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社内研修の動画活用効果を最大化するコツとは?メリットやポイントを解説

「社内研修をオンラインで行いたいけれど、どうすれば効果的に動画化できるだろうか……」
と、お悩みの人事・教育担当者の方も多いのではないでしょうか。

近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)や働き方改革の影響で、日常生活においてもyoutubeに代表される動画配信プラットフォームで動画を見る視聴者も沢山います。そのような環境の中、企業の研修スタイルは大きく変化しています。

とくに、オンライン研修が急速に普及し、動画活用も増え、その効果的な運用が重要な課題となっています。

動画による社内研修は、メリット・デメリットを踏まえた戦略的な活用が鍵となります。

動画による社員研修説明画像

本記事では、動画活用のメリットやデメリットから効果的な動画化のノウハウまで、実践的な知見をまとめました。

研修の質を高め、従業員の学びを加速させる動画活用のために、お役立てください。

▼社内研修や動画研修については下記で詳しく解説しています。

▼社内研修の企画と運用については下記にまとめています。

社内研修企画と実施▼研修用動画の作り方については下記にまとめています。合わせてご覧ください。

研修用動画コンテンツの作り方この記事の監修者  株式会社LDcube 代表取締役 新井澄人  株式会社ビジネスコンサルタントで、講師派遣型の人材育成支援から始まり、社内トレーナーの養成による人材育成支援、デジタルツールを活用した人材育成のDX化の支援まで、中小企業から大企業まで20年にわたり幅広いコンサルティングに従事。 新入社員研修からOJTリーダー研修、若手社員研修、管理職研修、幹部研修、営業研修、デジタル学習環境づくりのコンサルテーションなどに自らもコンサルタントとして登壇しながらも、人材育成・組織活性化・営業強化において講師派遣型の枠を超えた支援を実現するため、ビジネスコンサルタントの子会社である株式会社LDcubeの設立と同時に代表取締役に就任。  資格: 全日本能率連盟認定マネジメントコンサルタント LIFOプログラムライセンシー LIFO-MSSプログラム開発者

目次[非表示]

  1. 1.社内研修の動画活用5つのメリット
    1. 1.1.時間や場所の制約なく研修が実施できる
    2. 1.2.一貫した研修内容と品質を全従業員に提供できる
    3. 1.3.教育コストを大幅に削減し予算を最適化できる
    4. 1.4.学習進捗の可視化で効果測定と改善が可能になる
    5. 1.5.動画コンテンツの再利用で効率的に研修運営ができる
  2. 2.社内研修動画化のデメリットや注意点
    1. 2.1.コンテンツ制作や更新に時間と手間がかかるケースもある
    2. 2.2.受講者の集中力維持が課題になる
    3. 2.3.質問や議論の機会は限定的となる
    4. 2.4.ITスキルや学習習慣が学習効果に影響する
  3. 3.社内研修用動画を本格的に作る場合の流れ
  4. 4.社内研修を効率的に動画化する実践ステップ
    1. 4.1.ステップ1:研修目的と対象者を明確にしてコンテンツを設計する
    2. 4.2.ステップ2:省リソースで工夫しながら研修動画を制作する
    3. 4.3.ステップ3:社内プラットフォーム(LMS)へ配信する
  5. 5.社内研修動画の運用・管理の5つの鍵
    1. 5.1.マイクロラーニング型の短時間動画で集中力を維持する
    2. 5.2.グループディスカッションやワークと組み合わせた発展学習を展開する
    3. 5.3.LMSを活用して管理を効率化する
    4. 5.4.受講状況のモニタリングとリマインダー機能で脱落を防ぐ
    5. 5.5.理解度テストやアンケートによる学習効果の定量評価を行う
  6. 6.まとめ:社内研修に動画を活用しよう

社内研修の動画活用5つのメリット

社員研修に動画を使うイメージ画像

社内研修に動画を取り入れることには、さまざまなメリットがあります。まずは、5つの主要なメリットを見ていきましょう。

  1. 時間や場所の制約なく研修が実施できる
  2. 一貫した研修内容と品質を全従業員に提供できる
  3. 教育コストを大幅に削減し予算を最適化できる
  4. 学習進捗の可視化で効果測定と改善が可能になる
  5. 動画コンテンツの再利用で効率的に研修運営ができる

