取組前の課題:
・研修費用をあまり掛けられない中でも、人材育成施策をブラッシュアップしたい
・職場でのコミュニケーション改善や、現場の中核人材に対して現場で役立つスキルを修得させたい
取り組んだこと:
・ライセンスプログラムの活用で、社内講師による研修でありながら、理論に基づいた実践的な教育研修を実施。職場のコミュニケーション改善とレジリエンス力の向上に効果あり
今後の展望:
・職場での実践を行いながら、生産性向上を目指し、教育研修の進化を検討。さらなる組織力の強化に向けて、創造性開発プログラムの導入も検討し、より充実した教育体制を構築したい。
経営管理本部 人事部マネージャー
田川 輝彦 様
株式会社アクティスは1989年の創業以来、35年を超える社歴の中で、通信ソフトウエア開発をはじめ、車載ソフトウエアやその他の組み込み開発、各種アプリケーションの開発、ネットワークシステムの構築・運用・保守・各種サービスなど、幅広い事業を展開しています。
田川様は人事部のマネージャーとして、社員教育とその後のフォローを通じて、社員が生き生きと働き、活躍できる環境づくりを担当されています。
「社員の教育機会を増やし、教育内容も充実させたいが、なるべく費用を抑えたい」
「社員の継続的な成長支援のため、定期的に実践的なスキル習得の機会をつくりたい」
このような悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。
アクティス様では、LIFO・SBRP・行動の柔軟性プログラムといった研修内製化プログラムを活用し、
人材育成への投資費用を抑えながら、効果的な人材育成施策を実現しています。
本記事では、経営管理本部人事部マネージャーの田川輝彦様にインタビューした内容をレポートします。
①限られた研修予算の中で、投資対効果の模索
当社では、研修予算が限られる中、どのように人材育成施策を充実させるかが大きな課題でした。これまでは、事業部主体で実施される選抜研修や専門教育の方へ比較的予算を投入していたこともあり、人事部門の階層教育ではあまり予算を活用することができない状況でした。特に外部講師は、新入社員研修の一部のみで活用しており、階層教育は、ほぼ内製で実施せざるを得ない状況でした。しかし、「独自で研修プログラムを構築するにも限界がある」と感じていたため、新たな解決策を模索することとなりました。
また、当社は多くの事業所を全国に構えているため、集合研修で受講者を一堂に集めるだけでも多くの費用が掛かりました。また、集合研修は1泊2日が基本であり、宿泊費の負担も大きかったのです。研修コストを抑えながらも、さまざまな階層において絆を深められるような機会を、どのように創出したらよいかを模索していました。
②実践的なスキル習得と成長の機会を提供したい
さらに、人事部門として、社員の「定着率」と「離職率」には特に注目していました。これらを向上させるために、一対一のキャリア面談など、過去に実施していなかったフォロー活動を始めましたが、加えて、研修など、社員のスキル獲得や成長を支援できる教育機会も充実させる必要があると考えていました。
また、過去5〜10年間の長い期間において、研修の機会を全く持たない社員も珍しくないということも課題でした。この状況を解決するため、コストを抑えつつ、必要なタイミングで研修機会を提供することも当社にとっての重要な課題でした。
③職場のコミュニケーション活性化と、リーダー層へのケアをしていきたい
当時の具体的な問題意識としては、昇進を控えた層や役職者のコミュニケーション能力を強化し、職場での人間関係を改善することが挙げられます。人事が実施するキャリア面談だけではなく、現場の上司や先輩のフォローも重要であり、それが社員の定着率や離職率の改善につながると考えていました。
さらに、リーダー層の社員はチームをまとめる役割を担い、ストレスをためやすい時期に差しかかります。このため、彼らのストレス耐性を高め、長期的な成長のために手を打つことが急務でした。
このような背景があり、研修に関して従来のアプローチを見直し、より柔軟で投資対効果の高い教育方法を模索しようと考えました。これらの課題に対する解決策を求め、社内で大きな一歩を踏み出す決意をしました。
当初、研修費用をあまりかけられない状況で、効果的な研修プログラムを独自に考えるにも限界があることに直面していました。そこで、効率的かつ効果的な研修を提供する方法を模索していたところ、「社内講師養成」という新しい選択肢を発見しました。
「研修 内製化」でインターネット検索を行っていたとき、株式会社LDcube(以下、LDcube)が提供するLIFOプログラムのライセンス取得講座を見つけ、まずは問い合わせを行いました。このことが、LDcube、そして現在も活用しているライセンスプログラムと出会うきっかけとなりました。
