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リーダーシップがある人とは?5つの特徴と育成する方法を詳しく解説

「リーダーシップがある人って、どういう共通点があるのだろうか?」
「自分もリーダーシップがある人になることは可能かな?」

「リーダーシップがある人」に憧れているものの、なかなか難しいとお悩みの方は多いのではないでしょうか。また、組織において「リーダーシップがある人」を見つけて育成したいものの、リーダー候補がなかなか見つからないという企業担当者もいるかもしれません。

この記事では、「そもそもリーダーシップとは何か」を含めて、「リーダーシップがある人」がどういう特徴を持つか整理して解説していきます。

なお、詳しくは記事内で解説しますが、リーダーシップは生まれつきのものではなく、後天的に獲得することも可能という考えが現代では主流です。

一方で、目指すべきリーダーシップの理想像は、組織やメンバー、部署によっても異なることがほとんどです。そのため、実は、「どのようなリーダーシップを理想とするのか」を考えることも非常に重要となります。

自社に合う「次世代リーダーを育てたい」という企業担当者にも参考になる情報をまとめているので、ぜひ参考になさってみてください。

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目次[非表示]

  1. 1.「リーダーシップがある人」とは?
    1. 1.1.そもそもリーダーシップとは
    2. 1.2.リーダーシップの定義は時代とともに変遷してきた
  2. 2.「リーダーシップがある人」が共通して持つ特徴5個
    1. 2.1.洞察力・協調性:周囲と良好なコミュニケーションを取れる
    2. 2.2.求心力・影響力:他のメンバーを引っ張っていく力を持っている
    3. 2.3.説得力:発言や行動に説得力がある
    4. 2.4.レジリエンス:困難を乗り越えてチャレンジし続けられる
    5. 2.5.決断力:迅速に最適な意思決定を行うことができる
  3. 3.リーダーシップは訓練で身につけることが可能
  4. 4.組織によって求められるリーダーシップの種類は違ってくる
  5. 5.組織に合う「リーダーシップがある人」を育てる方法6ステップ
    1. 5.1.ステップ1:リーダーシップ開発の目的・目標を明確にする
    2. 5.2.ステップ2:現状を分析してニーズを特定する
    3. 5.3.ステップ3:プログラムを設計する
    4. 5.4.ステップ4:予算とリソースを確保する
    5. 5.5.ステップ5:参加者を選定する
    6. 5.6.ステップ6:プログラムを実施する
  6. 6.組織に合う「リーダーシップがある人」を育成するポイント
    1. 6.1.​​​​​​​ポイント1:自社が求めるリーダーシップとは何かを明確にする
    2. 6.2.ポイント2:座学だけでなく実践を通じてリーダーシップを育む
    3. 6.3.ポイント3:カスタマイズが可能など柔軟に対応できる研修会社を選択する
  7. 7.まとめ

「リーダーシップがある人」とは?

「リーダーシップがある人になりたい」「リーダーシップのある社員を育成したい」という具体的な方法を考える前に、まずは「リーダーシップがある人」とはどういう人なのかを正しく理解することがとても大切です。

そのために、「リーダーシップ」の定義をしっかりと理解していきましょう。

そもそもリーダーシップとは

リーダーシップとは、指導者(リーダー)としての素質・能力・統率力を意味する言葉です。

つまり、「リーダーシップがある人」というのは、指導者(リーダー)としての素質や能力、統率力を持っている人、ということになります。指導者(リーダー)に向いている人、と定義することもできるかもしれません。

これだと定義が曖昧なのでもう少し踏み込むと、リーダーシップとは、他の社員を導いて、組織全体の目標達成に導く能力を持っている人ということができます。また、チームを導いていくために、目標設定能力や強い指導力、効果的なコミュニケーション能力、論理的思考力を持っている人も「リーダーシップがある人」と言われることが多いでしょう。

実在の人物としては、Appleの共同創業者であるスティーブ・ジョブズや、Microsoftを創業したビル・ゲイツ、京セラや第二電電(現KDDI)を創業した稲盛和夫、ソフトバンクグループを創った孫正義などが、リーダーシップのある経営者として知られています。

ただし、「指導者としての素質・能力・統率力」がどういうものを示すかは、時代とともに変化してきており、さらには会社によっても違ってくることに留意しなければなりません。

