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離職防止の成功事例12選|効果がある離職防止策・アイデアをご紹介

人手不足が深刻化する中、「貴重な人材の離職を防ぎたい」「どうすれば社員が定着するのか?」と考えている企業担当者は多いでしょう。

そして、「離職防止を成功させた具体的な企業事例を知りたい」というニーズも多いと考えられます。

本記事では、実際に離職防止に成功した企業がどのような取り組みを行ったのかを、4つの分類ごとに詳しく解説していきます。

【人間関係・コミュニケーション不足】による離職防止を成功させた事例

  • サイボウズ株式会社(離職率が28%から4%に改善)
  • 株式会社鳥貴族ホールディングス(入社半年の離職を半減)
  • 株式会社ソニックガーデン(管理ゼロ・上司なしの組織体制を構築)


【仕事内容やキャリアパス】による離職防止を成功させた事例

  • 株式会社ジェイック(社内公募制度でキャリアの自律を実現)

  • オタフクソース株式会社(社員のキャリア形成を支援)

  • 積水ハウス株式会社(キャリアチャレンジ



【労働環境・ワークライフバランス】による離職防止を成功させた事例

  • 五稜会病院(院内保育園を設置して離職率を7.22%に改善)

  • 大津建設株式会社(作業効率を4〜5割削減して休日を増加)

  • 株式会社EVENTOS(飲食業界でも女性が活躍できる仕組みを導入



【人事評価制度・待遇面】による離職防止を成功させた事例

  • ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社(納得感のある人事評価制度を採用)

  • 株式会社日比谷花壇(人事評価制度の刷新と適材適所の実現)

  • 東亜エレクトロニクス株式会社 ハマトウカンパニー(同一労働同一賃金の実施

それぞれの成功事例では、どのような状況がどう改善したのかを詳しく解説していきます。

さらに記事の後半では、本記事で紹介した成功事例に共通する離職防止アイデアについてもあらためてわかりやすく解説します。

社員が長く働きたいと思う職場づくりのヒントを知りたい方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

▼離職防止についてはテーマに合わせて下記で詳しく解説しています。

▼離職防止策については下記にまとめています。

離職防止策資料ダウンロードバナー

目次[非表示]

  1. 1.【人間関係・コミュニケーション不足】による離職防止を成功させた企業事例3つ
    1. 1.1.サイボウズ株式会社(離職率が28%から4%に改善)
    2. 1.2.株式会社鳥貴族ホールディングス(入社半年の離職を半減)
    3. 1.3.株式会社ソニックガーデン(管理ゼロ・上司なしの組織体制を構築)
  2. 2.【仕事内容やキャリアパス】による離職防止を成功させた企業事例3つ
    1. 2.1. 株式会社ジェイック(社内公募制度でキャリアの自律を実現)
    2. 2.2.オタフクソース株式会社(社員のキャリア形成を支援)
    3. 2.3.積水ハウス株式会社(キャリアチャレンジ)
  3. 3.【労働環境・ワークライフバランス】による離職防止を成功させた企業事例3つ
    1. 3.1.五稜会病院(院内保育園を設置して離職率を7.22%に改善)
    2. 3.2.大津建設株式会社(作業工数を4〜5割削減して休日を増加)
    3. 3.3.株式会社EVENTOS(飲食業界でも女性が活躍できる仕組みを導入)
  4. 4.【人事評価制度・待遇面】による離職防止を成功させた企業事例3つ
    1. 4.1.ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社(納得感のある人事評価制度を採用)
    2. 4.2.株式会社日比谷花壇(人事評価制度の刷新と適材適所の実現)
    3. 4.3.東亜エレクトロニクス株式会社 ハマトウカンパニー(同一労働同一賃金の実施)
  5. 5.成功事例に共通する4つの離職防止の方向性と改善アイデア
    1. 5.1.仕事内容やキャリアパスの不満による離職防止アイデア
    2. 5.2.労働環境・ワークライフバランスの不満による離職防止アイデア
    3. 5.3.人事評価・待遇面の不満による離職防止アイデア
  6. 6.若手社員の離職を防止する「オンボーディング」を導入したい企業はLDCubeにご相談ください
  7. 7.まとめ

【人間関係・コミュニケーション不足】による離職防止を成功させた企業事例3つ

人間関係イメージ図

人間関係の不満や上司・同僚とのミスマッチが原因の離職は、離職原因として非常に多くあるものです。

こうした人間関係による離職を防止した成功事例として、下記3社の事例を紹介していきます。

  • サイボウズ株式会社(離職率が28%から4%に改善)
  • 株式会社鳥貴族ホールディングス(入社半年の離職を半減)
  • 株式会社ソニックガーデン(管理ゼロ・上司なしの組織体制を構築)

サイボウズ株式会社(離職率が28%から4%に改善)

サイボウズ株式会社は、「サイボウズ」や「kintone」などチームの業務効率化や情報共有を促進するツールを開発する企業です。

1997年の創業時3名でスタートしたサイボウズ株式会社は、インターネットの発展と共に急成長を続けましたが、次第に歪みが現れ始めます。事業は成長を続けていましたが、2001年から2005年にかけて離職率が28%に達するなど、人材採用や定着に課題を抱えていたのです。

​この背景には、社員一人一人の価値観やライフスタイルに対応しきれない組織体制や企業文化が存在しており、社員の満足度やエンゲージメントの低下が課題となっていました。​

