日本新薬株式会社様
LIFO・ITS導入事例

行動特性診断の活用で実現する、他者に合わせたコミュニケーションの活性化
~「調和」から「変化適応」へ、さらなる組織力強化に向けた取り組み~

  1. 取り組み前の課題:
    ・相手に合わせたコミュニケーションに課題があった。役割や部門を越えたコミュニケーション強化の必要性を感じるように。
    ・「良い人が集まる組織」から「変化適応できる組織」への進化に向けて、一人ひとりの特性を把握し、改善したい。
     

  2. 取り組んだこと:
    ・営業所長がトレーナーとなり、各チームでLIFOを活用したチームづくりワークショップを実施。
    ・営業部門の取り組みから始め、全社の取り組みへと展開しLIFOを共通言語化。
     

  3. 今後の展望:
    ・LIFOワークショップの継続と実施率向上およびデータ活用によるオンボーディング施策の改善を進めたい。
     

日本新薬株式会社

人事部 HR戦略課 課長
重野 大介 様
新卒・キャリア採用、人財育成の実務責任者。人財育成においては、変革・グローバル・DX・キャリア開発に注力しています。

人事部 HR戦略課
岸田 祐樹 様
新卒採用と人財育成の実務を担当。新入社員研修や次世代リーダーを育成する研修を運営するとともに、異業種交流を中心としたITS研修の社内外での講師役も務めています。

人事部 HR戦略課
土田 良平 様
新卒採用と人財育成の実務を担当。グローバル人財育成プログラムやLIFOプログラムの運営に携わっています。

人事部 HR戦略課
真山 結衣 様
新卒採用と人財育成の実務を担当。各社員の立場に応じたオンボーディング施策や、自律的なキャリア開発を支援する研修を運営しています。

※役職、所属は取材当時のものです。


「職場のコミュニケーションを改善し、生産性を向上させたい」
「現場主導でチームづくりを推進し、業務に生かしてもらいたい」

このような悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。

日本新薬様では、LIFOを活用した3カ年の営業所長研修をはじめとして、
全社員の行動特性を明らかにし、社内コミュニケーション向上と組織力強化
に向けた取り組みを実施されています。

本記事では、人事部HR戦略課長 重野 大介 様、同HR戦略課の岸田 祐樹 様、土田 良平 様、真山 結衣 様
の4名にインタビューした内容をレポートします。
 


導入前の課題

コミュニケーションの向上と変化対応力の強化を実現したい!

私たちは以前から、社内のコミュニケーションに関していくつかの課題を抱えていました。弊社の社員たちは一見、コミュニケーションがうまく取れているように見えますが、実は相手に合わせたコミュニケーションがうまくできていないことが多々ありました。特にマネジャーとメンバーの関係や、異なる部署間でのコミュニケーションをより円滑にしたいという想いがありました。

そこで、私たちは相手に応じたコミュニケーションを促進するツールの必要性を感じました。例えば、取扱説明書のように相互の特性を理解し、適切なコミュニケーションをサポートできるツールがあれば良いのではと思いました。そのようなツールを活用しながら、社内のコミュニケーションを強化し、組織力をさらに高めていきたいと考えました。

また、最近ではキャリア入社の社員も増えてきました。キャリア入社の社員に対しても、コミュニケーションを促進するツールがあれば、よりスムーズにオンボーディングが実現できると考えました。コミュニケーションツールを活用することで、社員一人ひとりの行動特性を把握しやすくしたいと思っていました。

さらに、業界を取り巻く環境変化に対応し、国内だけでなくグローバルな視点で市場を広げていくためには、社員の変化適応力を向上させる必要があります。実際、社長からも『社員の変化適応力を上げてほしい』という声がありました。

そのためにも、社員がどのような状況にあるのか、どのような行動特性を持っているのかを科学的に分析できるツールが必要だと考えました。

出会いと導入
プログラムの分かりやすさと社内展開の容易さが決め手!