リーダーシップの定義は時代とともに変遷してきた

リーダーシップに関する研究には歴史があり、リーダーシップの定義は時代とともに変遷してきた過去があります。

リーダーシップ研究初期の「特性理論」では、「リーダーシップは生まれ持った資質である」とされ、優れたリーダーに共通して見られる資質や特性を解明しようと試みる研究が行われていました。しかしながらこの特性理論では、優れたリーダーの特性を見つけることができず行き詰まってしまいました。

20世紀になるとピネーやシモンらの心理学者が登場し、特性理論から行動理論へと変遷していきます。これにより、リーダーシップは生まれ持った特性だけではなく、状況や組織文化などさまざまな要因で後天的に獲得するものだという考え方が主流になってきました。

現代では、リーダーシップはスキル・知識を習得することにより習得が可能であり、組織の特定のニーズに合わせてリーダーを育成できるという考え方が一般的です。

▼目指すべきリーダーシップの形も変化しつつあります。これについては「次世代リーダー育成の【最重要ポイント】とは!? その鍵はタスクアサイン!」の記事もお読みください。

「リーダーシップがある人」が共通して持つ特徴5個

ここからは、「リーダーシップがある人」がどういうものか、さらに理解するために、リーダーシップがある人の多くが共通して持つ5つの特徴を解説していきます。

「リーダーシップがある人」が共通して持つ特徴5個

  • 洞察力・協調性:周囲と良好なコミュニケーションを取れる
  • 求心力・影響力:他のメンバーを引っ張っていく力を持っている
  • 説得力:発言や行動に説得力がある
  • レジリエンス:困難を乗り越えてチャレンジし続けられる
  • 決断力:迅速に最適な意思決定を行うことができる

それぞれの特徴について、具体例なども交えながら詳しく解説していきます。

洞察力・協調性:周囲と良好なコミュニケーションを取れる

リーダーシップを発揮できる人は、周囲のメンバーから信頼を勝ち取り共通の目標に向けて先導していける力を持っている人物です。そのため、洞察力や協調性を持ち、周囲と良好なコミュニケーションを取ることができる能力を持っています。

「リーダーシップがある人」が持つ洞察力・協調性の例

  • メンバーの意見や態度から、隠れた本音やニーズを素早く察知できる
  • 問題の本質を見抜くことができ、解決策を的確に周囲に提示できる
  • メンバーの強みと弱みを把握し、それを活かした役割分担を行う
  • チームメンバーの意見を尊重し、全員が納得できるような議論を進められる
  • 対立や誤解が生じた際に、冷静に仲裁して、建設的な解決を導ける
  • 多様な価値観や文化を持つ人々と柔軟に協働できる
  • 自分の意見を主張しつつも、必要に応じて相手の意見を受け入れる姿勢を持つ

周囲と距離を置いていたり、周囲から苦手と思われていたりするリーダーでは、チームが一丸となって共通のゴールに向かって邁進していくことは難しいでしょう。

また、メンバーを日頃から良く観察して、相手に合わせたアドバイスや指示の仕方、育成方法を実践できる能力も重要です。メンバーからの信頼を勝ち取ることで、目標達成に必要な業務を遂行できるからです。

「同僚や部下が困っていたら話を聞く」「ビジネスマナーを守った上で組織の規範となるような行動を取ることができる」など、周囲からの信頼を勝ち取ることで、「このリーダーになら付いていきたい」と思われることが重要です。

▼コミュニケーション能力については、以下の記事もぜひ参考になさってください。
コミュニケーション能力が高い人の特徴6つ!アップさせる方法も解説

求心力・影響力:他のメンバーを引っ張っていく力を持っている

周囲のメンバーを率先して引っ張っていくための「求心力」や「影響力」を持っているのも、リーダーシップのある人が共通して持っている特徴といえます。

いくら周囲から信頼されていても、発言力がなかったり人を先導する力がなかったりする人は、リーダーシップを発揮することはできないでしょう。

ただし、他のメンバーを引っ張っていく方法は組織によってやり方がさまざまあります。

強い求心力を持って率先してチームを引っ張っていくタイプもあれば、他のメンバーと肩を並べて一緒に目標に向かって行くようなリーダーシップのタイプもあります。

​​​​​​​いずれにしても、周囲のメンバーと良好な関係を保ちつつ、ゴールに向かって進める力を持っている必要があります。

説得力:発言や行動に説得力がある

発言や行動に説得力が伴っていることも、リーダーシップがある人が共通して持つ特徴のひとつです。説得力がある発言・行動ができるリーダーは、周囲に肯定されて信頼され、問題解決に向かって進んでいくことができます。