そこでサイボウズ株式会社では、働き方の選択肢を増やすとともに、社内SNSや情報共有ツールを活用して社員同士のコミュニケーションを促進しました。また​多様性を尊重して、社員が自分らしく働ける企業文化を醸成するための取り組みを行いました。​

サイボウズ株式会社の離職防止の取り組み

  • 「ウルトラワーク制度」を導入し、短時間勤務・週3勤務・リモートワークなどを選べるようにした
  • 子連れ出勤や最長6年の育児休暇制度を整備し、育児と仕事の両立を支援した
  • 一度退職した社員が復帰できる「育自分休暇」制度を導入した
  • 勉強会ポータルや部活動支援、「仕事Bar」などで社内コミュニティを活性化した

これらの施策により、サイボウズは社員同士の人間関係が改善され、離職率の大幅な低下を実現しました。​また、社員の満足度やエンゲージメントが向上し、組織全体の生産性や業績の向上にも寄与しています。​

参考:Unipos「離職率28%から4%へ サイボウズはいかにして“共創する組織”をつくり上げたのか」

株式会社鳥貴族ホールディングス(入社半年の離職を半減)

株式会社鳥貴族ホールディングスは、全国に店舗を展開する日本の飲食チェーンで、主に焼き鳥や居酒屋メニューを提供しています。低価格で質の高い料理を提供することに特化し、社員の成長と定着を重視した企業文化を築いています。

そんな同社も、以前は新卒入社者の入社後半年以内の離職率が15%と高く、頭を抱えていました。店舗勤務が始まると人間関係が店舗内で完結してしまい、それ以外のつながりがどうしても薄くなりがちです。そこに離職原因が隠れていそうだということがわかりました。

そこで「HR OnBoard」(離職予防ツール)を導入して、社員の問題点や満足度を把握して、定期的なフォローアップを行う体制を整えました。

株式会社鳥貴族ホールディングスの離職防止の取り組み

  • 面接担当者による1か月後の店舗訪問など、新入社員への定期的なフォローアップを行った
  • 定期的に社員コンディションのアンケートを取った
  • 可視化されたデータに基づいて、フォロー体制を強化した
  • アンケート結果を共有して現場との連携を強化して、店長と面談を実施した

「誰かに相談できる」「見ててもらえる」という安心感を醸成でき、入社半年後の離職率を大幅に減少させる結果につながりました。

参考:Discover HR「脱・主観 直感 入社半年の離職を半減させた「根拠」に基づくフォロー体制 |株式会社鳥貴族ホールディングス」

株式会社ソニックガーデン(管理ゼロ・上司なしの組織体制を構築)

ソニックガーデンは、受託開発を行うIT企業で、「管理ゼロ・上司なし」の組織体制を特徴としています。社員数40名規模(2019年6月時点)ながら、フラットな組織を維持し、個々の主体性を重視した働き方を推進しています。

創業当初は、一般的な企業と同様に管理職が存在しており、上司が部下を管理する体制でした。しかし管理が行き過ぎることで生産性が上がらず、社員のモチベーションが低下する問題が発生していました。上司の管理が社員の創造性を阻害し、やりがいを感じにくい環境になっていたのです。

管理から始めるのではなくてその先にいるクライアントや事業そのものを第一にしようと考え、少しずつ管理を減らして以下のスタイルを築き上げました。

株式会社ソニックガーデンの離職防止の取り組み

  • 「管理ゼロ・上司なし」の組織へ移行:
    従来の管理職をなくし、社員一人一人が自律的に働ける環境を整備。評価や承認のプロセスを極力排除し、フラットな関係を維持しました。

  • 採用プロセスの見直し:
    1年かけてじっくりと採用を行い、企業文化にフィットする人材を慎重に選定。履歴書や学歴ではなく、候補者の価値観や働き方のスタイルを重視しました。

  • 社内コミュニケーションの強化:
    クライアントを深く理解し、社員同士がフラットに意見を交換できる文化を醸成。自主性を尊重することで、チームワークを強化しました。

これらの施策により、ソニックガーデンの離職率はほぼゼロを維持しているそうです。管理職がいないことで、社員は自分の意志で業務に取り組めるようになり、セルフマネジメントによりモチベーションも向上しました。

さらに、長期間の採用プロセスを導入したことで、企業文化に合う人材のみを採用できるようになり、組織の安定性が高まりました。

参考:d’s JOURNAL「離職率はほぼゼロ。1年じっくりかけて1名を採用する“ピープルファースト”採用とは」

【仕事内容やキャリアパス】による離職防止を成功させた企業事例3つ

離職防止 キャリア

「仕事がつまらない」「やりがいが感じられない」「自分のやりたい仕事とのミスマッチがある」など、仕事内容が離職原因となるケースも多くあります。

こうした仕事内容ややりがいに関する離職を防止した成功事例として、下記3社の取り組みを紹介します。

  • 株式会社ジェイック(社内公募制度でキャリアの自律を実現)
  • オタフクソース株式会社(社員のキャリア形成を支援)
  • 積水ハウス株式会社(キャリアチャレンジ)

 株式会社ジェイック(社内公募制度でキャリアの自律を実現)