時間や場所の制約なく研修が実施できる

1つ目のメリットは「時間や場所の制約なく研修が実施できる」です。

国内外に多拠点を持つ企業や、多忙でスケジュール調整が難しい従業員を多く抱える会社・組織でも、対面の社内研修を動画化すれば、時間や場所の制約がなくなります。

【動画研修で実現する柔軟な運用】

  • スケジュール調整の簡素化
    受講者や講師の都合に合わせた日程調整が不要になり、研修の設定が容易になります。

  • 場所の制約からの解放
    研修会場の手配が不要になり、遠隔地の従業員も受講しやすくなります。全国および海外の従業員でも、研修を受講できます。

  • 繰り返し視聴による定着度向上
    動画は繰り返し視聴できるため、学習内容の復習や、欠席者へのフォローが容易です。何度も繰り返し学べる環境が、知識の定着を助けます。

一貫した研修内容と品質を全従業員に提供できる

2つ目のメリットは「一貫した研修内容と品質を全従業員に提供できる」です。

動画研修なら、どの従業員も同じ水準の教育を受けられます。拠点間や個人間の知識格差を解消し、組織全体をレベルアップします。

【動画研修による一貫した教育内容と品質の担保】

  • 統一された研修内容
    動画教材は、一度作成すれば同じ内容を全社的に展開できます。講師の力量によるばらつきがなくなり、全従業員に統一された研修内容を提供できます。

  • 質の高い講師陣の起用
    経験豊富な社内トレーナーなど、優れた講師陣による質の高い研修を、全国の拠点や海外オフィスにも展開できます。

  • 最新情報の反映
    研修内容に変更があった場合、動画を差し替えるだけで即座に対応できます。法改正や市場変化など、最新の情報をタイムリーに共有できます。

教育コストを大幅に削減し予算を最適化できる

3つ目のメリットは「教育コストを大幅に削減し予算を最適化できる」です。

動画研修は、長期的に見れば大幅なコスト削減効果も期待できます。

【動画研修によるコスト削減効果】

  • 交通費や宿泊費の削減
    研修のためだけに従業員を一堂に集める必要がなくなるため、交通費や宿泊費を大きく節約できます。 

  • 会場費や印刷費の削減
    研修会場の手配や資料の印刷も不要になります。準備の手間や労力も含めれば、大きなコストカットです。

  • 講師コストの削減
    一度作成した動画教材は繰り返し使えるため、講師への依頼頻度が減ります。外部講師へ支払いや社内講師の工数を大幅に抑えられます。

  • 機会損失の回避
    従業員が業務を離れて研修に参加する時間が減るため、機会損失のリスクも下がります。業務への支障を最小限に抑えつつ、従業員の育成を進められます。

学習進捗の可視化で効果測定と改善が可能になる

4つ目のメリットは「学習進捗の可視化で効果測定と改善が可能になる」です。

専用プラットフォーム(LMS:学習管理システム)を利用して動画研修を配信すれば、従業員の学習進捗を可視化し、研修の効果検証と改善につなげられます。(*1)

【学習進捗の可視化によるメリット】

  • 受講状況の把握
    動画の視聴完了率や視聴時間、習熟度テストの結果など、従業員一人一人の受講状況をリアルタイムで把握できます。

  • 効果の定量評価
    研修前後のスキルチェックテストを実施し、スコアの伸びを比較できます。動画研修によってどの程度スキルが向上したのか、定量的に評価可能です。

  • 改善施策の立案
    学習データの分析結果から、研修内容や運用方法の改善ポイントが見えてきます。PDCAサイクルを回して、研修プログラムの継続的な進化が可能です。

*1:LMSは「Learning Management System」の略語で、データドリブン(データ駆動型、データや分析結果に基づいて判断を下すアプローチ)な研修運営を実現できる学習管理システムです。

LMS説明画像

動画コンテンツの再利用で効率的に研修運営ができる

5つ目のメリットは「動画コンテンツの再利用で効率的に研修運営ができる」です。

一度制作した研修動画は、何度でも再利用できるのが大きな魅力です。高品質な研修動画を一度制作すれば、長期にわたって活用できます。

【研修動画の再利用によるメリット】

  • 定期研修の効率化
    新入社員研修や昇格時研修など、定期的に実施する研修に動画を活用できます。同じ内容を繰り返し教える手間が省け、研修運営の効率が大幅に向上します。

  • 自己学習の促進
    従業員は必要な時に研修動画を繰り返し視聴できるため、自主的な学びを深められます。能動的な学習姿勢を醸成し、従業員の自己研鑽を促進します。

  • 教材の二次利用
    研修動画の一部を切り出して、社内の情報共有に活用するのも有効です。動画を素材に、オリジナルの教材を作成するなど、コンテンツの二次利用の幅が広がります。

デジタルコンテンツは、一度作ったものを再利用や加工でき、時間を選ばず再生・視聴できます。そのため、長期的には費用対効果の高い情報資産としていくことが可能です。

以上、社内研修で動画を活用する5つのメリットをご紹介しました。

動画による社員研修のメリット説明画像

続いて以下では、デメリットや注意点などマイナス面を取り上げます。

▼動画研修のメリットについては下記で詳しく解説しています。
⇒動画研修とは?メリット・デメリットや作成方法についても紹介!