説得力がなければ、いくらリーダーや上司として発言の機会を与えられても、周囲からの信頼や賞賛を得ることはできないでしょう。また、発言に説得力があったとしても行動が伴っていなければ、「口ばかり」と思われてしまい、真に信頼されることは難しいでしょう。

リーダーシップを発揮できる「説得力」の例としては、以下のようなものがあります。

「リーダーシップがある人」が持つ説得力の例

  • 目標に必要な数値について、データに基づいた理由を説明することができる
  • 実際の事例や理論にもとづいた、適切なアドバイスを行うことができる
  • 部下の現在の能力に合わせて、それぞれに合致した解決策を提示してくれる
  • 行動を求めるだけでなく、自らが部下の規範となるような行動を取ることができる

上記のような説得力のある発言や行動ができているか、確認してみましょう。

レジリエンス:困難を乗り越えてチャレンジし続けられる

リーダーシップがある人は、共通して、「レジリエンス(回復力・耐久力・再起力)」を持っています。レジリエンスとは、困難やストレスに直面しても、自信を回復し、前進し続ける能力のことを指します。

リーダーは組織内の混乱や困難な状況を解決し、チームを成功に向けて動かす役割を果たすため、高いレジリエンスを持つことが求められます。リーダーが少しの失敗で落ち込んでいるようでは、目標達成を実現することは難しいでしょう。

リーダーが前向きに困難と対峙する姿を見せることで、部下もリーダーの行動と姿勢を模倣しようとする効果もあります。それがまた高いリーダーシップを形成することにもつながります。

このような高いレジリエンスを持つリーダーシップを発揮することで、それが部下に伝わり、チームや職場全体のレジリエンスを底上げすることも可能です。

▼レジリエンスは先天的な特性ではなく、学びや経験を通じて培うことができる能力です。さらに詳しくは、「レジリエンスがリーダーに必要な理由!ポイントや研修など解説」の記事もご覧ください。

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決断力:迅速に最適な意思決定を行うことができる

リーダーシップのある人は、スピーディかつ最適な意思決定を行う「決断力」を持っています。組織の中で最終的な決断を行うのはリーダーであり、決断が遅かったり間違った決断を下してしまったりすると、目標を実現することが難しいからです。

特に、変化が激しく将来の予測が困難なVUCA時代では、最適解を見つけるのが難しく、意思決定を下すには高度な思考力や心の強さが必要となります。

そのため、決断力といっても単に「決断できること」では足らず、自信を持って決断するための情報収集能力や分析力、柔軟な思考力などさまざまな能力が根底に必要となります。

決断力を備えた「リーダーシップがある人」の特徴

  • 自分の中にはっきりとした軸や判断基準、優先する事項を持っている
  • 適切な判断を下すために、多くの情報を収集・分析する力を持っている
  • リスクを軽減するためのデータ分析能力や判断力を持っている
  • 自分の判断力を信頼しており、自信を持って決断することができる
  • 「なぜその選択肢を選ぶのか?」の根拠を明確に示すことができる

こうした決断力は、「決断するという経験」を積み重ねていくことで磨かれていくものです。

現時点で「自分には決断力がないからリーダーシップがない」「自社には決断できるメンバーがいない」と思っても悲観せず、訓練・育成していくことを検討してみましょう。

リーダーシップは訓練で身につけることが可能

2章では具体的に「リーダーシップがある人」が共通して身につけている5つの特徴を紹介しました。こうした特徴を自分でも兼ね備えていれば、リーダーシップを既に持っている人物といえるでしょう。

しかしながら、もし「自分にはリーダーシップがないな」と思ったとしても、安心してください。

最初に解説した通り、リーダーシップというのは生まれながらにしての素質とは別に、訓練することにより後天的に身につけることができるものだからです。

企業人事担当者で「我が社にはリーダーシップを持つ人材がいないな」と思っている場合にも同様で、現時点でリーダーシップがある人材がいなくても、育成することが可能です。

次章からは、リーダーシップを身に付けていくために必要な知識について解説していきます。なお、弊社LDcubeでもリーダーシップ開発やリーダーシップ研修のプログラムをご用意していますので、ぜひ興味がある方はお問い合わせください。