株式会社​ジェイックは、教育研修や人材紹介を手掛ける企業です。自社サービスを手掛ける中で、若手~中堅層における優秀人材の離職が深刻な組織課題につながることを認識していましたが、自社でも同様に若手の離職が増えていることが課題でした。

そこで同社は、従業員が自身の将来のキャリア像を描くことができ、従業員ひとり一人に自らのキャリアを主体的に考えてもらう仕組みを導入しようと、社内公募制度・異動希望制度である「マイキャリア」を進めていくことを決めました。

株式会社ジェイックの離職防止の取り組み

  • 従業員側から転勤や異動希望を出せる「マイキャリア」という一種の社内公募制度を導入

  • 年に一度、全社員を対象にアンケートを実施して、人事と経営層でのみ共有する仕組みにした(上司には通さない)

  • 異動希望者には個別面談を実施して、結果をフィードバックする

  • キャリア面談の希望者とも個別相談を実施して、従業員のチャレンジしたい気持ちを受け止める

異動希望は思ったほど多くなく、むしろ、「今後やってみたいこと、将来築きたいキャリア」の自由記述欄で従業員の迷いを発見でき、キャリア面談で従業員の考えを拾えるようになった効果があったそうです。

社内公募制度を通じて「社内転職という選択肢」を提供することで、優秀層の離職を減らすことができます。また、従業員一人一人に自らのキャリアを主体的に考えてもらうマインドを育てることが可能となります。

参考:HRドクター「社員のキャリア自律に向けた社内公募・異動希望制度の事例を公開」

オタフクソース株式会社(社員のキャリア形成を支援)

オタフクソース株式会社は、広島県に本社を構える食品メーカーであり、お好み焼き用ソースをはじめとした調味料の製造・販売を手掛けています。「お好み焼きを中心とした鉄板粉もの文化を国内外に広める」ことをミッションとしており、顧客のニーズに寄り添った製品づくりを行っています。

同社では、正社員は全員がいわゆる「総合職」での採用となり、職種別の採用はおこなっていません。これは、異なる職種を経験しながら自社のものづくりの精神やこだわりの原材料や製造方法を業務を通じて知るためです。

同社では、社員のキャリア形成を支援して仕事へのやりがいを高めるために、以下のような施策を実施しています。

オタフクソース株式会社の離職防止の取り組み

  • 職種を超えた異動を前提としたキャリア形成:
    まずは営業や生産部門に配属して社会人としての基礎を学んだあとに、他の職種へ異動する仕組みで、会社の理念や製品のこだわりを深く理解して多角的な視点を持つことを可能にしている

  • 役割グレード制度の導入:
    10段階のグレードを設けて、若手層の昇格基準を経験年数だけでなく資格取得や研修修了などの学びの要素を加えて評価することで、社員が自身のキャリアパスを明確に描けるようにした
    上位グレードでは「すでに一つ上のグレードの行動を実践しているか」を審査し、実績に基づいた昇格を実施している

  • 人事評価制度の強化:
    企業理念や行動指針を評価基準に組み込み、単なる業績評価ではなく社員の成長を重視しる
    年2回の評価を通じて、キャリアアップの指針を明確化している

  • 学び続ける文化の推進:
    研修制度を充実させ、社員全員が参加する必須研修、選択型の研修、部門別研修を導入している
    研修は座学に留まらず、実践を重視し、事前準備や研修後の課題もセットで実施している
    就業時間外の自己研鑽支援として、公的資格受験や語学習得などの費用補助も実施している

職種を超えた経験を積むことで、企業理念を深く理解し、より柔軟な視点を持つことができるようになります。また学び続ける文化が根付いていることで、社員の成長意欲が高まり、自律的に長期的なキャリア形成を支援することが可能です。

参考:厚生労働省「実践事例 変化する時代のキャリア開発の取組み」(PDF)

積水ハウス株式会社(キャリアチャレンジ)

積水ハウス株式会社は、1960年に創業した日本を代表する住宅メーカーであり、「わが家を世界一幸せな場所にする」をグローバルビジョンとして掲げており、従業員にとっての「わが家」である会社も同じように幸せな会社にしようと環境づくりを進めています。

同社は2020年から、多様な個性や価値観を持つ従業員が自律的にチャレンジし続けられる環境整備やイノベーション創出につながる取り組みを推進しています。

積水ハウス株式会社の離職防止の取り組み

  • キャリア自律コースの研修を開始:
    従業員が自身のキャリアを主体的に設計できるよう、キャリア自律をサポートする研修を導入2023年度までに延べ18,962人がこれらのキャリア自律コースを受講済み

  • Myキャリアシートの活用:
    経験とスキルを可視化して、自発的な「学び・成長」へとつなげていくためのツールを導入
    自分の経験・スキルをキャリア面談などで積極的にアピールでき、新たな挑戦や機会獲得につなげられるようになっている

  • 高度学習支援制度:
    就業しながら通学可能な指定校での就学によるMBA・MOT取得を支援。初年度の2023年度は11名が本制度適用で修学をスタート

  • キャリア自律休業支援制度:
    自律的なキャリア形成の一環として、学校教育法で認められた国内教育機関または海外教育機関での修学を希望し、一定の要件を満たすものについては、国内3ヵ月以上3年以下、海外最長2年の休業を可能とする制度を導入