▼研修業務の効率化については下記で詳しく解説しています。
⇒研修を効率化するには?コスト削減とパフォーマンス向上の両立

オンライン学習 資料ダウンロード

社内研修動画化のデメリットや注意点

社員研修に動画を使うイメージ画像②

動画研修には多くのメリットがある一方、注意点もあります。

効果的な動画研修を実施するために、以下の4つのポイントを押さえておきましょう。

  1. コンテンツ制作や更新に時間と手間がかかるケースもある
  2. 受講者の集中力維持が課題になる
  3. 質問や議論の機会は限定的となる
  4. ITスキルや学習習慣が学習効果に影響する

コンテンツ制作や更新に時間と手間がかかるケースもある

1つ目のデメリットは「コンテンツ制作や更新に時間と手間がかかるケースもある」です。

研修動画を作るには、一定の時間と労力が必要です。

【研修動画の制作や更新に時間と手間がかかる理由】

  • シナリオづくりの難しさ
    受講者を飽きさせない展開や、わかりやすい説明を盛り込んだシナリオの作成は容易ではありません。一定のスキルと専門知識が必要となります。

  • 撮影や編集の手間
    本格的な研修動画の撮影をする場合には、照明や音声、カメラワークなど、専門的な技術が求められます。編集作業も、テロップの挿入や不要部分のカットなど、一定の時間を要します。

  • 定期的な更新の必要性
    研修内容に変更があった場合は、動画の更新作業が発生します。部分的な差し替えで済む場合もありますが、大幅な変更では再撮影が必要になることもあります。

ただし、こうした労力の問題は、社内研修動画に求めるクオリティ次第で変わってきます。

多くの場合、社内向けの動画では、プロ級の制作レベルは必要ありません。見栄えにこだわらず、初心者でも作成できるレベルから始めれば、十分に社内研修を運用できるでしょう。

社内制作の動画は凝ったものを作ろうとしないことが大切  社内視聴用のコンテンツと割り切る  きれいでカッコいいコンテンツでなくても学習という目的を達成できればOK

▼研修用動画コンテンツの作り方については下記にまとめています。

研修用動画コンテンツの作り方資料

受講者の集中力維持が課題になる

2つ目のデメリットは「受講者の集中力維持が課題になる」です。

研修動画では、受講者の集中力を維持するための工夫が必要です。

【研修動画での集中力維持が難しい理由】

  • 一方的な情報提供になりがち
    動画は一方通行のコミュニケーションになりがちです。受講者の反応を見ながら説明を調整したり、その場で質問に答えたりといった双方向性が取りづらい特性があります。

  • 長尺動画での集中力低下
    長時間の動画では、受講者の集中力が途中で切れてしまうことがあります。とくに、難解な内容や冗長な説明では、受講者の意欲が削がれてしまう恐れがあります。

  • 視聴環境の統一が困難
    在宅勤務の場合、自宅の視聴環境に個人差があります。同居の家族や周囲の生活音など、集中できる環境を整えるのが難しいケースもあります。

受講者の集中力を高めるには、動画の時間を15分以内に収めるなど、コンテンツの設計段階での配慮が重要となります。

また視聴後の振り返りの場を設けるなど、研修動画と組み合わせた学習施策も効果的です。

▼動画コンテンツの主流はマイクロラーニングになっています。下記で詳しく解説しています。
⇒マイクロラーニングとは?効果の上がった事例、メリット、作り方など全解説!

