
弊社は、ウェブ職TV(※)を運営する株式会社メリルの中島大介氏による全社員研修を実施しました。
研修設計と効果測定など「真に効果のある学びの実現」を掲げる弊社として、単に研修を実施するだけではなく、研修実施についての設計と効果測定を行いましたので、その結果を公開します。
※ウェブ職TVとは、中島大介氏が運営する登録者数14.5万人のYouTubeチャンネルです。マーケティングやSEO、オウンドメディア運営、AI活用などについて分かりやすく配信されています。
◆効果測定の結論:研修実施の効果あり
適切な研修設計を施した上で、研修を実施することで、効果を感じることができた。
今回は研修前、研修から1週間後、3週間後の時点で、理解度と活用度についてアンケートを取っています。
そのアンケート結果の推移をみることで、効果を可視化することができました。
以下で今回の取り組みの背景、研修概要、研修設計、効果測定結果について紹介します。

弊社は、めまぐるしい環境変化の中、人事ご担当者さま、経営者さまへ2023年、2024年に引き続き、2025年も同時期に3回目の「ポスト・コロナの人材育成施策の実態」について広く調査しました。
結果として、「67%の組織が人材育成施策の効果を感じられていない」「3年連続で6割を超える組織で人材育成施策の効果を感じられていない」ことが分かりました。
弊社では、6割を超える組織で施策の効果を感じられていないことはもちろん、その状況が続いていることは、業界全体の課題であり、さらには社会課題と言えるのではないかと捉えております。そのような課題を解決するための鍵は、行動変容を促す研修設計と効果測定です。
そこで、弊社で実際に研修を行い、その研修の設計と効果測定を行い、その結果を公開し、多くの人にお知らせすることで、少しでも人材育成施策の効果を感じられるようになることに貢献していきたいと思います。
弊社が行った調査の詳細は下記で公開しています。
⇒【調査レポート速報!】(3年目)ポスト・コロナの人財育成施策の実態調査結果を公開!

「マーケティングをやり直す!」をコンセプトに親会社である株式会社ビジネスコンサルタントから分割して設立した弊社にとって、全社員がマーケティングについての知見を高め、マーケットや顧客との接点を持つことを大切にしています。生成AIの登場により激変するマーケティングについて、最新の情報に触れる機会としました。
また、登壇いただいた中島大介氏は「ChatGPT&Copilotの教科書」という書籍を出版しております。そこで、まさに本教科書をテキストとして、生成AIについての理解や基本的な使い方、応用的な使い方などについて学ぶ機会としました。
研修実施の様子については、下記お知らせをご覧ください。
⇒『ウェブ職TV』を運営する株式会社メリルの中島大介氏による研修を実施しました!


研修の目的は「行動変容」です。
「行動変容」=「研修で教えている『期待する行動』を職場で取ること」です。
「行動変容」を誘引する要素は下記が挙げられると考えています。
① 上司の関与
② 業務とのつながりを示す
③ 反転学習・シリーズ型の学習設計
④ デジタルツールを使った細かなフォロー
⑤ 学習環境づくりと文化
今回の研修実施に当たって、上記を加味して研修実施を組み立てる、つまり設計することが重要です。
①については、今回の研修実施自体が代表である新井から発案したものであり、研修設計を含め経営者が関与しています。
また、弊社では読書対話会という社内の人材育成施策を定期的・継続的に展開しています。
それゆえ、⑤の学習環境づくりと文化はすでにある程度醸成されています。
②③については、業務とのつながりを見いだすために事前の読書対話会を通じて、基本的な知識や活用法、生成AIを自分の業務にどう生かせるかという点について対話を行ってきました。
そして、その中で感じた疑問や質問を事前に講師である中島氏に共有し、研修会の中では、基礎的なことに触れた後は、事前に共有した疑問や質問に対して回答いただきながら、より応用的な活用法について教授いただきました。
そして、事前の読書対話会から研修の1週間後、3週間後に学んだことの実践を促すためのフォローを行いました。
研修運営に関しては、弊社がお客さまに提供している学習プラットフォーム『UMU(ユーム)』(※)を通じて行いました。
アンケートや学びの共有など事前学習から研修後までUMUを活用して研修運営しました。
下記に出てくるアンケート結果はUMUで行ったアンケート結果の画像を活用しています。
(※)学習プラットフォーム『UMU(ユーム)』とは、学習の科学とテクノロジーを組み合わせた成果につながる学びを提供する学習プラットフォームです。集合研修でもオンライン研修でも活用することができ、効果的な研修運営や学習成果の見える化を実現します。
詳しくはこちらから。⇒「UMU」AIを活⽤したデジタル学習プラットフォーム

研修は、研修「当日」に何を行うかということがメインだと思われがちですが、それだけではありません。
「40:20:40の法則」というものがあり、研修当日よりも「その前後」の学習の方が重要と言われています。