  • 資格祝金支給制度:
    国家試験による資格取得者、検定試験における合格者に対してお祝い金を支給

  • キャリアアップ・チャレンジ制度:
    業務の幅を広げてさまざまなキャリアに挑戦できる機会を提供することを目的に、「生産技能職群」や「―般事務職群/地域勤務社員」から「営業技術職群(総合職)」への職群転換を支援する制度
    2023年度は98人の応募があり、90人が職群転換を通じたキャリアアップを実現

同社には、他にも、ここでは紹介しきれないぐらいさまざまなキャリア制度があります。こうしたさまざまな取り組みによって従業員が自分のキャリアパスを主体的に描けるようになり、やりがいの向上や柔軟な働き方の実現、多様な人材が活躍しやすい環境が整備されています。

参考:積水ハウス株式会社「人的資本」(PDF)

【労働環境・ワークライフバランス】による離職防止を成功させた企業事例3つ

離職防止 ワークライフバランス

「残業が多い」「なかなか休みが取れない」「育児や介護などとの両立ができない」など、労働環境やワークライフバランスの問題が離職原因となるケースも多く聞く事例です。

ここからは、労働環境やワークライフバランスを改善することによって従業員の離職を防止した成功事例として、下記3社の事例を紹介していきます。

  • 五稜会病院(院内保育園を設置して離職率を7.22%に改善)
  • 大津建設株式会社(作業工数を4〜5割削減して休日を増加)
  • 株式会社EVENTOS(飲食業界でも女性が活躍できる仕組みを導入)

五稜会病院(院内保育園を設置して離職率を7.22%に改善)

五稜会病院は、北海道札幌市にある精神科病院で、患者の社会復帰支援や医療サービスの充実に取り組んでいます。女性職員が多く、特に看護職の働きやすさが重要視される環境です。

一般的に、女性職員は結婚や出産、介護などのライフイベントを理由とした離職も多く、職員の定着率向上が難しいという現状があります。そこで五稜会病院では、働きやすい職場環境を整えるために以下のような施策を実施しています。

五稜会病院の離職防止の取り組み

  • 育児中の職員が安心して働けるよう「院内保育園」を開設して、勤務中に子どもを預けられる環境を整備
  • ストレスチェックを活用して定期的に職員のメンタルヘルスを確認し、必要に応じてフォローアップを実施
  • コロナ禍でも、事前に全職員の自宅にミシュラン一つ星フレンチレストランのオードブルと飲料を配送し、Zoomを使った大忘年会を実施
  • キャリアを段階的に発展させるシステムを導入して、看護師一人一人の成長を支援
  • 専門職としての成長ステージに合わせた研修(新人研修・プリセプター研修・リーダー研修・主任研修など)を実施
  • 熟練したスキルを評価した看護カウンセリングナース認定制度など、評価する仕組みを整備

こうした取り組みの積み重ねによって、五稜会病院の離職率は令和3年度で7.22%(令和2年度は6.4%)にとどまっています。

特に院内保育園の設置は多くの反響があり、2022年までに合計95名もの乳幼児が利用しています。育児と仕事の両立がしやすくなり、出産後も継続して勤務できる環境が整っています。

参考:日本精神科病院協会雑誌「五稜会病院における離職防止対策の取り組み」(PDF)

大津建設株式会社(作業工数を4〜5割削減して休日を増加)

大津建設株式会社は、広島県三次市に本社を構える建設会社で、土木工事を中心に社会資本整備や自然災害時の復旧支援を手掛けています。地域に根ざした企業として、安全な施工と高品質なものづくりに取り組むほか、環境問題への対応にも力を入れています。

建設業界では人手不足が深刻化しており、大津建設も例外ではありませんでした。特に、長時間労働や休日の少なさが原因で従業員の負担が大きく、離職の増加が懸念されていました。また、中山間地域にあるため、都市部のように専門業者へ外注することが難しく、業務の属人化(特定の熟練者に依存する状況)が課題となっていました。

大津建設は、労働環境を改善して従業員の定着率を向上させるために以下の取り組みを行っています。

大津建設株式会社の離職防止の取り組み

  • ICT建機の導入:
    2021年からICT(情報通信技術)を活用した建設機械を導入
    調査・測量から施工・検査までの一連の機器を導入して、属人化の改善や作業の効率化に成功
    以前は3人必要だった現場を1人で行うことができるようになった

  • 多能工化の推進:
    従業員に幅広い業務スキルを習得させることで、特定の熟練者に依存しない体制を構
    一人一人の適性や興味を見極め、さまざまな仕事に挑戦できる環境を整備した
    面白い仕事を自身で発見して主体的に働いてもらうことができるようになった

  • 休日数の段階的増加:
    2021年以前は「4週6休(年間休日87日)」だったが、2023年には「4週8休(年間休日105日)」へと移行
    始業時間繰り上げと休日の増加により、従業員のワークライフバランスが改善された

ICT建機の導入によって、労働環境の改善だけでなく、作業の標準化と安全性も向上し、事故発生リスクを抑える効果もありました。今後は、従業員の家族構成なども考慮して、さらに柔軟な勤務時間に対応したいと考えているそうです。

参考:厚生労働省 働き方改革特設サイト>「休日増加・ICT建機導入・多能工化」の三位一体改革で生産性向上

株式会社EVENTOS(飲食業界でも女性が活躍できる仕組みを導入)

