
導入前の課題:
・コロナ禍以降の急激な環境変化に対応するため、次世代経営人材のイノベーション力・新規事業創出力を高める必要があった
取り組み内容:
・ITSを活用した7カ月間の研修プログラムを役員層から部長・課長・リーダー層へ段階的に展開し、近年は生成AIも組み合わせてアイデア創出力を強化
今後の展望:
・役員対象の2年間のプログラムから、実際に2つの事業化につながったアイデアが生まれたほか、組織内に共通言語が浸透し、受講者の発言・行動変容につながった


株式会社エオネックスは、温泉開発や環境・地質調査などを手掛ける企業です。新たに立ち上げた教育事業「株式会社CREOS」においても、人材育成に力を入れられています。
株式会社CREOS 執行役員/研修講師
高橋 浩一 様
企業の「人と組織の成長」を支援する研修を中心に、生成AI活用・働き方改革・コミュニケーションなど、実践的で役立つ学びをお届けしています。
本インタビュー実施時に、株式会社CREOS広報・研修事務局の皆さまにもご同席いただきました。実際の研修受講者としてもお話を伺いました。
酒井 里紗子 様/垣内 美希 様/村上 玲奈 様/下内 美沙都 様
「将来を見据えた新規事業のアイデアを生み出したい」
「次世代のリーダー層にも発想力や構想力を身に付けてほしいが、どのような教育を行えばよいか分からない」
このようなお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。
株式会社CREOS(クレオス)では、新規事業の創出や未来のビジネスアイデアの創出を目的として、
ITS(イノベイティブ・シンキング・システム)を活用した長期育成プログラムを実施しています。
本記事では、ITS研修の取り組み内容、現場実践化に向けた仕掛け、研修と生成AIとの融合のポイントについて、
高橋 浩一様にインタビューした内容をレポートします。

私たちは、グループ会社や協力会社を対象としたアカデミーを設立し、人材育成に取り組んできました。
コロナ禍を経て社会環境が大きく変化する中、働き方や暮らし方の常識も変わり、「急激な外部環境の変化を捉える力」と「未来を創造する力」の重要性がますます高まっていました。そのため、業界や業種の垣根を越えた交流を通じて、イノベーション力や新規事業創出力を育成する必要があると考えました。
そこで、「未来」「気付き」「変革」をキーワードに掲げ、異業種交流によるシナジーから新たな価値を生み出すことを目的としたアカデミーを立ち上げました。
こうした背景や目的を参加企業と共有し、「学び合う場」を運営していたところ、ある参加企業から「新規事業を立ち上げるための研修を実施してほしい」という要望をいただきました。
特にコロナ禍では、「既存事業だけでは将来が不安であり、5年後、10年後を見据えた新しい事業を考えなければならない。しかし経営者だけで考えるのではなく、今後の中核を担う次世代の経営幹部やリーダー層からアイデアを生み出してほしい」という課題意識がありました。
そのため、単なる知識習得ではなく、参加者自身が新たな発想を生み出せる「アイデア創出研修」の必要性を強く感じていました。

新規事業創出やアイデア発想に関する研修を模索していた頃、株式会社ビジネスコンサルタント(株式会社LDcubeの親会社)へ相談したことがきっかけでした。その際に提案いただいたのが、ITSやJOB理論を活用した研修プログラムです。
まずは研修をオブザーブさせていただいたのですが、「これは使える」「非常に面白い」と感じました。特に魅力的だったのは、アイデアを発散させる技法が豊富なだけでなく、出てきたアイデアを整理・評価し、絞り込むための収束プロセスまで体系化されていたことです。
アイデア創出系の研修では、多くのアイデアが出ても、その後の進め方に困るケースが少なくありません。しかしITSは、発散から収束まで一連の流れが設計されており、非常に実践的なプログラムだと感じました。

