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他者理解とは?その意味と必要な7つのこと─職場でできる施策も紹介

「他者理解に必要なことって何?」
「どうすれば、もっと人の気持ちがわかるようになるのだろう」

こんな疑問を抱えていませんか。

他者理解とは、自分とは異なる価値観や背景を持つ人の立場に立って考え、相手の感情や意図を理解することです。

そのためには、自己中心性を脱し、相手の視点から物事を見る力が必要です。

他者理解①


価値観が多様化していく社会にあって、他者理解の重要性が高まっています。企業においても、他者理解がチームワークや生産性の向上につながると注目されています。

この記事では、他者理解の意味や必要な要素について解説するとともに、職場における他者理解力を高める具体的な施策を紹介します。

他者理解の知識を身に付け、人間関係の構築や働きやすい職場づくりにお役立てください。

▼他者理解に関連して、自己理解についてはテーマに合わせて下記で解説しています。

▼他者理解については下記にまとめています。合わせてご覧ください。

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この記事の監修者  株式会社LDcube 代表取締役 新井澄人  株式会社ビジネスコンサルタントで、講師派遣型の人材育成支援から始まり、社内トレーナーの養成による人材育成支援、デジタルツールを活用した人材育成のDX化の支援まで、中小企業から大企業まで20年にわたり幅広いコンサルティングに従事。 新入社員研修からOJTリーダー研修、若手社員研修、管理職研修、幹部研修、営業研修、デジタル学習環境づくりのコンサルテーションなどに自らもコンサルタントとして登壇しながらも、人材育成・組織活性化・営業強化において講師派遣型の枠を超えた支援を実現するため、ビジネスコンサルタントの子会社である株式会社LDcubeの設立と同時に代表取締役に就任。

目次[非表示]

  1. 1.「他者理解」の意味とは?
    1. 1.1.他者理解の心理学における定義
    2. 1.2.他者理解の有名な論文(理論)
    3. 1.3.自己理解と他者理解の関係
  2. 2.他者理解のために必要なこと
    1. 2.1.アクティブリスニング(積極的傾聴)
    2. 2.2.非言語コミュニケーションの理解
    3. 2.3.パースペクティブテイキング(視点取得)
    4. 2.4.オープンマインド
    5. 2.5.アンコンシャスバイアスの自覚
    6. 2.6.自己理解
    7. 2.7.感情マネジメント
  3. 3.社員の他者理解力を高める施策
    1. 3.1.自己理解・他者理解に関する研修の実施
    2. 3.2.自己理解・他者理解を深めるプログラムの導入
    3. 3.3.コミュニケーション研修
    4. 3.4.1on1ミーティングの導入
    5. 3.5.職場コミュニケーションの促進
  4. 4.社内講師が「他者理解」を促進している支援事例
  5. 5.まとめ

「他者理解」の意味とは?

他者理解①

最初に他者理解とは何か、その定義や背景について、確認していきましょう。

  1. 他者理解の心理学における定義
  2. 他者理解の有名な論文(理論)
  3. 自己理解と他者理解の関係

他者理解の心理学における定義

心理学の分野では、他者理解について、さまざまな観点から研究がなされています。

ここでは「情動的共感(affective empathy)」「認知的共感(cognitive empathy)」との2つの側面から、他者理解を紐解いてみましょう。

他者理解二つの側面

【他者理解の2つの側面】

  • 情動的共感(affective empathy):相手の感情状態に共鳴し、同じ感情を共有する力。他者の感情を理解し、同じ感動体験を共有したり同じ痛みを感じたりすること。
  • 認知的共感(cognitive empathy):他者の視点に立って、相手の気持ちや意図を理解する力。自分本位の考え方から離れ、相手の立場や状況を想像し、理解しようとすること。

他者理解には、感情に寄り添う情動的な側面と、相手の心理状態を認知的に捉える側面の両方が含まれており、この2つの共感能力を統合的に発揮する必要があります。

これを踏まえて他者理解を定義するなら、自他の区別を踏まえたうえで、相手の視点に立って考え、感情を共有しようとする一連の心的プロセスといえるでしょう。

参考:Verywell Mind「Cognitive Empathy vs. Emotional Empathy」

他者理解の有名な論文(理論)

