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女性がリーダーシップを発揮しやすい組織づくりとは?ポイントを解説!

近年、グローバルな企業環境において、多様性(ダイバーシティ)と包括性(インクルージョン)の重要性が高まる中、女性リーダーの登用と育成は世界的な課題となっています。

しかし日本では、女性管理職比率が先進国の中でも特に低い状況です。こうした状況は、日本企業の国際競争力や組織パフォーマンスにも影響を与えているとされます。

女性リーダーには、共感力や変革型リーダーシップ、高いコミュニケーション能力など、独自の強みがあることがさまざまな研究で明らかになっています。これらの強みを生かすことで、組織の意思決定プロセスの質が向上し、多様な視点が取り入れられることで、イノベーションが促進される効果も期待できます。

しかし、日本では年功序列の慣行やワークライフバランスの難しさ、ロールモデルの不足など、女性がリーダーポジションに就くための障壁も多く存在しています。このような状況を改善し、組織の競争力を高めるためには、女性リーダーの持つ強みを理解し、効果的な育成アプローチを実践することが不可欠です。

本記事では、女性リーダーの持つ5つの強みと、それらを生かすための具体的な方法、そして企業が組織的に女性リーダーを育成するための実践的アプローチについて詳しく解説します。

女性社員のキャリア開発を支援したい人事担当者や管理職の方、自身のリーダーシップスキルを高めたい女性社員の方々にとって、参考になる情報をお届けします。

▼女性のリーダー育成についてはテーマに合わせて下記で詳しく解説しています。

▼管理職育成については下記にまとめています。

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目次[非表示]

  1. 1.女性がリーダーシップを発揮できる準備をしよう
    1. 1.1.女性のリーダーシップトレーニング
    2. 1.2.女性のライフイベントを考慮したタフアサイン
    3. 1.3.オールドボーイズネットワークの解消
  2. 2.女性リーダーの現状と日本企業の課題
  3. 3.女性のリーダーシップが組織にもたらす効果
    1. 3.1.女性社員のエンゲージメントと定着率の向上
    2. 3.2.女性リーダー登用で高まる企業評価と人材獲得力
    3. 3.3.多様な視点と意思決定の質向上
  4. 4.女性が持つリーダーシップの5つの強み
    1. 4.1.共感力を生かしたチーム結束力
    2. 4.2.変革型リーダーシップによる個の成長促進
    3. 4.3.多様性への理解を生かした組織づくり
    4. 4.4.高いコミュニケーション能力による、情報共有の促進
    5. 4.5.レジリエンスを生かした困難からの回復力強化
  5. 5.女性のリーダーシップ発揮に必要な要素
    1. 5.1.自分なりのリーダーシップスタイル
    2. 5.2.戦略的思考と意思決定力
    3. 5.3.自己アピールとプレゼンテーション力
    4. 5.4.仕事とプライベートのバランス確保
  6. 6.女性のリーダーシップを育む施策
    1. 6.1.パーソナライズeラーニングによる学習
    2. 6.2.経営シミュレーションによる意思決定力向上
    3. 6.3.アンコンシャスバイアスを解消する組織文化の醸成
    4. 6.4.中期的な視点でのタスクアサイン
    5. 6.5.これらの施策は女性に限らず求められている
  7. 7.女性のリーダー(管理職)候補者にとっての主な課題2選
  8. 8.女性リーダー(管理職)の育成ならLDcube!
  9. 9.まとめ:女性がリーダーシップを発揮しやすい環境をつくろう

女性がリーダーシップを発揮できる準備をしよう

女性がリーダーシップを発揮できる準備をしよう

企業の競争力強化や多様な視点を獲得するために、女性リーダーの育成は今や必須課題となっています。しかし、日本企業では女性管理職比率が依然として低く、女性がリーダーシップを発揮できる環境づくりが急務です。