また、ITSのプログラムライセンス取得にあたっては、講師用テキストやスライドが整備されており、研修運営に必要な環境が提供されていたため、大きな不安や懸念はありませんでした。
私たちが目指していた「異業種が集まり、未来を見据えて知恵を出し合う場」を実現する共通のツールとして、ITSは最適なプログラムだと感じ、ライセンス取得を決断しました。
実は、プログラムライセンスとの出会いは前職時代にまで遡ります。研修の企画運営を担当していた当時、自らも講師に挑戦したいと考え、ビジネスコンサルタントへ相談したところ、LIFOプログラムを紹介いただきました。それが初めて取得したプログラムライセンスでした。
プログラムライセンスの魅力は、LIFOやITSといった優れたコンテンツそのものだけではありません。ライセンス取得講座を通じて、研修講師としての進め方や受講者との関わり方など、ファシリテーションスキルまで学べる点にも大きな価値を感じています。

ITSを活用した講座は、役員層からスタートし、その後、部長層、課長層、リーダー層へと段階的に展開してきました。
アカデミー参加企業から毎年約20名を選抜し、5月~11月まで月2回、計7カ月にわたって実施しています。そして12月には成果発表会を開催し、受講者が取り組みの成果を発表します。
成果発表会はホテル会場で実施しており、初回の役員向けプログラムでは各社の社長にも参加いただきました。その後の開催では卒業生も招待し、業種を超えた交流の場として発展しています。
この取り組みには、新たなビジネスを創出するだけでなく、グループ企業や協力会社同士の交流や絆を深めるという目的もあります。グループや関連会社の中ではありますが、業種の異なる企業同士が集まることで、異業種交流ならではの刺激や学びが生まれています。

私たちが重視しているのは、まず上位職層から講座を受講してもらうことです。
新しい知識や技法を学んでも、上司がその内容を理解していなければ職場で活用されません。技法が組織の共通言語になって初めて、現場で定着すると考えています。
第1期の役員層向けには「起業魂養成講座」と題し、2年間のプログラムを実施しました。各社の社長から「自ら事業を創り出す気概を育ててほしい」という要望を受けてスタートしたもので、講座には社長自身もオブザーブ参加しました。
受講した役員は既存の発想の枠を超え、多角的な視点で意見を出せるようになりました。一方で、未受講者との思考の違いが明確に表れたという声もいただいています。
その後は部長層、課長層、リーダー層へと展開を進め、組織全体に共通言語として浸透させてきました。
課長層以下を対象にする際は、内容は基本的に同じでありながらも、「起業魂養成講座」から「思考変革スキルアップ講座」へと名称を変更しました。
役員層向けは事業計画書の作成など成果創出を重視していましたが、課長層以下では「未来のビジネスを考える」というテーマを通じて、個人の思考力や発想力の向上を主目的としています。
近年、生成AIの普及によってアイデア創出の環境は大きく変化しました。生成AIは短時間で大量のアイデアを生み出し、多様な視点を提供してくれる優れたツールです。そのため、2025年頃から受講者も研修中に生成AIを活用するようになりました。
当初は、まず講座の中で学ぶ技法を身に付けてほしいという思いから、研修中の生成AI利用を控えるよう伝えていました。しかし実際には受講者が活用しており、時代の流れを止めることはできませんでした。
そこで発想を転換し、「使わせない」のではなく、「使うことを前提に講座を設計する」方針へ変更しました。
具体的には、次の3ステップで進めています。
STEP1:発散技法を学ぶ
STEP2:生成AIを活用してアイデアを大量に拡張する
STEP3:学んだ発散技法を生成AIへの指示出しに応用する
これにより、発散技法と生成AIを組み合わせ、アイデアの量と質の両方を高められるようになりました。
ここで私たちが重視しているのは、単なる生成AIの活用方法ではなく、「生成AIとの向き合い方」を学ぶことです。
ITSの技法を通じて自ら考える力を養い、その上で生成AIを活用することで、思考の主体性を失わない人材育成を目指しています。
さらに近年は、生成AIによるアイデアのビジュアル化にも取り組んでいます。
言葉だけでは表現しきれない発想を画像として共有できるため、アイデア発散の促進に大きな効果を感じています。

成果発表会終了後の職場実践や業務への活用については、各社・各受講者に委ねています。
私たちはあえて講師側からの過度なフォローを行っていません。なぜなら、すでに各社には受講経験者が多数存在しており、役員や部長を含めて内容を理解しているため、組織内で自然に支援や助言が行われる環境ができているからです。
講座や研修は、受講後に現場での行動が変わり、実践されることが一番の目的です。その点において、上司や周囲の関わりが与える影響は大きく、現場で自然にフォローがなされる体制をつくれたことは理想的だと感じています。

