他者理解とは?その意味と必要な7つのこと─職場でできる施策も紹介
「他者理解に必要なことって何?」
「どうすれば、もっと人の気持ちがわかるようになるのだろう」
こんな疑問を抱えていませんか。
他者理解とは、自分とは異なる価値観や背景を持つ人の立場に立って考え、相手の感情や意図を理解することです。
そのためには、自己中心性を脱し、相手の視点から物事を見る力が必要です。
価値観が多様化していく社会にあって、他者理解の重要性が高まっています。企業においても、他者理解がチームワークや生産性の向上につながると注目されています。
この記事では、他者理解の意味や必要な要素について解説するとともに、職場における他者理解力を高める具体的な施策を紹介します。
他者理解の知識を身に付け、人間関係の構築や働きやすい職場づくりにお役立てください。
▼他者理解の前に、自己理解を深める方法については下記で解説しています。
⇒自己理解を深める方法とは!5つの情報源について詳しく解説
▼他者理解と自己理解を深めるワークショップについては下記で解説しています。
⇒行動特性を踏まえた自分・自己理解を深めるワークショップ(研修)とは!
▼自己理解については下記にまとめています。合わせてご覧ください。
目次[非表示]
- 1.「他者理解」の意味とは?
- 1.1.他者理解の心理学における定義
- 1.2.他者理解の有名な論文(理論)
- 1.3.自己理解と他者理解の関係
- 2.他者理解のために必要なこと
- 2.1.アクティブリスニング(積極的傾聴)
- 2.2.非言語コミュニケーションの理解
- 2.3.パースペクティブテイキング(視点取得)
- 2.4.オープンマインド
- 2.5.アンコンシャスバイアスの自覚
- 2.6.自己理解
- 2.7.感情マネジメント
- 3.社員の他者理解力を高める施策
- 3.1.自己理解・他者理解に関する研修の実施
- 3.2.自己理解・他者理解を深めるプログラムの導入
- 3.3.コミュニケーション研修
- 3.4.1on1ミーティングの導入
- 3.5.職場コミュニケーションの促進
- 4.まとめ
「他者理解」の意味とは?
最初に他者理解とは何か、その定義や背景について、確認していきましょう。
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他者理解の心理学における定義
心理学の分野では、他者理解について、さまざまな観点から研究がなされています。
ここでは「情動的共感[新井 澄人1] (affective empathy)」「認知的共感(cognitive empathy)」との2つの側面から、他者理解を紐解いてみましょう。
【他者理解の2つの側面】
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他者理解には、感情に寄り添う情動的な側面と、相手の心理状態を認知的に捉える側面の両方が含まれており、この2つの共感能力を統合的に発揮する必要があります。
これを踏まえて他者理解を定義するなら、自他の区別を踏まえたうえで、相手の視点に立って考え、感情を共有しようとする一連の心的プロセスといえるでしょう。
参考:Verywell Mind「Cognitive Empathy vs. Emotional Empathy」
他者理解の有名な論文(理論)
続いて、他者理解との関連のある理論をご紹介します。
専門的な学びを深めたい方は、以下をヒントに文献を探してみてください。
【他者理解との関連がある理論】
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これらの理論は、他者理解のメカニズムや発達過程、必要なスキルについて、多角的な視点から説明しています。
自己理解と他者理解の関係
他者理解を深めるためのキーワードとして、かならずセットで登場するのが、「自己理解」です。
自身の性格、価値観、思考パターンなどをよく理解することは、他者理解の土台となる重要なプロセスです。
なぜなら、自分を深く知れば、自分と他者の共通点や相違点を客観的に認識できるようになるからです。
【自己理解が他者理解につながる理由】
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このように、自己理解と他者理解は、表裏一体の関係にあるといえます。
▼自己理解を深める方法については、以下の記事をご確認ください。
⇒自己理解を深める方法とは!5つの情報源について詳しく解説
他者理解のために必要なこと
続いて、他者を理解する力を身に付けるためには何が必要なのか、具体的なスキルを見ていきましょう。ここでは、以下7つの要素を取り上げます。
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アクティブリスニング(積極的傾聴)
1つ目は「アクティブリスニング(積極的傾聴)」です。
アクティブリスニングは、相手の話に耳を傾け、意図をくみ取り、積極的に聞くことです。日本語訳は「積極的傾聴」が使われます。
全国保育サービス協会の資料における解説がわかりやすいので、以下に引用します。
相手から何らかの相談をされた際に、最初は「うん、うん」と聞いていたものの、いつの間にか「私も似たような経験があるんですよ」と、気づいたら自分の話をしていたという経験はありませんか?