続いて、他者理解との関連のある理論をご紹介します。

専門的な学びを深めたい方は、以下をヒントに文献を探してみてください。

【他者理解との関連がある理論】

これらの理論は、他者理解のメカニズムや発達過程、必要なスキルについて、多角的な視点から説明しています。

自己理解と他者理解の関係

他者理解を深めるためのキーワードとして、かならずセットで登場するのが、「自己理解」です。

自身の性格、価値観、思考パターンなどをよく理解することは、他者理解の土台となる重要なプロセスです。

なぜなら、自分を深く知れば、自分と他者の共通点や相違点を客観的に認識できるようになるからです。

自己理解と他者理解

【自己理解が他者理解につながる理由】

  • 自分の感情の特性を知る
    自分がどんな場面でどのように感じるのか、その感情にどう反応するのかを把握すると、他者の心情や行動を想像し、共感的に理解しやすくなります。
  • 自分の思考パターンに気づく
    自分の考え方の癖に気づけば、他者の立場に立って多角的に物事を捉えられるようになります。
  • 自分を受容する
    短所も含めた自分自身を受け入れると、他者もまた、自分と同様に完璧ではないと理解できるようになります。他者をありのままに受け入れる心の醸成につながります。

このように、自己理解と他者理解は、表裏一体の関係にあるといえます。

⇒他者理解・自己理解・コミュニケーションについてのお問い合わせはこちらから。

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他者理解のために必要なこと

他者理解⑤

続いて、他者を理解する力を身に付けるためには何が必要なのか、具体的なスキルを見ていきましょう。ここでは、以下7つの要素を取り上げます。

  1. アクティブリスニング(積極的傾聴)

  2. 非言語コミュニケーションの理解

  3. パースペクティブテイキング(視点取得)
  4. オープンマインド
  5. アンコンシャスバイアスの自覚
  6. 自己理解
  7. 感情マネジメント

アクティブリスニング(積極的傾聴)

1つ目は「アクティブリスニング(積極的傾聴)」です。

アクティブリスニングは、相手の話に耳を傾け、意図をくみ取り、積極的に聞くことです。日本語訳は「積極的傾聴」が使われます。

全国保育サービス協会の資料における解説がわかりやすいので、以下に引用します。

相手から何らかの相談をされた際に、最初は「うん、うん」と聞いていたものの、いつの間にか「私も似たような経験があるんですよ」と、気づいたら自分の話をしていたという経験はありませんか?

あるいは、自分の経験や考え、価値観などに固執して、「答えありき」で相手の悩みや相談を聞いていたという経験はありませんか?

アクティブリスニングとは、相手が話している「言葉」を、単に耳で「聞く」のではなく、相手が置かれている状況や背景にある心情までをも理解しようと、一所懸命に「聞く」こと、すなわち「共感するという行為」です。「積極的傾聴」ともいいます。
 
出典:公益社団法人 全国保育サービス協会「元気・イキイキ読本」

単に話を聞くだけでなく、相手の感情や真意を、自ら能動的に理解しようと努める姿勢が鍵となります。具体的なテクニックとして、以下が挙げられます。

【アクティブリスニングを実践するテクニック】

  • リフレクティング
    「すごく嫌だったんですね」など、相手の発言をそのまま繰り返し、理解度を示し、さらなる説明を促します。いわゆるオウム返しですが、「あなたの話を聞いていますよ」というメッセージを伝えられます。
  • オープンクエスチョン
    「なぜそのように感じたのですか?」など、一言では答えられない質問を投げかけます。YesかNoで答えられる質問ではなく、相手の考えを引き出す工夫が大切です。
  • サマライジング(要約)
    相手の話の要点を整理し、「つまり、○○ということですね」と伝え返します。ポイントを要約すれば、理解度を確認し、誤解を防げます。
  • アイコンタクト
    相手の目を見ながら適度に頷くと、真剣に聞いている姿勢を示せます。視線を合わせることは、「あなたに関心があります」という積極的なサインにもなります。
  • サイレンス(沈黙)
    相手が考えをまとめている間は、じっくりと待つことが大切です。沈黙を恐れずに、相手が語り出すのを根気強く待ちましょう。ゆったりとした間合いが、相手の心を開きます。

