武庫川女子大学様
HEP導入事例

大学生が「自己肯定感を高める講座」を受講【2025年度】
実践を通じて深めた学びの成果

武庫川女子大学

兵庫県西宮市にキャンパスを置く武庫川女子大学。母体となる武庫川学院は2029年で90周年を迎えます。13学部21学科の総合女子大学として「自ら考え、動く」人を育んでいます。2027年4月、共学化し、武庫川大学となります。

HP:https://www.mukogawa-u.ac.jp/
経営学部:https://sba.mukogawa-u.ac.jp/

 武庫川女子大学では、社会と協働した実践的な学びを促進する、「実践学習」にも力を入れて取り組んでいます。

はじめに

 

今、若手社員の定着率とモチベーション向上は、多くの企業を悩ませている課題です。
その中で、深くモチベーションと関係する「自己肯定感」の向上に関心が高まっています。

しかし、価値観が多様化する現代社会において若手社員の自己肯定感を高めるためにはどのような施策が有効なのでしょうか。

好事例が、兵庫県の武庫川女子大学にあります。

同大学の経営学部が、産学連携プログラム「実践学習」を企画し、
企業や自治体などと協働し多種多様なインターンシップやプロジェクトを行っています。

その一つとして、2021年度から続く学生向け「自己肯定感を高める講座」を、2025年度もを実施しました。
本記事では、講座の概要や受講した学生の感想の他、グループでまとめた成果発表の内容についても、併せてレポートします。

 


導入:
背景と授業概要

現代の若者が直面する「自己肯定感の低さ」は、メンタルヘルスや人間関係、キャリア形成にまで影響を及ぼす重要な課題となっています。

そのような中で、「自分を大切にする力=セルフエスティーム」を高めることの大切さが、教育現場でも注目されています。

本授業では、学生がまず自身のセルフエスティームと向き合うプログラムを体験し、その学びを同世代へどのように広めていくかについて検討しました。最終的に、各チームが検討結果を発表し、意見交換を行いました。 これは単なる知識のインプットにとどまらず、実践と振り返りを通じた“自己理解の深化”の場でもありました。

この授業では、次の2つのステップを軸に構成しました。 

 

STEP
01

セルフエスティームへの気付きを深める体験型講座

学生たちは、自己理解を深め、自分の感情や価値観に気付くためのワークに取り組みました。

「ありのままの自分を受け止める」「他者との比較ではなく、自分との対話を大切にする」といったテーマをベースにしたこの講座は、多くの学生にとって“初めて”の自己探究の場となりました。

STEP
02

同世代に広げるプロジェクト 

学んだ内容を自分たちの言葉で発信するプロジェクトにも取り組みました。学生たちは、セルフエスティームという概念が自分たちにとってどれほど大切なものかを実感し、より深く理解するために体験活動や検証を行いました。

具体的には、”防衛”に気付くことでセルフエスティームが本当に上がるのかを検証したり、小さな成功体験がセルフエスティームに与える効果を整理したり、セルフエスティーム学習を通じた自己内省で得られたことをまとめたりするなどしました。

プログラムエッセンス:
ヒューマン・エレメントプログラムとのつながり

この授業でのアプローチは、心理学に基づいた自己理解と人間関係改善の手法「ヒューマン・エレメントプログラム」のエッセンスを応用しています。 

ヒューマン・エレメントでは、「自己受容」が対人関係の改善にもつながるという考えのもと、感情や自己イメージに深く向き合うことを重視します。

今回の授業でも、学生たちは“他人にどう思われるか”ではなく、“自分がどう感じているか”に焦点を当てることで、自然と他者への接し方も変わっていく実感を得ていました。 

 

 

取り組みと成果:
受講した学生による、チームごとの成果発表内容(計4チーム)

チーム名:スマイルメーカーズ

テーマ:セルフエスティームは”防衛に気づくこと”で本当に上がるのか――その際の変化は?

