
取り組み前の課題:
・教育現場からのハラスメント相談が年々増加していた。
・ハラスメントへの理解を深め、解決策を見つけたかった。
お取り組み内容:
・LIFOハラスメントセミナーで、ハラスメントへの理解を深めた。
・LIFOを活用し、コミュニケーションの”ズレ”の正体を理解した。
取り組み後の成果:
・ハラスメントへの理解が深まり、相手の立場に立ったコミュニケーションを意識するようになった。


川崎市教職員組合(川教組)は、川崎市で働く市立小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の教職員で組織する職員団体で、約5,000人の組合員で運動をすすめています。
執行委員長 石村 卓也 様
現場の実態や声を踏まえた要求を整理し、教育委員会や自治体との交渉を通じて、教職員の給与や労働条件の改善そしてよりよい教育環境の実現に向けたとりくみをすすめています。
執行副委員長 稲垣 寛子 様
組合員から相談を受けたり、組合活動を様々な形で情宣したりしています。また、平和や人権にかかわる運動推進にもとりくんでいます。
「ハラスメントを防止するために、コミュニケーションの”ズレ”を解消したい」
「ハラスメントまではいかないが、日ごろのコミュニケーションに“もやもや”している」
このようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
川崎市教職員組合様では、ハラスメントの基礎教育を目的としながら、日ごろのコミュニケーションの”ズレ”に着目し、
「LIFO」を活用したコミュニケーション改善の取り組みを実施されました。
本記事では、執行委員長の石村 卓也 様、執行副委員長の稲垣 寛子 様の2名にインタビューした内容をレポートします。

川崎市教職員組合(川教組)は、川崎市で働く市立小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の教職員で組織する労働組合で、約5,000人の組合員で運動をすすめています。
これまで、教職員の自主的・主体的な研究・研修の推進、教育条件整備や教職員の生活改善、労働条件の向上に向けてとりくむとともに、子どもたち一人ひとりの学びを保障し、「川崎市子どもの権利条例」を生かした教育実践をすすめるため、教育委員会や校長会、川崎市PTA連絡協議会などと連携・協力し、川崎の教育に責任を持つ団体として取り組んでいます。
「教え子を再び戦場に送るな」
このスローガンのもと、私たちは長年、平和教育の推進や社会的な運動に取り組んできました。同時に、深刻化する教員不足に対しては改善を訴え、教育という仕事の魅力を発信し続けています。
その中で近年、特に力を入れているのが教職員のメンタルケアです。
心身の不調を抱える教職員は年々増加しており、「離職を未然に防ぎたい」「再び学校現場で活躍できるよう支えたい」という思いで、相談対応や復職支援を行っています。産休・育休を取得している教職員も約200名にのぼり、職場復帰に向けたサポートも重要な役割です。

組合本部役員8名は、全員が組合専従(休職中の役員を含む)の教職員です。現場を知る当事者として、処遇改善や賃金、職場環境の整備に日々向き合っています。
教育委員会や市との交渉、SOSを発する組合員――。
さまざまな声に耳を傾ける中で、私たちはある大きな課題に直面していました。

年々、現場の教職員からハラスメントに関する相談が増えていました。
ただ、私たち自身もハラスメントに対する知識や理解が十分とは言えず、「まず自分たちが学ばなければいけない」と強く感じていました。
教育現場で多いのは、いわゆる露骨なパワハラやセクハラではありません。
むしろ、「良かれと思って」「指導のつもりで」取った言動が、結果的に相手を追い詰めてしまうケースが多いのです。
そこには、
があると感じていました。
一方で、組合本部という限られた人間関係の中でも、言葉にできない“もやもや”はありました。共通認識がないからこそ、小さな違和感が放置されてしまう。全員が正しい知識を持てば、もっとよりよい職場風土をつくれるのではないか。そう思いながらも、何から手をつければよいのか分からない状態が続いていたのです。
さらに、本部役員になると研修や教育を受ける機会はほとんどありません。
「ハラスメント」というテーマで、きちんと学ぶ場をつくりたい――その思いが、心の中にありました。