質問や議論の機会は限定的となる

3つ目のデメリットは「質問や議論の機会は限定的となる」です。

動画研修では、質疑応答や議論の機会が限定的になるのも課題のひとつです。

【動画研修では質問や議論の機会が限定的になる理由】

  • リアルタイムのやりとりができない
    動画視聴中に疑問が生じても、その場で質問して回答を得ることはできません。講師との直接のやりとりの機会は少なくなります。

  • 受講者間の意見交換が難しい
    動画視聴は基本的には、個人の学習活動です。ほかの従業員と意見を交わしたり、ディスカッションを行ったりする機会が持ちにくいです。

  • 深い理解度の確認が困難
    質問の機会が限られるため、受講者の理解度を深く確認するのが難しくなります。誤解や疑問点を見逃し、学習効果が十分に得られない可能性があります。

質疑応答の機会を設けるために、動画視聴後に講師とのオンラインセッションを設定したり、受講者同士のディスカッションの場を用意したりするなど、補完的な施策を用意しておくとよいでしょう。

動画学習と対面学習のベストミックスを目指すことが肝要です。

また、近年では、このようなeラーニング特有の課題を解決する機能を備えたLMSが登場しています。たとえば以下は、AIを活用したデジタル学習プラットフォーム「UMU」で利用可能な機能です。

UMU機能説明画像

UMUは、動画化した社内研修だけでなく、オフライン研修・オンライン研修・個別学習と、さまざまな学習シーンで使うことができ、相乗効果が期待できます。

詳しくは以下の資料にてご確認ください。

UMU資料

ITスキルや学習習慣が学習効果に影響する

4つ目のデメリットは「ITスキルや学習習慣が学習効果に影響する」です。

同じ研修動画を展開しても、従業員のITリテラシーや学習習慣のそれぞれ違い、人によって、効果に差が出る懸念があります。

【ITスキルや学習習慣が学習効果に影響する理由】

  • ITスキルの個人差
    パソコンなどの操作に慣れていない従業員にとって、動画視聴や学習管理システムの利用自体がハードルになることがあります。ITスキルの差が学習効果に影響を及ぼす可能性があります。

  • インターネット環境の差
    従業員の自宅のインターネット環境には格差があります。通信速度が遅かったり、大容量の通信制限にかかったりすると、動画視聴がスムーズにいかない恐れがあります。

  • 個人の学習習慣の違い
    自宅学習に適性のある従業員とそうでない従業員がいます。自己管理能力やモチベーションの個人差によって、学習効果にばらつきが生じます。

自主的な学習習慣が身に付いていない従業員には、学習方法のアドバイスを通じてサポートしましょう。

ITスキルに不安のある従業員には、操作方法のレクチャーを事前に行うなど、きめ細かいフォローを用意します。

直感的に操作できるわかりやすいLMSを選定することも重要です。LMS選定については、下記もあわせてご覧ください。⇒【比較表付き】LMS(学習管理システム)11選を機能別に徹底紹介

以上、4つのデメリットを解説しました。

社員研修での動画活用のデメリット説明画像

あらかじめ、これらのデメリットを知っていれば、動画研修の効果を最大限に引き出すための対策を講じられます。

続いて以下では、実際の作成プロセスについて、見ていきましょう。

オンライン学習 資料ダウンロード

社内研修用動画を本格的に作る場合の流れ

撮影シーンのイメージ

本格的に研修用動画を制作する場合、以下のような流れで進めることが一般的です。 

  1. 目的の確認・設定
  2. 企画・構成・脚本作り
  3. 制作(撮影・録音)
  4. 編集・加工
  5. レビュー・修正

1つずつ見ていきましょう。

  1. 目的の確認・設定:
    研修用動画は学習を助けるための1つの手段なので、期待する結果・効果を明確にすることが重要です。新入社員への業務説明用に活用するか、特定の専門スキルを身につけるためのトレーニング動画なのか、目的により盛り込むべき情報やストーリーが変わってきます。
  2. 企画・構成・脚本作り:
    研修内容を吟味し映像化すべきポイントなどを整理します。教材の内容をストーリーボードに落とし込んだり、具体的なシーン展開をイメージしたりしながら、絵コンテを作り、視覚的に理解しやすい動画構成を考えます。研修受講者の視点を念頭に置いて、わかりやすく楽しめる内容を心掛けましょう。また、人物登場の有無やアニメーション活用の有無なども検討しながら脚本を作成します。
  3. 制作(撮影・録音):
    脚本を基に撮影します。実際の風景や人物を撮影する場合は、撮影場所や撮影機材の準備、および登場人物や撮影スタッフとの調整を事前に行い、スムーズに撮影が進むようにしましょう。場所によっては撮影の許可が必要な場合もありますので、事前に入念に確認して備えることが必要です。
  4. 編集・加工:専用の編集ソフトを活用して、撮影した映像を編集し、目的に合わせてテロップなどの視覚効果やアニメーションを追加します。ここでは、ナレーションや効果音、BGMなどについても、編集・加工の工程で処理したり追加したりします。テキストやグラフを挿入したり、音声を調整したりして、1つの映像作品としてまとめます。なお、編集にはそれなりの時間を要します。
  5. レビュー・修正:
    制作した動画を再生し、関係者と共にチェックします。メッセージが伝わるか、録音はクリアに聞こえるか、表現が適切なのかなどを見直し、改善・修正点があれば修正作業を行います。

