
導入前の課題:
・新卒・中途社員の入社時教育の負担が大きく、OJD教育にもバラつきが生じていた
導入後の取り組み内容:
・基礎教育内容をデジタル化し、研修前後で自己学習できる環境づくりを実現
今後の展望:
・UMUをより効果的に活用するため、上司のさらなる巻き込みとUMUの定着を図りたい。


サニクリーン九州は、家庭・オフィスはもちろん、地域規模で清潔で快適な環境を創造することを基本に、下関から九州沖縄一円を活動エリアとし、多彩な事業を進めています。
人事部 教育グループ
山中 宏吉 様
年間の教育・研修計画の策定・調整に加え、担当研修の開発・実施・改善を行っています。さらに、通信教育や資格取得奨励制度などの自己啓発制度の企画・運営、研修センターの施設管理や各種調整・施工確認など、日常の管理業務も担当しています。
生野 守一 様
新任主任・係長研修の企画・実施を担当するとともに、新卒や正社員転換者など女性営業社員向けの教育企画・運営にも取り組み、キャリア形成を支援しています。さらに、2年目社員の同行フォローや研修センターの利用管理も担っています。
山川 美春 様
新入社員向けに教育支援ツールの作成・送付を行い、入社1〜2年目の営業社員には教育プログラムの企画・運営・実施を担当して早期成長を支援しています。また、新卒内定者へのフォロー教育や、研修・教育に関する事務も担っています。
「新入社員や中途社員の基礎教育を効率化したい」
「職場OJDのバラつきを改善し、教育格差をなくしたい」
このような課題を抱える企業は少なくありません。
サニクリーン九州様では、学習プラットフォーム「UMU」を活用することで、入社時教育をデジタル化し、
基礎教育の効率化とOJDのバラつき改善を実現する取り組みを実施しています。
本記事では、人事部教育グループの山中 宏吉 様、生野 守一 様、山川 美春 様の
3名にインタビューした内容をレポートします。

新卒社員は年間で30〜40名、多い時は50名ほど、中途社員は男女それぞれ50〜60名が入社します。そのたびに同じ新人教育を実施することは大きな負担であり、OJD(On-the-Job Development)中心の教育に頼っていましたが、現場は忙しく、教える人によって教育の質にバラつきが生じていました。
新卒社員は3カ月程の十分な教育期間を設けていますが、特に中途社員は入社後6~8週間程で独り立ちするため、どうしても教育期間が短くなりがちです。そのため、「教えてもらう」ということと併せて、効果的に「自己学習」できる環境づくりを目指しました。
また、自己学習という点においては、いかに自律的な学習を促せるか、ということも課題でした。社内には既存の教育ツールも存在していましたが、十分に活用されていないということが課題でした。社員が必要な情報に自らアクセスして自律的に学ぶことができる環境が必要だと考えたタイミングで、営業担当の方からUMUの提案を受けました。
特に「マイクロラーニング」というキーワードに強く惹かれたのを覚えています。従来のeラーニングのように長時間集中して学ぶ形式ではなく、短い時間で細切れに学習できる点が、多忙な社員にも適していると感じました。

さらに、「双方向で学ぶことができる」ということも大きなポイントでした。新入社員がUMUで学習したことに対して、上司が関わるよう促すことができるということも大きなメリットと考え、UMU導入を決定しました。
2019年頃から導入し運用の準備を始めていましたが、2020年にコロナ禍となりました。新卒社員は初期研修を受けた後すぐに自宅待機となりましたが、その状況でちょうどUMUが学習の基盤として機能し、一気に教育のデジタル化が進みました。