転機は、1本の無料ウェビナー(オンラインセミナー)でした。
LDcubeが開催していた「ハラスメントを引き起こす3つの“ずれ”とは ~認識ギャップを解消し、心理的安全性の高い職場をつくる!~」というテーマに惹かれ、視聴したのがきっかけです。
強く印象に残ったのは、「ハラスメントとは何か」を定義するだけの話ではなく、人と人との“認識のずれ”に焦点を当てていたことでした。


よい・悪いではなく、価値観やコミュニケーションスタイルの違いがすれ違いを生み、それがハラスメントにつながってしまう――。
その説明に、「まさにこれだ」と腑に落ちる感覚がありました。
ウェビナーでは、行動特性診断「LIFO」をベースに、4つのコミュニケーションスタイルが紹介されました。人にはそれぞれ強みとなるスタイルがあり、しかしその強みを使い過ぎると、相手にとっては負担やハラスメントになり得る。
この考え方は、とても新鮮でした。
「なるほど、面白い」と思うと同時に、「これは自分だけが理解していても意味がない」とも感じました。共有してこそ、生きる知識だと。
一般的なハラスメント研修は、「これはパワハラ」「これはセクハラ」と基準を学ぶものだと思っていました。しかしLIFOを活用したアプローチは、“無自覚なハラスメント”に気付ける点が大きく違っていました。
自己理解と他者理解を深め、ハラスメントに対して正しく理解をすること。
それができなければ、皆が萎縮し、「何も言わない」職場になってしまう。
人間関係を良くするための研修だと感じ、「ぜひ職員研修で扱いたい」と導入を決めました。

実施したのは、90分のハラスメントセミナー。対象は本部役員と書記、計12名です。
【実施概要】
研修名:ハラスメントセミナー
対象者:12名(本部8名と書記4名)
時 間:90分
ねらい:
昨今のハラスメントに関する基礎知識を理解する
ハラスメントが起こる背景や構造を知る
LIFOを通じて、自身の行動特性とその影響に気付く
無自覚なハラスメントを予防する視点を身につける
内 容:
昨今のハラスメントの動向と基礎理解
指導とハラスメントの違い
行動特性診断LIFOの概要
LIFOを通じた「自分が行いがちなハラスメント」への気付き

LIFO診断を通じて、行動特性の傾向が見えてきました。
女性はSGスタイルやADスタイルが多く、男性はCTスタイルやCHスタイルが多い傾向がありました。(LIFOの各スタイルの特徴については、こちらをご参照ください。)
その結果を見たとき、「だからあのとき、うまくかみ合わなかったのか」と、納得しました。
実は研修当日の午前中、このようなやりとりがありました。
ADスタイルの私(稲垣様)が出した提案に対して、CHスタイルの相手から「データはありますか?」と問われ、正直、もやっとしたのです。「なぜそこまで?」と。
でも、LIFOを学んだあとなら分かります。
CHスタイルの方は、「慎重に進めたい」「根拠を大切にしたい」という強みを発揮していただけだったのです。
私のLIFOレポートには、「詳細データや広範囲の比較分析には関心が向きにくく、管理上抜け落ちる可能性がある」と書かれていました。
それを読んだとき、「ああ、だからフォローしてくれていたのだな」と思わず笑ってしまいました。
誰が悪いわけでもない。ただ、スタイルが違っただけだったのです。
このように、目に見える形でお互いの強みや苦手を共有できるのは、LIFOの大きな価値だと感じました。
誰しも、強みを使い過ぎないよう意識しているつもりです。それでも、無自覚に繰り返してしまう。
LIFOは、そのことを優しく、しかし確実に気付かせてくれました。

イギリスのことわざに「他人の立場に立って物事を捉えてみる」という意味で使われている「他人の靴を履く」というのがありますが、
講師の方がおっしゃっていた、「相手の靴を履くことが大事。そのためには、まず自分の靴を脱がなければならない」という言葉が心に残りました。
自分を知り、相手を知る。そのうえで、相手に合わせたコミュニケーションを選ぶ。
ハラスメント防止とは、単なるルール遵守ではなく、日々の対話の積み重ねなのだと実感しました。
目に見える成果が出るには、まだ時間がかかるかもしれません。
それでも、「相手を意識して話す」「一呼吸おいて考える」――そんな変化は、確実に生まれています。
これからも私たちは、LIFOで得た気づきを大切にしながら、ハラスメントのない健全な職場と教育現場づくりをすすめていきます。
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