上記の流れは一般的なものですが、動画作成の目的やプロジェクトの具体的な事情により変わることもあります。

例えば、専門的な知識を必要とする内容であれば、関連する専門家に見解を求めるステップを追加することもあります。

また、社内に制作経験やノウハウがない場合、制作過程の一部または全部を外部のプロに委託することもあります。外部に依頼する場合にはそれなりの費用がかかります。その点踏まえて企画しましょう。

研修用動画コンテンツの作り方 資料ダウンロード

社内研修を効率的に動画化する実践ステップ

動画を撮影しているイメージ画像

研修動画を作成する際は、適切なプロセス・流れを踏まえることが重要です。

ここでは、効果的な研修動画を制作するための3つのステップを紹介します。

  • ステップ1:研修目的と対象者を明確にしてコンテンツを設計する
  • ステップ2:省リソースで工夫しながら研修動画を制作する
  • ステップ3:社内プラットフォーム(LMS)へ配信する

ステップ1:研修目的と対象者を明確にしてコンテンツを設計する

1つ目のステップは「研修目的と対象者を明確にしてコンテンツを設計する」です。

組織の課題解決や人材育成の目標達成に向けて、まずは研修の目的と対象者を明確に定義します。

【研修目的を明文化するために必要な具体的アクション】

  • 組織の課題を洗い出し、研修で解決したい問題を特定する
    経営課題や人事課題など、組織が抱える問題点を細かく分析し、リストアップします。そのうえで、研修によって解決したい優先度の高い課題を絞り込み、具体的な目標を設定しましょう。

  • 研修後に受講者ができるようになってほしいことを具体的に定義する
    研修を通じて受講者に身に付けてほしいスキルや知識を明確にします。抽象的な表現は避け、行動レベルで観察できる到達目標を定めます。たとえば、「報連相がスムーズにできるようになる」「顧客ニーズを適切に把握し提案できるようになる」など、具体的な行動変容を示すことがポイントです。

研修の目的を明文化し、受講者に何を学んでほしいのかを明確にすれば、研修動画のコンテンツ設計の指針が定まります。

目的に合致した内容を厳選し、受講者の行動変容につながる構成を練り上げていきましょう。

ステップ2:省リソースで工夫しながら研修動画を制作する

2つ目のステップは「省リソースで工夫しながら研修動画を制作する」です。

研修動画の制作は、予算や人員に限りがある中で、いかに効率的に進めるかが課題となります。限られたリソースを最大限に活用しながら、効果的な動画を作り上げるための工夫が必要です。

【研修動画の低コスト制作テクニック】

  • 集合研修を録画する
    集合研修の講師の許可を得て、研修の様子を動画で撮影します。撮影した映像を編集し、要点をコンパクトにまとめた動画教材を作成しましょう。講師による話の構成や説明をそのまま活用できるのが強みです。

  • ウェビナーの録画で動画教材を作成する
    Zoomなどのウェビナーツールを使った研修を録画し、動画教材として二次利用します。手軽に専門性の高い研修動画を量産できます。

  • PowerPoint(パワーポイント)を動画化する
    PowerPointのスライドに音声解説をつけるだけでも、十分に学習効果の高い動画教材になります。スライド作成のコツをつかめば、専門知識がなくても動画が作れます。

  • 撮影は身近な機材で行う
    高価な撮影機材は必要ありません。スマートフォン1台あれば、十分に高画質の映像を撮影できます。三脚などの備品も、手持ちのものを活用して撮影環境を整えましょう。

  • 既成の外部コンテンツ活用で制作コストを抑える
    外部機関が制作したeラーニングコンテンツなどの教材を活用するのも一案です。社内の研修ニーズに合致するコンテンツを見極めて導入しましょう。

限られた時間や予算の中でも、創意工夫を凝らせば、十分に学習効果の高い動画を作成できます。社内にある研修の機会やテキスト、マニュアル動画など既に社内にあるものを有効活用しましょう。

