創造性とは何か?ビジネスパーソンに必要なクリエイティビティの本質
「創造性とは何か?」
このような疑問に直面している方は、多いのではないでしょうか。
というのも昨今、目まぐるしく変化するビジネス環境において、創造性の重要度が高まっています。
創造性の豊かな人材を育て、組織の競争力を強化することは、企業の成長と発展に欠かせません。
欧米企業の多くで、「クリエイティビティ(創造性)」が、採用や人事評価の重要指標として位置づけられています。
しかしながら日本では、創造性を、“デザインセンスやクリエイターの才能” と混同している方も、見受けられます。
本記事では、ビジネススキルとしての創造性の本質、創造性に長けた人の特徴、創造性を高めるために必要な情報を包括的に解説します。
創造性の本質を理解し、実践すれば、ビジネスパーソンとしての価値が高まり、組織の成長に貢献できるようになるでしょう。
▼創造性を鍛える方法については下記で解説しています。
⇒創造力を鍛える12の具体的な方法と創造力を発揮しやすい環境の作り方
▼ 商品開発に向けたアイデアだしについては下記で解説しています。
⇒新商品開発のアイディアがあふれ出す!即実践テクニック9選を大公開
▼ 創造性を発揮するには、組織や職場に心理的安全性が確保されていることが重要です。
⇒"心理的安全性"がビジネスに必要な理由?エドモンドソン博士の視点を解説
目次[非表示]
- 1.創造性とは何か?
- 1.1.創造性とは独自性と価値を生み出す力
- 1.2.創造性の構成要素
- 1.3.創造性とイノベーションの関係性
- 1.4.創造性と想像力・発想力の違い
- 1.5.補足:クリエイティビティと美的センスは別概念
- 2.ビジネスで創造性が重要な理由
- 2.1.市場の変化に対応し競争力を維持するため
- 2.2.顧客のニーズを捉えた新たな価値を提供するため
- 2.3.複雑な問題を解決する革新的アプローチを生み出すため
- 2.4.組織の成長と発展を促進するため
- 3.創造性が高い人の特徴と思考法
- 3.1.好奇心旺盛で新しいことを学び続ける
- 3.2.既存の枠にとらわれない柔軟な発想を好む
- 3.3.多様な経験とスキルを持ち知識を結びつけられる
- 3.4.失敗を恐れずにチャレンジし学びを得る姿勢がある
- 4. 創造性を阻害する要因と改善のアクションプラン
- 4.1.少数派になることへの恐れ
- 4.2.他者に支配された不自由な思考
- 4.3.過度なストレス・プレッシャー
- 4.4.コンフォートゾーンへの安住
- 4.5.勉強不足
- 4.6.クローズマインド
- 5.組織としての創造性には研修プログラムが有効
- 6.まとめ
創造性とは何か?
まずは、創造性の意味や類義語との違いなど、基本事項から確認していきましょう。
創造性とは独自性と価値を生み出す力
創造性とは、新しいアイデアや概念を生み出し、独自性と価値を創造する能力です。
創造性は、英語ではクリエイティビティ(Creativity)といい、日本でも、クリエイティビティの語が使われることがあります。
イメージしやすくするために、創造性が高い典型的な人物を挙げるなら、スティーブ・ジョブズが該当します。彼は、既存の枠組みにとらわれず、革新的なアイデアを次々と具現化しました。
Macintoshの開発、iMacの発表、iTunesの立ち上げ、iPhoneの発明など、ジョブズの創造性は、テクノロジー業界に大きな変革をもたらしました。
ジョブズは、人々のニーズを先取りし、革新的な製品やサービスを生み出して、新たな価値を創造し続けたのです。このように、スティーブ・ジョブズが持っていたようなスキルを、「創造性」と呼びます。
ただし、この話を聞いて、
「自分は、ジョブズのような革新性が求められる職種ではないから、創造性はいらない」
と捉えた方がいれば、それは早計です。
たとえば、日々の業務で「創意工夫」するスキルも、創造性そのものだからです。
創造性の構成要素
もう少し具体的に、創造性とは何か掘り下げてみましょう。創造性は、以下のような要素に分解できます。
【創造性の要素】
|
創造性は、これらの要素の複合的な作用によって、発揮されます。
なお、ビジネスにおいて創造性を発揮するためには、独創的なアイデアを生み出すだけでは不十分です。それを価値ある形で具現化する力も求められることは、押さえておきたいポイントです。
創造性とイノベーションの関係性
