人材育成の効果測定とは?重要な観点や評価項目を網羅的に解説
企業における人材育成の効果測定は、学習プログラムや研修の費用対効果、社員の成長度合いを可視化するために重要なものです。
効果測定にはさまざまなフレームワークや手法があり、社員の知識やスキルの取得を定量的に評価する方法や、研修後のパフォーマンス指標を比較する方法があります。
この記事では、人材育成の効果測定における重要な観点や具体的な評価項目などを解説します。
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人材育成で重要な効果測定とは
企業の教育担当者は、研修を企画・実施するだけではなく、研修成果の効果測定によって投資効果を立証しなければなりません。
効果測定の項目は、企業によってさまざまな観点で検討されており、5W1Hや4W1Hが代表的なものとして挙げられます。
例えば、研修後のアンケート調査で受講者の満足度を測定した後、テストの実施で学習目標達成度を測ります。
その後、現場でのパフォーマンス観察やインタビューを通じて、受講者の行動変容や業績評価を確かめ、研修や育成方針の課題発見と改善につなげるというのが基本的な流れです。
▼人材育成プログラムの企画・設計についてはこちらをご覧ください。
⇒育成プログラムの企画・設計とは?基本的な流れと成功の秘訣
5W1H・4W1Hでの人材育成の効果測定
企業の人材育成における効果測定では、5W1H・4W1Hが代表的なフレームワークとして活用されています。
項目 |
具体例 |
Why(なぜ測定するのか) |
・人材育成施策の改善 |
What(何を測定するのか) |
・目的、ゴールの達成度 |
Who(誰を測定するのか) |
・新入社員 |
When(いつ測定するのか) |
・日時 |
Where(どこまで測定するのか) |
・研修の満足度 |
How(どのように測定するのか) |
・研修後のアンケート |
人材育成の効果測定は、次の施策の橋渡しを行ううえで重要な役割を果たします。
そのため、研修中のパフォーマンスだけではなく、研修後の行動変容や意識の変化にも注目することが重要です。
▼効果測定の前提として人材育成についての目標がしっかりと定まっていることも重要です。人材育成の目標についてで解説しています。合わせてご覧ください。
⇒人材育成の目標とは?目標設定の仕方やこれからの時代の重要ポイントを解説!
人材育成の効果測定における2つの視点
人材育成の効果測定は、企業側(教育担当者)と社員側の2つの視点で考える必要があります。
企業側の視点の場合、研修後に社員が会社の売上・利益に貢献できているのかを測定します。また、採用・研修にかけたコストと得られた利益を可視化し、費用対効果を測ることが重要です。
社員側の視点では、抽象的な指標も用いて効果測定を行います。例えば、研修の満足度やモチベーションの向上、得られた知識・スキル・資格などが測定の材料となります。
ただし、社員全員を同じ指標で効果測定をするのではなく、個々人に最適な指標を選定することが重要です。
人材育成の効果測定における重要ポイント
企業側の視点、社員側の視点でそれぞれ効果測定を行う場合、設定すべき指標は多岐にわたります。事業目標の達成に向けて、より効率的な効果測定を行うためにも、以下の重要ポイントを押さえておきましょう。
①効果測定の目的を明確化する
教育や研修の効果を確かめやすくするために、何を目的として効果測定を行うのかを明確化しましょう。例えば、以下の項目が効果測定の目的に挙げられます。
- 研修で得られた知識・スキル・資格・行動変容などの評価
- このままの研修内容で継続するべきかの判断
- 研修プログラムの課題点、改善点の洗い出し
- 研修後のフォローアップが必要かどうかの判断
- 研修で業務にもたらされている効果の可視化
- 研修効果の個人差の可視化と標準化
- 社員による研修内容の満足度の可視化
- 研修コストの削減と予算の獲得など
上記の中には、成果をデータで可視化できないものも多く含まれます。
研修を対象とした効果測定はかなり難しいため、組織の目標達成や部署の課題解決につながる項目を選定することが重要です。
②効果測定の対象と検討事項を決める
人材育成の効果測定は、研修そのものを対象とするのか、それともチームや個人を対象にするのかで評価項目が大きく異なります。
