PMP®資格ガイド─取得メリットから受験条件・試験の流れまで解説
「PMP®資格って、何?」
「PMP®の取得を勧められたけれど、どうすればいい?」
このような疑問をお持ちではないでしょうか。
PMP®は、プロジェクトマネジメントのスキルを証明する国際的な資格です。
PMP®の資格取得は、プロジェクトを成功に導く知識とスキルを体系的に学ぶ機会となるのはもちろん、キャリアアップや転職にも有利です。
この記事では、PMP®資格の基本知識から、取得のメリット、受験資格、合格後の流れまで、PMP®資格取得に関する情報を網羅的に解説します。
PMP®資格取得を目指す方は、まずこの記事をご一読ください。
▼ PMPの更新については下記で詳しく解説しています。
▼ PDUとは?については下記で詳しく解説しています。
▼ PMP資格維持のためのPDUについてまとめた資料は下記からダウンロードできます。
目次[非表示]
- 1.PMP®資格とは何か?基本の知識
- 1.1.PMP® = プロジェクトマネジメントプロフェッショナル
- 1.2.PMP®資格保持者の実態から見えてくる資格の価値
- 1.3.PMP®の母体組織PMIと知識体系PMBOK®ガイドの役割
- 1.4.PMP®試験の概要と合格基準
- 1.5.PMP®の受験料
- 1.6.PMP®資格を取得するメリット
- 2.PMP®を受験するために必要な受験資格
- 2.1.プロジェクトマネジメントの実務経験 2年〜5年以上
- 2.2.PMP®試験受験に必要な実務経験の詳細
- 2.3.自己申告制でランダムに監査あり
- 2.4.公式研修 35時間以上
- 3.PMP®資格の受験申し込みの手順
- 4.PMP®資格の受験当日から合格後の流れ
- 4.1.ステップ1:試験会場に行き手続きする
- 4.2.ステップ2:試験を受ける
- 4.3.ステップ3:試験結果を確認し認定証を取得する
- 4.4.補足:不合格で再受験する際の注意点
- 5.PMP®資格を取得した後にすべきこと
- 5.1.名刺やプロフィールの更新
- 5.2.PMP®資格を活用した実務への取り組み
- 5.3.PDUの取得と3年ごとの資格更新手続き
- 6.まとめ
PMP®資格とは何か?基本の知識
最初に、PMP®資格の基本的な知識から確認していきましょう。
PMP® = プロジェクトマネジメントプロフェッショナル
PMP®とは、Project Management Professional(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)の略称です。
冒頭でも触れたとおり、PMP®はプロジェクトマネジメントに関する知識とスキルを有していることを証明する国際資格であり、プロジェクトマネジメントのグローバルスタンダードとして認知されています。
PMP®資格は、プロジェクトマネジメントのプロフェッショナルであることを示す証となります。
PMP®資格保持者の実態から見えてくる資格の価値
世界中で160万人以上いる(*1)とされるPMP®資格保持者は、さまざまな業界・職種で活躍しています。
【多様な業界で活躍するPMP®資格保持者】
|
幅広い業界・職種でPMP®資格保持者が活躍していることから、PMP®資格の価値の高さがうかがえます。
*1 参考:日経クロステック「日本のPMP資格者数は世界5位、その力を生かせているのか」
PMP®の母体組織PMIと知識体系PMBOK®ガイドの役割
PMP®資格は、アメリカに本部を置く非営利団体であるPMI(Project Management Institute:プロジェクトマネジメント協会)が認定している資格です。
※PMIの公式サイトは以下からアクセスできます。
Project Management Institute(PMI)の公式サイト
PMIは、1969年に設立されたプロジェクトマネジメントの専門組織であり、プロジェクトマネジメントの普及と発展に尽力しています。
PMIが発行している「PMBOK®ガイド」(Project Management Body of Knowledge Guide)は、プロジェクトマネジメントの知識体系を網羅的にまとめた標準ガイドです。
※PMBOK®ガイドはPMI日本支部のオンラインショップやAmazonなどで購入できます。
出典:PMI日本支部オンラインショップ「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第7版+プロジェクトマネジメント標準」
PMP®試験の出題範囲は、このPMBOK®ガイドに準拠しています。
PMBOK®ガイドは、プロジェクトマネジメントに関する知識やベストプラクティス(最良の実践例)を体系化したものであり、プロジェクトマネジメントの国際標準として認知されています。
PMP®試験の概要と合格基準
PMP®試験の概要は、以下のとおりです。