アクティブリスニングを実践すると、相手との信頼関係が深まり、建設的な対話が生まれます。表面的な会話ではなく、本音で語り合える関係性を築くために、ぜひ習得したいスキルです。

▼アクティブリスニングの練習の進め方は、以下の厚生労働省のページが参考になります。
傾聴練習の進め方(こころの耳:厚生労働省)

非言語コミュニケーションの理解

2つ目は「非言語コミュニケーションの理解」です。

人間のコミュニケーションでは、言語的なメッセージだけでなく、非言語的なサインも重要な意味を持ちます。

表情・視線・ジェスチャー・声のトーンなど、言葉にならないメッセージを読み取る力に長けていると、他者理解がしやすくなります。

【非言語コミュニケーションを読み解くポイント】

  • 表情の変化
    喜怒哀楽など、相手の感情の変化を表情から察知しましょう。微妙な表情の動きを見逃さないよう、相手の顔に注目します。表情は、心の状態を如実に表します。
  • 視線
    目の動きは、興味関心の所在を物語ります。相手の視線が向かう先を追えば、関心事が見えてきます。目を伏せたり、そらしたりする仕草にも意味があります。
  • ボディランゲージ
    身振り手振りや姿勢の変化から、相手の感情や意図を推測します。腕を組む、身体を前傾させる、手で顔を覆うなど、体の動きは心の動きと連動しています。
  • 声のトーン
    声の高低、速度、抑揚などから、相手の感情や真意を読み取ります。声のトーンは、言葉の裏に隠された本音を知るための重要な手がかりになります。
  • 話すスピード
    早口になったり、言葉を詰まらせたりする変化から、心理状態を探ります。話すスピードは、感情の高ぶりや思考の混乱を反映しています。

非言語メッセージを丁寧に観察していくと、言葉だけではわからない相手の心の機微を、感じ取れるようになります。

パースペクティブテイキング(視点取得)

3つ目は「パースペクティブテイキング(視点取得)」です。

パースペクティブテイキング(Perspective Taking)とは、自分とは異なる他者の視点に立って考える力を指します。相手の立場に立って物事を見れば、より深く理解できます。

日常生活や仕事のさまざまな場面で、相手の立場を理解し、その人の視点から状況を捉えるスキルは非常に重要です。

【パースペクティブテイキングを実践するステップ】

  • 状況分析
    相手の置かれた状況を詳細に把握します。環境要因や背景事情など、事実関係を整理することが重要です。
  • 価値観の想像
    相手にとって大切なものは何か、どのような信念を持っているかを想像します。価値観の違いを認識することが、相手の行動を理解する鍵となります。
  • 立場の置き換え
    「もし自分があの人の立場だったら?」と仮定します。同じ状況に置き換えた時、どう感じ、考え、行動するかをイメージしてみましょう。

  • 意図の読み取り
    相手の言動の背後にある真意を推し量ります。表面的な言葉や行動に捉われず、その裏にある本当の意図をくみ取ることを心がけます。

パースペクティブテイキングは訓練と経験によって、身に付く能力です。日々の人間関係の中で意識的に実践し、他者理解力を高めていきましょう。

オープンマインド

4つ目は「オープンマインド」です。

オープンマインドとは、先入観や固定概念に捉われず、新しいアイデアや異なる価値観を柔軟に受け入れ、幅広い視野で物事を捉える姿勢を指します。

他者理解の土台は、オープンマインドで多様性を大切にし、お互いの個性を認め合うことです。

【オープンマインドを養うアプローチ】

  • 先入観のリセット
    「こうに違いない」と決めつけるのではなく、中立的な立場で相手と向き合います。先入観は、理解の妨げになります。自分の思い込みをリセットしましょう。
  • 背景を想像する
    相手のものの見方や価値観が形成された背景を想像します。育った環境や今までの経験、置かれた状況など、相手の背景を知れば、理解が深まります。
  • ジャッジしない
    相手の意見に反射的に反論するのではなく、一旦は受け止める姿勢を心がけましょう。批判や評価を控え、あるがままを受け入れることが大切です。
  • マイノリティを受容する
    一般論にとらわれず、例外的な状況や特殊事情にも目を向けます。少数意見や異質な存在を排除せず、包み込む姿勢を心がけましょう。