株式会社EVENTOSは、広島市を拠点に「from farm to table(農園から食卓まで)」をコンセプトとし、ケータリングサービスやワインショップ、飲食店などを手掛けています。女性従業員比率は64.0%、女性管理職比率20.0%(2017年11月時点)で、女性の働きやすさに力を入れている企業です。

飲食サービス業界では、長時間労働や休日取得の難しさが離職の大きな要因となっています。また、交代制勤務や夜間労働の多さから、特に女性従業員の継続勤務が困難になるケースが見られました。

そこで同社は、以下のような取り組みを行いました。

株式会社EVENTOSの離職防止の取り組み

  • 時間短縮社員制度を導入した
  • 1カ月間連続で取得することも可能な「チャレンジ休日」を導入し、半年前に事前に会社に申請することで計画的な取得を促進している
  • 従業員同士のコミュニケーションを促進して意見を吸い上げるツールの1つとして「メンター制度」を導入した
  • 産休・育休を取得する社員に対して、休業前・休業中・復職のタイミングで社長と総務部門と本人の三者面談を実施して、休業中の不安を取り除けるようにサポートしている
  • 女性の活躍推進を重視して、男女バランスを意識した採用を実施している

これらの取り組みによって女性の活躍を推進できる環境を整えることができ、男性にとってもワークライフバランスを保ちやすい環境が整備され、長期的な就業が可能になりました。

短い営業時間でも確実な収益を生むビジネスモデルが根底にあるからこそ、働き方改革や女性の活躍を推進できているケースといえます。

参考:経済産業省ミラサポplus「社員の定着に向けて、女性が働きつづけやすい制度や若手社員のコミュニケーションの場を導入」人的資本経営ひろしま「女性活躍事例>株式会社EVENTOS」

【人事評価制度・待遇面】による離職防止を成功させた企業事例3つ

人事評価

「自分の頑張りが給料に反映されない」「評価制度が不透明で不公平感がある」など、給料や昇進についての不満が離職につながるケースも多くあります。

ここからは、賃金・人事・評価制度を改善することによって離職防止を成功させた、下記3社の事例を紹介していきます。

  • ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社(納得感のある人事評価制度を採用)
  • 株式会社日比谷花壇(人事評価制度の刷新と適材適所の実現)
  • 東亜エレクトロニクス株式会社 ハマトウカンパニー(同一労働同一賃金の実施)
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ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社(納得感のある人事評価制度を採用)

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社は、プロジェクトファシリテーションとITを軸に、経営戦略の検討からIT導入までを支援するコンサルティングファームです。​

同社は、Great Place to Work Institute(GPTW)が主催する2022年「働きがいのある会社」ランキングベスト100の中規模部門で第8位に選出されました。同社の働きがいの高さの根底にあるのは、納得感のある人事評価制度だと考えられます。

同社では、評価制度の透明性と公平性を高めるために「コンピテンシー」と「職位ごとの期待値」の2軸によって評価を行っています。​「コンピテンシー」は、優秀なコンサルタントに必要な要素を23個に分解して、各職位に求められるレベルを言語化しています。​一方、「職位ごとの期待値」は、各職位に応じて求められる役割や成果を具体的に記述しています。​これらを組み合わせることで、評価の納得性を高め、上長による評価のばらつきを防いでいます。 ​

さらに、同社は「成果主義」ではなく「能力主義」を重視しています。​プロジェクトの成果は外的要因に左右されることが多いため、個人の能力や行動に焦点を当てた評価を行っています。​このような評価制度によって従業員の成長意欲が向上し、離職防止につながっています。 ​

参考:Smart HR Mag.「ケンブリッジ流、人事評価制度の考え方【ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ人事が語る、人事評価制度 #1】」

株式会社日比谷花壇(人事評価制度の刷新と適材適所の実現)

株式会社日比谷花壇​は、フラワーショップの経営をはじめ、イベントプロデュース、葬祭業、内装・造園事業など幅広い事業を手掛ける会社です。アルバイト・契約社員を含めると1,800名程度の従業員が在籍しています(2021年時点)。

​同社は、人事評価制度の基準があいまいで上長によって評価にバラつきがあることや、従業員の保有資格などの情報管理が不完全で適材適所の実現が困難だったことを受けて、人事評価精度の刷新とタレントマネジメントシステムの導入を実施しました。

まずは「キャリア自律を推進する」ことをコンセプトに、日比谷花壇として全社に共通する項目と、その部署に必要・評価されるスキルの項目を掛け合わせるという、実態に近い人事評価制度を導入しました。

同時に、資格の保持を可視化して、取得した資格と連動して役職が上がっていくような仕組みを作りました。資格という条件を満たすことで希望の部署に異動できることが可視化されるため、自身のなりたい姿・キャリアに向かって自己研鑽できるようになったといいます。

今後は1on1も実施して、コミュニケーションを活性化させて個に対して伝えていきたいと考えているそうです。

参考:HR Brain「導入事例>20年ぶりの人事評価制度刷新とタレントマネジメントの活用」

東亜エレクトロニクス株式会社 ハマトウカンパニー(同一労働同一賃金の実施)

​東亜エレクトロニクス株式会社は事業内容:電機・電子業界の総合ソリューション・プロバイダーです。ハマトウカンパニーは、静岡県浜松市で、半導体・電子部品などの販売や受託設計・製造、組み込みシステムの設計・開発・製造・販売などを行っています。

