
取り組み前の課題:
・コロナ禍による「教育のデジタル化」や、効果的な学習設計・学びの環境づくりが課題
取り組んだこと:
・UMUを導入し、講義動画や理解度テスト機能の活用で資格試験教育のデジタル化を実現
今後の展望:
・動画学習コンテンツを拡充し、「いつでもどこでも学習できる」環境づくりを進めたい。

株式会社中電工は電気・空調・給排水・情報通信などの快適設備を提供する総合設備エンジニアリング企業です。
技術本部 技術企画部 IT支援担当
平木 次郎 様
複数の学習コースの年間スケジュール調整、受講状況および運用管理の統括を担う。
技術本部 技術企画部
菅谷 和弘 様
学習コースのコンテンツ作成や運用管理を担当。
技術本部 空調管技術部 工事担当
丸本 貢市 様
空調管工事部門の担当として、工事開始までの図面・計算書検討のフロントローディング業務、若年者への資格取得教育の計画・実施を担当。
業務本部 人材開発部 研修所
宮田 宗和 様
研修所での教育担当として、主に空調管部門の若年者(入社1~3年目社員)に対する基礎教育を担当。
技術本部 空調管技術部
西川 健三 様
空調管の管理指導を担当。
「業務上必要な資格試験の教育を効果的に実施したい」
「教育のデジタル化に取り組みたい」
「研修のスタイルにとらわれない効果的な学びを実現したい」
このようなお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。
中電工様では、学習プラットフォーム「UMU」を活用することで、
「教育のデジタル化」を通して「効果的な学習環境づくり」を実現し、入社1~5年目の若手社員向けに、
資格試験教育をはじめ教育そのものをより効果的なあり方へ見直す取り組みを実施しています。
本記事では、技術本部の平木 次郎 様、菅谷 和弘 様、丸本 貢市 様、西川 健三 様、業務本部の宮田 宗和 様の5名に
インタビューした内容をレポートします。

当社では、業務上必要不可欠な資格というものがあります。その取得試験合格に向けて、勉強の機会を提供したり、過去問題をベースに試験問題対策講座の実施をしたりしていました。
従来は、決まった時期に資格取得を目指す若年者(1~7年目程度)に集まってもらい、勉強の場を提供していました。これは単なる知識伝達の場ではなく、講師と受講者、受講者同士が対話を重ねることで理解を深め、資格取得はもちろん、職場で使える技能へとつなげる重要な時間でした。
しかし、突如として訪れたコロナ禍により、社員を一堂に集めることが難しくなり、これまで当たり前に回っていた教育サイクルの継続が困難な状況に直面しました。資格研修を止めるわけにはいかない、現場で必要な資格教育の流れを断ち切るわけにはいかない──その危機感が教育のデジタル化の大きな動機となりました。
最初に検討したのは、オンライン会議ツールによる代替でした。講義を遠隔で配信できる利点はありましたが、ただ単に集合研修をオンライン化するだけでは、課題も見えてきました。具体的には、オンラインでは受講者が受け身になりやすく、講師との質問のやり取や、受講者同士での学びを深める対話が難しくなるため、理解が浅くなる懸念がありました。集合空間で自然に生まれる双方向性や即時性がオンラインでの画面越しには再現しにくいことが課題だったのです。
こうした状況の中で私たちは「ただオンラインに置き換えるだけでは根本的な解決にならない」と考えました。狙うべきは講義の単純な移行ではなく、双方向性を担保しながら学習の定着を高めることでした。具体的には、学習進捗や理解度を可視化し、受講者・講師ともに即時的に状況や進捗を把握できる設計が必要だと考えました。
そのタイミングで出会ったのが学習プラットフォーム「UMU」でした。UMUを活用することで、クイズや模擬試験、解析ダッシュボードなどを組み合わせて、臨場感のある双方向学習と学習データの見える化を同時に実現できることが分かりました。試験直前のオンライン研修日が迫り比較検討の猶予もあまりない状況の中で、他社のツールも検討しましたが、私たちが実現したいことが最も叶えられそうなのがUMUでした。

UMU導入の第一歩として取り組んだのが、資格試験の対策講座をUMUに再構築することでした。まずは、過去の試験問題をUMU上で演習できるようにしました。試験問題集の解説をUMU上に転載して活用するには著作権の問題がありましたが、幸いにも1つの出版元から著作権許諾を得ることができました。
試験問題集はデータとして受領できたため、UMUへの転載もそれほど苦ではありませんでした。結果、著作権許諾問題も乗り越え、問題をデータ化し、解答・解説をセットで提供する仕組みを整備しました。
受講者はその場で回答し、正誤や理解度を即時に確認できます。これにより、学びを「1度きりの受講」から「繰り返し深められる学習」へと転換することができました。
加えて、問題解説を動画形式に変換し、1本あたり3~5分程度の短い動画を制作しました。長時間の解説動画では集中が続きにくいため、要点を絞ったマイクロラーニング形式とし、理解しやすいテンポで視聴できるよう工夫しました。現在では10本程度の解説動画をUMU上で公開し、受講者が好きな時間に何度でも視聴できるようにしています。

