役員研修とは何か?経営力強化と組織変革に必要なこと!
「経営幹部の能力不足が懸念材料だが、どのように育成すればよいのかわからない」
このような課題意識を持つ企業は、少なくありません。
急速に変化する経営環境のなかで、役員には高い経営力とリーダーシップが求められています。役員研修は、そうした役員の能力開発と組織変革を実現する有効なアプローチとして、注目されています。
本記事では、役員研修の概要と重要性、扱うべき内容、効果を高めるポイントなどを詳しく解説します。
ご一読いただくと、自社に適した役員研修を設計し、実施に向けた具体的なアクションを描けるようになります。戦略的な人材育成を通じて、経営の質と組織力の向上を目指しましょう。
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役員研修とは何か?
役員研修とは、取締役や執行役員などの経営幹部を対象とした教育研修プログラムを指します。
その目的は、経営力とリーダーシップの強化を通じて、企業の持続的成長と価値創造を実現することです。
役員研修では、経営戦略・リーダーシップ・ガバナンスなど、役員に必要な知識とスキルを体系的に学びます。
役員個人の能力開発だけでなく、役員間の一体感醸成やベクトル合わせも重要なテーマとなります。
役員研修が必要とされている背景
近年、役員研修へのニーズが高まっている背景には、以下の要因があります。
【役員研修が求められる要因】
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このように、役員を取り巻く環境変化や内外の要請を受けて、戦略的な研修の必要性が増しているのです。
自社の経営課題や役員の育成ニーズを踏まえた研修の設計が求められます。
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役員研修が経営の質向上につながる理由
役員研修は、組織のパフォーマンス向上に大きな効果をもたらします。
役員の意識改革と行動変容が、組織全体の変革のきっかけとなるのです。
具体的には、以下のようなメカニズムを通じて、経営の質と組織力の向上につながります。
【役員研修が組織に与えるポジティブな効果】
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このように、役員研修は役員の意識と行動を変えるとともに、組織全体に良質なリーダーシップ効果をもたらすのです。
役員研修で扱うべき主要な内容
役員研修では、経営リーダーとして必要な知識とスキルを体系的に学びます。
ここでは、役員研修で扱うべき主要な内容について、8つの領域に分けて解説します。
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いずれも経営の意思決定や組織運営に直結する重要なテーマばかりです。
全般的にカバーするためには、半年〜1年の長期的な視点でカリキュラムを組むことが、推奨されます。
【参考:役員研修のスケジュール例】
それぞれの内容について、以下で見ていきましょう。
経営リーダーシップ
1つ目は「経営リーダーシップ」です。
経営リーダーシップは、役員研修の根幹をなすテーマのひとつです。役員には、組織をけん引するビジョンの構築力や、変革を推進する実行力が求められます。
研修では、以下のような観点から、経営リーダーシップの強化を図ります。
【経営リーダーシップに関する研修内容の例】
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経営リーダーシップは、役員個人の資質に負うところも大きいテーマです。
自己認識を深めながら、リーダーとしての意識と行動を磨き上げることが重要となります。
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財務
2つ目は「財務」です。
財務は、経営判断の基盤となる重要な領域です。役員は、財務諸表の理解はもちろん、投資判断や財務戦略立案の能力が問われます。
研修では、以下のような観点から、財務リテラシーの向上を目指します。
【財務に関する研修内容の例】
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財務リテラシーは、経営判断の質を大きく左右する重要な要素といえるでしょう。
役員には、数字を駆使し、財務の視点から経営の羅針盤を握ることが強く求められます。
外部環境分析
3つ目は「外部環境分析」です。
外部環境分析は、経営戦略の出発点となる領域です。自社を取り巻く環境変化を機敏に察知し、競争優位の源泉を見極める力が問われます。
研修では、以下のような観点から、外部環境分析力の強化を図ります。
【外部環境分析に関する研修内容の例】
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外部環境分析は、自社の置かれた立ち位置を客観的に把握するための重要な活動です。社内の常識に閉じこもることなく、外部の目線を養うことがポイントとなります。
ESG
4つ目は「ESG」です。
ESGは、Environment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス)の頭文字を取った概念で、企業価値評価の新たな尺度として注目を集めています。
これからの経営では、環境・社会・ガバナンスの観点から、自社を見つめ直す力が問われます。研修では、以下のような視点から、ESG経営の考え方を学びます。
【ESGに関する研修内容の例】
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ESG経営は、企業の持続可能性を高めるうえで、欠かせない視点だといえます。
中長期的な企業価値の向上につなげるESG経営を実践することが、役員の重要な責務となっているのです。
マーケティング
5つ目は「マーケティング」です。
マーケティングは、顧客価値の創造と顧客獲得を目指す経営の要です。市場ニーズを的確に捉え、競争優位性ある価値を提供する力が問われます。