社内リソースを最大限に活用しつつ、ときには外部リソースも柔軟に取り入れていきましょう。外部リソースとして質が高いものをひとつ挙げると、フランスに本社を置くCrossKnowledge社のLMS・eラーニング「CrossKnowledge」があります。

以下は、CrossKnowledge で展開可能なコンテンツの一例です。

CKマイクロラーニングコンテンツ一覧

詳しくは以下の資料にてご確認ください。

LMS資料

ステップ3:社内プラットフォーム(LMS)へ配信する

3つ目のステップは「社内プラットフォーム(LMS)へ配信する」です。

完成した研修動画を、効果的に配信することも重要なポイントです。社内のLMS(学習管理システム)を活用して動画コンテンツを一元管理し、スムーズに受講者に届けましょう。

【LMSを活用した研修動画の配信方法】

  • 動画ファイルをLMSにアップロードする
    完成した動画ファイルをLMSにアップロードします。動画のタイトルや概要、学習目標などの情報も入力しておくと、受講者が内容を理解しやすくなります。

  • 受講対象者を設定し通知を送る
    LMS上で受講対象者を設定し、受講を促す通知メールを送信します。通知には、動画の視聴方法や期限など、必要な情報を盛り込みましょう。

  • 視聴状況を把握しフォローアップする
    LMSの機能を使って、受講者の視聴状況を把握します。未視聴の受講者にはリマインドメールを送るなど、適切なフォローアップを行うことが重要です。

  • 理解度テストやアンケートを実施する
    動画視聴後に、LMS上で理解度テストやアンケートを実施します。受講者の理解度や満足度を確認し、研修内容の改善につなげましょう。

このように受講者の視聴状況を適切に把握し、フォローアップしながら、研修効果の最大化を目指します。

研修用動画コンテンツの作り方 資料ダウンロード

社内研修動画の運用・管理の5つの鍵

動画を編集しているイメージ画像

最後に、社内研修動画の運用・管理の鍵となる5つのポイントをお伝えします。

  1. マイクロラーニング型の短時間動画で集中力を維持する
  2. グループディスカッションやワークと組み合わせた発展学習を展開する
  3. LMSを活用して管理を効率化する
  4. 受講状況のモニタリングとリマインダー機能で脱落を防ぐ
  5. 理解度テストやアンケートによる学習効果の定量評価を行う

マイクロラーニング型の短時間動画で集中力を維持する

1つ目のポイントは「マイクロラーニング型の短時間動画で集中力を維持する」です。

研修動画の視聴において、受講者の集中力を維持することが重要な課題です。

マイクロラーニング型の短時間動画を活用すれば、受講者の注意力を保ちながら、効果的な学習を促進できます。

マイクロラーニングとは、学習内容を小さな単位に分割し、短時間で学習できるようにする教育手法です。一般的に、1つの学習項目を5分から10分程度で完結させるのが特徴です。

【マイクロラーニング型動画の特徴と効果】

  • 1本あたり5分~10分程度の短時間動画
    マイクロラーニング型の動画は、1本あたり5分から10分程度の短い時間で構成されています。集中力が続く時間を考慮し、コンパクトにまとめることがポイントです。

  • 1つのトピックに焦点を絞った内容
    1本の動画では、1つのトピックに焦点を絞って解説します。複数のトピックを盛り込むのではなく、特定のテーマだけをわかりやすく伝えることがポイントです。テーマを絞ることでメッセージを伝えやすくなります。

  • スマートフォンに最適化された動画形式
    マイクロラーニング型の動画は、スマートフォンでの視聴に適したサイズと形式で制作します。通勤時間や隙間時間など、いつでもどこでも気軽に学習できる環境を整えましょう。

マイクロラーニング型の動画は、短時間で集中して学べる点が最大の利点です。集中力を維持できる短時間の積み重ねで、着実に知識やスキルが身に付きます。

▼マイクロラーニングについては下記で詳しく解説しています。
⇒マイクロラーニングとは?効果の上がった事例、メリット、作り方など全解説!