あるいは、自分の経験や考え、価値観などに固執して、「答えありき」で相手の悩みや相談を聞いていたという経験はありませんか?
アクティブリスニングとは、相手が話している「言葉」を、単に耳で「聞く」のではなく、相手が置かれている状況や背景にある心情までをも理解しようと、一所懸命に「聞く」こと、すなわち「共感するという行為」です。「積極的傾聴」ともいいます。
出典:公益社団法人 全国保育サービス協会「元気・イキイキ読本」
単に話を聞くだけでなく、相手の感情や真意を、自ら能動的に理解しようと努める姿勢が鍵となります。具体的なテクニックとして、以下が挙げられます。
【アクティブリスニングを実践するテクニック】
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アクティブリスニングを実践すると、相手との信頼関係が深まり、建設的な対話が生まれます。表面的な会話ではなく、本音で語り合える関係性を築くために、ぜひ習得したいスキルです。
▼アクティブリスニングの練習の進め方は、以下の厚生労働省のページが参考になります。
傾聴練習の進め方(こころの耳:厚生労働省)
非言語コミュニケーションの理解
2つ目は「非言語コミュニケーションの理解」です。
人間のコミュニケーションでは、言語的なメッセージだけでなく、非言語的なサインも重要な意味を持ちます。
表情・視線・ジェスチャー・声のトーンなど、言葉にならないメッセージを読み取る力に長けていると、他者理解がしやすくなります。
【非言語コミュニケーションを読み解くポイント】
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非言語メッセージを丁寧に観察していくと、言葉だけではわからない相手の心の機微を、感じ取れるようになります。
パースペクティブテイキング(視点取得)
3つ目は「パースペクティブテイキング(視点取得)」です。
パースペクティブテイキング(Perspective Taking)とは、自分とは異なる他者の視点に立って考える力を指します。相手の立場に立って物事を見れば、より深く理解できます。
日常生活や仕事のさまざまな場面で、相手の立場を理解し、その人の視点から状況を捉えるスキルは非常に重要です。
【パースペクティブテイキングを実践するステップ】
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パースペクティブテイキングは訓練と経験によって、身に付く能力です。日々の人間関係の中で意識的に実践し、他者理解力を高めていきましょう。
オープンマインド
4つ目は「オープンマインド」です。
オープンマインドとは、先入観や固定概念に捉われず、新しいアイデアや異なる価値観を柔軟に受け入れ、幅広い視野で物事を捉える姿勢を指します。
他者理解の土台は、オープンマインドで多様性を大切にし、お互いの個性を認め合うことです。
【オープンマインドを養うアプローチ】
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自分の考えに固執せず、他者の視点から学ぼうとする謙虚な姿勢こそ、オープンマインドの本質です。
▼ダイバーシティ&インクルージョンの概念を学ぶことも役立ちます。以下の記事にてご確認ください。⇒ダイバーシティ&インクルージョンとは?意味や違い・取り組み事例
アンコンシャスバイアスの自覚
5つ目は「アンコンシャスバイアスの自覚」です。
アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)とは、自分でも気づかないうちに相手を決めつけてしまう心理的な傾向のことです。
前述のオープンマインドでいるために、障壁となるのがアンコンシャスバイアスです。誰もが持っている無意識の偏見を自覚することが、第一歩といえます。
【アンコンシャスバイアスに気づくチェックポイント】
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アンコンシャスバイアスを完全に取り除くことは難しいですが、「自分にも偏見がある」と自覚すれば、フェアで偏りのない他者理解に近づきます。
自分の無意識の偏見と向き合おうとする関心と勇気が、人間性の成熟につながるのです。
自己理解
6つ目は「自己理解」です。
本記事の前半でも触れましたが、他者理解を深めるためには、自己理解が重要な要素となります。
自分自身をよく知れば、他者との違いを相対的に捉えられるようになります。
【自己理解を深める方法】
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自己理解は、生涯を通じて取り組む長い旅路です。得た気づきを他者理解に生かしていきましょう。
具体的な研修やプログラムについては、次の章でご紹介していますので、このまま続けてご覧ください。
感情マネジメント
7つ目は「感情マネジメント」です。
感情マネジメントとは、自分の感情を適切にコントロールする能力のことです。
感情マネジメントが弱いと、相手の感情に巻き込まれすぎてしまい、冷静な判断力を失うリスクがあります。
自分の感情をコントロールし、適度な距離を維持しながら相手の気持ちを理解することが、効果的な他者理解につながります。
【感情マネジメントを実践するポイント】
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自己感情と他者感情のバランスに意識を向けながら、他者理解力を高めていきましょう。
▼自分の感情を適切にコントロールするためにはレジリエンスの啓発がポイントです。レジリエンスを高める研修については下記を参考にしてください。⇒レジリエンス研修とは?実施で得られる効果と代表的な5つの要素