研修そのものを対象とした場合、受講者に限らず、教育担当者や講師などの評価も行う必要があります。
受講者を対象とした場合、所属部署や担当業務、業務で抱える課題などに応じて、評価すべき項目を絞り込むことが大事です。
また、効果測定の材料となるデータも、定量的なものと定性的なものに区別し、効果を適切に判断できるものを選定しなければなりません。
③効果測定ができる学習ツールを活用する
教育や研修の効果を可視化するには、専用のツールを導入する必要があります。
例えば、研修の理解度や知識・スキルの習得度を測定できる研修ツールや、社員毎の学習の進捗状況を可視化できる学習プラットフォームなどが効果測定に役立ちます。
学習・研修ツールの種類は多岐にわたりますが、自社の課題や目標に応じてカスタマイズできるものがおすすめです。
また、ベンダーによるサポートが充実しているサービスなら、費用対効果の高い運用が実現します。
▼学習データを施策に生かすポイントについてはこちらをご覧ください。
⇒LMSを人事評価や施策の改善に生かすポイント!失敗しない選び方
効果測定の事例
建設コンサルタント業 新入社員研修のケース
【背景】
Withコロナ時代の中で、単にオンラインで研修を行うだけでなく、学び方のイノベーションを図りたい。
【新たな取り組み】
動画コンテンツを作成してオンライン自己学習の充実化を図る
確認テストを実施して理解度を都度チェックする
質問BOXを設け、随時質問があれば入力してもらう
オンライン協調学習のセッションで演習や質問BOXに入力された質疑応答を行う
【結果】
受講の満足度は?
理解度は?
2019年度までは集合研修をベースに新入社員研修を実施していましたが、コロナ禍に突入した2020年度は新入社員研修を実施できませんでした。
2021年度はオンラインで新入社員研修が実施できるように準備を進めました。
オンラインで行った新入社員研修の効果について、受講者の満足度と理解度の観点から効果測定しています。
満足度を見てみましょう。研修のテーマごとに受講者のアンケートを取っています。2019年度までの研修アンケートと2021年度の研修アンケート結果を比べると、大きな差が出ています。
(2020年度は研修未実施のためデータなし)
2019年度までは研修の満足度に関して、5段階中で4をつける人がボリュームゾーンでしたが、2021年度は5をつける方がボリュームゾーンとなりました。受講者の研修満足度が大きく高まった結果となりました。
また理解度については、毎年テーマごとに試験を実施しています。
新入社員の中には、ある分野について大学時代に学習したことがある履修者と、学習したことがない初学者が混在しています。例年の傾向として、初学者は得点が低く、履修者は得点が高い傾向にありました。
2021年度の試験は下記のような結果になりました。
初学者の得点が低く、履修者の得点が高いという傾向は存在しますが、その差はあまりなく、初学者が履修者に追いついてきているという結果になりました。
オンラインで効果的な学習環境を構築してきたことで、受講者の満足度も理解度もどちらも高めることに成功しました。
今回のケースの場合、下記に取り組みました。
【新たな取り組み】
・動画コンテンツを作成してオンライン自己学習の充実化を図る
・確認テストを実施して理解度を都度チェックする
・質問BOXを設け、随時質問があれば入力してもらう
・オンライン協調学習のセッションで演習や質問BOXに入力された質疑応答を行う
※上記について、ラーニングプラットフォームUMU(ユーム)を活用して展開
その取り組み施策の効果測定をしたところ、受講者の満足度、理解度ともに良い結果を得ることができ、上記の施策が効果的であるということを証明することができました。
まとめ
この記事では、企業における人材育成の効果測定について以下の内容で解説しました。
- 5W1H・4W1Hでの人材育成の効果測定
- 人材育成の効果測定における2つの視点
- 人材育成の効果測定における重要ポイント
人材育成の効果測定では、研修自体や個人の目標に応じた評価項目の選定と、目的の明確化が非常に重要です。
学習や研修の費用対効果、社員の成長度合いを把握するためには、データを定量的に可視化できる専用ツールの導入も不可欠です。
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