
導入前の課題:
・集合研修依存からの脱却が急務であった。
・ベテラン講師に依存した属人教育により、研修内容や質にばらつきが生じていた。
取り組み内容:
・UMUを導入して教材を標準化し、反転学習を軸に研修設計を見直した。
今後の展望:
・AI活用も視野に入れ、学習者が主体的に学び続けられる教育へ進化させる。


日鉄テックスエンジ株式会社は、日本製鉄グループの一員として、操業・整備・工事のNO.1企業を目指しています。
総合エンジニアリング企業として、優れた技術・サービスの提供を通じて、社会の発展に貢献します。
機械事業本部 企画管理部 人材開発グループ グループ長
岩井迫 敏弘 様
人材開発グループとして、研修の実施や知識の習得にとどまらず、現場での経験や失敗を学びに変え、個人と組織が成長し続ける仕組みを設計・運営しています。
機械設計・製作・据付・試運転といった実践を軸に、自ら考え、挑戦し、学び続ける技術者の育成を支えています。
「研修の社内講師はいるが、ノウハウが属人化しており、内容のばらつきが大きい」
「研修は集合形式が多く、オンライン・デジタル環境をうまく活用できていない」
このようにお悩みの経営者・人事ご担当者の方も多いのではないでしょうか?
日鉄テックスエンジ様では、学習プラットフォーム「UMU」を活用することで、
ベテラン社内講師に頼るだけではない「属人教育からの脱却」と、オンライン・デジタル環境を活用した「効果的な研修設計」
を実現する教育改革を進めています。
本記事では、機械事業本部 企画管理部人材開発グループ長の岩井迫 敏弘 様にインタビューした内容をレポートします。

私が人材開発グループに異動したその年、世界は一変しました。新型コロナウイルスの感染拡大により、これまで当然のように行われてきた集合研修が、突如として成立しなくなったのです。
当時は「オンライン研修」という考え方が十分に根付いておらず、やむを得ず新入社員には自宅で大量の課題に取り組んでもらう対応を取りました。翌年も、集合研修を続けるのか、オンライン研修へ切り替えるのか、議論は続きましたが、通信トラブルや音声の乱れへの不安が拭えず、決断には至りませんでした。
コロナ禍初期には、教室には集まるものの、パーテーションで区切られた状態で各自がオンライン受講するという、試行錯誤の運用も経験しました。しかし講師は別室から配信するため、受講者の反応が見えず、場の空気をつかめません。受講者の集中力の維持も難しく、研修の質を保つことに限界を感じるようになっていきました。
その背景には、以前から抱えていた根本的な課題もありました。
それが、「教育がベテラン研修講師に依存している」という構造です。

新入社員向け専門教育は、60歳を超えるベテラン社員が講師を務めており、その経験や知識は非常に貴重でした。一方で、講師の減少や講義レベルのばらつきが進む中、「このやり方を、この先も続けられるのか」という不安は現実的なものとなっていました。
講義資料や動画はフォルダに保存されていましたが、どのように使うか、何を伝えるかは講師本人に委ねられていました。資料を読んでも意図が分からず、講師が変わると研修の質が下がることもありました。
コロナ禍は、こうした属人化した教育の脆さを、一気に表面化させたのです。

教育の在り方を根本から見直そうとしていた矢先、LDcube(当時、ビジネスコンサルタント※)から紹介されたのが「UMU」でした。
最初に話を聞いたときの印象を、一言で表すなら「神アプリ」。
ショート動画を活用したマイクロラーニングにより、学習内容を細かく分解し、誰でも・いつでも・同じ品質で学べる環境をつくれること。
テストの自動集計や学習データの分析が簡単にできること。
そして何より、「楽しく学べる場」をつくれる可能性が見えたことが、大きな魅力でした。
特に決め手となったのは、運用のシンプルさです。管理者ID1つで登録・更新・管理ができ、特定の担当者やITスキルに依存しない。
この点は、「属人教育から脱却する」という目的とも、強く合致していました。
UMU上に標準化された学習コンテンツを集約し、1本3〜5分の動画として整備する。
それにより、「誰が教えるか」ではなく、「何を、どう学ぶか」に軸足を移した教育基盤が整い始めたのです。
※株式会社LDcubeは、2023年4月に親会社である株式会社ビジネスコンサルタントから分社化し、設立されました。