【PMP®試験の概要】
|
受験者の合格率は公表されていませんが、合格基準は、以下のとおり案内されています。
PMP®の合格スコアは、問題の難易度やほかの受験者のパフォーマンスも考慮して決定されるため、一律での合格ラインはありません。
その前提のうえですが、一般的には、60%程度の正答率が最低ラインとして必要と考えられています。
PMP®の受験料
受験料は、地域やPMI会員か否かなどの要件によって変動します。また、料金改定が随時ありますので、最新情報を公式サイトにてご確認ください。
本記事執筆時点(2024年5月現在)では、PMI非会員(日本)の受験料は、575ドル(USD)となります。1ドル150円で換算すると、約86,250円です。
PMI会員(日本)の場合は、405ドル(約67,500円)です。
PMI会員については、PMI ®メンバーシップにてご確認ください。
PMP®資格を取得するメリット
上司や先輩などから「PMP®の資格を取得したほうがいい」と勧められた方は、その理由が気になるところでしょう。
PMP®資格の取得には、さまざまなメリットがあります。
【PMP®資格取得のメリット】
|
以上のように、PMP®資格は、実務に直結する能力開発に役立ち、キャリアアップや転職にも有利な資格です。
取得を迷っているのなら、ぜひチャレンジしてみる価値のある資格だといえるでしょう。
PMP®を受験するために必要な受験資格
PMP®試験を受験するためには、一定の受験資格を満たす必要があります。
PMP®受験資格には、「プロジェクトマネジメントの実務経験」と「公式研修」の2つがあります。
プロジェクトマネジメントの実務経験 2年〜5年以上
まず、「実務経験」から見ていきましょう。
以下のとおり、PMP®試験の受験には、プロジェクトマネジメントの実務経験が一定年数、必須となります。
|
下図はPMI資料からの引用です。
出典:PMI「PMP® 試験内容の概要 2021年1月試験更新」
上記では、
〈一意かつ重複しないプロジェクトマネジメントの実務経験〉
〈経験にはプロジェクトのリードと指揮が含まれている必要がある〉
〈プロジェクトとは、独自のプロダクト、サービス、または所産を創出するために実施する有期的業務〉
と説明されています。
これだけでは、わかりづらいかもしれません。以下で補足します。
PMP®試験受験に必要な実務経験の詳細
前述の要件を読み解くと、以下のとおりです。
【PMP®試験受験に必要な実務経験の詳細】
|
また、
〈プロジェクトマネジメントのすべての経験が、申し込み前の8年間に連続して蓄積されたものでなければなりません〉
と記載されており、実務経験の年数は申し込み時点より直近8年以内の分のみ、カウントできます。
自己申告制でランダムに監査あり
PMP®試験の申請時には、申請フォームに実務経験の詳細を記載し、その証明としてプロジェクトの概要・自身の役割・担当した業務内容・プロジェクト期間などを具体的に記述します。
これらは基本的に自己申告制ですが、ランダムに一部の申請者が監査対象となる仕組みとなっています。
監査対象になった場合、PMIの要請に応じて、必要書類を提出しなければなりません。提出内容に不備があれば、監査不合格となります。意図的に監査に応じない場合も、不合格となります。
監査不合格となった場合、PMI資格認定の申請資格は1年間停止されるため、注意が必要です。
公式研修 35時間以上
続いて、「公式研修」に話を移しましょう。
PMP®の受験資格を得るためには、ここまでに解説してきた実務経験に加えて、PMI認定の研修を35時間以上、受ける必要があります。
出典:PMI「PMP® 試験内容の概要 2021年1月試験更新」
上記のとおり、PMIの資料には、
〈正式なプロジェクトマネジメント教育のコンタクト・アワーが35時間以上〉
と記載されています。1時間の研修で、コンタクト・アワー1時間分です。
【PMP®受験に必要な35時間の公式研修の詳細】
|
以上の受験資格を満たしたら、PMIへ受験の申請をします。続いて、申請手続きの手順を見ていきましょう。
PMP®資格の受験申し込みの手順
PMP®の受験資格を満たしたら、PMP®試験の受験申し込みをします。以下の3ステップで解説します。
|
ステップ1:PMIアカウントを作成する
1つめのステップは「PMIアカウントを作成する」です。
受験資格を満たしたら、まずはPMIのWebサイトでアカウントを作成します。
【PMIアカウント作成の手順】
|
PMIアカウントは、PMP®試験の申請や資格更新の際に必要になります。大切に管理しましょう。
ステップ2:PMP®受験の申請手続きをする
2つめのステップは「PMP®受験の申請手続きをする」です。
PMIアカウントを作成したら、PMP®試験の申請手続きを行います。
【PMP®試験申請の手順】
|