導入検討当時は、営業チームのコミュニケーションを円滑にするツールを探していました。多忙な営業所長たちをサポートするため、すぐに現場で活用できる分かりやすいツールを求めていました。

そのような中、当時の担当営業からの案内で「LIFO」に出会いました。他のツールと比較してもLIFOの優れた点は、その分かりやすさと社内での展開の容易さでした。営業部門で導入を始めてから約1年、われわれの期待を超える効果を実感し、人事部でも全社員を対象としたLIFOサーベイの実施を決め、全社的にワークショップを行う運びとなりました。

LIFO以外にも、これまでいくつかのコミュニケーションツールを試してきましたが、多くは「内製研修で効果的に活用できない」という問題がありました。これに対し、LIFOは内容自体が分かりやすいことに加え、内製研修での活用を前提としたプログラムであったため、この問題を見事に克服してくれました。特に、LIFOスコア取得後の詳細な個別レポート(LIFOレポート)が、一人ひとりの「取扱説明書」のように機能し、自己理解を深める大きな手助けとなりました。

これは副次効果ですが、退職者の要因分析においても有効です。退職者のヒアリング結果とLIFOレポートを照らし合わせることで、「やはりそうだったのか」「こういう関わりが必要だったのか」といった納得感を得ることができました。

また、これは導入後の話になりますが、役員からのお墨付きがあったことも、全社展開に向けた大きなポイントでした。全社展開に先立ち、内部の事務局メンバーが講師となり、社長を含む全取締役を対象にLIFOの相互フィードバック体験会を実施しました。この経験により、互いにエビデンスを基にしたフィードバックを提供することの重要性と効果を実感しました。取締役からも好評を博し、その様子は社内イントラネットに記事として掲載しました。これにより、社内導入に対する抵抗感を和らげることができました。

 

展開ステップと取り組み
営業部門での職場実践から、全社展開へ

導入当初は、3カ年の営業所長研修の一環としてLIFOを活用しました。その際、営業所長がトレーナーとなり、各現場での実施を進めました。

株式会社LDcubeが提供するサービスは、LIFOプログラムを社内で活用できる「メイントレーナー育成」に加え、各部門・職場でも独自にLIFOを展開するために社内に複数のサブトレーナーを育成する「MSS(マネジメント・スキル・シリーズ)」というプログラムがあります。この仕組みを効果的に活用し、各営業所・職場でスピーディーにLIFOを展開できるように取り組んできました。

取り組みの進め方は、以下の通りです。

  1. 3カ年の営業所長研修での取り組み
    ・1カ年目の目標:営業所長がサブトレーナー資格を取得し、LIFOが部下指導における共通言語化を目指す。その後、全営業所長が職場でLIFOワークショップを1回以上実行することを目指す。
    ・2カ年目の目標:本社部長/課長、エリアPM部長/課長がサブトレーナー資格を取得し、部下指導における共通言語化を目指す。また、全営業所長が職場でLIFOワークショップを2回以上実行することを目指す。他部門にも展開する。
    ・3カ年目の目標:営業本部全体でLIFOが共通言語となり、当たり前のスキルとなっている。営業本部以外の他部門でも同様である。
     

  2. 新入社員および、手挙げ式での取り組み
    ・新入社員研修で全員に簡易ワークショップを実施する。
    ・希望するチームを対象に、LIFOワークショップを実施する。

導入当初は、3カ年の営業所長研修の一環としてLIFOを活用しました。MSSを受講した営業所長はサブトレーナーとなり、各現場での実施を進めました。当初、営業所長に「LIFOワークショップを実施してください」と伝えた際には、忙しいみなさんから多少の抵抗がありましたが、個別に説得を重ねることで実現につながりました。

この過程で、営業所長のみなさんはLIFOを用いてチームを構築し、コミュニケーションの質を向上させることができました。その後、人事部の全員がサブトレーナー資格を取得し、全社展開につなげました。

3年目に入ると、LIFOが全社で共通言語となり、社内コミュニケーションが大幅に改善しました。ただ、各職場で「LIFOワークショップを実施してください」と伝えると、部門によってはネガティブな反応をされることもありましたが、取り組みの意味や目的を丁寧に説明することで、導入がスムーズに進みました。