同工場では、パート社員の一部から「正社員との線引きが分からない」「待遇面に不公平感を感じる」「パートはどこまで仕事をすればよいのか悩む」など、​職務内容や責任に応じた適切な評価や賃金設定がなされていないことによる不満の声が挙がっていました。

そこで、一部のパート社員を正社員並みに活用する方針を決めて、パート社員の職務(役割)等級を3段階に分割。「パート③」というランクでは、正社員とともに定型職務および一定の判断業務を行うことが期待され、賃金も同様の職務を担っている正社員と同等程度に設定しました。

​また、パート社員の職務を8つの評価項目で多面的に評価し、職務ポイントとして点数化することで、公平な評価を実現しました。

これらの取り組みにより、職務の大きさに対応した納得感のある賃金設定が可能となり、パート社員のモチベーション向上につながりました。​また、合理的な説明のできる賃金制度の導入により、公平感が醸成され、離職防止にも寄与しています。

参考:厚生労働省 働き方改革特設サイト>パート社員の職務(役割)に応じた賃金制度の設計

成功事例に共通する4つの離職防止の方向性と改善アイデア

離職防止改善アイデア

ここまで、離職防止に成功した企業事例を12個解説してきましたが、ここからは成功事例に共通する離職防止の方向性と具体的な離職防止アイデアをまとめて紹介していきます。

人間関係の悩みやコミュニケーション不足による離職防止アイデア

人間関係の悩みやコミュニケーション不足、上司や同僚との不和による離職を防止するためには、

(1)社内のコミュニケーションを促進する
(2)上司との信頼関係を構築する
(3)他の部署との人とも交流できるようにする
(4)どうしても合わない場合に部署異動できる仕組みを構築する

のような離職防止アイデアが有効です。さらに具体的なアイデア例を以下に記載します。

(1)社内のコミュニケーションを促進する

  • 定期的な1on1ミーティングを実施し、部下が悩みを話しやすい環境を作る
  • 社内チャットやランダムランチなど、気軽に交流できる仕組みを導入する
  • 新入社員向けオンボーディングプログラムを設計して、入社後の適応をスムーズにする

(2)上司との信頼関係を構築する

  • 上司・チームとの関係構築を重視し、定期的な面談やフォローアップを行う
  • 上司向けのコーチング研修を実施し、傾聴力・フィードバック力を向上させる
  • 「心理的安全性」を確保するため、匿名フィードバック制度を導入する
  • 部下の意見を積極的に取り入れるボトムアップ型の会議を実施する

(3)他の部署の人とも交流できるようにする

  • 部署横断の勉強会やワークショップを開催し、異なる視点を学ぶ機会を増やす
  • 社内SNSや社内掲示板で、各部署の活動を共有する
  • 他部署の業務を体験できるジョブシャドウイング制度を導入する
  • 異なる部門や業務分野のメンバーを集めたクロスファンクショナルなプロジェクトを増やす

(4)どうしても合わない場合に部署異動できる仕組みを構築する

  • 定期的にキャリア希望調査を行い、従業員の気持ちをヒアリングして必要であれば配置転換を検討する

  • 社内公募制度を設け、社員が自発的に異動を希望できる仕組みを作る

  • 一時的に別部署で働くトライアル異動制度を導入し、適性を見極める機会を作る

さまざまな方法がありますが、社内に相談しやすい空気感を醸成したり、辞めるのではなく部署異動する事例を増やしたりすることで、相談もせずに突然離職してしまうのを食い止めることができるでしょう。

特に、早期離職しやすい新入社員に対しては、オンボーディング(新入社員がスムーズに業務や組織に適応できるようサポートする仕組み)の段階で社内の人間関係を築けるよう支援することが重要です。例えば、メンター制度の導入や定期的な1on1面談を実施し、不安を解消しながら職場への定着率を向上させることができます

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仕事内容やキャリアパスの不満による離職防止アイデア

「仕事がつまらない」「やりがいを感じない」「自分が成長している実感が得られない」といった原因での離職を防止するためには、

(1)仕事のやりがいを感じられる仕組みを構築する
(2)スキルアップと成長機会を提供する
(3)従業員の資格やスキルを全社で共有して活かせる仕組みにする
(4)自律的に社内でのキャリアアップやキャリアパスを目指せる仕組みにする

のような離職防止アイデアが有効です。さらに具体的なアイデア例を以下に記載します。

(1)仕事のやりがいを感じられる仕組みを構築する

  • プロジェクトの目的を明確にして、この仕事が誰の役に立つものなのか説明する文化をつくる
  • 社内報やミーティングで成功事例を共有・可視化して、やる気につなげる
  • 表彰制度(MVP制度やチーム貢献賞など)を導入して、頑張りを評価する
  • 定期的に顧客からの感謝の声をフィードバックして、仕事が与える影響を実感させる

(2)スキルアップと成長機会を提供する

  • 社内研修を充実させて、業務に役立つ知識やスキルを学べる講座を増やす
  • 外部の講座やセミナーに会社補助で参加可能にする
  • メンター制度を導入して、経験豊富な先輩が後輩の成長をサポートする
  • キャリア支援ツール(自己診断ツールや学習プログラムなど)を提供して、自律的に学べるようにする