ここでは、女性リーダー育成のための具体的な準備について解説します。
 

女性のリーダーシップトレーニング

女性がリーダーシップを発揮するためには、適切なトレーニングの機会提供が欠かせません。特に女性向けのリーダーシップトレーニングでは、自信を持って意見を発信する力や、自分らしいリーダーシップスタイルを確立するためのスキル習得が重要です。

トレーニングでは以下のような要素を取り入れると効果的です。

  • アサーティブコミュニケーション:自他尊重の対話スキル習得
     
  • ロールモデル事例研究:成功した女性リーダーの行動分析
     
  • 行動特性診断:個人の強みを生かしたリーダーシップ開発
     
  • 実践的なグループワーク:安全な環境での、試行錯誤の機会提供
     
  • 経営意思決定力:意思決定力を、経営シミュレーションを通じて磨く

研修後も継続的なフォローアップを行い、学んだことを実務に生かせる仕組みづくりが重要です。女性特有の課題に焦点を当てつつも、リーダーシップの本質を学ぶバランスの取れた内容を心がけましょう。
 

女性のライフイベントを考慮したタフアサイン

女性のキャリア形成において、結婚や出産、育児などのライフイベントは大きな節目となります。これらのイベントを踏まえた、長期的な視点でのキャリア計画と挑戦的な業務経験(タフアサイン)の提供が重要です。

タフアサインにおいては、以下のような配慮が効果的です。

  • フレキシブルな業務調整:ライフステージに合わせた、柔軟な働き方の許容
     
  • 段階的な難易度設定:負担と成長のバランスを考慮した業務割り当て
     
  • 重要プロジェクト参画:組織の中核を担う経験機会の意図的な創出
     
  • 事前事後のサポート:メンターによる支援や振り返りの場の設定

これらを通じて、ライフイベントがキャリアの断絶ではなく、むしろ多様な経験としてリーダーシップ発揮に生かせるよう支援することが大切です。ライフイベントを経験しながらもキャリアを継続できる環境づくりが、女性リーダー育成の鍵となります。
 

オールドボーイズネットワークの解消

多くの組織で根強く存在する「オールドボーイズネットワーク」(男性中心の非公式な人間関係や情報共有のネットワーク)は、女性のリーダーシップ発揮を阻む大きな壁となっています。このネットワークから女性が排除されることで、重要な情報や機会へのアクセスが制限される問題があります。

解消のためには次のようなアプローチが効果的です。

  • 公式なメンタリング制度:透明性のある育成関係の構築
     
  • 情報共有の可視化:意思決定や重要情報の透明性確保
     
  • インクルーシブな会議運営:全員が発言しやすい環境づくり

非公式なネットワークの価値を否定するのではなく、より開かれた形に変革していくことが重要です。多様な背景を持つメンバーが等しく情報や機会にアクセスできる文化を醸成することで、女性リーダーの育成基盤が強化されます。
 

女性リーダーの現状と日本企業の課題

女性リーダーの現状と日本企業の課題

女性活躍推進が叫ばれて久しい日本ですが、実際の女性リーダーの数は依然として低水準にとどまっています。組織における意思決定層の多様性確保は国際競争力の観点からも重要な課題となっていますが、日本企業は今なお、大きな壁に直面しています。

ここでは女性リーダーの現状と課題を詳しく見ていきましょう。
 

日本企業における女性管理職比率の実態

日本企業の女性管理職比率は、長年にわたり低い水準で推移しています。厚生労働省の「雇用均等基本調査」によると、平成21年度の時点で係長相当職以上の女性管理職比率は10.2%、令和元年の段階でも11.9%とわずかな増加にとどまっています。