~属人教育を壊し、再構築するための「研修設計の転換」~
UMU導入を機に、新入社員向け専門教育は、単なるデジタル化ではなく、学びの設計そのものを変える取り組みへと進化しました。
中心に据えたのが、「反転学習」です。
従来のように、研修の場で講師が一方的に教えるのではなく、基礎知識は事前にUMUで学習し、集合研修では理解を深め、考え、活用することに集中する。そうすることで、「研修で何をすべきか」を明確に再定義しました。
そのために最初に着手したのが、講義内容の標準化と細分化です。
新入社員は、導入研修後に約6カ月間、専門教育を受けます。その全講義をUMU用コンテンツとして整理する作業は、想像以上に大変でした。
当初は講義を録画して分割化する方法を取りましたが、それでは分かりやすさに限界があります。そこで、講義スライドに自動音声ナレーションを付けた動画を新たに制作し、「誰が見ても理解できる」構成へと作り直していきました。
時間はかかりましたが、このプロセスこそが、属人教育を壊し、再構築するために欠かせない工程でした。講師の頭の中にあった知識やコツを、誰もがアクセスできる形で可視化する。UMUは、その受け皿となったのです。

~学びを深める「仕組み」としての研修へ~
反転学習が機能し始めると、研修当日の位置づけも変わりました。
事前学習によって理解度の土台が整っているため、集合研修ではディスカッションやワークを中心に据え、「考える」「活用する」「フィードバックを受ける」時間を増やすことができました。
さらに、UMUのインタラクティブ機能を活用し、受講者が図面を描いて提出する課題にも取り組んでいます。講師はそれを基に、不足している視点や考え方をフィードバックする。新入社員は受け身ではなく、自ら考え、アウトプットする学びへと変わっていきました。
研修運営においても、新入社員自身が講師の横でテクニカルサポートを担う体制を導入しました。学ぶ側でありながら、研修を支える側にも回る。その経験は、「研修を受ける」から「自分たちで学びをつくる」への意識転換につながっています。
こうして、研修は単なる知識伝達の場ではなく、仕事の疑似体験を通じて学ぶ場へと進化していきました。
新入社員は現場配属後も準備や片づけを率先して行わなければならない機会が多いからこそ、「自分で考えて自主的に行動する」練習にもなっているのです。

UMU導入から3年。新入社員研修の学習コンテンツは、ようやく1つの形に到達しました。
反転学習を前提とした研修設計を行い、半年間の専門教育を終えた時点の習熟度は、従来の集合講義と比べて決して劣りませんでした 。少なくとも、「動画化したことで質が落ちた」ということは明確に否定できる状態になりました。
習熟度としての成果を明言できないのは、単純にまだ測れる指標が整っていないからです。 専門研修では資格取得などの明確な指標がないため、分かりやすく効果を可視化するのが難しいですが、今後は効果測定できるような指標を設けていくのも課題です。
一方で、現時点で言える大きな成果は 、間違いなく教育の再現性が高まったことです。
これまでのように、講師が変わるたびに研修の質が左右されることはなくなり、「誰が教えても、一定水準以上の学びが提供できる」状態が実現しました。
さらに言えば、UMU上には、歴代講師の知見が蓄積されていきます。講師が退職しても、ノウハウは残り、次の世代へ引き継がれる。教育の質は、下がるどころか、積み重ねによって高まっていく。そのサイクルが、ようやく回り始めました。
現在は、導入成果を測るための分かりやすい数値指標がまだ十分ではないものの、「属人性を排し、学びを設計できる基盤」が整ったこと自体が、「デジタル化をきっかけとした教育改革」の大きな前進だと捉えています。


今後は、UMUによる習熟度テストやアンケート機能を活用し、「分かったつもり」で学びが止まらない仕組みを強化していく予定です。講師の意図と受講者の理解のズレを可視化し、学びをより深いものへと導いていきます。
さらに、生成AIのさらなる活用も視野に入れています。AIを学習の伴走者として活用することで、受講者一人ひとりに応じた気付きや問いを提供し、学びを自走させる設計を目指しています。
ただし、UMUやAIだけですべてが完結するとは考えていません。
UMUは「学びの舞台」、生成AIは「学びの相棒」、そして人である研修講師は「学びの設計者」。
この三者が役割を分担し、補完し合うことで、初めて人材育成は進化します。
テクノロジーを活用しながらも、人が情熱をもって設計し続ける。
その姿勢こそが、これからの教育を支えていくと、強く信じています。
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