デジタル化した資格試験対策コンテンツは、研修所で実施している新入社員研修でも大いに活用されています。
従来の研修では、講師が対面で指導し、紙の教材を用いて演習を重ねるスタイルが中心でした。しかしUMUの導入を機に、教材そのものをデジタル上に再構築し、受講者が自分のペースで学びを進められる仕組みを整えました。
特に大きな変化があったのは、模擬試験の運営です。以前は、研修の最後に紙の回答用紙を回収し、手作業で採点・集計を行っていたため、結果を共有するまでに時間がかかっていました。
現在は、UMU上で模擬試験を実施し、終了と同時に自動採点・集計が完了します。そのため、リアルタイムで結果を発表できるようになりました。これにより、講師側の作業負担が大幅に軽減されたほか、受講者に対してスピーディーにフィードバックを行えるようになり、学びのモチベーション向上にもつながっています。
さらに、UMUは新入社員研修だけでなく、入社2~5年目の若手社員教育にも活用の幅を広げています。資格試験対策コンテンツのほか、社内ルールや安全管理、工事に関する基本事項の周知にも利用しています。例えば、ルール確認のコンテンツをUMU上でQ&A形式にまとめ、補足説明や関連資料は社内イントラネットに掲載し、「詳しくはここを確認してください」と案内する運用を行っています。
特に、入社後の新入社員研修からUMUを活用している若手社員にとっては、使い慣れた環境で学べる点が、UMUにも掲載することの大きなメリットです。知識がまだ浅い段階でも、手軽にアクセスできることで理解が深まりやすくなっています。
一方で、全社員がUMUアカウントを持っているわけではないため、イントラネットにも同様の情報を掲載し、誰でも確認できるようにしています。こうした仕組みにより、情報共有の効率化と学習の定着が進み、現場での実践力強化にもつながっています。
※実際のUMU受講コース画面


資格試験研修のデジタル化を進める中で、もう1つ重要だったのは「上司を巻き込むこと」でした。私たちがいくら工夫を凝らしても、職場の現場がその価値を理解し、受講者を応援する文化がなければ、学びは一過性の取り組みに終わってしまいます。
私たちは、UMUを単なる学習ツールとしてではなく、“組織全体で人を育てるための仕組み”として根づかせたいと考えました。
まず取り組んだのは、上司層への周知と理解促進です。
研修の目的やUMUの活用方法を説明し、「スマホで動画を見ている姿」=「仕事中にサボっている」ではなく、「自己研鑽に励んでいる」ことを明確に共有しました。これにより、勤務時間中でも安心してUMUを活用できる環境を整えることができました。
さらに、UMUの特性を活かし、学習データを上司へ通知する取り組みを導入しました。
受講者の進捗や正答率が可視化され、上司がリアルタイムで把握できるようになったことで、「最近少し停滞しているようだね」「この分野はかなり頑張っているね」といった声かけができるようになりました。
上司が結果を見て声を掛ける──そんなちょっとしたやり取りが、受講者のモチベーションを大きく高めています。

資格試験研修をオンライン化したことで、最も大きく変わったのは、教育の進捗や成果を可視化できるようになったことです。
従来は、受講者がどの程度学習を進め、どの程度理解しているかを正確に把握することが難しく、私たちは感覚に頼らざるを得ませんでした。
UMUを導入したことで、各設問の回答率や正答率、動画の視聴状況、ログイン頻度などが自動的に記録され、受講者一人ひとりの理解度や学習意欲を定量的に把握できるようになりました。さらに、模擬試験の採点や集計も自動化され、試験結果はリアルタイムで反映されます。
これらの可視化は、管理者や上司のみならず、受講者にも良い影響がありました。
それは、受講者全員がデータを確認できるようにしたことで、受講者同士の健全な競争意識が生まれたということです。ランキング表示で「次は上位に入りたい」「負けたくない」といった前向きな思いが刺激され、学習意欲の向上につながっています。同時に、私たちはUMUの試験結果データを基に「今回はよく頑張ったね」と声をかけるなど、フォローアップやコミュニケーションの機会も増えました。
また、UMUのスマートフォン対応により、受講者は通勤時間や休憩時間などのスキマ時間を活用して復習できるようになりました。「机に向かわなければ勉強できない」という固定観念が薄れ、学びが日常の一部として自然に根づきつつあります。
このように、学習状況の可視化、リアルタイムの評価、フォローアップ、そして日常に溶け込む学習体験が組み合わさることで、学びの効果は数字としても意識としても、組織全体に確実に現れるようになりました。

教育のデジタル化を進める中で、最初は不安も多くありました。
UMUの操作方法や試験問題の作り方、教材設計など、すべてが初めての経験でした。
そんな時、LDcubeの担当者が丁寧にサポートしてくれました。
「UMUの使い方」だけでなく、「どのように設計すれば学習効果が高まるか」という視点からも多くのアドバイスをいただき、実践的な運用ノウハウを身に付けることができました。
特に有り難かったのは、問い合わせへのスピーディーな対応です。
電話1本でその場で解決してもらえることも多く、サポートの迅速さと親身さに何度も助けられました。
教育のデジタル化は、ツールだけでは進みません。伴走してくれるパートナーがいたからこそ、ここまで形にできたと思います。

今回の資格試験研修のデジタル化は、終着点ではなく、新たなスタートだと考えています。
UMUを活用した学習の仕組みは順調に定着しつつありますが、さらなる効果的な活用に向けて、今後も継続的に改善を進めていく予定です。
まず取り組みたいのは、動画コンテンツの拡充です。現在も講義動画を一部掲載していますが、今後は内容をさらに充実させ、受講者が「いつでも・どこでも・何度でも」学べる環境づくりを進めていきます。
次に目指すのは、資格試験の合格率向上です。UMU導入によって一定の学習効果は感じていますが、試験内容の変更や受験資格の緩和といった外的要因もあり、現時点では合格率への効果を正確に測定することが難しい状況です。
それでも、入社後できるだけ早い段階で試験に合格し、現場で実践的に活かせる知識・スキル・資格を身に付けてもらうことが、当社全体の人材力向上につながると考えています。
デジタル化によって学びの土台が整った今、これからは“学びの質”をさらに高めたいと思います。UMUを活用しながら、社員一人ひとりの成長を支える仕組みづくりを進めていきます。

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