次に、「創造性」と「イノベーション」の関係を整理しておきましょう。この2つは、しばしば同じ文脈で語られます。
創造性とイノベーションは、車の両輪のような関係にあり、両者は密接に関連しているからです。
【創造性とイノベーションの関係】
|
創造性なくしてイノベーションは生まれず、イノベーションなくして創造性は実を結びません。
両者の総合的な作用を通じて、ビジネスに新たな価値がもたらされるのです。
創造性と想像力・発想力の違い
続いて、類義語を整理します。
創造性は、想像力や発想力と混同されがちですが、それぞれ異なる概念です。
|
創造性は、想像力や発想力を必要としつつも、それらを包含するより広範な能力です。
補足:クリエイティビティと美的センスは別概念
補足として、日本では、デザインセンスや美的感覚を指して「クリエイティビティ」の語が用いられることがあります。
たとえば、デザインの良し悪しの評価を頼まれたデータアナリスト職のスタッフが、
「私は、クリエイティビティがない(美的センスはないの意)から、ほかの人に聞いて」
と発言するような例です。
しかしながら、ビジネススキルとしての “クリエイティビティ” と “美的センス” は、別の概念です。
仮に、美的センスが皆無な人や不要な職種であっても、ビジネススキルとしてのクリエイティビティは重要で必要です。
なぜなら、クリエイティビティは、単なる美的感覚ではなく、問題解決や価値創造につながる思考力だからです。
上記の例では「データアナリスト職」を挙げましたが、アナリストも当然、高いクリエイティビティが求められる職種です。
ビジネスで創造性が重要な理由
続いて、なぜビジネスにおいて創造性が重要なのか、あらためて整理しておきましょう。ここでは、以下4つの観点から解説します。
|
市場の変化に対応し競争力を維持するため
1つ目の理由は「市場の変化に対応し競争力を維持するため」です。
市場環境が目まぐるしく変化するなかで、企業が競争力を維持するためには、創造性が不可欠です。
【創造性が競争力維持に重要な理由】
|
創造性は、企業が市場の変化に対応し、競争力を維持するための鍵となります。創造性を発揮し、新たな価値を生み出し続ければ、企業は激しい競争に勝ち残れるのです。
顧客のニーズを捉えた新たな価値を提供するため
2つ目の理由は「顧客のニーズを捉えた新たな価値を提供するため」です。
顧客のニーズを的確に捉え、新たな価値を提供することは、ビジネスの成功に欠かせません。
【創造性が顧客価値提供に重要な理由】
|
創造性は、顧客のニーズを捉えた新たな価値を提供するための原動力となります。創造性を発揮し、顧客に感動を与え続ければ、企業は長期的な成長を実現できるのです。
複雑な問題を解決する革新的アプローチを生み出すため
3つ目の理由は「複雑な問題を解決する革新的アプローチを生み出すため」です。
ビジネスにおいては、複雑で難解な問題に直面することが少なくありません。
【創造性が問題解決に重要な理由】
|
創造性は、複雑な問題に立ち向かい、革新的な解決策を生み出す源泉となります。創造性を武器に、難題に果敢にチャレンジし続ければ、企業は持続的な成長を実現できるのです。
組織の成長と発展を促進するため
4つ目の理由は「組織の成長と発展を促進するため」です。
創造性は、組織の成長と発展を促進するうえで重要な役割を果たします。
【創造性が組織の成長に重要な理由】
|
創造性は、組織の成長と発展を促進するための中枢的要素です。創造性を組織の文化として根付かせ、イノベーションを生み出し続ければ、企業は持続的な成長を遂げられるのです。
創造性が高い人の特徴と思考法
では、企業が創造性の高い人材を採用・育成したり、あるいは自分自身が創造性の高い人物になるためには、どうすればよいのでしょうか。
その鍵を握るのが、創造性豊かな人物の特徴や思考法を知ることです。ここでは、4つの特徴的な性質を紹介しましょう。
|
好奇心旺盛で新しいことを学び続ける
1つ目の特徴は「好奇心旺盛で新しいことを学び続ける」です。
創造性が高い人は、強い好奇心を持ち、常に新しいことを学び続けています。
【創造性と好奇心・学習の関係】
|
絶えず新しいことにチャレンジし、自らの知識と経験を広げ続けることが、創造性を高めるための鍵となります。
▼ビジネスに好奇心が重要な理由については下記で解説しています。
⇒好奇心がビジネスに役立つ理由とは!?組織内で育む方法などを解説!