また、令和5年度の調査では課長職以上の女性リーダーの割合は12.7%と、全体の2割にも満たない状況です。

この数値から分かることは以下の通りです。

  • 公式なメンタリング制度:透明性のある育成関係の構築
     
  • 情報共有の可視化:意思決定や重要情報の透明性確保
     
  • インクルーシブな会議運営:全員が発言しやすい環境づくり

日本政府は女性管理職比率30%という目標を掲げていますが、現状のペースでは達成までに相当な時間を要すると予想されます。抜本的な対策が求められています。
 

女性リーダーの日本と海外の違い

国際的に見ると、日本の女性リーダー比率の低さは際立っています。世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ指数(2022年)では、日本は146カ国中116位と非常に低い位置にあります。特に「政治」「経済」分野でのスコアが著しく低く、女性リーダーの少なさが顕著です。

海外と日本の違いには次のような特徴があります。

  • 海外の女性管理職比率:主要国では30%~40%が一般的
     
  • 意思決定基準:海外は実力主義、日本は年功要素が根強い
     
  • 支援制度の実効性:制度はあっても活用しにくい日本の組織文化

海外では多様性が当然視され、性別に関わらず能力のある人材に重要ポストが与えられる傾向が強い一方、日本では依然として伝統的な価値観の影響が大きいといえます。

参考:「データブック国際労働比較2025 3-3 就業者及び管理職に占める女性の割合
 

女性リーダーが少ない理由と克服すべき障壁

日本で女性リーダーが少ない背景には、複合的な要因が存在します。これらの障壁を理解し、適切に対処することが課題解決の第一歩となります。

主な理由と障壁は以下の通りです。

  • ワークライフバランスの困難さ:仕事と家事・育児のバランス
     
  • ロールモデルの不足:身近に手本となる女性リーダーの不在
     
  • リーダー候補の不足:総合職希望者が少ない構造的問題
     
  • アンコンシャスバイアス:無意識の偏見による評価や登用の差

日本企業では、パパ育児休暇などの取得も行われてきており変化してきていますが、「育児や家事は女性の役割」とする旧来的な考え方も完全にはなくなっておらず、女性社員自身がリーダー職への昇進をためらうケースも少なくありません

これらの障壁を一つ一つ取り除き、女性がリーダーシップを発揮できる環境整備が急務です。
 

女性のリーダーシップが組織にもたらす効果

女性のリーダーシップが組織にもたらす効果

女性リーダーの登用は、単に社会的要請に応えるだけでなく、組織にさまざまな効果をもたらします。女性ならではの視点や強みを生かしたリーダーシップは、組織の持続的成長と競争力強化に直結する重要な要素となっています。

ここでは女性リーダーシップが組織にもたらす具体的な効果について解説します。
 

女性社員のエンゲージメントと定着率の向上

女性リーダーの存在は、組織内の女性社員のエンゲージメントと定着率に大きな影響を与えます。身近に活躍するロールモデルを見ることで、自身のキャリアへの展望が開け、仕事への意欲が高まります

女性リーダーが増えることで得られる効果には以下のようなものがあります。

  • キャリアビジョンの具体化:実在するロールモデルによる、将来像の描きやすさ
     
  • 帰属意識の向上:「この組織で成長できる」という確信の醸成
     
  • 両立モデルの提示:仕事と家庭の両立を実現する具体例の共有
     
  • 心理的安全性の向上:悩みや課題を相談しやすい環境の形成

特に、出産や育児などのライフイベントを経験しながらキャリアを構築した女性リーダーの存在は、同様の課題に直面する女性社員に大きな指針を与えます。これにより、貴重な人材の流出を防ぎ、組織の安定的な成長に寄与します。
 

女性リーダー登用で高まる企業評価と人材獲得力

多様な人材を生かせる組織として認知されることは、企業価値の向上に直結します。女性リーダーの積極的な登用は、企業の社会的評価を高め、優秀な人材の獲得競争において優位性をもたらします。

企業評価向上の具体的な効果としては次のようなものがあります。

  • 採用市場での競争力強化:多様性を重視する、優秀な人材の獲得
     
  • 投資家からの評価向上:ESG投資の観点からの企業価値評価
     
  • 取引先からの信頼獲得:多様な視点を持つパートナーとしての評価
     
  • ブランドイメージの向上:先進的かつ持続可能な組織としての認知

例えば、女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定」の取得は、企業の姿勢を対外的にアピールする効果的な手段となります。こうした評価は、単なるイメージ向上にとどまらず、実質的な経営基盤の強化につながります。
 