研修では、以下のような観点から、マーケティング力の強化を図ります。
【マーケティングに関する研修内容の例】
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マーケティングは、事業の収益基盤を支える重要な領域です。
役員の立場からは、マーケティング戦略の全体像を俯瞰し、事業戦略との整合性を図ることが肝要です。市場動向やテクノロジーの変化を敏感に察知し、先を見据えた布石を打つ先見性を養います。
組織
6つ目は「組織」です。
組織は、経営戦略の実現を担う基盤です。役員には、組織の力を最大限に引き出し、高いパフォーマンスを生み出すマネジメントが求められます。
研修では、以下のような観点から、組織マネジメントの力量を高めます。
【組織に関する研修内容の例】
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組織マネジメントは、人と組織の力を結集し、経営目標を達成するための核心といえます。
組織と個人の持続的な成長を促すスキルを、役員一人一人が高めることが求められます。
経営戦略
7つ目は「経営戦略」です。
経営戦略は、役員研修の中核をなすテーマです。自社の強みを生かし、競争優位を築く戦略の立案力が問われます。
研修では、以下のような観点から、経営戦略力の強化を図ります。
【経営戦略に関する研修内容の例】
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経営戦略は、外部環境の分析と自社の強み・弱みの理解の上に成り立つものです。
社内外の情報を読み解き、大局観を持って戦略を構想する力を高めることが肝心だといえるでしょう。
▼経営戦略については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒「経営戦略とは結局何?」定義や目的、進め方、成功事例まで徹底解説!
人材マネジメント
8つ目は「人材マネジメント」です。
人材マネジメントは、経営戦略の実現を支える重要な基盤です。人材の力を最大限に引き出し、組織の競争力の源泉とする力が問われます。
研修では、以下のような観点から、人材マネジメント力の強化を図ります。
【人材マネジメントに関する研修内容の例】
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人材マネジメントは、人材を最大の資産と捉え、その力を存分に引き出すための舵取りです。
経営戦略と表裏一体の人材戦略を描き、その実現に向けて率先して行動する力を養います。
役員研修の実施形態と特徴
役員研修には、企業内で完結させるインハウス型、外部機関を活用するオープン型など、さまざまな実施形態があります。
自社の目的や課題、予算などに応じて、最適な形態を選択することが重要です。
ここでは、代表的な研修形態の特徴を解説します。
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企業内研修(インハウス):自社の課題に特化した設計が可能
1つ目の形態は「企業内研修(インハウス)」です。
企業内研修(インハウス)とは、従業員教育の一環として、企業が自社内で主催する研修を指します。
自社の経営課題や人材育成ニーズに即した内容設計が可能な点が、最大の特長です。機密情報を交えた深い議論ができるのも、インハウス研修ならではのメリットといえるでしょう。
また、全役員の参加を義務付けることで、役員間の一体感醸成やコミュニケーション活性化も期待できます。
◎メリット |
△デメリット |
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一方で、外部の客観的視点や他社の知見を取り入れにくいことがデメリットとして挙げられます。
自社の常識や固定観念に縛られない研修とするためには、外部講師の起用など工夫が必要です。
企業内研修は、自社の実情に合わせた実践的な学びを通じて、課題解決に直結する研修を実施したい企業におすすめの形態だといえるでしょう。
▼企業内研修の実施については、以下の記事もあわせてご覧ください。
⇒社内研修の作り方!効果的なプログラムとは?ポイントを解説
公開講座:他社役員との交流と新たな気づきの機会
2つ目の形態は「公開講座」です。
公開講座とは、研修会社などの外部機関の主催で、複数の企業の役員が参加する研修を指します。
他社役員との交流を通じて新たな発想や気づきを得られる点が魅力です。異業種の役員とのディスカッションは、視野の拡大や相対化に役立ちます。
一方で、機密情報を交えた議論がしづらいことや、自社の状況に即した内容設計が難しいことがデメリットとなります。
◎メリット |
△デメリット |
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企業内研修の補完的な位置づけとして、戦略的に公開講座を活用することが望ましいでしょう。
役員一人一人の育成ニーズに合わせて、適切なプログラムを選ぶことが肝要です。
公開講座は、自社の枠を超えて、広い視野で経営を捉え直したい企業におすすめです。
経営合宿:オフサイトでの集中的な学びと対話
3つ目の形態は「経営合宿」です。
経営合宿とは、日常の職場から離れたオフサイト(職場以外の場所)の環境で、役員が合宿形式で行う研修を指します。
日常業務から離れて集中的に学び、議論できる点が特長です。普段はなかなか深められない本音の対話が可能となるため、役員間の相互理解と一体感醸成に効果的です。
また、1泊以上の合宿とすることで、インフォーマルなコミュニケーション(懇親会や雑談など)の機会も生まれ、役員間の人間的な絆を深められます。
◎メリット |
△デメリット |
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ただし、日程調整の難しさや、一定の予算が必要となる点には留意が必要です。
経営合宿は、腰を据えて中長期的な経営テーマを議論したい企業におすすめだといえるでしょう。