既存の枠にとらわれない柔軟な発想を好む
2つ目の特徴は「既存の枠にとらわれない柔軟な発想を好む」です。
創造性が高い人は、物事を多角的に捉え、自分自身はもちろん、他者の自由な発想も歓迎する姿勢を持っています。
【創造性と柔軟な発想力の関係】
|
柔軟な思考を身に付け、既存の枠組みにとらわれない発想力を養うことが、創造性を高めるために不可欠です。
多様な経験とスキルを持ち知識を結びつけられる
3つ目の特徴は「多様な経験とスキルを持ち知識を結びつけられる」です。
創造性が高い人は、幅広い知識とスキルを身に付けるだけでなく、それらを自在に活用しています。
【創造性と多様な経験・スキルの関係】
|
多様な経験を積み、知識を結びつける力を養うことが、創造性を高めるためのポイントです。
失敗を恐れずにチャレンジし学びを得る姿勢がある
4つ目の特徴は「失敗を恐れずにチャレンジし学びを得る姿勢がある」です。
創造性が高い人は、失敗を恐れずにチャレンジする勇気と、そこから学びを得るポジティブさを持っています。
【創造性とチャレンジ精神・学びの関係】
|
失敗を前向きに捉え、チャレンジを継続することが、創造性を高めるための重要な要素です。
▼失敗を恐れずにチャレンジしていけるのはレジリエンスが高いからと言えます。レジリエンスを高める方法については下記で解説しています。⇒レジリエンスを高めるには?高い人・低い人の特徴と具体的な実践方法を紹介!
創造性を阻害する要因と改善のアクションプラン
一方、創造性を阻害する要因がある場合、それらを取り除くことも重要です。
多くの場合、阻害要因は無意識に存在していますので、まずは “意識的に気づく” ことが必要です。ここでは以下6つの要因を解説します。
|
少数派になることへの恐れ
1つ目の要因は「少数派になることへの恐れ」です。
少数派になることの恐れとは、多数派と異なる意見や行動をとることに対する不安や躊躇です。独自の発想や提案を控えてしまい、創造性を阻害します。
【少数派になることの恐れの例】
|
このように、少数派になることを恐れると、独自の発想を表現することをためらってしまいます。少数派になることの恐れを手放すアクションプランは、以下のとおりです。
【アクションプラン】
|
また、組織づくりの観点からは、「心理的安全性」の高い職場環境を整えることが重要なポイントです。
上司は部下の挑戦を奨励し、失敗を責めない姿勢を示しましょう。会議では多数決だけでなく、少数意見も尊重する進行を心がけます。
少数派の意見に耳を傾け、失敗を恐れない文化を根付かせると、一人一人が創造性を存分に発揮できるようになります。
▼心理的安全性については、以下の記事も参考にしてみてください。
⇒"心理的安全性"がビジネスに必要な理由?エドモンドソン博士の視点を解説
他者に支配された不自由な思考
2つ目の要因は「他者に支配された不自由な思考」です。
他者に支配された不自由な思考とは、幼少期からの養育環境や周囲の価値観に無意識に縛られ、自分本来の考えを持てずにいることです。自由な発想が制限され、創造性を阻害します。
【他者に支配された不自由な思考の例】
|
このように、他者に支配された状態では、自分の頭で考える力が弱まってしまいます。不自由な思考から抜け出すためのアクションプランは、以下のとおりです。
【アクションプラン】
|
当たり前と信じて疑わなかった価値観や常識に疑問を持ち、自分自身と向き合う時間を持つことが大切です。
内なる自分を解放し、本来の創造性を取り戻していきましょう。自分らしい生き方を追求することが、創造性の源泉となるのです。
▼自分らしさを追求するには自己肯定感を高めていくことも重要です。下記で解説しています。
⇒自己肯定感を高める7つの方法とは?低い部下をケアするポイントと合わせて解説!
過度なストレス・プレッシャー
3つ目の要因は「過度なストレス・プレッシャー」です。
過度なストレス・プレッシャーとは、強い緊張状態が長く続き、心身に負担がかかっている状態です。思考の幅が狭まり、創造性を阻害します。
【過度なストレス・プレッシャーの例】
|
このように、過度なストレス・プレッシャーは、創造的な思考を妨げる大きな要因となります。ストレスやプレッシャーをコントロールするためのアクションプランは、以下のとおりです。
【アクションプラン】
|
ストレスやプレッシャーを適切にマネジメントし、リラックスした状態で思考できる環境を整えることが、創造性の発揮には欠かせません。
▼ストレスやプレッシャーを乗り越えるにはレジリエンスの啓発が必要です。
⇒レジリエンスとは?意味や重要視される背景、高める方法(研修)など解説!