セルフエスティームは、「防衛に気付き、自身を受け止めることで高まる」とされているが果たして本当なのだろうか?
また、どのようなプロセスで、具体的にどのような変化を生むのかについて、実験を行うことにしました。

<検証プロセス>

  1. 防衛に気づいた回数を2週間ごとに記録する(12/12~2/5)
  2. 防衛の種類分け(テキスト70ページ参照)をし、それぞれどの種類の防衛が多かったか分析
  3. 防衛に気づいたときの行動の変化を記録する
  4. 防衛に気づいた時の自己肯定感の変化について記録する

取り組み内容と学び

検証プロセスに則り、以下の通り検証を行いました。
 

▼検証結果についてはこちら

結果

  • 防衛に「気づく回数」は、期間を追うごとに増加した
  • 防衛に気づいた後、「いつもと違う行動を選ぶ」割合が後半ほど高くなった
  • 防衛に気づいた時の感情スコアは、全体的に上昇した

「防衛への気づき」「行動の変化」「感情の変化」が同じ方向に推移していることがわかった。

考察

  • 防衛に気付くことで、自分の反応を自動的に受け入れるのではなく、一度立ち止まる余地が生まれたと考えられる
     
  • 行動を選び直す経験の積み重ねが、精神的な「楽さ」や自己肯定感の上昇に影響したと考えた。

まとめ

セルフ・エスティームが上がったと断定することは難しいが、防衛に気づくことは自己肯定感にポジティブな影響を与えたということが検証できました。

自己肯定感は日常の成功体験から生まれるものだと考えていましたが、学んでいくうちに「自分をどう扱うか」によって変わるのだと気付きました。
また、自分の思考や反応の癖に気付くだけで、少しずつ受け取り方が変わることを実感しました。

自己肯定感を高めることは相手を大切にすることにもつながり、自分を受け入れることがより良い人間関係や安心感のあるコミュニケーションにつながるのだと感じました。

チーム名:自己肯定感あげ隊

取り組みの前提とした「若手の自己肯定感」に対する課題

  • 比較社会で消耗しやすい ⇒ SNSなどを通じて他人基準の自己評価になってしまう。
  • 間違えることへのプレッシャーが強い ⇒ 失敗を避けて挑戦経験が少なくなり、成功体験が積みにくい
  • 本音を出せる場が少ない ⇒ 自分の気持ちが整理しにくく、自己理解が育ちにくい

出典 : 電通報|失敗したら終わり……。「揺れる自己肯定感」を必死に守る若者たち

 

取り組み内容と学び

「HEP」と「ジャーナル」のそれぞれについて、以下の通り取り組み、学びを得ました。
 

▼HEPについてはこちら

▼ジャーナルについてはこちら

 

まとめ

今回得ることができた学びは、授業で意見を求められた場面や、アルバイトで失敗したとき、人間関係で不安を感じたときなど、日常のさまざまな場面で活かせると感じました。

自分自身を知り理解することが、自分だけではなくチーム全体のパフォーマンスの向上につながるのだと分かりました。

自分の得意不得意や考え方の癖を意識したうえで役割を担い、他者との違いを尊重しながらより良い成果につなげていきたいです。

 

チーム名:ポジティ部

テーマ:小さな成功体験が自己肯定感に与える効果

私たちの世代は周りと比べる機会が多く、自信を持ちにくい――

私たちは上記のような問題意識に気付き、今回のテーマを選びました。
そして、自信が持てない状況が続くと、以下のような状況に陥りやすいと考えました。

  • 失敗を恐れて行動できない
  • どうせ自分には無理だと最初から決めつける
  • 完璧にできないならやらない方がいいと感じる
  • 行動する前に不安が先立つ
  • 挑戦する前から諦めてしまう

HEP(ヒューマン・エレメント・プログラム)に参加し、「ジャーナル」を書くようになって、見返したときに、成功体験があった日が自己肯定感が高いということに気づきました。

例えば、今までは無自覚にとっていた以下のような「自己防衛行動」に、ジャーナルを通して気付くことができたのです。

人の前で自分の気持ちを発言するときに、無視される、ばかにされる、嫌われるというネガティブな自分自身への感情から逃れるために、黙り込んだり、優等生ぶっていた。

このような気付きを通して、小さな成功体験が自己肯定感に影響を与えていると考えたのです。

 

取り組み内容と学び

防衛から抜け出し、小さな成功体験を積み重ねることで、自己肯定感が高まっていくことを体験的に学びました。
 

▼意識して取り組んだことと、実際の体験談はこちら

Before

  • 失敗を恐れて行動できない。
  • どうせ自分には無理だと決めつける。
  • 完璧にできないならやらないほうがいいと感じる。
  • 行動する前に不安が先立つ。
  • 挑戦する前から諦めてしまう。

