点も伝えていきます。
ロールプレイングに参加してもらう参加者に対して、それぞれどのような動きをすればよいのか、またどういった役割を果たす必要があるのかを説明しましょう。
なおオブザーバーが参加する場合は、事前にどのような点に着目して見てほしいのかを伝えるのがおすすめです。
どのポイントを見ればよいかが分かれば、オブザーバーも質の高いフィードバックを行うことができるでしょう。
◆実践してもらう
事前の説明がすべて終了したら、いよいよロールプレイングに入っていきます。
説明した注意事項などを意識してもらいながら、実際にロールプレイングを進めていきましょう。
この段階では、事務局は歩きながら会場の様子を全体的に見回っていきます。
「緊張している参加者はいないか」「進め方が分からず困っていないか」「ふざけているグループはないか」を確認し、必要に応じてフォローします。
また、タイムキーピングをして、全体の仕切りや進行をすることも忘れないようにしてください。
◆フィードバックする
ロールプレイングが終了したら、フィードバックの時間を設けます。
フィードバックはオブザーバーや講師がフィードバックするのはもちろん、ロールプレイングに参加した社員同士で振り返ることも効果的です。
フィードバックの際には、あらかじめチェックシートを準備しておくのもよいでしょう。
フィードバックの際の観点を明確にしておくことで、重要なポイントを意識しながらロールプレイングに取り組むことができます。
▼ ロープレにおいてフィードバックは重要です。フィードバックについては下記で解説しています。⇒ロープレの成功のポイントとは!?フィードバックの活用方法を解説!
研修後の進め方
研修は実施して終わりではありません。
研修の実践効果を上げるためにも、あらかじめ以下の観点で準備をするようにしましょう。
- 振り返り・効果測定をする
- 次の強化テーマを検討する
具体的に解説していきます。
◆振り返り・効果測定する
研修が終了したら、振り返りや効果測定を行います。
具体的には、このような方法で振り返り・効果測定することが一般的です。
【振り返り・効果測定例】
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なお、研修実施とあわせて、LMSのようなマネジメントツールを活用するのもおすすめです。
研修の復習や実践度の確認などがツール上でできるようになっていると、研修効果が継続・把握しやすくなるでしょう。
◆次の強化テーマを検討する
参加者の実践度などの効果測定を行った上で、次の強化テーマを検討するのもおすすめです。
ロールプレイングは導入当初は戸惑う社員もいるかもしれませんが、継続して実施することで、徐々に習熟が期待できます。
例えば営業職であれば「初回訪問は今回の研修で取り上げたので、次は提案場面をロールプレイングしてみよう」など、徐々にレベルアップしていくとよいでしょう。
ロールプレイングの効果を下げる注意点
ロールプレイングをやったとしても、あまり効果が得られない場合もあります。
そんな効果を下げる注意点を2つ紹介します。
- シーンや場面設定に違和感がある
- フィードバックが曖昧になっている
具体的にどのように効果が下がってしまうのかについて、解説をしていきます。
シーンや場面設定に違和感がある
ロールプレイングの場面設定が曖昧であったり、違和感があったりすると、参加者はたちまち意欲を失います。
現場の仕事を抜けてまで研修参加するので、参加者は自分の仕事のレベルアップや自分の課題克服をしたいという目的があるでしょう。
例えば自社と全く違う業界のシーンや、自社では遭遇しないような場面を取り上げてしまうと、参加者は「これができるようになっても、自分の仕事に役に立たない」と思ってしまいます。
違和感だけでなく、場面設定が曖昧になることにも注意が必要です。
シーンや場面の設定が甘い場合、ロールプレイングがアドリブの練習のようになってしまいます。これでは、ロールプレイングの狙い通りの学びを引き出すことは難しいでしょう。
いつ、どこで誰が何に対応する場面なのかなど、まずは基本的な5W1Hに沿って整理するのがおすすめです。
フィードバックが曖昧になる
ロールプレイングを実施する場合には、フィードバックの質が重要です。
フィードバックが曖昧な場合、改善点がある参加者がいても「うまくできた」「これでいいんだ」と、間違った認識を抱いてしまいます。
フィードバックの際には、改善点などを明確に示しながら、できるだけ具体的なフィードバックができるよう心がけましょう。
そのためには、事前にどのような観点からフィードバックするのかを整理しておくのがおすすめです。
例えばビジネスマナーであれば、「お辞儀の角度は適切か」「はきはきと喋っているか」「肘をついたり、足を組んだりしていないか」といったチェック項目を設けておきます。
こうした点を整理したチェックシートやルールブックを事前に配布するなど、フィードバックの質を高め、研修を実施していきましょう。
▼ ロープレの意味がない理由3選については下記で解説しています。
⇒営業研修のロープレの意味がない理由3選!原因と対策など解説!