LIFOプログラム導入の決定には、主に2つの理由があります。一つ目に挙げられるのは、直感的にLIFOが「面白そうだ」と感じたからです。他にも多くの研修プログラムがあるものの、LIFOは特にユニークであり、とても興味深い内容でした。二つ目は、LIFOプログラムがしっかりとした理論に基づいて開発されているため、研修内容に裏付けがあるという安心感が得られたからです。社内で作成する研修はどうしても裏付けに欠けやすいため、この点においてLIFOは非常に魅力的でした。
研修の裏付けに関して補足をすると、キャリア関連の内容に裏付けを提供するにはキャリアコンサルタントの資格や知識を活用すれば可能ですが、コミュニケーションに関する裏付けはなかなか見つかりませんでした。書籍が数多く出版されているものの、それらをそのまま研修に使用することが本当に効果的であるか疑問を感じていたため、LIFOはまさにその疑問を解消してくれました。特に、これから役職に就くサブリーダークラスの社員にとって、LIFOプログラムは「コミュニケーションを学ぶ機会」として最適だと判断しました。
その後、LDcubeが提供する、他の複数のライセンスプログラムを検討する過程で、「SBRPプログラム」も取り入れる価値があると感じました。SBRPは、困難を乗り越え成長するための「思考の柔軟性」を培うトレーニングプログラムです。特に初めてチームの管理経験を持つ主任クラスの社員に、このプログラムを通じて逆境やストレスへの向き合い方を学ぶための、良好な教育機会を提供できるのではないかと感じました。
さらに、LIFOやSBRPを活用していく中で、「行動の柔軟性プログラム」という別のライセンスプログラムにも出会いました。元々、LDcubeの親会社である株式会社ビジネスコンサルタントが提供する公開講座「HEP(ヒューマン・エレメント・プログラム)」に興味がありました。HEPは、自身の行動や思考の「こだわり」に気付くことで、対人関係をより良くするための行動変容を促すプログラムです。このプログラムをLIFOやSBRPと同様に研修に取り入れられれば、より社員の成長に寄与できると考えました。
HEPを社内で展開できる方法を探していた際に、担当営業から、HEPの要素を扱うことができる「行動の柔軟性プログラム」の存在を教えてもらいました。「行動の柔軟性プログラム」の中で提供される診断をトライアルで受けさせてもらい、この診断を通じて深い自己理解が可能であると分かりました。その段階ではプログラムの活用方法はまだ具体化していなかったものの、その有用性を確信し、ライセンスを先に取得することに決定しました。
これまでは主に、サブリーダー向けにLIFO研修を、リーダー向けにSBRP研修を、それぞれ実施してきました。
それぞれの取り組み詳細は以下の通りです。
①サブリーダー向けのコミュニケーションと中堅社員の役割研修(LIFOプログラム)
サブリーダークラスを中心に、LIFOプログラムで研修を実施しています。このプログラムでは、サブリーダーとして必要な、チーム内での良好なコミュニケーションを図るスキルの習得と、中堅社員として求められる役割の理解に焦点を当てた内容を提供しています。プログラムは十数名ずつの小規模グループで展開し、参加者間の横のつながりも大切にしています。
②リーダーを対象にしたレジリエンス強化研修(SBRPプログラム)
主にリーダークラスの社員に対して、SBRPプログラムで研修を実施しています。このプログラムは、特にチームをまとめる役割を担う社員がストレスを抱えやすい状態を改善することを目的としています。LIFOに比べると一見「面白さ」は少ないかもしれませんが、研修を通して得られる考え方は、ストレスを感じやすい立場にある彼ら・彼女らにとって非常に価値のあるものです。さらに、診断ツールを用いて受講者の自己理解を促進し、結果を研修の一環として有効に活用しています。
③今後の取り組み
今後は、LIFOプログラムをこれまでよりも低い階層向けの研修で扱うことを予定しています。LIFOを知っている社員を増やし、LIFOを社内の共通言語にしながら、職場コミュニケーションのさらなる向上を図っていきます。また、これまでLIFO研修を実施していた階層に対しては、行動の柔軟性研修を実施しようと考えています。
このように、研修プログラムを柔軟に活用・実施することで、さらに教育体系を強化していく予定です。
これらのライセンスプログラムを活用した内製研修のステップの中で、実は全てがうまくいったわけではありませんでした。研修の進行中、初めは自分の進行が少し頼りないと不安に感じることもありましたが、「裏付けがある」プログラムを信頼して進めていきました。自分自身が講師となり、社員が積極的に参加している姿を見て、計画通りに進まないという失敗感があったとしても、アンケート結果が良かったことが励みになりました。