▼ リーダーシップ開発に適した年齢が調査により分かりました。下記にまとめています。

▼ リーダーシップ開発に関連して、次世代リーダーの選抜と育成について資料にまとめました。



組織によって求められるリーダーシップの種類は違ってくる

「リーダーシップは育成できる」ということをお話しましたが、ここでもう一つ重要なポイントがあります。それは、組織によって求められるリーダーシップの種類が違ってくる、ということです。

例えば、強い統率力を持つカリスマのようなリーダーがいたとしても、そのリーダーが全ての組織において理想のリーダーかというとそうではないからです。カリスマ経営者としては良くても、現場のリーダーとしては適切ではないケースもありえます。

リーダーシップのある人物として有名な孫正義さんはとても理想的な経営者ですが、現場のリーダーが孫正義さんだと、萎縮してしまうメンバーもいるかもしれません。また、管理部門など社内のサポート業務を丁寧にこなしていく現場だと、合わない可能性もあります。

以下に、リーダーシップの種類と向いている組織の例をまとめてみたので、ぜひ参考になさってみてください。

【リーダーシップの種類と向いている組織の例】

種類

概要

向いている組織

民主的な
リーダー
シップ

組織全体の声を集めて、メンバーの意見を反映させながら組織の方向性を決めていくリーダーシップ

メンバーが有能で高い自律性を備えている組織

独裁的な
リーダー
シップ

統率力・決断力があり、一方的な意思決定を下すことが多いリーダーシップ

早いスピードでビジネスを展開していくような組織

ビジョン型
リーダー
シップ

事業のビジョンや目標を明確にし、メンバーと共に成長しながら成功に導くリーダーシップ

急成長している小規模な組織や、変革や組織再編が行われている大規模な企業に効果的

官僚的な
リーダー
シップ

人間関係などの私情的な要素を切り離して、組織やチームの目標達成に必要な業務を淡々と遂行していくリーダーシップ

規則やルールを遵守することが必要であり、決まった手順で業務を遂行する組織

ここでは4つのリーダーシップの種類を例として解説しましたが、完全に分類できるものではなく、それぞれの特徴が混ざりあったようなリーダーシップが理想、という組織も存在するでしょう。

また、組織としては「独裁的なリーダーシップ」が理想だと思っていても、現場の人間によってはパワハラと感じてしまうケースもありえます。

どのようなリーダーシップを目指すべきかは、現場の雰囲気も加味した上で、組織ごとにチューニングしていく必要がある点に注意しましょう。

組織に合う「リーダーシップがある人」を育てる方法6ステップ

ここからは具体的に、組織に合致するリーダーシップ開発を実践する方法を6ステップで解説していきます。

自社内で、リーダーシップ開発・育成を行いたい企業はぜひ参考になさってみてください。

ステップ1:リーダーシップ開発の目的・目標を明確にする

まずは、なぜ社内でリーダーシップを発揮できる人材を育成したいのか、その目的や目標を明確にします。

先ほど解説した通り、組織によって求められるリーダーシップは異なりますし、組織の人材戦略によっても育成すべきリーダーシップ像が変わってきます。組織の戦略や価値観との整合性を確保することは、効果的なリーダーシップ開発プログラムを設計する上で欠かせないステップとなります。

以下の3つのポイントを参考にして、どのようなリーダーシップ開発を目標に置くのかを設定していきましょう。

目的・目標の明確化のポイント

(1)リーダーシップ開発の目的を組織のビジョンと結びつける:
リーダーシップ開発の目的を、組織のビジョンや長期的な目標と関連付けることが重要です。これにより、リーダーシップ開発が組織の未来にどう貢献するかが明確になります。

(2)目標をSMARTに設定する:
目標設定には、SMART(Specific、Measurable、Achievable、Relevant、Time-bound)の原則が有効です。具体的で測定可能な目標を設定し、達成可能でありながら、組織にとって意味のある目標を掲げます。期限を明確にすることで、目標達成に向けた行動が加速します。

(3)ステークホルダーとの合意形成を図る:
リーダーシップ開発の目的と目標は、経営層、人事部門、現場のマネジャーなど、関係する社内のステークホルダーとの合意形成が不可欠です。関係者の理解と支援を得ることで、リーダーシップ開発の実効性が高まります。