多様な視点と意思決定の質向上

女性リーダーの参画により、組織の意思決定プロセスに多様な視点が加わります。これにより、偏りのない広い視野での判断が可能となり、イノベーションの創出や問題解決能力の向上につながります。

多様な視点がもたらす具体的な効果は以下の通りです。

  • リスク察知能力の向上:さまざまな角度からのリスク評価
     
  • 顧客理解の深化:多様な顧客層の視点を反映した商品
     
  • サービス開発 ・創造的な問題解決:異なる経験や価値観に基づく、新たな解決策の創出
     
  • 組織の柔軟性向上:変化への適応力と体制の強化

特に、顧客や市場が多様化する現代においては、組織内の多様性確保が競争優位性の源泉となります。女性リーダーの視点を取り入れることで、より包括的で質の高い意思決定が可能になり、組織全体のパフォーマンス向上につながるのです。
 

女性が持つリーダーシップの5つの強み

女性が持つリーダーシップの5つの強み

女性リーダーには、組織に独自の価値をもたらす特有の強みがあります。もちろん個人差はありますが、こうした強みを認識し、生かすことで、より効果的なリーダーシップの発揮が可能になります。

ここでは、女性リーダーが持つ、代表的な5つの強みについて詳しく解説します。
 

共感力を生かしたチーム結束力

女性リーダーの特徴として、高い共感力を生かしたチーム結束力の構築が挙げられます。メンバーの感情や状況を敏感に察知し、適切に対応することで、チーム内の信頼関係を深め、協力体制を強化することができます。

共感力を生かした、リーダーシップの具体的な効果は以下の通りです。

  • 心理的安全性の確保:メンバーが安心して意見を述べられる環境の創出
     

  • 個別ニーズへの対応:一人一人の状況に合わせた柔軟なマネジメント
     

  • 衝突の効果的解決:感情的側面も含めた対立の調整と関係修復
     

  • チーム文化の醸成:互いを尊重し合う、協調的な組織風土の形成

こうした共感力は、多様なバックグラウンドを持つメンバーで構成される現代の組織において、チームの一体感を高める重要な要素となっています。
 

変革型リーダーシップによる個の成長促進

女性リーダーは「変革型リーダーシップ」を発揮する傾向が強いとされています。これは一人一人の意欲を高めて内面から変革を促し、個人の能力開発を通じて組織全体の成長につなげるリーダーシップスタイルです。

変革型リーダーシップの特徴として、以下の要素があります。

  • 個人の成長支援:メンバーの潜在能力を引き出す継続的な育成
     
  • ビジョンの共有:組織の目標を明確に示し、共感を生み出す力
     
  • モチベーション向上:内発的動機付けを促進する関わり方
     
  • モデリング:自らの行動で模範を示し、組織文化を形成する

男性に多い「交換型」(報酬と服従を交換する形の)リーダーシップと比較して、変革型リーダーシップは長期的な組織発展と人材育成に効果的とされています。
 

多様性への理解を生かした組織づくり

女性リーダーは、多様な視点や価値観を受け入れ、生かす組織づくりに長けている傾向があります。自身がマイノリティーとしての経験を持つことも多く、異なる背景や考え方を持つ人々の統合に優れた感覚を発揮します。

多様性への理解が組織にもたらす効果は以下の通りです。

  • インクルーシブな風土:さまざまな意見が尊重される文化の醸成
     
  • イノベーションの促進:多様な視点の交差による、創造性の向上
     
  • 柔軟な問題解決:固定観念にとらわれない多角的なアプローチ
     
  • 市場理解の深化:多様な顧客層へのインサイト獲得

多様性を組織の強みに変換する能力は、変化の激しい現代ビジネスにおいて重要な競争優位性となります。
 

高いコミュニケーション能力による、情報共有の促進

女性は一般的に、多くの言葉を同時に深く処理する能力に優れ、相手との共感を重視しながらコミュニケーションを取る傾向があります。この特性を生かした女性リーダーのコミュニケーションは、組織内の情報共有と関係構築に大きく貢献します。