申請内容に不備がなければ、5日ほどで申請が承認されます。承認が下りるまでの間、定期的にメールをチェックするようにしましょう。
ステップ3:受験料を支払い、試験日を予約する
3つめのステップは「受験料を支払い、試験日を予約する」です。
試験申請が承認されたら、受験料を支払い、試験日を予約します。
【受験料の支払いと試験日予約の手順】
|
申請が済んだら、試験日までの期間を有効に活用して、PMP®試験対策を進めていきましょう。
学習計画を立て、PMBOK®ガイドの知識を体系的に習得します。模擬試験などで実力を測りながら、弱点を克服していくとよいでしょう。
PMP®資格の受験当日から合格後の流れ
次に、PMP®試験の受験当日から合格後の流れを見ていきましょう。
|
ステップ1:試験会場に行き手続きする
1つめのステップは「試験会場に行き手続きする」です。
【試験開始前の流れ】
|
試験会場への持ち込みできるものは厳しい規制があるため、十分に注意しましょう。
ステップ2:試験を受ける
2つめのステップは「試験を受ける」です。
PMP®試験は、230分の試験時間で180問の問題を解きます。
出典:PMI「PMP® 試験内容の概要 2021年1月試験更新」
現在、PMP®試験では、試験中に10分間の休憩が2回あります。
|
回答を見直して休憩を開始したら、前のセクションの問題には戻れませんので注意しましょう。
ステップ3:試験結果を確認し認定証を取得する
3つめのステップは「試験結果を確認し認定証を取得する」です。
【試験結果の確認方法と合格後の手続き】
|
補足:不合格で再受験する際の注意点
試験結果が不合格となった場合、PMP®受験の申請をしてから1年間以内は受験資格があり、3回まで受験できます。
ただし、再受験料がかかります(PMI非会員の場合375ドル/2024年5月現在)。
出典:PMI「PMP® 試験内容の概要 2021年1月試験更新」
注意点として、3回受験して不合格となり、再度、PMP®受験の申請をするためには、最終受験日から1年間待つ必要があります。
このタイムロスを考慮すると、3回まででしっかりと合格したいところです。計画的に学習を進めていきましょう。
PMP®資格を取得した後にすべきこと
PMP®資格を取得したら、資格を生かしてキャリアアップを目指しましょう。以下のポイントを解説します。
|
名刺やプロフィールの更新
PMP®資格の取得後は、名刺やプロフィールを更新し、資格保持者であることをアピールしましょう。
【名刺とプロフィールの更新方法】
|
PMP®資格保持者であることを積極的に発信すれば、キャリアアップのチャンスが広がります。
なお、PMP®の表記やロゴの利用については、以下のPMIのガイドラインに従うようにしましょう。
PMI TRADEMARK USAGE GUIDELINES(PMI商標使用ガイドライン)
PMP®資格を活用した実務への取り組み
2つめは「PMP®資格を活用した実務への取り組み」です。
PMP®資格を取得したら、その知識とスキルを実務で存分に発揮し、プロジェクトの成功をリードしていきましょう。
【PMP®資格を活用した実務への取り組み方】
|
このように、PMP®資格を実務で生かし、プロジェクトマネジメントのエキスパートとしてのキャリアを築いていくことが大切です。
PDUの取得と3年ごとの資格更新手続き
3つめは「PDUの取得と3年ごとの資格更新手続き」です。
PMP®資格を維持するためには、3年ごとに資格更新の手続きが必要です。
資格更新には、PDU(Professional Development Unit:専門能力開発単位)と呼ばれる単位の取得が必要となります。
【PDUの取得方法と資格更新の手続き】
|
詳細は以下で解説していますので、目を通しておきましょう。
まとめ
本記事では「PMP®資格」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
|
PMP®資格の受験申し込みの流れを以下のとおり解説しました。
|
PMP®資格の受験当日から合格後の流れは、以下のとおりです。
|
PMP®資格を取得した後には、以下を行いましょう。
|
PMP®資格の取得は、プロジェクトマネジメントのプロフェッショナルとして、自身のキャリアを大きく飛躍させるチャンスです。
もちろん受験には費用が掛かりますので、しっかりと準備をして臨みましょう。
本記事をきっかけに、受験に向けて踏み出していただければと思います。
参考:PMI「資格ハンドブック」、PMI「PMP® 試験内容の概要 2021年1月試験更新」
株式会社LDcubeでは、PMP資格の維持に必要なPDUを取得できるeラーニングやマイクロラーニングの提供を行っています。法人、個人問わず活用いただくことが可能です。詳しくは「PDU取得コース」をご覧ください。
▼ 関連資料はこちらからダウンロードできます。
▼ 関連記事はこちらから。