ステップ2:現状を分析してニーズを特定する

2つめのステップは、現在の状態を分析してニーズを特定するフェーズです。組織のリーダーシップ開発の現状を把握し、課題や強化すべき点を浮き彫りにすることを目指します。

現状分析とニーズ特定のポイント

(1)組織のリーダーシップ開発の現状を把握する:
現状分析の第一歩は、組織におけるリーダーシップ開発の取り組み状況を把握することです。過去のリーダーシップ開発に準ずる取り組みを振り返り、体系的に整理します。

(2)リーダーシップに関する課題を特定する:
現在、どのような問題を抱えているのか特定します。経営層や現場マネジャーへのインタビュー、従業員アンケートなどを通じて、リーダーシップに関する課題を可視化しましょう。

(3)想定対象者のニーズや希望を把握する:
リーダーシップ開発プログラムの想定対象者のニーズや希望を把握することも重要です。想定対象者へのインタビューやアンケート調査を通じて、リーダーシップ開発に対する期待や課題を明らかにします。

(4)ギャップを分析する:
現状分析とニーズ特定の結果を踏まえて、ギャップを分析します。組織が求めるリーダー像と現状のギャップ、対象者のニーズと現状のプログラムのギャップなどを明らかにします。

現状分析とニーズの特定は、リーダーシップ開発プログラムの設計に欠かせないプロセスです。また、リーダーシップ開発プログラムの対象者となる人材のニーズや希望を理解することも、成功の鍵を握ります。

ここで行った現状分析とニーズ特定に基づいて、次のステップである「プログラムの設計」に内容を落とし込んでいきましょう。

ステップ3:プログラムを設計する

3つめのステップは「プログラムの設計」です。ステップ2で行った現状分析とニーズ特定に基づいて、リーダーシップ開発プログラムの設計に取り組みます。

目的や目標に合致した内容を盛り込み、研修・コーチング・メンタリング・実践的な経験など、さまざまな要素を組み合わせることがポイントとなります。

プログラムの設計のポイント

(1)目的や目標から逆算する:
リーダーシップ開発プログラムの内容は、目的や目標から逆算して設計します。目的や目標の達成に必要不可欠な知識、スキル、行動を特定し、それらを習得するためのカリキュラムを綿密に設計します。

(2)多様な学習要素を組み合わせる:
研修、コーチング、メンタリング、実践的な経験など、多岐にわたる学習要素を組み合わせることが有効です。多角的なアプローチにより、学びの効果の最大化を目指します。

(3)対象者の特性やニーズに合わせてカスタマイズする:
リーダーシップ開発プログラムは、対象者の特性やニーズに合わせてカスタマイズすることが重要です。対象者の職位、経験、学習スタイル、強み、弱みなどを考慮し、個別のニーズに対応したプログラムを設計します。

具体例を挙げると、まずはeラーニングプログラムを活用し、リーダーシップの理論や基本的なスキルを習得させます。そのうえで、実践的なワークショップやグループディスカッションを通じて、習得した知識を実践に移す機会を設ける、といった組み合わせが考えられます。

なお、プログラムの設計を社内で行う余力がない場合には、外部の人材育成会社に委託することをおすすめします。リーダーシップ開発は、質の低い内容を実施しても、無意味になってしまうので注意しましょう。

​​​​​​​どの人材育成会社に任せるか迷う場合には、ぜひ弊社LDcubeにお気軽にご相談ください。


ステップ4:予算とリソースを確保する

4つめのステップは「予算とリソースの確保」です。

プログラムの内容や規模に応じて、必要な予算を確保した上で、社内外の講師やコーチなどの人的リソースを手配することを検討しましょう。また、プログラム実施に必要な設備や教材の準備も必要です。

予算とリソースの確保のポイント

(1)予算の確保と配分:
プログラムの内容や規模に応じて、必要な予算を見積もり、経営層の承認を得ます。研修費用・講師やコーチへの報酬・教材費などの項目を考慮する必要があります。

(2)社内リソースの活用:
社内に経験豊富なマネジャーやリーダーがいる場合、プログラムの講師やメンターとして起用することを検討します。

(3)外部リソースの選定:
外部の講師や専門家など、外部リソースを選定する際は、経験・専門性・評判などを考慮し、組織のニーズに合った人材を見つけることが重要です。