(3)従業員の資格やスキルを全社で共有して活かせる仕組みにする

  • 社内で誰がどの資格・スキルを持っているかを可視化する
  • 社内副業・兼務制度を導入して、別部署のプロジェクトに短期間参加できる仕組みをつくる
  • 資格取得・スキル認定制度を導入して、取得をサポートする
  • 社員同士で得意なスキルを教え合う「ピアラーニング」の場を設ける
  • スキルベースのプロジェクトアサインで適材適所でチームを編成する

(4)自律的にキャリアアップやキャリアパスを目指せる仕組みにする

  • キャリア開発支援プログラムで研修や資格取得支援を行い、社員による自律的なキャリア形成をサポートする
  • キャリアデザイン研修を実施して、社員が自身のキャリアビジョンを明確化し、目標設定や計画策定を行うための研修を提供する
  • 社内FA(フリーエージェント)制度を導入して、社員が自分の適性やキャリアプランに合わせて社内の異なるポジションに挑戦できる制度を設ける
  • 社員が自分のスキルやキャリア志向を定期的に申告して、それに基づいたキャリア支援や評価を行う

近年では特に「自律的なキャリアアップ」が注目されています。従来の企業主導型のキャリアパスや昇進制度から、社員自身がキャリアを主体的に選び、成長できる環境を整備することが、現代の働き方に合ったアプローチとして広まりつつあります。

特に、自己啓発やスキル向上の支援、社内公募制度、異動希望制度、メンター制度などが導入され、社員が自分のキャリアを自律的に管理・設計できるようになっています。

労働市場が流動化している中で、自分のキャリアを柔軟に変えられる環境を提供することは、企業の魅力にもなり、特に若手社員やキャリアの途中で新たなチャレンジを求める人々にとっても大きなメリットとなります。これにより、社員のモチベーション向上や長期的な成長、そして離職率の低減にもつながります。

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労働環境・ワークライフバランスの不満による離職防止アイデア

「残業が多い」「休みたいときに休めない」「育児や介護のための時間を取れない」といった労働環境・ワークライフバランスが原因での離職を防止するためには、

(1)機械やツールを活用して業務を効率化する
(2)有給休暇取得を奨励して心身の健康をサポートする
(3)ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を選べるようにする
(4)育児・介護支援制度を充実させて家庭と仕事を両立できる環境を作る

のような離職防止アイデアが有効です。さらに具体的なアイデア例を以下に記載します。

(1)機械やツールを活用して業務を効率化する

  • 建設業の場合、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を導入して、工程の効率化を図る
  • 工場の場合、生産ラインにロボットを導入して組み立てや検査を自動化し、人手によるミスや作業時間を減らす
  • プロジェクト管理ツールを活用してリアルタイムで進捗状況を把握し、業務の無駄を減らす
  • 定型業務や繰り返し業務をRPAで自動化し、社員の手作業を減らす
  • AIによるデータ分析ツールを導入して、マーケティング戦略や営業活動の業務効率を高める

(2)有給休暇取得を奨励して心身の健康をサポートする

  • 社内で有給休暇の取得状況を可視化し、定期的に取得を促進する文化をつくる
  • 事前に長期休暇の計画を立てて、事務処理を引き継ぐ体制を整える
  • 健康管理休暇やリフレッシュ休暇を設け、心身のリフレッシュを支援する
  • 年に一度、全社員が「リフレッシュ休暇」を取得できるようにする制度を導入する

(3)ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を選べるようにする

  • フレックスタイム制度を導入し、勤務開始時間や終了時間を柔軟に選べるようにする
  • テレワーク(リモートワーク)を積極的に推奨し、場所に縛られない働き方を支援する
  • 時短勤務を導入し、ライフステージに応じた勤務時間調整を可能にする
  • 「週休3日制」など勤務日数の選択肢を提供し、社員のライフスタイルに合わせた働き方を実現する
  • シフト勤務の柔軟化やフレキシブルな休憩時間の導入により、家庭や趣味とのバランスを取る支援をする 

(4)育児・介護支援制度を充実させて家庭と仕事を両立できる環境を作る

  • 育児休業や介護休業を取得しやすいよう、手続きの簡略化や相談窓口の設置を行う
  • 育児や介護が必要な社員に対して、フレックス勤務やテレワーク制度を柔軟に適用する
  • 産後・育児休暇後の職場復帰をスムーズにするため、サポート体制や復帰プログラムを整備する

  • 介護サポートの一環として、介護休業や介護時の有給制度を拡充し、社員が安心して休暇を取れるようにする

まずは業務の無駄をなくして労働時間を短縮したり属人化をなくしたりすることで生産性を向上させ、誰かが休んでも他の社員がサポートできる環境づくりが重要となります。その後に、柔軟な働き方の選択肢や育児・介護支援制度を整えていきましょう。

自社がいまどのステージにいるかに応じて、必要な離職防止策を講じていくことが大切です。

人事評価・待遇面の不満による離職防止アイデア

「自分の頑張りが給料に反映されない」「評価制度が不透明で不公平感がある」など、人事評価制度や待遇面に関する不満が離職の原因となる場合に有効な離職防止の方向性は以下の4つです。

(1)評価制度を透明化して公平性を確保する
(2)成果と努力に対して報酬を明確にリンクさせる
(3)キャリアパスと昇進のチャンスを明確にする
(4)定期的な評価とキャリア相談の場を提供する