高いコミュニケーション能力がもたらす組織への効果には次のようなものがあります。

  • 情報の透明性確保:必要な情報が適切に共有される環境づくり
     
  • 対話文化の醸成:双方向のコミュニケーションを重視する風土形成
     
  • 細部への配慮:文脈や非言語情報も含めた豊かな情報交換
     
  • 関係性の構築:社内外との良好なネットワーク形成

特に複雑な組織構造や多様なステークホルダーとの協働が求められる現代においては、こうした高いコミュニケーション能力が組織の円滑な運営を支えています。
 

レジリエンスを生かした困難からの回復力強化

さまざまな障壁や困難を乗り越えてきた経験を持つ女性リーダーは、高いレジリエンス(回復力・復元力)を発揮することが多く、この強みは組織の危機対応力向上に貢献します。

レジリエンスを生かしたリーダーシップの効果としては以下のような点が挙げられます。

  • 危機対応力の向上:予期せぬ事態への、柔軟な対応能力の強化
     
  • 失敗からの学習促進:挫折を成長の機会と捉える文化の形成
     
  • 長期的視点の維持:短期的な困難に振り回されない戦略的思考
     
  • メンタルヘルスへの配慮:組織全体の心理的健全性の維持

このレジリエンスは、不確実性が高まる現代のビジネス環境において、組織の持続可能性を高める重要な要素となっています。
 

女性のリーダーシップ発揮に必要な要素

女性のリーダーシップ発揮に必要な要素

女性がリーダーシップを効果的に発揮するためには、いくつかの重要な要素があります。これらは生まれながらの資質というよりも、意識的に開発・強化できるスキルや姿勢です。

ここでは、女性がリーダーとして活躍するために特に重要な4つの要素について解説します。
 

自分なりのリーダーシップスタイル

効果的なリーダーシップを発揮するためには、自分自身の強みや個性を生かした独自のリーダーシップスタイルを確立することが重要です。他者のスタイルを模倣するのではなく、自分の価値観や強みを基盤としたアプローチを見つけることで、より自然で持続可能なリーダーシップが可能になります。

自分らしいリーダーシップスタイルを確立するためのステップは以下の通りです。

  • 自己分析:自分の強み、価値観、特性を客観的に把握する
     
  • 多様なモデル観察:さまざまなリーダーシップスタイルから学ぶ
     
  • 実験と振り返り:異なるアプローチを試し、効果を検証する
     
  • フィードバック活用:周囲からの反応や意見を取り入れる

自分なりのスタイルを確立することで、リーダーとしての自信が高まり、より一貫性のあるリーダーシップを発揮できるようになります。
 

戦略的思考と意思決定力

リーダーには、日々の業務を超えた戦略的な視点と、適切な意思決定を行う能力が不可欠です。特に女性リーダーは、自身の判断に確信を持ち、明確な意思決定ができることが重要です。

戦略的思考と意思決定力を高めるためのポイントとしては以下が挙げられます。

  • 全体像把握:局所的視点から脱し、広い視野で状況を捉える
     
  • 長期的視点:短期的な成果だけでなく、将来への影響を考慮する
     
  • 数字感覚:財務データなどの経営数字を把握し、数字を使って判断をする
     
  • 優先順位設定:重要度と緊急度を区別し、適切なリソース配分を行う

こうした能力は、経験を積むことで徐々に向上していきますが、意識的に訓練することでより効果的に身に付けることができます。
 

自己アピールとプレゼンテーション力

自分の成果や価値を適切にアピールし、効果的にプレゼンテーションする能力は、女性リーダーにとって特に重要です。控えめな姿勢が美徳とされる文化的背景から、自己アピールに躊躇する女性も多いですが、リーダーとして認知され、影響力を発揮するためには欠かせないスキルです。