目に見える成果としては、実際にビジネスアイデアが事業化されたということです。
役員対象に実施された第一期開催の「起業魂養成講座」では、「事業を起こす」ことが最終目的でした。そのため、この講座から実際に2つの新規事業アイデアが事業化されたことは大きな成果と言えます。
また、ある参加企業から、「過去5年間の成果発表資料をすべて提供してほしい」という依頼を受けたことがあります。聞けば、新規事業の検討にあたり、過去の受講者が生み出したアイデアを参考にしたいという第1期生(役員)の意向でした。
私たちにとって、講座の成果物が実際の経営判断の参考資料として活用されることは非常にうれしい出来事でした。
また、このような動きが生まれた背景には、役員層から順番に研修を展開し、組織内に共通言語を形成してきたことが大きく影響していると感じています。
さらに、各社で次回の受講者選抜を行う際には、過去に受講した部長層が中心となって候補者を選定しているという話も聞いています。講座の内容を理解しているからこそ、本当に必要な人材を見極められるのだと思います。
そのほかにも、「受講後の発言や行動が積極的になった」「発想の幅が広がった」「昇格やキャリアアップにつながった」といった声を各社からいただいています。


「最初は不安でしたが、次第に研修が楽しみになりました」
受講前は正直大変そうだと思っていました。しかし受講を重ねる中で、講座受講の日が楽しみになっていきました。
ITSの発散技法に触れ、「こんな考え方があるのか」と驚きましたし、日々の業務にも生かせると感じました。特にアイデア発散ワークは非常に楽しかったです。
「異業種交流が大きな刺激になりました」
10年後のビジネスを考えるというテーマは簡単ではありませんでしたが、グループ会社との合同プログラムだからこそ、多様な価値観に触れることができました。
異業種交流を通じて多くの刺激を受け、自社だけでは得られない気付きを得ることができました。
「受講者の成長を間近で感じました」


ITS以外にも、複数のプログラムライセンスを活用しています。
受講者の階層や研修の目的に応じてプログラムライセンスを使い分けることで、人材育成施策の幅を広げることができています。
LIFOプログラム:
LIFOは、自己理解と他者理解を通じて、効果的なコミュニケーションスキルの習得を目的としたプログラムです。グループ会社の新入社員研修で活用しています。コミュニケーション力向上を目的として半日で実施しており、自己理解と他者理解を深めるツールとして高い効果を感じています。
⇒LIFOプログラム詳細はこちら
SBRPプログラム:
SBRPは、受講者が思考の柔軟性を持ち、困難を成長に変える力を身に付けることを目的としたプログラムです。グループ会社から希望者を募り、レジリエンス研修として実施しています。管理職研修として活用したこともあり、思考の書き換えを学ぶATCモデルは、逆境にしなやかに対応する力の育成に役立っています。
⇒SBRPプログラム詳細はこちら
HEPプログラム:
HEPは、セルフエスティーム(自己肯定感)や防衛行動のメカニズムを理解することで、自己理解を深めて行動の柔軟性を向上することを目的とした研修プログラムです。過去には、特定部署の管理職を対象に、2日間かけて実施しました。管理職としてのスキル向上だけでなく、自分自身と向き合い、振り返る機会として活用しています。
⇒HEPプログラム詳細はこちら


能登半島地震の影響もあり、管理職育成など一部の人材育成施策は中断していました。しかし今後は、HEPプログラムなども活用しながら育成体系をあらためて見直し、人材育成施策を再始動していきたいと考えています。
また、今後さらに重要になるのが生成AIとの融合です。
ITSを活用した研修では、すでに生成AIを組み込んだプログラム設計を進めていますが、今後は他の研修プログラムにも活用の幅を広げていきたいと考えています。
生成AIの活用方法だけを学ぶのではなく、「向き合い方」も同時に伝えていく中で、業務や人材育成の文脈の中で自然に活用できる形に落とし込みたいと思います。
そうする中で、より実践的で成果につながる教育プログラムへと進化させていきたいと考えています。
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