エグゼクティブコーチング:個別の課題に応じた伴走支援
4つ目の形態は「エグゼクティブコーチング」です。
エグゼクティブコーチングとは、経営幹部(エグゼクティブ)を対象に、個別の課題解決に向けて専門家(コーチ)が伴走支援を行う研修を指します。
各役員の課題や強み、特性に合わせたオーダーメイド型のアプローチにより、個人の能力開発を効果的に進められます。
キャリアの棚卸しや、リーダーシップ開発、後継者育成計画の策定など、個人の内省を伴う内容に適しています。
◎メリット |
△デメリット |
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最近は、オンラインでのコーチングも一般的になっており、スケジュールの制約を軽減する工夫も可能です。
一方で、相応のコスト負担が発生する点や、コーチの質により効果が左右される点には注意が必要です。
エグゼクティブコーチングは、各役員の個別課題の解決を重視する企業におすすめのアプローチだといえるでしょう。
役員研修の効果を高める重要ポイント
役員研修の効果を最大限に引き出すには、自社の経営課題や役員の特性に合わせたプログラム設計が不可欠です。
最後に、押さえるべき設計の重要ポイントを解説します。
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知識・スキルだけでなく「人間力」を育てる
1つ目のポイントは「知識・スキルだけでなく『人間力』を育てる」です。
役員研修では、知識やスキルの習得だけでなく、人間力の向上にも焦点を当てることが重要です。経営リーダーには、高い倫理観や人格的な魅力など、人としての総合的な力が求められるからです。
研修では、以下のような観点から、役員の人間力を高める工夫を盛り込みましょう。
【役員の人間力を高めるための研修設計のポイント】
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このように人間力の向上を意識した研修設計が、知識とスキルを兼ね備えた品格ある経営リーダーの育成につながります。
▼人間力向上にはセルフエスティームについての理解が必要です。下記で詳しく解説しています。
⇒セルフエスティーム(自尊感情)とは?
インプット→整理→アウトプットの流れを重視する
2つ目のポイントは「インプット→整理→アウトプットの流れを重視する」です。
研修の学びを定着させ、実践に移すためには、インプット→整理→アウトプットの流れを重視することが大切です。
単に知識を詰め込むだけでなく、学びを自分の言葉で語れるようになるまでの一連のプロセスを研修の中に組み込むことが、鍵となります。
具体的には、以下の3ステップを意識した研修設計が有効です。
【インプット→整理→アウトプットの3ステップ】
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このように、単なる知識の習得に留まらず、それを実践知へと転換するためには、インプットとアウトプットを有機的に連動させた研修設計が不可欠です。
研修の質に関して妥協しない
3つ目のポイントは「研修の質に関して妥協しない」です。
役員研修は、経営リーダーを育成する重要な機会です。そのクオリティを高めることは、今後の経営状況を左右する要因といっても過言ではありません。
研修の質に関して妥協することなく、最高水準のプログラムを提供することが、焦点となります。
【研修の質を高めるためのポイント】
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このように、研修の質を高める角的な工夫を凝らすことで、学習効果を最大化できます。
役員研修には経営シミュレーション「Biz-Ex(ビジックス)」をご活用ください |
役員にどのような教育をするべきか悩んだときは、ぜひ「Biz-Ex(ビジックス)」をご活用ください。 Biz-Ex(ビジックス)は、社長の立場で6年間分の会社経営を疑似体験できる経営シミュレーション型eラーニングプログラムです。 このプログラムには以下のような特徴があり、御社の後継者育成をサポートします。
これらの特徴で、後継者に必要な知識やノウハウを体系的に習得させることが可能です。 |
▼ 経営シミュレーション研修については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒経営シミュレーションとは?人材育成の新手法・研修について解説
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まとめ
本記事では「役員研修」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
役員研修で扱うべき主要な内容として、以下をご紹介しました。
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役員研修の実施形態は、以下のとおりです。
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役員研修の効果を高める設計の重要ポイントとして、以下を意識しましょう。
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役員の能力開発は、経営の持続性を左右する重要な経営課題です。
経営トップのリーダーシップのもと、役員の能力開発に取り組むことが、変化の時代を勝ち抜く鍵となります。
役員研修を、単なる知識習得の場ではなく、役員の意識と行動を変革する学びの機会と捉え、組織力を強化していきましょう。
株式会社LDcubeでは、著名なMBA教授陣の監修したeラーニングコンテンツや経営シミュレーション研修など役員研修で活用いただけるサービスを展開しています。無料のデモIDの発行も行っています。お気軽にご相談ください。
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