効果的な自己アピールとプレゼンテーションのためのポイントは以下の通りです。

  • 実績の可視化:数値や具体例を用いた、客観的な成果の提示
     
  • ストーリーテリング:共感を呼ぶ説得力のある伝え方の工夫
     
  • シンプルな表現:核心を捉えた無駄のないメッセージの伝達
     
  • 自信ある態度:言葉だけでなく、姿勢や声のトーンも含めた表現

これらのスキルは練習によって向上するため、さまざまな機会を通じて積極的に経験を積むことが重要です。
 

仕事とプライベートのバランス確保

持続可能なリーダーシップを発揮するためには、仕事とプライベートの適切なバランスを確保することが不可欠です。特に家庭での役割も担うことが多い女性リーダーにとって、このバランスの管理は重要な課題となります。

バランス確保のための具体的なアプローチには以下のようなものがあります。

  • 境界設定:仕事と私生活の明確な区分けと優先順位の確立
     
  • サポート活用:家族や同僚、外部サービスなどさまざまな支援の活用
     
  • 効率的な時間管理:限られた時間を最大限に活用する工夫
     
  • セルフケア重視:自身の健康と充実感を維持する習慣の確立

バランスの取れた生活は、長期的な視点でのパフォーマンス維持やバーンアウト防止につながり、結果的により効果的なリーダーシップの発揮を可能にします。
 

女性のリーダーシップを育む施策

女性のリーダーシップを育む施策

女性リーダーを育成するためには、組織的な取り組みと体系的な施策が欠かせません。個人の努力だけでなく、組織文化や制度、研修プログラムなどを包括的に整備することで、女性がリーダーシップを発揮しやすい環境を構築することができます。

ここでは効果的な施策について詳しく解説します。
 

パーソナライズeラーニングによる学習

女性リーダー育成において、一人一人の状況やニーズに合わせてパーソナライズされた学習機会の提供が効果的です。特にeラーニングを活用することで、時間や場所の制約を受けずに必要なスキルや知識を習得できます。

効果的なeラーニング施策の要素としては以下が挙げられます。

  • 個別学習ロードマップ:各自のキャリアステージやスキルギャップに応じた設計
  • マイクロラーニング:短時間で集中的に学べるコンテンツの提供
     
  • 実践的なケーススタディー:女性リーダーの実例を題材とした学習
     
  • 苦手分野も克服:各自の得意不得意を踏まえ、幅広いテーマをカバー

こうしたパーソナライズ学習は、特に時間的制約の大きい女性管理職候補にとって、自分のペースでスキルアップできる貴重な機会となります。さらに、継続的な学習習慣の形成にも寄与します。
 

経営シミュレーションによる意思決定力向上

女性リーダーの意思決定力を高めるためには、実践に近い形で経験を積む機会が重要です。経営シミュレーションは、リスクを伴わない環境で戦略的思考や意思決定のトレーニングを行うことができる効果的な手法です。

経営シミュレーション導入のポイントとしては以下が重要です。

  • 実際の経営課題の再現:リアルなビジネスシナリオに基づいた設計
     
  • フィードバックの充実:決断の結果と影響を具体的に示す仕組み
     
  • 個別コーチング:コーチングで気付きを促進
     
  • 段階的な難易度設定:基礎から応用へと段階的に挑戦できる構成

シミュレーション体験を通じて、経営判断の複雑さや影響範囲を実感しながら、自信を持って決断を下す力を養うことができます。また、失敗から学ぶ経験も安全な環境で得られる貴重な機会となります。
 

アンコンシャスバイアスを解消する組織文化の醸成

女性リーダーの育成において大きな障壁となるのが、組織内に潜むアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)です。これを解消する組織文化を醸成することは、女性が公平に評価され、成長機会を得るために不可欠です。