そこで、2時間の研修を有意義かつ効果的なものにするために以下のような研修設計を施して研修を実施しました。
事前 課題:『ChatGPT&Copilotの教科書』で基礎知識を学ぶ
研修3週間前:『ChatGPT&Copilotの教科書』読書対話会1回目(1時間)
研修2週間前:『ChatGPT&Copilotの教科書』読書対話会2回目(1時間)
研修 当日:研修受講(2時間)
研修1週間後:行動変容への意識付けアンケート1回目
研修3週間後:行動変容への意識付けアンケート2回目

研修の目的は「行動変容」であり、効果があったかどうかは「研修で教えている『期待する行動』を職場で取ること」がどの程度行われているかです。
今回は、生成AIの実践力を身に付け、業務の生産性向上につなげるということを研修のねらいの一つに置いておりますので、研修で学んだ「業務で生成AIを活用する」という行動がどの程度取られているかがポイントとなります。
そこで、本研修では上記の研修設計に沿って、理解度と活用度についてアンケートを実施し、状況を定点観測しています。
順を追ってアンケート結果を公開し、解説していきます。
1問目:「ChatGPT&Copilotの教科書」を読む前段階でChatGPTやCopilotへの理解度はどの程度ですか?

平均2.8
2問目:「ChatGPT&Copilotの教科書」を読む前段階でChatGPTやCopilotの活用度はどの程度ですか?

平均2.8
学習開始前段階では、5段階で3を付ける人が最も多く、次いで2を付ける人が多い状況でした。どちらとも言えない、やや理解や活用には自信がないという人が多かったと推察されます。
1問目:「ChatGPT&Copilotの教科書」の読書対話会を経て、現時点でのChatGPTやCopilotへの理解度はどの程度ですか?

平均3.58
2問目:「ChatGPT&Copilotの教科書」の読書対話会を経て、現時点でのChatGPTやCopilotの活用度はどの程度ですか?

平均3.16
理解度については、平均スコアが上がりました(2.8⇒3.58)。3を付ける人が最も多いものの、4を付ける人が増えています。5を付ける人も現れました。読書対話会を経て、「ChatGPT&Copilotの教科書」を読了したという事実と同僚との対話を経て、理解度については自信を持ち始めている様子がうかがえます。ただ、活用度については、平均スコアは上がっているものの(2.8⇒3.16)、理解度に比べやや低く、活用が大きく進んでいるとは言えない状況が垣間見られます。
1問目:「ChatGPT&Copilotの教科書」の研修会を受講した段階でChatGPTやCopilotへの理解度はどの程度ですか?

平均3.86
2問目:「ChatGPT&Copilotの教科書」の研修会を受講した段階でChatGPTやCopilotの活用度はどの程度ですか?

平均3.11
理解度については平均スコアも上がり(3.58⇒3.86)、4を付ける人が最も多くなり、理解が進んだ状況が見て取れます。5を付ける人も増えました。活用度では平均スコアは下がっていますが(3.16⇒3.11)、4を付ける人が増えています。
これは、研修中に実際にPCやスマホを開いて講義に合わせて活用してみる人がいた一方で、研修翌日時点ではまだ何も活用できていないという人がいたことの状況を表していると考えられます。4を付ける人が増えていることから研修をきっかけに活用してみるという行動が増えたことを示しています。
1問目:「ChatGPT&Copilotの教科書」についての研修会を受講し、1週間経過しました。現段階でのChatGPTやCopilotを含む生成AIへの理解度はどの程度ですか?

平均3.81
2問目:「ChatGPT&Copilotの教科書」についての研修会を受講し、1週間経過しました。現段階でのChatGPTやCopilotを含む生成AIの活用度はどの程度ですか?

平均3.59
理解度については、研修直後から平均スコアは若干下がりました(3.86⇒3.81)。研修後には新たなインプット情報がないことから理解度についてはほぼ上限値に達しているのではないかということが考えられます。また、研修の中でChatGPTとCopilotに限らず、さまざまな生成AIツールの活用法についても講義いただいたことから、質問文にChatGPTやCopilotを含む生成AIの理解度というように、ChatGPTやCopilotだけでなく他の生成AIまで対象の幅を広げたことから、研修直後よりも低く付けた人がいたことが推測されます。
活用度については、研修直後よりも平均スコアも上がり(3.11⇒3.59)、4を付ける人が最も多く、5を付ける人も出てきています。活用が進んでいることがうかがえます。一方で1を付ける人がいることは職種により業務での活用シーンがない人も存在するということが感じられます。
1問目:「ChatGPT&Copilotの教科書」についての研修会を受講し、3週間経過しました。現段階でのChatGPTやCopilotを含む生成AIへの理解度はどの程度ですか?

平均4.03
2問目:「ChatGPT&Copilotの教科書」についての研修会を受講し、3週間経過しました。現段階でのChatGPTやCopilotを含む生成AIへの活用度はどの程度ですか?