コンフォートゾーンへの安住
4つ目の要因は「コンフォートゾーンへの安住」です。
ストレスやプレッシャーが皆無なら創造性が高まるのか?といえば、それも違います。
コンフォートゾーンへの安住とは、慣れ親しんだ環境や方法から抜け出せずにいること(いわゆる“ぬるま湯”状態)ですが、これも創造性を阻害します。
【コンフォートゾーンへの安住の例】
|
このように、コンフォートゾーンに安住していては、新しい発想は生まれません。コンフォートゾーンから一歩踏み出すためのアクションプランは、以下のとおりです。
【アクションプラン】
|
コンフォートゾーンから一歩外に出て、新しいことにチャレンジする姿勢が、創造性を高める鍵となります。
勉強不足
5つ目の要因は「勉強不足」です。
勉強不足とは、知識や情報が不足していたり、それらを活用する力が弱かったりする状態を指します。
アイデアの源泉となる知的資産が乏しいと、創造性が阻害されてしまいます。
【勉強不足の例】
|
このように、勉強不足では、豊かな発想を生み出すための土台が築けません。勉強不足を解消するためのアクションプランは、以下のとおりです。
【アクションプラン】
|
日頃から幅広い分野の知識を取り入れ、それを実践で活用する習慣が、創造性を高める土台になります。
組織的な観点では、eラーニングプログラムの提供などを通じて、良質な学びに常に触れられる環境を整えることが有効です。
▼自己啓発については下記で解説しています。合わせてご覧ください。
⇒自己啓発の意味がない理由3選!効果的なキャリアアップにつなげるポイントを解説!
▼全従業員向けのツールとして活用できるeラーニングの資料は、以下からご確認いただけます。
クローズマインド
6つ目の要因は「クローズマインド」です。
クローズマインドとは、“オープンマインド” の対極にある状態で、他者の意見を受け入れず、新しいことを拒絶する姿勢を指します。視野が狭くなり、創造性が阻害されてしまいます。
【クローズマインドの例】
|
このように、クローズマインドでは、新しい発想が生まれる余地がありません。クローズマインドを改善するためのアクションプランは、以下のとおりです。
【アクションプラン】
|
オープンマインドで多様な意見に耳を傾けることは、創造性を高めるための重要なポイントです。
自分の殻に閉じこもるのではなく、積極的に他者の意見を取り入れる姿勢が、創造性を飛躍させます。
▼ダイバーシティについては、以下の記事もあわせてご覧ください。
⇒ダイバーシティ&インクルージョンとは?意味や違い・取り組み事例
組織としての創造性には研修プログラムが有効
組織の創造力を底上げするには、革新的思考に特化した研修プログラムを提供することも効果的です。創造性は、体系的に学び鍛えれば、着実に身に付けられます。
その代表例が、「イノベイティブ・シンキング・システム(ITS)」です。
ITSは、変革期に必要な「革新的な行動」がとれる人材を育成するプログラムとして、高い評価を得ています。
ITSでは、アイデアの創出から実践までを体系的に学べることが特徴です。
創造的な組織風土を目指す企業や、新商品・新サービスのアイデア創出や若手の人材育成に課題を持つ企業にとって、直接的な効果を実感できる打ち手となります。
展開方法は、
- 3時間のセミナー
- 半日~4日間
- 半日×複数回
など、状況にあわせてカスタマイズできます。
詳しくは以下のページよりご確認ください。
まとめ
本記事では「創造性とは」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
|
ビジネスにおいて創造性が重要な理由は以下のとおりです。
|
創造性が高い人の特徴として、以下が挙げられます。
|
創造性を阻害する要因と改善のアクションプランとして以下を解説しました。
|
創造性は、ビジネスパーソンの成長と組織の発展を支える重要な力です。知性と合わせて創造性を磨き、遊び心も生かしながらイノベーションを生み出して、ビジネスの新たな可能性を切り拓いていきましょう。
株式会社LDcubeでは、パターン化した思考を崩し、発想力と実践力を育てる人材育成プログラム「ITS(Innovative Thinking Program)」を提供しています。ITSを活用することで簡単にアイデアを出すことができるようになります。
プログラムの実施のみならず、社内トレーナーを養成・サポートすることで、効率の良い研修の内製化を実現するためのサポートも行っております。
無料でのプログラム体験会なども行っています。お気軽にご相談ください。
▼ITSについての資料はこちらからダウンロードできます。
▼関連記事はこちらから。