自分の考えに固執せず、他者の視点から学ぼうとする謙虚な姿勢こそ、オープンマインドの本質です。

▼ダイバーシティ&インクルージョンの概念を学ぶことも役立ちます。以下の記事にてご確認ください。⇒ダイバーシティ&インクルージョンとは?意味や違い・取り組み事例

アンコンシャスバイアスの自覚

5つ目は「アンコンシャスバイアスの自覚」です。

アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)とは、自分でも気づかないうちに相手を決めつけてしまう心理的な傾向のことです。

前述のオープンマインドでいるために、障壁となるのがアンコンシャスバイアスです。誰もが持っている無意識の偏見を自覚することが、第一歩といえます。

【アンコンシャスバイアスに気づくチェックポイント】

  • 固定観念チェック
    特定の属性を持つ人に対して、固定観念で判断していないか振り返ります。「女性だから」「外国人だから」といった思い込みが潜んでいないかを点検します。
  •  類似性バイアス(自分に似ている人を好む傾向)の観察
    自分と似通った特徴を持つ人を優遇する傾向がないか内省します。共通点が多いからといって、過剰に肯定的に評価していないか気をつけましょう。
  •  ルッキズム(外見重視の偏見)への気づき
    容姿や第一印象だけで相手の能力や人格を決めつけていないか自問します。外見に惑わされず、内面を見る目を養うことが大切です。
  •  多様性の尊重
    「〇〇な人は皆××だ」と決めつけていないか振り返ります。個人差や特殊事情を考慮し、多様性を認める柔軟な姿勢を保ちましょう。
  •  思い込みへの疑い
    無意識に抱いている思い込みを常に疑い、問い直す姿勢を持ちましょう。「本当にそうだろうか?」「別の見方はないだろうか?」と自問自答することが重要です。

アンコンシャスバイアスを完全に取り除くことは難しいですが、「自分にも偏見がある」と自覚すれば、フェアで偏りのない他者理解に近づきます。

自分の無意識の偏見と向き合おうとする関心と勇気が、人間性の成熟につながるのです。

自己理解

6つ目は「自己理解」です。

本記事の前半でも触れましたが、他者理解を深めるためには、自己理解が重要な要素となります。

自分自身をよく知れば、他者との違いを相対的に捉えられるようになります。

【自己理解を深める方法】

  • セルフアセスメント(自己評価)
    長所や短所、価値観、こだわりなど、自分の特性を言葉にしてみましょう。自己分析シートなどを活用し、客観的に自分を見つめ直します。
  •  フィードバック収集
    周囲の人から率直な意見を聞きます。「自分はどう見えているのか」を知れば、新たな気づきが得られます。
  •  パーソナリティ診断
    性格診断などの心理テストを受け、客観的なデータから自分の傾向を把握します。ただし、結果をうのみにはせず、参考程度に活用します。
  •  ライフヒストリーの振り返り
    これまでの人生の歩みを振り返ります。過去の経験を分析すれば、自分の行動パターンや特徴が見えてきます。
  •  内省の時間確保
    日々の出来事を振り返り、自分の感情や思考を見つめる時間を作ります。瞑想や日記など、自分に合った方法で内省することが大切です。

自己理解は、生涯を通じて取り組む長い旅路です。得た気づきを他者理解に生かしていきましょう。

具体的な研修やプログラムについては、次の章でご紹介していますので、このまま続けてご覧ください。

▼自己理解については下記で解説しています。
⇒自己理解はなぜ必要?個人と組織の成長の観点から解説!