のような離職防止アイデアが有効です。さらに具体的なアイデア例を以下に記載します。

(1)評価制度を透明化して公平性を確保する

  • 評価基準を明確にして文書化し、全社員に共有する
  • 評価基準に基づく定期的なフィードバックを実施する
  • 360度評価を取り入れて、上司だけでなく同僚や部下からも評価を得る
  • 半期ごとの目標設定と進捗報告を義務付け、評価基準に合致した進捗を追跡する

(2)成果と努力に対して報酬を明確にリンクさせる

  • 評価項目に基づいて社員のパフォーマンスを総合的に評価し、昇給や昇格に直結させる
  • 各社員が設定した目標の達成度合いによって、ボーナスや昇進を決定する
  • 「自己申告制度」で社員が自身の成果や取り組みを自己評価し、それを上司と共有する
  • 特に成果を上げた社員に対して、特別な表彰制度や報奨を提供する

(3)キャリアパスと昇進のチャンスを明確にする

  • 昇進基準やキャリアパスを明確に定めて文書化し、全社員に共有する
  • 各職位に必要なスキルセットを明確にし、そのスキルを身につけた場合に昇進する仕組みを構築する
  • 社内公募制度を設けて、異なる部署や職種でのキャリアアップのチャンスを広げる
  • 定期的なキャリア面談を実施し、社員の目標やキャリアプランをサポートする
  • 昇進に必要な資格や能力に関する研修やサポートを提供する

(4)定期的な評価とキャリア相談の場を提供する

  • 半期ごとの1on1ミーティングを実施し、評価結果や今後のキャリアに関するフィードバックを行う
  • 上司と定期的にキャリアパスに関する話し合いの機会を設け、キャリア支援を行う
  • 社内でメンター制度を導入し、キャリア相談やサポートを提供する

従来の「年功序列」から「成果主義」への移行を掲げる企業が増えていますが、企業文化に合わない評価制度を導入すると、社員のモチベーションが低下したり不満が増えたりするリスクもあります。

企業のビジョンや社員の価値観に合った評価・待遇の仕組みを設計することが大切です。

若手社員の離職を防止する「オンボーディング」を導入したい企業はLDCubeにご相談ください

若手社員の離職防止

本記事では、離職防止に有効なアイデアや具体的な成功事例について解説してきました。

▼LDcubeでは、他にも離職防止に役立つ記事をご用意しているので、ぜひご覧ください。

離職防止を考える上でも、特に若手社員の早期離職は企業にとって大きな課題です。「仕事内容と自分の想像とのギャップ」「人間関係の悩み」「労働環境と待遇の不満」などが主な離職理由として挙げられます。

そして、こうした問題を未然に防ぐためには、「オンボーディングプログラム」の整備が非常に有効です。

オンボーディングとは、新入社員がスムーズに職場に適応し、活躍できるよう、入社前から入社後にかけて行う一連のプログラムです。オンボーディングプログラムでは、企業の理念やビジョン、組織文化、業務内容、社内制度などを新入社員に理解させ、スムーズな職場への適応を支援します。

弊社LDcubeでは、こうしたオンボーディングに関する研修・セミナーの構築などを手厚くサポートしています。ぜひ興味がある方はお問い合わせください。

▼オンボーディングなどの取り入れ方がわかる資料をご用意しました。

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その他、若手社員の離職防止策や、自身の強みの理解と啓発を促進するLIFOプログラムについても、簡単に理解できるホワイトペーパーを用意しているのでぜひご活用ください。

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まとめ

本記事では、離職防止を成功させた具体的な企業事例について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。

◆【人間関係・コミュニケーション不足】による離職防止を成功させた事例
・サイボウズ株式会社(離職率が28%から4%に改善)
・株式会社鳥貴族ホールディングス(入社半年の離職を半減)
・株式会社ソニックガーデン(管理ゼロ・上司なしの組織体制を構築)

◆【仕事内容やキャリアパス】による離職防止を成功させた事例
・株式会社ジェイック(社内公募制度でキャリアの自律を実現)
・オタフクソース株式会社(社員のキャリア形成を支援)
・積水ハウス株式会社(キャリアチャレンジ)

◆【労働環境・ワークライフバランス】による離職防止を成功させた事例
・五稜会病院(院内保育園を設置して離職率を7.22%に改善)
・大津建設株式会社(作業工数を4〜5割削減して休日を増加)
・株式会社EVENTOS(飲食業界でも女性が活躍できる仕組みを導入)

◆【人事評価制度・待遇面】による離職防止を成功させた事例
・ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社(納得感のある人事評価制度を採用)
・株式会社日比谷花壇(人事評価制度の刷新と適材適所の実現)
・東亜エレクトロニクス株式会社 ハマトウカンパニー(同一労働同一賃金の実施)

社員の離職を防ぐには、単なる待遇改善だけでなく、一人ひとりが働きやすい環境を整えることが重要です。自社に合った施策を取り入れることで、働きがいのある職場づくりが実現できるはずです。

ぜひ今回の記事を参考に、社員が長く活躍できる職場を目指してください。

LDcube編集部
LDcube編集部
株式会社ビジネスコンサルタント時代から約60年、人材開発・組織開発に携わってきた知見をもとに、現代求められる新たな学びについて、ノウハウや知見をお届けします。

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