全体として、ライセンスプログラムを活用したこれらのステップは、個々の社員の成長を促し、組織の結束力を高めるための重要な要素となっています。
新たな研修プログラムの導入後、その効果を正確に測るにはまだ十分なデータがそろっているとは言えませんが、現在、主に実施後のアンケート調査を通じて受講者の満足度や反応を確認しており、高評価を得ています。具体的には、各研修の終了時に行う5点満点のアンケートで、満足度が毎回4点以上を獲得しています。これは他の研修と比較しても高い評価と言えます。
現状で言えば、特にLIFOコミュニケーション研修の反応は非常に良好です。研修の1日目に行われる懇親会では、LIFOをきっかけに活発な会話が繰り広げられています。参加者同士が研修内容を即座に応用し、実際のコミュニケーションに役立てている様子が見られます。これにより、学んだ知識をその場で生かすことができるという、自信につながる成功体験を提供できていると感じています。
今後、2025年から2026年にかけてLIFOプログラムを中心に、未受講の社員にも研修を実施し、初めて参加するグループがどのような変化を遂げるのかを、継続的にアンケートやフォローを通じて追いかける予定です。このプロセスにより、研修の真の効果を明らかにし、成果をデータで示すことができると期待しています。
また、研修の実施を通じて、私自身も講師として成長を実感しています。初めは不安もありましたが、回を重ねるごとに安心して研修を実施できるようになり、受講者たちも自然にLIFOを通じて多くのことを学び取ってくれていることを感じます。こうした受講者の成長を見ることは、私にとって大きな励みとなり、今後の研修の質向上にもつながっています。
個人的には、研修を通じて、当社内において「教育は必要なものである」という前向きな雰囲気が醸成されつつあることを非常に喜ばしく思っています。このような文化の変化は、企業の持続的な成長にとって非常に重要であり、今後もこの流れをさらに強化していきたいと考えています。受講者が「受けなければならない」と義務的に捉えるのではなく、「受けたい」「学びたい」と感じる研修を提供できるよう、引き続き努力を重ねていきます。
このような変化の中で、新たな研修の導入がもたらした成果が表れてきており、受講者一人一人の意識改革やスキル向上が企業全体に良い影響を与えていると感じています。今後もより多くの社員に研修の参加を促し、組織全体の成長を実現していきたいと思います。
LIFO診断を通じて、自己理解と他者理解が進み、職場でのコミュニケーション改善に向けて多くの好意的な意見や声が出ています。
<LIFO研修 受講者の声>
次年度に向けて、われわれは成果をしっかりと数字で把握することに重点を置いていきたいと考えています。具体的には、どの施策が効果を上げたのか、あるいは効果を上げなかったのかを、3カ月から半年程度のスパンで効果検証し、明確にしていくことを計画しています。
今後の取り組みの一つとして、新たに3年目社員に対してLIFOコミュニケーション研修を実施します。これまでサブリーダークラスを対象に実施してきましたが、範囲を広げます。また、これまでLIFO研修を受けていない人や、受けたけれどもう一度受講したい人など、希望者には手挙げ式で受講してもらうことも考えています。ゆくゆくは階層別ではなく、拠点・職場・チーム別など、実際に一緒に働くメンバー同士で同じ研修を受けることで、相互理解を深めるようなLIFO研修を実施したいとも考えています。
今後の活動方針に関しては、社員一人一人に「自分でキャリアをつくっていく」という意識を持ってもらい、会社はそのサポートを全力で行いたいと考えています。特に、年次を重ねた社員に対してもキャリア形成の機会を提供し、会社と共に成長する姿勢を促していくことが重要です。このような方針は、新人に限らず、中堅やベテラン社員にも伝えることが難しい場合があるため、積極的に働きかけていきたいと思います。
当社には、様々な社員が集まっていると思います。多様な考え方を持つ社員が集まることで、より強固な組織づくりが実現できると考えます。
そのためには、本当の意味での人材育成のあり方をまだまだ模索していく必要があると感じています。その一環として、教育研修の機会が途切れることのないよう、継続的に教育プログラムの改善を図るとともに、自分以外にも研修を自主的に実施できる人材の育成も模索しています。
このように、私たちは今後も社員と共に成長し、企業としての成長を遂げるべく、これからも日々新しい挑戦を続けてまいります。
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