ロールプレイングは型化すれば横展開可能
本記事でお伝えしてきたように、実はロールプレイングは「使うシート」「役割設定」など、細かく決めていくことが、効果がでるポイントです。
ロールプレイングと聞くと「手軽にできる」や「ライトに取り組める」印象をお持ちの方もいるかもしれませんが、それだけでは教育効果の再現性が欠けてしまいます。
これでは「教え上手の先輩社員に指導してもらった」「お手本を見せない上司の下に配属された」など、OJTに起こりがちな、成長のムラが生じることと同じでしょう。
組織的にロールプレイングの教育効果を横展開していくためには、例えば以下のような「型化」が必要になります。
【型化していく情報例】
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またオンライン学習を組み合わせることで、研修の「プレ(参加前)・オン(研修当日)・ポスト(参加後)」をサポートできるため、より研修効果を上げることもできます。
【プレ(研修参加前)】
- オンラインで「自己課題のチェック」の事前準備や「事前課題の読み込み」の予習
【オン(研修当日)】
- 集合型研修で「ロールプレイング」の実践
【ポスト(研修参加後)】
- オンラインで「動画視聴」での復習や「理解度テスト」での学習定着
- オンラインの動画提出課題によるロープレの「自主練習」での定着支援
型化を進めた資料もオンライン上で展開できるため、新しい入社者がいたとしても、すぐに同じクオリティの教育展開できるため、おすすめです。
まとめ
今回は、研修でロールプレイングを効果的に取り入れる方法についてお伝えしました。
あらためて本記事のポイントは以下の通りです。
◎ロールプレイングには4種類があり、自社にフィットしやすい方法を選ぶ必要がある
- ケース型ロールプレイング
- グループ型ロールプレイング
- 問題解決型ロールプレイング
- モデリング型ロールプレイング
◎研修でのロールプレイングの効果は以下の通り
- 実践的なスキルを習得できる
- 成功体験を実感できる
- 個人課題を知ることができる
◎ロールプレイングが効果的な研修テーマ
- 営業研修
- クレーム対応研修
- クレーム対応研修
- ビジネスマナー研修
- コミュニケーション研修
◎ロールプレイングを取り入れた研修は以下の3つのステップで組み立てる
- 研修準備
- 研修当日
- 研修実施後
ロールプレイングは、座学のみの研修と違い、実践につなげやすい点がメリットです。
ただし動きを取り入れるからこそ、鍛えたいスキルや自社ならではのケースとのフィット感が重要となります。
ぜひ当記事でロールプレイングを研修で取り入れる基本を学んでいただき、自社で効果が出やすい方法を検討する参考にしていただければ幸いです。
株式会社LDcubeでは研修にロープレを取り入れるだけではなく、時代の変化に合わせロープレなどのトレーニング方法をデジタル化していく支援をしています。
ロープレのお手本となる動画を作成して事前学習を行ったり、正しい商品知識を身に付けるための理解度クイズを行ったり、学習環境を整えることが重要です。
また、動画提出課題を活用し、AIによるロープレのフィードバックも取り入れながら自己学習環境を整備することなども行っています。
無料での体験会なども行っています。お気軽にご相談ください。
▼営業ロープレについての詳細はこちらをご覧ください。
⇒実績につながる新時代のセールス・ロープレトレーニングの実現を支援します!
▼ 関連資料はこちらからダウンロードできます。
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