平均3.7
理解度については平均スコアが再び上がりました(3.81⇒4.03)。研修後3週間経過し、5を付ける人が増え、平均スコアも上がっています。これは、研修後実際に活用したことでさらに理解が進んだのではないかということが推測されます。
活用度については、研修1週間後よりも平均スコアも上がり(3.59⇒3.7)、5を付ける人も増えました。活用がさらに進んでいることがうかがえます。
定性的な面では、受講者の声から、業務で生成AIを活用し、生産性の向上につなげようとしていることが感じられます。
理解度

平均2.8 ⇒ 平均4.03
活用度

平均2.8 ⇒ 平均3.7
理解度については、平均スコアが2.8から4.03へと上がっていることからも理解が大きく進んでいることが確認できます。活用度については、平均スコアが2.8から3.7へと上がり、理解度ほどではないものの活用が進んでいることが確認できます。
そして、研修で学んだ「業務で生成AIを活用する」という行動がどの程度取られているかという観点で見てみても、活用度が高まっている(2.8⇒3.7)=「業務で生成AIを活用する」という行動が増えていると見ることができます。
研修前から研修後のデータを見てきましたが、これらのデータを踏まえ、「研修の効果あり」と捉えています。

研修の効果を感じるためには、研修設計と効果測定をしっかりと行うことが重要です。冒頭に紹介した調査結果から人材育成施策の効果を感じられていない組織が多い状況にありますが、研修設計と効果測定を行っていないのではないかと考えられます。
実際に、弊社で2025年1月に実施した調査によると、60%の組織で「研修の効果測定を実施していない」ということが分かっています。(※)
きちんと研修設計と行い、効果測定をすれば効果を感じることができます。今回の取り組みでそのことを証明できたと考えております。
社内トレーナーで研修を展開する場合には、今回の研修設計を参考に研修前後の学習のデザインを行って研修を実施することで研修の効果を可視化して感じられます。
外部講師に研修を委託する際にも、今回の弊社の取り組みのように、社内トレーナーの方が、研修当日以外の部分を設計して展開することで、研修の効果を可視化して感じることができます。
弊社は効果的な研修設計と効果測定を行う鍵は「社内トレーナー」の存在だと考えています。研修実施の知見や経験、研修設計と効果測定の知見を持った社内トレーナーの存在が研修の効果を高めることにつながるのです。
(※)「新人・若手の定着~育成戦略」に関する調査 については下記で詳しく解説しています。⇒【調査レポート速報!】「新人・若手の定着~育成戦略」に関する調査結果を公開!


LDcubeは、お客さまの成長のため、時代に合わせて多様なツールを活用しながら、
人材開発・組織開発の課題解決をサポートするプロフェッショナル集団です。
60年以上、支援してきた知見を生かして、末永く伴走します。
LDcubeは、人材育成のために効果的な学習環境を構築するため、多岐にわたる支援を行っております。外部講師が実施する研修プログラムを、社内トレーナーが担当できるようなサポートやプラットフォームを活用した企業内大学の運用支援なども行っています。
人材育成施策は実施して終わりではなく、研修受講者の「行動変容」を経由して会社の業績向上につなげることが大切です。そのためにはフォローアップが欠かせません。社内トレーナーというリソースやプラットフォームなどのツールを効果的に活用することで細かなフォローアップを実現することが可能です。
外部講師に研修を委託する際には、研修会社が研修設計や効果測定についても相談に乗ってくれます。しかし、社内トレーナーが社内で研修を行う際には、実は相談相手がおらず、ノウハウがなく、悩んでいるケースが多いです。
LDcubeは、そのような社内トレーナーの方々の相談相手となり、お客さまと伴走し、お客さま組織の人材育成に貢献していきたいと考えています。
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「研修を実施しても社員の行動が変わらない」「学んだ内容が職場で生かされていない」このような悩みを抱えている人事担当者や研修企画者の方は多いのではないでしょうか。実際、多くの企業で研修後のアンケートでは高い満足度を得られるものの、実際の業務における行動変容には至らず、研修投資の効果が見えないという課題が発生しています。この問題の原因は、知識習得だけに焦点をあてた研修を実施していることにあります。研修の目的は、研修で学んだことを職場で実践する【行動変容】です。本セミナーでは、【行動変容】を実現するための効果的な研修設計の方法、 効果測定のポイントをご紹介いたします。
多くの企業が抱える課題、それは「研修の効果が実際に成果に結びついているか」を確信できないことです。せっかくの研修も、知識を伝達するだけで行動変容に至らなければ、時間とコストの無駄に終わることがあります。この課題を解決するためには、効果測定ツールを活用して、具体的な行動変容や業務成果にどのようにつながっているかを可視化することが重要です。本セミナーでは、研修の効果測定のやり方、効率的に実施するためのツールについて紹介します。
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