グループディスカッションやワークと組み合わせた発展学習を展開する

2つ目のポイントは「グループディスカッションやワークと組み合わせた発展学習を展開する」です。

研修動画の視聴だけで知識を定着させ、実践に移せるレベルまでスキル習得することは、容易ではありません。

そこで、グループディスカッションやワークと組み合わせた発展学習を展開すれば、学びを深化できます。

【研修動画と組み合わせる発展学習の具体例】

  • 動画視聴後のグループディスカッション
    動画で学んだ内容をもとに、少人数のグループでディスカッションを行います。各自の理解や気づきを共有し、多様な視点から議論を深めれば、学びを内在化できます。

  • ケーススタディを用いたグループワーク
    動画で紹介したケースをもとに、グループでの問題解決ワークを実施します。実際の業務を想定した事例について議論し、解決策を導き出すプロセスで、実践力を養成します。

  • アクションプランの作成と共有
    動画で学んだ知識やスキルを、自身の業務にどう生かすかを考えるワークを行います。具体的なアクションプランを作成してグループ内で共有し、行動変容につなげます。

  • フォローアップ研修での実践報告
    一定期間後に、フォローアップ研修を実施します。動画で学んだ内容を実践した結果や効果を報告し合えば、学びの定着度を高められます。

このような研修動画と発展学習の効果的な組み合わせによって、実践力の向上を図れます。

受講者同士の対話や協働を通じて学びを深化させ、業務への活用を促進していきましょう。

▼コンプライアンス研修を題材に動画+ディスカッションで研修を展開するイメージについては下記で解説しています。⇒コンプライアンス研修で不祥事防止!?ネタ切れを乗り越えるアイデアを紹介!

LMSを活用して管理を効率化する

3つ目のポイントは「LMSを活用して管理を効率化する」です。

研修動画の運用において、コンテンツ管理や配信の効率化は欠かせない要素となります。LMSを活用すれば、動画コンテンツの一元管理と配信の自動化を実現できます。

【LMSを活用した動画コンテンツ管理と配信の自動化のメリット】

  • 動画コンテンツのライブラリ化
    LMS上で動画コンテンツをライブラリ化し、体系的に管理できます。動画の検索性が向上し、必要な研修を受講者が簡単に見つけられるようになります。

  • 受講者の学習履歴の蓄積と分析
    LMS上で受講者の視聴状況や理解度テストの結果を記録し、学習履歴を蓄積できます。データを分析すれば、研修の効果や課題を把握し、改善につなげられます。

  • 配信スケジュールの自動化
    LMS上で配信スケジュールを設定し、動画の公開と通知メール送信を自動化できます。担当者の手作業を減らし、配信業務の効率化が図れます。

  • アクセス権限の設定と管理
    LMSのアクセス権限設定機能を使って、部署や職種ごとに動画の公開範囲を管理できます。機密性の高い研修には、アクセス制限をかけることも可能です。

このようにLMSを効果的に活用すれば、研修動画の運用・管理業務を大幅に効率化できます。

コンテンツの一元管理や配信の自動化により、運用コストを削減しつつ、受講者の利便性を高めていきましょう。

▼LMSを活用した研修の効率化については下記で詳しく解説しています。
⇒研修を効率化するには?コスト削減とパフォーマンス向上の両立

受講状況のモニタリングとリマインダー機能で脱落を防ぐ

4つ目のポイントは「受講状況のモニタリングとリマインダー機能で脱落を防ぐ」です。

研修動画の配信後は、受講者の視聴状況を適切にモニタリングし、フォローアップすることが重要です。

未視聴の受講者に対するLMSのリマインド機能を活用すれば、脱落を防止し、研修完了率を高められます。

【受講状況のモニタリングとリマインダー機能の具体的な活用方法】

  • 視聴状況のリアルタイムなモニタリング
    LMSの管理画面で、受講者の視聴状況をリアルタイムにモニタリングします。未視聴の受講者や、視聴が遅れている受講者を早期に発見し、フォローアップにつなげます。

  • リマインドメールの自動配信
    LMSのリマインダー機能を活用し、未視聴の受講者に対して、定期的にリマインドメールを自動配信します。メールには、視聴の手順や期限などを明記し、視聴を促します。

  • 個別フォローの実施
    リマインドメールでも視聴が進まない受講者には、個別にコンタクトを取ることが有効です。対面での声かけにより、視聴を支援します。

受講者一人一人の状況に応じたきめ細やかなフォローアップにより、研修完了率の向上につなげていきましょう。

理解度テストやアンケートによる学習効果の定量評価を行う

5つ目のポイントは「理解度テストやアンケートによる学習効果の定量評価を行う」です。

研修動画の効果を測定するためには、理解度テストやアンケートによる定量評価が不可欠です。受講者の理解度や満足度を可視化すれば、研修内容の改善や、次なる研修計画の策定に役立ちます。