(4)設備や教材の準備:
研修会場、オンライン会議ツール、学習管理システムなど、プログラムの形式に応じた設備を手配します。参加者の学びを支援するための教材、ワークブック、オンラインリソースなども準備します。

なお、外部の人材育成会社に委託する場合には、講師の手配や教材の準備などもまとめて依頼できます。人材育成会社からの提案書と見積書を十分に確認しながら、詳細を詰めていきましょう。

ステップ5:参加者を選定する

5つめのステップは「参加者の選定」です。

リーダーシップ開発プログラムの効果を最大化するためには、適切な参加者の選定が鍵となります。プログラムの目的や目標に合致した選定基準を明確にし、対象者を見極めることが求められます。

また、参加者の上司との調整を行い、理解と支援を得ることも欠かせません。

参加者選定のポイント

(1)選定基準の明確化:
明確な選定基準を設定することが重要です。職位、経験年数、業績、リーダーシップ・ポテンシャル(リーダーとしての資質や可能性)、モチベーションなどの要素を考慮し、プログラムの目的や目標に合致した基準を定めます。

(2)公平性と透明性の確保:
選定プロセスを明文化し、関係者に周知することで、選定の公平性を担保します。選定結果とその理由を参加者や上司にフィードバックすることで、透明性を高めます。

(3)上司との調整:
参加者の選定においては、上司との調整が欠かせません。部下の業務スケジュールや育成ニーズを把握している上司と連携し、理解と支援を得ることが肝要です。

(4)参加者の多様性の考慮:
リーダーシップ開発プログラムには、多彩な背景を持つ参加者を巻き込むことを心掛けます。性別、年齢、職種、文化的背景などの多様性を考慮することで、さまざまな視点や経験が学びに生かされます。

(5)参加者のモチベーションの確認:
リーダーシップ開発プログラムへの参加者に、高いモチベーションを持ってもらうことも重要です。自発的な参加意欲を確認し、プログラムの目的や期待値を伝えることで、リーダーシップ開発の取り組みが有意義になるでしょう。

参加者の選定は、リーダーシップ開発プログラムの成果に多大な影響を及ぼす重要なプロセスです。参加者の選定には十分な時間をかけて、綿密に取り組むことをおすすめします。

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ステップ6:プログラムを実施する

6つめのステップは「プログラムの実施」です。

入念な準備を経て、いよいよリーダーシップ開発プログラムの実施段階に入ります。計画に沿ってプログラムを進行し、参加者の主体的な学びを促進することが重要です。

プログラム実施のポイント

(1)計画に沿った進行管理:
リーダーシップ開発プログラムの実施では、計画に沿った進行管理が欠かせません。プログラムの日程、内容、担当者などを明確にし、スケジュール通りに進めていきましょう。
進行状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて軌道修正を行うことで、プログラムの質を維持します。

(2)参加者の主体的な学びの促進:
リーダーシップ開発プログラムでは、参加者の主体的な学びを引き出すことが重要です。一方的な知識の伝達ではなく、参加者自身が考え、議論し、実践する機会を提供しましょう。グループワーク、ディスカッション、ケーススタディ、ロールプレイングなど、能動的な学習方法を取り入れることで、参加者の関与と理解を深めます。

(3)実践の機会の提供:
リーダーシップスキルは、実践を通じて磨かれます。プログラムの中で、参加者がリーダーシップを発揮できる機会を積極的に設けましょう。プロジェクトリーダー、ファシリテーター、メンターなど、さまざまな役割を通じて、リーダーシップを実践する場を提供します。

(4)フィードバックの提供:
リーダーシップ開発プログラムでは、参加者に継続的なフィードバックを提供することが重要です。講師やコーチからのフィードバックに加え、上司や同僚からのフィードバックも活用しましょう。また、自己評価の機会を設け、参加者自身が成長を振り返れるようにします。