アンコンシャスバイアス解消のための取り組みとしては以下が効果的です。

  • 全社的な研修実施:バイアスの種類や影響を理解する機会の提供
  • 意思決定プロセスの見直し:評価・登用における客観的基準の導入
  • バイアスチェックポイント:重要な判断の前にバイアスを確認する習慣化
  • 多様性の可視化:組織内の多様性状況の定期的な把握と共有

特に評価や昇進の場面では、「この役割は男性向き」「子育て中の女性には負担が大きい」といった思い込みが無意識に影響することがあります。これらを排除し、能力や実績に基づく公平な評価文化を確立することが重要です。
 

中期的な視点でのタスクアサイン

女性リーダーの育成には、単発的な研修だけでなく、実務経験を通じた成長が欠かせません。特にライフイベントを考慮した、中期的な視点でのタスクアサイン(業務割り当て)は、継続的な成長を支える重要な施策です。

効果的なタスクアサインの工夫としては以下が挙げられます。

  • 段階的な責任範囲拡大:徐々に責任とスコープを広げる計画的な割り当て
     
  • クロスファンクショナルな経験:複数部門を経験できる配置転換の実施
     
  • ワークシェアリング:一定の業務を複数人で分担する柔軟な体制
     
  • 成長目標との連動:個人の成長計画に合わせた意図的な経験設計

中期的な視点でのタスクアサインにより、女性社員が出産や育児などのライフイベントを経ながらも、キャリアを中断することなく成長し続ける道筋を作ることができます。
 

これらの施策は女性に限らず求められている

ここまで女性リーダー育成の視点からさまざまな施策を紹介してきましたが、重要なのはこれらの施策が実は女性に限らず、全ての人材に求められているということです。多様性を尊重し、個々人の強みを生かす組織づくりは、組織全体のパフォーマンス向上につながります。

女性リーダー育成の取り組みがもたらす組織全体への効果としては以下が挙げられます。

  • 包括的な人材育成文化:全ての社員の成長を支援する風土の定着
     
  • 柔軟な働き方の普及:多様なライフスタイルに対応する制度の整備
  • 評価基準の客観化:公平で透明性の高い評価・登用システムの確立
  • 心理的安全性の向上:誰もが意見を述べられる組織文化の醸成

女性リーダー育成を特別な取り組みとして分離するのではなく、組織全体の人材育成・組織開発の文脈に位置づけることで、持続可能な変革を実現することができます。女性リーダーの増加は、組織全体のダイバーシティ推進と働き方改革の象徴的な成果として捉えるべきでしょう。
 

女性のリーダー(管理職)候補者にとっての主な課題2選

	女性リーダー(管理職)候補者にとっての主な課題2選

管理職候補者にとっての主な課題は「知識やスキル不足(学習不足)」「意思決定経験が不足していること」です。以下で解説します。
 

知識やスキル不足(学習不足)

管理職候補者が直面する、主な課題の1つは、マネジメントの現場で求められる知識やスキルの不足です。管理職は、チームのリーダーとして戦略的な視点や問題解決能力が求められます。

しかし、一般社員の頃から十分な学習を行っている人は少ないです。そのため、管理職になってから、管理職研修などを通じて学習しながらマネジメントを行っていくことが多いです。

もし十分な学習機会や研修がないと、必要なスキルを身につけることができません。その結果として、意思決定やチームのマネジメントにおいて不安や誤判断が生じやすくなります。
 

意思決定経験が不足していること

意思決定経験の不足も大きな課題です。一般職のときは意思決定をしてくれる上司が存在していました。そのため管理職になる前は自らの意思で物事を決定するという経験をあまりすることなく過ごすことが多いです。

管理職は常に重要な判断を求められますが、意思決定の経験がない場合、迅速かつ効果的な決定を下すことが難しくなります。

経験が浅いと、リスク評価や長期的な視点を持つことが困難であり、短期的な解決策に頼る傾向が強まります。これが組織全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼすことがあります。