感情マネジメント

7つ目は「感情マネジメント」です。

感情マネジメントとは、自分の感情を適切にコントロールする能力のことです。

感情マネジメントが弱いと、相手の感情に巻き込まれすぎてしまい、冷静な判断力を失うリスクがあります。

自分の感情をコントロールし、適度な距離を維持しながら相手の気持ちを理解することが、効果的な他者理解につながります。

【感情マネジメントを実践するポイント】

  • 感情のラベリング
    自分の感情に向き合い、言葉で定義づけします。「今、怒りを感じている」「悲しさが込み上げてくる」など、言語化は感情への気づきを高め、制御しやすくする効果があります。
  •  自分の感情と距離を保つ
    感情に流されすぎないよう、自分の感情と適度な距離を保ちます。一呼吸を置いて、冷静さを取り戻す習慣を持ちましょう。
  •  共感のバランス
    他者と接するときは、相手の気持ちに寄り添いつつも、自分を見失わないよう注意します。共感と客観性のバランスが取れていれば、感情的に巻き込まれることなく、相手の立場に立った理解ができるようになります。
  •  ストレスコーピング(ストレス対処):
    怒りや不安などのネガティブな感情を抱えているときには、上手に対処します。深呼吸やリラクゼーション、運動、マインドフルネス瞑想など、ストレス解消法を身に付けましょう。

自己感情と他者感情のバランスに意識を向けながら、他者理解力を高めていきましょう。

▼自分の感情を適切にコントロールするためにはレジリエンスの啓発がポイントです。レジリエンスを高める研修については下記を参考にしてください。⇒レジリエンス研修とは?実施で得られる効果と代表的な5つの要素

以上の7つの要素を意識的に鍛えていけば、他者理解力は着実に向上するでしょう。

他者理解⑦続いて以下では、企業において社員の他者理解力を高めるための施策をご紹介します。

他者理解バナー

社員の他者理解力を高める施策

他者理解⑧

組織として他者理解力を高めるためには、以下のような施策を実施すると、効果が期待できます。

  1. 自己理解・他者理解に関する研修の実施
  2. 自己理解・他者理解を深めるプログラムの導入
  3. コミュニケーション研修
  4. 1on1ミーティングの導入
  5. 職場コミュニケーションの促進

自己理解・他者理解に関する研修の実施

1つ目の施策は「自己理解・他者理解に関する研修の実施」です。

他者理解と自己理解のスキルを体系的に学ぶ研修を実施すれば、社員の意識と行動の変容を促せます。

具体的な教材としては、デイブ・ミッチェル氏の「より良い人間関係を築く自己理解・他者理解コース」の講座があります。

自己理解・他者理解コース

出典:より良い人間関係を築く自己理解・他者理解コース①

上記のような講座で知識を習得したうえで、ロールプレイングやワークを中心とした集合研修を実施すると、理解が深まるでしょう。

【効果的なワークの例】

  • 自己分析ワーク
    自分の性格や価値観、行動パターンを言語化し、グループで共有します。他者からのフィードバックは、自己理解を深めるきっかけとなります。
  •  パースペクティブテイキング(視点取得)ワーク
    与えられたシナリオをもとに、登場人物の立場に立って考えを述べ合います。多様な視点があることを体感できます。

  •  感情マネジメントロールプレイング
    感情的な対立場面を設定し、適切な感情コントロールを実践する演習を行います。冷静な対応力が身に付きます。

自己理解・他者理解を深めるプログラムの導入

2つ目の施策は「自己理解・他者理解を深めるプログラムの導入」です。

単発の研修だけではなく、継続的に能力開発を進めたい企業におすすめなのが、プログラムの導入です。

具体的には、自己理解・他者理解を深めるツール「LIFO(ライフォ)」プログラムがあります。行動科学に基づき、個人やグループの成功促進を目的に開発された理論で、自己理解・他者理解を土台としています。

LIFOとは

LIFOの導入によって開発できるスキルは、以下のとおりです。

LIFOで開発できるスキル

詳しくは以下の資料にてご確認ください。

LIFO資料

コミュニケーション研修

3つ目の施策は「コミュニケーション研修」です。

コミュニケーション研修は、他者理解力の向上に大きく貢献します。コミュニケーションは、他者理解と密接に関係しているためです。

【コミュニケーション研修の例】

  • アクティブリスニング演習
    ペアを組み、一方が話し手、もう一方が聞き手となって対話を行います。聞き手は相手の話を傾聴し、適切に応答する練習をします。
  • 質問力向上トレーニング
    オープンクエスチョンの仕方など、相手の考えを引き出す問いかけ方を練習しましょう。
  • 異文化コミュニケーション
    多様な価値観を持つメンバーとの付き合い方を考えるプログラムも有用です。