参加者の成長を最大限に引き出すことを目指して、実行に取り組んでいきましょう。

リーダーシップ開発プログラムの実施後は、最初に設定した目的・目標の達成状況を評価し、プログラムの改善をして、PDCAサイクルを回していきます。

リーダーシップ開発は一過性のイベントではなく、継続的な取り組みとして定着させていくことが成功のポイントです。

組織に合う「リーダーシップがある人」を育成するポイント

リーダシップがある人の特徴や育成方法まで分かったところで、最後に、組織に合うリーダーシップを持つ人材を育成するために大切なポイントについて解説します。

3つのポイントはそれぞれ大切なので、ぜひ意識してリーダーシップを育成していくことをおすすめします。

​​​​​​​ポイント1:自社が求めるリーダーシップとは何かを明確にする

組織に合うリーダーを育成するためには、まず「自社が求めるリーダーシップとはなにか?」「理想のリーダー像とはどのようなものなのか?」を明確にすることが大切です。

リーダーシップといってもさまざまなタイプがあり、他者を牽引していく昔ながらのリーダー像なのか、それとも想いを共有していくシェアリングリーダーなのか、どのタイプのリーダーを目指すかで育成していく内容も変わってきます。

先ほど紹介したステップ1〜ステップ3において、自社が求めるリーダーシップのイメージを明確にすることが大切です。理想的なリーダーシップの形は、企業ごとに異なることはもちろん、事業の成長段階や、どの部署のリーダーかによっても異なることがある点に注意しましょう。

ポイント2:座学だけでなく実践を通じてリーダーシップを育む

座学だけでリーダーシップを身につけようとしても、机上の空論となり習得は難しいといえます。実務で役立つリーダーシップを体得するためには、実践を通じた育成方法を意識することが大切です。

実践を通じたリーダーシップ開発の例

(1)アクションラーニングの活用:
アクションラーニングは、実際の業務課題に取り組むことで学びを深める方法です。参加者同士でチームを編成し、リアルな課題解決に挑戦しながら経験を積んでいきます。このプロセスを通じて、リーダーシップスキルを実践的に習得することができます。

(2)ストレッチアサインメントの実施:
ストレッチアサインメントとは、対象者の能力を伸ばすために、少し背伸びをしないと達成できないようなチャレンジングな業務を与えることをいいます。達成するためには努力や工夫が必要となり、試行錯誤しながら能力向上を期待できます。通常の業務よりも難易度の高い役割を担うことで、リーダーシップ能力を大きく伸ばす機会を提供します。

(3)社会貢献活動への参加:
社会貢献活動への参加も、リーダーシップスキルを実践的に磨く絶好の機会となります。ボランティアとして非営利団体の課題解決に関わったり、社会的プロジェクトを主導したりする中で、多様なステークホルダーと協力しながら成果を追求する経験を積むことができます。

実践で効果的にリーダーシップを育成する方法を自社で考えるのは困難であるため、リーダーシップ開発の専門的な経験やノウハウを持っている機関の「リーダーシップ研修」を受講することをおすすめします。

ポイント3:カスタマイズが可能など柔軟に対応できる研修会社を選択する

リーダーシップのある人材を育成するためには、自社の理想の形に合わせて柔軟に内容をカスタマイズできる研修会社を選択することが大切です。

なぜならば、カスタマイズできないリーダーシップ研修を受けた場合に、目指すリーダーシップの方向性に乖離があると無意味な研修になってしまうからです。例えば、調和型のリーダーシップを持つ人材を育てたい企業が、牽引型のリーダーシップを目指す研修内容を受けても無駄になってしまいます。

その他、どの学習環境が最適なのか(集合研修かe-learning研修にするのか)や、どの学習ツール・プログラムをベースにするのかなど、自社に合ったリーダーシップ研修を自由に構築できる研修会社がベストです。

また、リーダーシップ研修を一度開催して終わりにするのではなく、社内トレーナーを養成することで、いつまでも社内で同様の取り組みを継続できるような仕組みづくりも重要となります。

弊社LDcubeは、まさに、企業に合った研修内容の選定や社内トレーナー養成に力を入れている人材研修会社です。

実際に頂いたユーザーの声などを基に、複数パターンの研修を用意しており、それらを状況により使い分けることで、企業のニーズに合った研修を実施することが可能です。

また、プロが活用する研修プログラムで効果的な社内研修を実施できる社内トレーナー育成のご支援もしています。無料のデモIDの発行やプログラム体験会などを行っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。


まとめ

本記事では「リーダーシップがある人」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。

「リーダーシップがある人」とは?