After

  • 防衛のサインに気づき行動を選び直した成功体験があったことで不安があっても挑戦できるようになった。

  • インターン実習の中でも自分に自信がついた。積極的に発言や行動ができた。

成功体験を積み重ねることで、自信がつき新しい成功体験を生む→好循環が生まれる。

 

まとめ

自己肯定感は大きな成功で高くなるわけではなく、小さな「できた」の積み重ねだということを学びました。

自信がなくても良い、最初から完璧じゃなくていい――「まず、今日できそうなことを一歩踏み出す」

その積み重ねが、自分を認める力になるということに気付きました。

 

チーム名:smile step

取り組みの前提とした「若者」の課題

取り組み内容と学び

主にジャーナリングに取り組み、以下のような変化がありました。

実践前

不安や不満がこころに蓄積されて、ネガティブになっていた。

体験(ジャーナリング)

ノートに3~5分ほど今思っていることを書き続けるワーク
→感情や思考が整理されて気持ちが軽くなる・前向きに行動しやすくなる

実践後

自分の感情を否定せず、ありのままをノートに書くことで自分に対する見方が前より優しくなった。

▼チーム活動からの気付きと学び

感謝し合う

  • 前向きになり気持ちに余裕ができるため、自然とセルフエスティームが上がった

認め合う

  • 自分の意見に自信を持てるようになった
  • 意見がまとまっていなくても発言できるようになった
  • 意見の違いも受け止められるようになった

自己理解と他者理解

  • セルフエスティームがなぜ低いのか・高いのか考える癖がついた
  • 弱さや不安も共有しやすくなった

活動の仕方を決めることで、個人の成長とチームの動きが大きく変わることに気づくことができました。
また、異なる価値観や視点が共有されることで、自分一人では思いつかなかったアイデアが生まれ、多様な発想が融合する経験ができました。
個人のセルフエスティームが高まることが、結果としてチーム全体のパフォーマンス向上につながることも身をもって実感しました。
 

まとめ

HEPを通して、自分の感情に気づき、防衛や自分の状態を理解する習慣が身につきました。その結果、これまで他人と比較して落ち込んでいましたが、今後は自分を受け入れ、SNSに振り回されず自分に合った使い方ができるようになりました。

また、嫌われたくなくて人に合わせすぎていたことが防衛による行動だと気づき、無理のない人間関係を築けるようになりました。さらに、完璧を求めすぎてミスを引きずっていた自分を理解できたことで、評価や成果に左右されにくくなりました。これらの学びを、バイトや就職後にも生かしていきたいです。

 

 

受講生の声(一部抜粋):
講座を通して体験的に「自己肯定感を高める」ことを学んだ

自己肯定感は「自分を好きになること」だと思っていましたが、実践的なワークを通して、行動や人間関係、成果にまで影響するものだと実感しました。特に、自己肯定感の高低を意図的につくる実験では、同じ作業でも雰囲気や効率が大きく変わることに驚きました。ジャーナルを書くことで、自分の受け止め方の癖に気づき、「できたこと」に目を向ける習慣が身についたと感じています。

自己肯定感を理論的に学び、「防衛」という無意識の反応が、かえって自分を苦しめていることに気づきました。謙遜のつもりで自分を下げていた言動が、防衛だったと理解できたことは大きな発見でした。感情を言語化するジャーナリングや、感謝を伝え合う活動を通して、自分と向き合う大切さを改めて実感しました。

自己肯定感が低い状態は誰にでも起こり得ることで、必要以上に恥ずかしがるものではないと学べたことが印象的でした。人生を振り返るワークやゴミ拾いの実験を通して、自分の態度や表情が周囲に与える影響を体感しました。グループ活動を重ねる中で、自分の考えを少しずつ伝えられるようになり、人と関わりながら学ぶ楽しさを実感しました。

防衛に気づき、記録し、行動を選び直すプロセスを通して、自己肯定感は結果ではなく「日々のプロセス」だと理解しました。感情や反応を客観視できるようになり、自分を責めることが減ったと感じています。自己肯定感は成功体験だけで高まるのではなく、気づきと選択の積み重ねによって育つものだと学びました。

内面に向き合う講義は初めてでしたが、自分の意思を持って行動することで、日常がより豊かになると気づきました。自分を素直に褒めたり、感情を書き出したりすることで、前向きな気持ちを保ちやすくなりました。人生を振り返るワークやジャーナル記入を通して、今後も自分の感情を大切にしながら過ごしていきたいと思います。

▼グループワークの様子はこちら

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