日常の業務シーンを意識した実践的な内容とすれば、研修の学びを職場で生かしやすくなります。

▼コミュニケーション研修については下記で解説しています。
⇒コミュニケーション研修とは何をする?目的や具体的な内容・進め方

1on1ミーティングの導入

4つ目の施策は「1on1ミーティングの導入」です。

上司と部下の1対1の定期面談「1on1ミーティング」は、お互いの理解を深めるために有効な施策です。

【1on1ミーティングの効果】

  • 部下の考えや感情を知る
    普段は言いづらいことも、「2人の時間」であれば話してもらいやすくなります。
  •  部下の成長を支援する
    部下の目標や悩みを理解したうえで、的確な助言とフィードバックを提供できます。
  •  信頼関係が深まる
    定期的に向き合う時間を作れば、お互いをわかり合えている実感が生まれます。
  •  心理的安全性が高まる
    上司との信頼関係ができれば、部下はより安心して仕事に臨めるようになるでしょう。

1on1の効果を高めるには、形式的に行うのではなく、率直に本音を言える関係性を築くことが大切です。お互いを理解しようと努力し合える1on1の文化を、組織全体に根付かせていきましょう。

より先進的に1on1に取り組むためには、前述の「LIFO」のプログラムを用いた1on1が効果的です。

以下に導入事例をご紹介していますので、あわせてご確認ください。

職場コミュニケーションの促進

5つ目の施策は「職場コミュニケーションの促進」です。

他者理解を深めるには、「職場の人間関係」を活性化させることが重要です。

普段から職場のコミュニケーションを促進する施策を講じれば、互いの理解が進みやすくなります。

【職場コミュニケーションを活性化するアイデア】

  • ジョブトライアル:
    他部署の業務を一定期間体験することで、異なる立場への理解が深まります。
  • ピアボーナス
    感謝や称賛の意味を込めて、メンバー同士で少額のボーナス(報酬)を贈り合う仕組みです。
  • シャッフルランチ
    ランダムに選ばれたメンバーでランチをともにする機会を、定期的に設けます。
  • 部門横断プロジェクト
    多様なバックグラウンドを持つメンバーと協働することで、幅広い視野を養えます。
  • フリーアドレス
    固定席がなく、日々自由に仕事をする席を選べるオフィスの形態です。

▼職場コミュニケーション施策の詳細は、以下の記事をご覧ください。

他者理解バナー

社内講師が「他者理解」を促進している支援事例

リコージャパン株式会社 人事・コーポレート本部 人財開発センター 人財開発部 部長 武田 佳祐 様  リコーグループは、日本、米国、欧州、アジア・パシフィックに拠点を置き、全世界約200の国と地域で事業を展開しているグローバルカンパニーです。2036年に創業100周年を迎えるリコーグループは、「”はたらく”に歓びを」という価値観を基に持続可能な未来をつくる活動をしています。 「人のこころとからだに携わり、現場に寄り添った教育施策を実現したい」という個人の想いを持ち、活動しています。

リコージャパン株式会社
社員数:18,000名以上

ここでは、社内講師がコミュニケーション研修を実施して、社員の自己理解と他者理解を促している事例を紹介します。

背景・課題:

リコージャパン株式会社では、2010年の販売会社統合以降、各支社の固有の課題に対応できず、教育施策が本部主導で一方的になるなどの課題がありました。また、縦割り組織文化がコミュニケーションの希薄化を招いていました。これらの課題を解決するために、社員自らが強みや弱みを理解し合い、横のつながりを強化する取り組みが求められていました。

LIFOプログラム(社内トレーナーライセンス)の導入:

その中で、LIFOを導入しました。LIFOの活用を通じて、社員一人一人の個性を診断し、自己理解と他者理解を促進しました。これにより、飲み会などでの非公式なコミュニケーションが減少する中でも、社員同士の人間関係を深めるための新たな手段を提供することができるようになりました。
また、LIFOライセンスを取得することで、社内トレーナーが自主的に研修を行えるようになり、組織風土改革を進めました。LDcubeとの協力により、多様なワークショップを展開し、各支社が抱える具体的な課題に対応できるようになりました。