これらの課題を克服するためには、継続的な教育・トレーニングや実務経験を積むことが不可欠です。また、上司やメンターのサポートも重要な要素となります。
 

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管理職向けeラーニングコースパッケージのご利用については、無料デモIDの発行なども行っています。下記よりお問い合わせください。

経営シミュレーション研修で実践的な練習の機会を提供

LDcubeの特筆すべきサービスの1つが、経営シミュレーション研修です。

これは、まるで現実の経営環境の中にいるかのような感覚を得ることができるように設計されており、参加者は仮想的なビジネスシナリオの中で、実際の経営に近い決定を行います。

シミュレーションは、チームワーク、戦略的思考、問題解決スキル、リーダーシップなど、ビジネスに不可欠なスキルを強化するための強力なツールです。

参加者は経験を通じて自分の強みと弱みを理解し、具体的なフィードバックとともに自己改善のためのステップを見つけることができます。

管理職として未知の状況や問題に対処していくにあたり、あらかじめシミュレーションで経営活動について学習することは現実の問題解決への準備となり、勇気を与えてくれます。

▼実際に、管理職昇格者試験に受かる人は経営シミュレーションでも好結果を出していました。下記で詳しく解説しています。
⇒​​​​​​​昇格試験に合格する人の特徴とは?試験に受かる実践的な学習方法を紹介

まとめ:女性がリーダーシップを発揮しやすい環境をつくろう

女性がリーダーシップを発揮しやすい組織づくりとは?ポイントを解説!について紹介してきました。

  • 女性がリーダーシップを発揮できる準備をしよう

  • 女性リーダーの現状と日本企業の課題

  • 女性のリーダーシップが組織にもたらす効果

  • 女性が持つリーダーシップの5つの強み

  • 女性のリーダーシップ発揮に必要な要素

  • 女性のリーダーシップを育む施策

  • 女性リーダー(管理職)候補者にとっての主な課題2選

  • 女性リーダー(管理職)の育成ならLDcube

女性リーダーの登用は、単なる数値目標達成ではなく、組織の持続的成長と競争力強化のための戦略的投資です。

女性リーダーの強みである共感力、変革型リーダーシップ、多様性への理解などを生かすことで、組織はより包括的で革新的な文化を築けます。そのためには、アンコンシャスバイアスの解消、パーソナライズされた育成プログラム、長期的視点でのキャリア支援が不可欠です。

これらの取り組みは女性だけでなく、組織全体の人材育成と文化変革につながります。多様性を尊重し、一人一人の強みを生かせる組織づくりを通じて、より創造的で持続可能なビジネスの未来を共に築いていきましょう。

株式会社LDcubeは性別にこだわらず、リーダーシップの発揮につなげるための自己理解を深めるプログラムやリーダーシップの専門家によるeラーニング、実際の経営環境に近い状況で行う経営シミュレーショントレーニングを通じたリーダーシップ開発など、リーダーシップを啓発するためのさまざまな支援を行っています。

無料のデモ体験会なども行っていますので、お気軽にご相談ください。

▼関連資料はこちらからダウンロードできます。

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企画・作成・編集:代表取締役 新井澄人
企画・作成・編集:代表取締役 新井澄人
株式会社ビジネスコンサルタントで、講師派遣型の人材育成支援から始まり、社内トレーナーの養成による人材育成支援、デジタルツールを活用した人材育成のDX化の支援まで、中小企業から大企業まで20年にわたり幅広いコンサルティングに従事。 新入社員研修からOJTリーダー研修、若手社員研修、管理職研修、幹部研修、営業研修、デジタル学習環境づくりのコンサルテーションなどに自らもコンサルタントとして登壇しながらも、人材育成・組織活性化・営業強化において講師派遣型の枠を超えた支援を実現するため、ビジネスコンサルタントの子会社である株式会社LDcubeの設立と同時に代表取締役に就任。 資格: ・全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント(J-MCMC2023002) ・LIFOプログラムライセンス(LIFO-MSSプログラム開発者)

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