  • そもそもリーダーシップとは、指導者(リーダー)としての素質・能力・統率力を意味する言葉
  • リーダーシップの定義は時代とともに変遷してきた

「リーダーシップがある人」が共通して持つ特徴5個

  • 洞察力・協調性:周囲と良好なコミュニケーションを取れる
  • 求心力・影響力:他のメンバーを引っ張っていく力を持っている
  • 説得力:発言や行動に説得力がある
  • レジリエンス:困難を乗り越えてチャレンジし続けられる
  • 決断力:迅速に最適な意思決定を行うことができる

リーダーシップは訓練で身につけることが可能

  • 訓練することにより後天的に身につけることができる
  • 組織にリーダーシップがある人材がいなくても、育成することが可能

リーダーシップは生まれ持った特性だけではなく、状況や組織文化などさまざまな要因で後天的に獲得することが可能です。ただし、組織によって目指すべきリーダーシップ像が異なる点には注意が必要です。

株式会社LDcubeでは次世代リーダー研修に向けたプログラムデザインや学習に活用できる高品質なコンテンツ、LMS、経営シミュレーションプログラムなどをご提供しています。無料のデモIDの発行やプログラム体験会などを行っています。組織に合ったリーダーシップ研修・育成に興味がある方は、ぜひ弊社LDcubeにお気軽にお問い合わせください。

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  次世代の経営者を育成する!新時代の人材教育ソリューション! 急速な環境変化に対応するために、次世代の経営者を育成するニーズが高まっています。デジタルスキルへの対応などこれまでの幹部研修や人材育成プログラムでは対応できなくなっています。これからの時代に必要なポイントを提供します。 株式会社LDcube
  育てるべきは誰?次世代リーダー選抜の新たな視点 今後のビジネス発展のカギを握るのは「次世代リーダー」ですが、その育成や選抜は容易なことではありません。本コラムでは、候補者に求められる要素や選抜の手法、育成の方法について具体的に解説します。これからの時代をけん引する次世代リーダー選抜・育成の最新トレンドを知りたい人材育成担当者の方は必見です。 株式会社LDcube
  次世代リーダー育成の【最重要ポイント】とは!? その鍵はタスクアサイン! 次世代リーダー育成は事業の将来を担う重要な課題となっています。効果的なリーダー教育に必要な要素とはどのようなものでしょうか?本記事では、その鍵と具体的なポイントから注意すべき課題、そして組織の成長と連動したリーダー育成の重要性や具体的な能力開発方法ついて詳しく解説します。 株式会社LDcube
  “新”実践型選抜研修とは!?人材育成の現代ソリューションについて解説! 企業の成長をけん引する優秀な人材育成が急務となっています。そのためには、選抜研修という手法が有効です。この記事では、選抜研修の目的、実施のメリット・デメリット、具体的な運用方法等を詳しく解説し、実施のための参考になる情報を提供します。 株式会社LDcube
  OJTでの経営幹部育成とは? ~次世代は現役世代にしか育てられない!?~ 幹部育成は、企業が持続可能性を保つために不可欠な要素です。次期幹部には、問題解決力やリーダーシップ、意思決定やリスク管理能力が期待されます。企業が幹部を育てる際に、効果的な方法として、経験を通じた学び(OJT)と経営シミュレーションの組み合わせがよく活用されます。 株式会社LDcube
  初めての研修講師が感じる不安とは?社内研修を成功させるポイント・コツを解説! 本コラムでは、初めての研修講師であれば誰しもが経験する不安や、成功するためポイント・コツ、テーマ設定、カリキュラム作成方法、スライドの作成方法、研修を盛り上げるコツ、社内研修を確実に成功させるための方法などの具体的な方法を徹底解説します。 株式会社LDcube
  自己啓発でマネジメントを学び、生かすポイントとは?キャリアアップに生かすコツも紹介 本記事では、自己啓発でマネジメントスキルを向上させるヒントとその実践方法を解説します。能力向上のための知識習得から、スキルを生かしたキャリアアップまで、リーダーとしての力を伸ばすための具体的なステップや活用できるeラーニングコース紹介します。 株式会社LDcube
  レジリエンスが高い人は業績を上げられる!?理由や方法(研修)を解説 レジリエンスとは、逆境に打ち勝つ力、回復力です。レジリエンスが高い人は業績を上げることができます。現代社会で注目されているポイント、レジリエントな人の特徴や行動特性、企業内での育成方法、ビジネスへの影響について詳しく解説いたします。 株式会社LDcube


LDcube編集部
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株式会社ビジネスコンサルタント時代から約60年、人材開発・組織開発に携わってきた知見をもとに、現代求められる新たな学びについて、ノウハウや知見をお届けします。

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