同社では、新入社員教育の中心ツールとしてUMUを活用しています。新卒社員は入社後約3カ月の期間をかけて学習するため、比較的余裕を持って学べる環境が整っています。
一方、中途社員は入社後6〜8週間で独り立ちする必要があり、教えてもらうことと自分で学ぶことのバランスが重要です。UMUは研修用のツールというより、自主学習を促すプラットフォームとして使われており、事前アンケートや報告等への活用も一部行われています。
コンテンツは入社時の教育設計に沿って少しずつUMU化されました。以前は紙のマニュアルやイントラネット上の資料が中心でしたが、情報量の膨大さに加えてさまざまな内容やツールに情報が分かれて存在しており、社員が閲覧・活用しづらい状況でした。そこで、誰もが分かりやすく確認できる動画などをコンテンツとして整理し、会社理解、部門理解、業務理解を中心に学習コンテンツを提供しています。
また、自社内で行っている、接客業務やQC(品質管理)、水関係の検定など、これまで紙で行っていた試験もUMUで実施可能な範囲で運用しています。UMUで試験運用することで、従来かなり時間がかかっていた採点作業は大幅に削減でき、効率化することができています。
受講率は、新入社員が初日から1週間の学習期間中はほぼ100%に達します。しかし、先輩社員との同行や現場業務が始まると、スマホでの学習は難しくなり、受講率は徐々に低下します。初日は所長が指導しますが、その後は多忙な係長に引き継がれるため、拠点によって上司の関与に差が生まれることもあります。ペーパーレス化を進めたい一方で、上司には紙で情報を渡し、新入社員はUMUで確認するという運用も残っています。これは、今後解決していきたい課題の1つです。
また、新入社員向けの営業教育では、これまでは上司との対面ロープレの文化がありましたが、多忙な現場では実施が難しいという課題がありました。そこでUMUの「AIロープレ」機能を導入し、豊富なフィードバックを受けながら学べる環境を整えています。
AIロープレの良いところは、1人でも練習ができることに加え、ロープレ内容を動画として記録できるため、他者が閲覧して学習したりフィードバックができたりすることです。とはいえ、全てがAI相手のトレーニングで代替できる訳ではありません。「AIロープレ」と、「対人での柔軟対応力や切り返し力のトレーニング」を組み合わせながら、効果的な営業教育を実現しています。
こうしてUMUを活用することで、新入社員や中途社員は自主的に学習できる環境を手に入れ、営業部門でも補助的な学習ツールとして効果を発揮しています。
※実際のUMU受講コース画面


導入から5年が経過し、新人教育におけるUMUでの学習は定着してきました。初期研修後の自主学習文化が浸透し、紙マニュアルに代わって動画やUMUコンテンツを通じて学べる環境が整ってきました。
営業部門でもアンケートや試験、AIロープレなどの機能が徐々に活用され、自律的に学ぶ若手社員が増えています。まだ活用は一部機能に留まるものの、会社としてUMUを教育基盤の1つとして定着させることができたと実感しています。
一方で、UMU学習が定着してきたからこその課題も見えてきました。それは、UMUの特徴の1つでもある「学習の双方向性」の実現、つまり「上司の関わり」の強化です。上司の関わりをさらに促すことができれば、より効果的な取り組みにできると感じています。
現状は利用アカウント数の制限もあり、上司が部下の学習状況や受講状況をタイムリーに把握するのが難しい状況です。
しかしその中でも工夫を重ね、上司が現場で声をかけるなど、新入社員のUMUでの自主学習に関心を持ち、積極的に関わる仕組みを整えていきたいと考えています。


当社では、内製での社内研修に活用できるプログラムライセンス「HEP(ヒューマン・エレメント・プログラム)」と「LIFO(ライフォ)」も活用しています。
HEPとは、自身のセルフエスティームを向上させ、より高い生産性で物事に取り組み、また他者とうまく協働するために対人関係上の柔軟性を身に付けるためのプログラムです。
HEPは20代後半の社員を対象に、「生き生き研修」という名で今後のキャリアを考える研修で活用しています。年に2回ほど1泊2日で実施され、年齢で対象を区切ることで普段集まることのない同世代が集まり、わいわいと振り返りを行う場となっています。
LIFOプログラムは、自己の強みや行動スタイルを発見し、啓発するためのプログラムです。
受講者は、行動科学に基づいて、個人の指向性や行動スタイルから個人の「強み」を理解し、コントロールすることで、対人関係の円滑化を図ることができます。LIFOは、従来当社で営業スキル向上のために活用していた「ソーシャルスタイル」理論と異なり、自己理解の強化を目的として導入されました。
新卒社員は入社時研修でLIFO診断を受けてフィードバックを受け、自分の強みを理解します。コロナ禍以前は営業所ごとに希望者を対象に所長や係長も参加する2時間30分から3時間の講座を実施していました。LIFO診断受講者が年々増えるにつれ、社内での共通言語になりつつあります。LIFOを活用することで、営業活動ではもちろんのこと、社員の自己理解に役立っています。

LDcubeのサポート体制については、定期的な情報提供や問い合わせへのレスポンスの早さが非常に助かっています。他社事例の共有も参考になり、困ったときにすぐ相談できる安心感があるため、UMUや研修導入の運用負荷が軽減され、効果的な活用が進んでいます。
今後の最大の課題は、上司のUMU定着です。上司側は個別のアカウントを持っていないこともあり、UMUへの理解が深まらないことが要因として考えられますが、UMUではそれをカバーできるような機能があるため、今後改善していきたいです。
来期は60周年を迎えるので、周年企画とUMUを連動させることで、教育の盛り上がりと学習効果をさらに加速させることも計画しています。これにより、これまで見えていた課題を解消し、社内教育の成果をさらに効果的なものにしていきたいと考えています。
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