【理解度テストの設計と実施のポイント】

  • 研修の到達目標に即した出題内容
    理解度テストの出題内容は、研修の到達目標に沿ったものになるよう設計します。

  • 選択式と記述式を適切に組み合わせる
    選択式の問題は、受講者の理解度を手軽に測定できます。一方、記述式の問題は、受講者の考えを深く引き出せます。両者を適切に組み合わせましょう。

  • テスト結果の分析と活用
    理解度テストの結果を分析し、受講者の理解度を把握します。理解が不十分な部分については、補講や追加の教材提供など、適切なフォローアップを行いましょう。

【アンケートの設計と実施のポイント】

  • 満足度と改善点を問う設問
    アンケートでは、研修内容の満足度を選択式で問うとともに、自由記述欄を設けて改善点を収集します。定量的なデータと定性的なフィードバックを組み合わせれば、多角的な分析が可能です。
  • 回答率を高める工夫
    アンケートの回答率を上げるために、設問数を絞り込み、簡潔な表現を心がけましょう。また、アンケートの趣旨や重要性を説明し、協力を呼びかけることも効果的です。
  • 評価結果の共有と活用
    アンケート結果は、関係者間で共有し、研修内容の改善に活用します。受講者の声を反映した研修プログラムの見直しにつなげることが大切です。

理解度テストとアンケートは、LMS上で実施し、回答データを自動的に集計するとよいでしょう。集計結果をグラフ化するなど、視覚的にわかりやすくすれば、評価結果の共有がスムーズになります。

結果を分析し、研修内容の改善や、次なる研修計画の策定に生かしていきましょう。

▼eラーニングによるテストについては下記で詳しく解説しています。
⇒eラーニングテストとは?試験例から導入効果までわかりやすく解説!

▼研修の効果測定については下記で詳しく解説しています。
⇒研修の効果測定を行い、成果につなげる方法とは?ツール活用法も解説!

「研修の効果測定」資料ダウンロード

まとめ:社内研修に動画を活用しよう

本記事では「社内研修の動画活用」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

社内研修における動画活用の5つのメリットは、以下のとおりです。

  1. 時間や場所の制約なく研修が実施できる
  2. 一貫した研修内容と品質を全従業員に提供できる
  3. 教育コストを大幅に削減し予算を最適化できる
  4. 学習進捗の可視化で効果測定と改善が可能になる
  5. 動画コンテンツの再利用で効率的に研修運営ができる

知っておきたい社内研修の動画化のデメリットや注意点として、以下をご紹介しました。

  1. コンテンツ制作や更新に時間と手間がかかるケースもある
  2. 受講者の集中力維持が課題になる
  3. 質問や議論の機会は限定的となる
  4. ITスキルや学習習慣が学習効果に影響する

社内研修を動画化する実践ステップを、3つのステップで解説しました。

  1. 研修目的と対象者を明確にしてコンテンツを設計する
  2. 省リソースで工夫しながら研修動画を制作する
  3. 社内プラットフォーム(LMS)へ配信する

社内研修動画の運用・管理の鍵となる5つのポイントは以下のとおりです。

  1. マイクロラーニング型の短時間動画で集中力を維持する
  2. グループディスカッションやワークと組み合わせた発展学習を展開する
  3. LMSを活用して管理を効率化する
  4. 受講状況のモニタリングとリマインダー機能で脱落を防ぐ
  5. 理解度テストやアンケートによる学習効果の定量評価を行う

社内研修の動画化は、時代のニーズに即した合理的な選択肢といえます。

創意工夫を重ねながらメリットを最大化し、自社独自の研修動画を作り上げていきましょう。

『LDcube』では、AIを活用したデジタル学習プラットフォーム『UMU』LMS(学習管理システム)『CrossKnowledge LMS』を提供しています。

いずれも人材育成や組織への定着を促す便利な機能が豊富に備わっているため、動画を活用した社内研修の展開に役立てられます。無料のデモ体験会なども行っています。お気軽にお問い合わせください。

▼参考・関連資料はこちらからダウンロードできます。

社内研修の企画と実施 資料ダウンロードオンライン学習 資料ダウンロード研修用動画コンテンツの作り方

▼関連記事はこちらから。

LDcube編集部
LDcube編集部
株式会社ビジネスコンサルタント時代から約60年、人材開発・組織開発に携わってきた知見をもとに、現代求められる新たな学びについて、ノウハウや知見をお届けします。

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