以上の7つの要素を意識的に鍛えていけば、他者理解力は着実に向上するでしょう。
続いて以下では、企業において社員の他者理解力を高めるための施策をご紹介します。
社員の他者理解力を高める施策
組織として他者理解力を高めるためには、以下のような施策を実施すると、効果が期待できます。
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自己理解・他者理解に関する研修の実施
1つ目の施策は「自己理解・他者理解に関する研修の実施」です。
他者理解と自己理解のスキルを体系的に学ぶ研修を実施すれば、社員の意識と行動の変容を促せます。
具体的な教材としては、デイブ・ミッチェル氏の「より良い人間関係を築く自己理解・他者理解コース」の講座があります。
上記のような講座で知識を習得したうえで、ロールプレイングやワークを中心とした集合研修を実施すると、理解が深まるでしょう。
【効果的なワークの例】
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自己理解・他者理解を深めるプログラムの導入
2つ目の施策は「自己理解・他者理解を深めるプログラムの導入」です。
単発の研修だけではなく、継続的に能力開発を進めたい企業におすすめなのが、プログラムの導入です。
具体的には、自己理解・他者理解を深めるツール「LIFO(ライフォ)」プログラムがあります。行動科学に基づき、個人やグループの成功促進を目的に開発された理論で、自己理解・他者理解を土台としています。
LIFOの導入によって開発できるスキルは、以下のとおりです。
詳しくは以下の資料にてご確認ください。
コミュニケーション研修
3つ目の施策は「コミュニケーション研修」です。
コミュニケーション研修は、他者理解力の向上に大きく貢献します。コミュニケーションは、他者理解と密接に関係しているためです。
【コミュニケーション研修の例】
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日常の業務シーンを意識した実践的な内容とすれば、研修の学びを職場で生かしやすくなります。
▼コミュニケーション研修については下記で解説しています。
⇒コミュニケーション研修とは何をする?目的や具体的な内容・進め方
1on1ミーティングの導入
4つ目の施策は「1on1ミーティングの導入」です。
上司と部下の1対1の定期面談「1on1ミーティング」は、お互いの理解を深めるために有効な施策です。
【1on1ミーティングの効果】
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1on1の効果を高めるには、形式的に行うのではなく、率直に本音を言える関係性を築くことが大切です。お互いを理解しようと努力し合える1on1の文化を、組織全体に根付かせていきましょう。
より先進的に1on1に取り組むためには、前述の「LIFO」のプログラムを用いた1on1が効果的です。
以下に導入事例をご紹介していますので、あわせてご確認ください。
職場コミュニケーションの促進
5つ目の施策は「職場コミュニケーションの促進」です。
他者理解を深めるには、「職場の人間関係」を活性化させることが重要です。
普段から職場のコミュニケーションを促進する施策を講じれば、互いの理解が進みやすくなります。
【職場コミュニケーションを活性化するアイデア】
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▼職場コミュニケーション施策の詳細は、以下の記事をご覧ください。
まとめ
本記事では「他者理解」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
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他者を理解するために必要な7つのことは以下のとおりです。
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社員の他者理解力を高める施策として、以下をご紹介しました。
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他者理解は、個人の人間関係だけでなく、職場の雰囲気や組織のパフォーマンスにも大きな影響を与えます。
本記事をきっかけに、他者理解力を向上させ、よりよい人間関係の構築や、働きやすい職場づくりに役立てていただければ幸いです。
株式会社LDcubeでは他者理解にもつながる自己診断ツールLIFO(Life Orientations)を活用した、自己理解プログラムやコミュニケーション研修、ワークショップなどを展開しています。
また、他者理解、自己理解にとどまらず広く人間理解を促すためのヒューマン・エレメント・プログラム(HEP)を活用した研修会や行動の柔軟性を高めるワークショップも展開しています。
さらに、感情を適切にコントロールできるようになるためのレジリエンス研修の提供も行っています。
LDcubeの特徴は、これらの研修を我々がトレーナーとして提供するだけでなく、社内トレーナーを養成して社内展開できるサポートをしている点です。
他者理解や自己理解はビジネスパーソン誰しもに必要な要素であるため、多くの社員に受講してもらうことが組織力を高めることにつながります。研修を外部講師に委託し続けるとそれなりのコストがかかりますが、社内トレーナーが展開することでコストを抑えた展開が実現できます。
各種プログラムの無料体験会なども行っています。お気軽にご相談ください。
▼関連資料はこちらからダウンロードできます。
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