社内展開:

プログラムの展開においては、事前のLIFO診断、ワークショップの実施、職場での実践、効果検証のサイクルを組み込みました。参加者は、研修後の職場実践を通じて得られたスキルを評価し合い、PDCAサイクルを回すことで、持続的なスキルアップを図っています。ラーニングプラットフォーム「UMU」を活用し、受講者同士が学び合う環境を整備しました。

社内トレーナーによる研修実施後の反応:

導入後、プログラム受講者の満足度は高く、多くの支社で「対人関係」や「マネジメント能力」などにおいて数値的な改善が見られました。LIFOを活用したレクチャーは「人」の問題の解決に寄与し、特にアウトプット重視の体験学習が効果的だったとされています。UMUの活用と一連の学習サイクルの設計により、事務局の負担軽減と学習効果の向上が実現しました。

今後に向けて:

今後は、各支社や部門の課題に寄り添い、人材育成を継続的にサポートすることで、社員個々の自己成長と組織全体の活性化をさらに推進する予定です。また、導入されたプログラムは、社員の特性に基づく行動変容を促すとともに、他部門にも勧められる内容として評価されています。
これにより、組織内のさまざまな課題を解決し、全体の一体感を更に高められることが期待されています。

▼本事例はインタビュー記事の一部です。インタビュー記事全文はこちらからご覧ください。

LIFO資料ボタン

まとめ

本記事では「他者理解」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

  • 他者理解とは、自分とは異なる価値観や背景を持つ人の立場に立って考え、相手の感情や意図を理解しようとする姿勢のこと。
  • 他者理解を深めるためには、自己中心性を脱し、相手の視点から物事を見る力が必要となる。

他者を理解するために必要な7つのことは以下のとおりです。

  1. アクティブリスニング(積極的傾聴)
  2. 非言語コミュニケーションの理解
  3. パースペクティブテイキング(視点取得)
  4. オープンマインド
  5. アンコンシャスバイアスの自覚
  6. 自己理解
  7. 感情マネジメント

社員の他者理解力を高める施策として、以下をご紹介しました。

  1. 自己理解・他者理解に関する研修の実施
  2. 自己理解・他者理解を深めるプログラムの導入
  3. コミュニケーション研修
  4. 1on1ミーティングの導入
  5. 職場コミュニケーションの促進

他者理解は、個人の人間関係だけでなく、職場の雰囲気や組織のパフォーマンスにも大きな影響を与えます。

本記事をきっかけに、他者理解力を向上させ、よりよい人間関係の構築や、働きやすい職場づくりに役立てていただければ幸いです。

株式会社LDcubeでは他者理解にもつながる自己診断ツールLIFO(Life Orientations)を活用した、自己理解プログラムやコミュニケーション研修、ワークショップなどを展開しています。

また、他者理解、自己理解にとどまらず広く人間理解を促すためのヒューマン・エレメント・プログラム(HEP)を活用した研修会や行動の柔軟性を高めるワークショップも展開しています。

さらに、感情を適切にコントロールできるようになるためのレジリエンス研修の提供も行っています。

LDcubeの特徴は、これらの研修を我々がトレーナーとして提供するだけでなく、社内トレーナーを養成して社内展開できるサポートをしている点です。

他者理解や自己理解はビジネスパーソン誰しもに必要な要素であるため、多くの社員に受講してもらうことが組織力を高めることにつながります。研修を外部講師に委託し続けるとそれなりのコストがかかりますが、社内トレーナーが展開することでコストを抑えた展開が実現できます。

各種プログラムの無料体験会なども行っています。お気軽にご相談ください。

▼関連資料はこちらからダウンロードできます。

他者理解バナーLIFO資料

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LDcube編集部
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株式会社ビジネスコンサルタント時代から約60年、人材開発・組織開発に携わってきた知見をもとに、現代求められる新たな学びについて、ノウハウや知見をお届けします。

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