また、LIFOを全社展開して明確になったのは、良くも悪くも「堅実的で調和を重んじる人財が多い」ということでした。LIFO診断のデータを見た結果、平常時では『AD』という調和を重んじる行動特性を持つ人財が多い傾向が見られましたが、緊急時や業務過多などによりストレスがかかった状態では、さらにその傾向が強くなることが分かりました。

人当たりが良く、周囲と協調しながら真面目に仕事に励む人財が多いのは、わが社の誇れることの一つです。しかし、これから変化対応力を向上し、組織を変革させていくことを考えると、それだけでは十分ではありません。この事実をデータで定量的に把握できたことは大きな収穫でした。

現在は、3年間の取り組みを経て、手挙げ式でチーム単位での実施を行っています。2024年度は23チーム203名が参加しており、新入社員や中途採用者が入社する際には、相互理解とチームのコミュニケーション活性化のためにワークショップを行っています。これらのワークショップは毎年10月に募集を始め、12月から1月に実施しています。

また、新入社員研修の一環として、LIFO診断と簡易ワークショップも実施しています。LIFOスコアは社内のタレントマネジメントシステムに組み込まれており、上司と部下とのキャリア面談や目標面談にも活用されています。

LIFOの導入を通じて、組織全体のコミュニケーションが大幅に改善されました。この成果には非常に満足しており、今後もLIFOを活用しながら、さらなる組織の成長を目指していきます。

 

導入後の感想・成果
研修の枠を越え、職場活用と人事戦略へのデータ活用に成果あり

弊社ではエンゲージメントスコアを測定しており、元々高い水準を維持しています。その中でも、人事チームのエンゲージメントスコアは右肩上がりで向上しています。われわれが楽しんで取り組みを続けられているのは、LIFOプログラム導入の一つの成果と言えるかもしれません。

LIFOプログラムの受講者に対して満足度と有用度のアンケートを行った結果、どちらも高い評価を得ています。満足度はもちろんですが、「職場で活用できそうか」を測る有用度の指標において特に高い評価を得ていることが、大きな成果と感じています。

元々、LIFOプログラムの導入の決め手が「分かりやすく、現場で活用できそうだ」ということでしたので、それがアンケートの結果として現れているのは嬉しく思います。

また、LIFOプログラムの成果は、既に実施している施策にも副次的な効果として現れました。弊社では3年以内の離職率もかなり低く推移していますが、さらなる定着率向上と早期戦力化を目指し、オンボーディングなどの施策も積極的に実施しています。

オンボーディング施策の一つが、メンター制度の導入です。このメンター制度は、新入社員だけでなくキャリア入社の方や新任管理職にも適用しています。新入社員同士でメンターをし合う1on1の機会を設けたり、キャリア入社の方同士で座談会を開催したり、普段接点の少ない部門同士の交流も促進しています。

このような交流やコミュニケーションの機会においても、LIFOが共通言語となることで会話と相互理解のきっかけとなり、活発なコミュニケーションと効果的な施策の運用につながっています。

これはLIFOプログラムの成果に限った話ではありませんが、弊社はオープンワークス社のプラチナ企業ランキングで8位に選ばれました。20代の成長や話しやすい職場風土、コンプライアンス意識の高さが評価されています。LIFOプログラムを含めたさまざまな取り組みが、組織力の強化と社員一人ひとりの働きやすさにつながり、結果として外部からも評価されていることは、非常に嬉しく感じています。

加えて、LIFOプログラムの導入をきっかけに、エンゲージメントサーベイやコンピテンシーサーベイを実施し、データを基にした人事戦略の計画と実行が可能になりました。それ以前は感覚だけで語っていた社員の特徴を、データに基づいて語れるようになったのは大きな進歩です。この取り組みはヒューマンキャピタルレポートにも定量的に記載することができています。

社員同士が互いの強みを理解し合うことで、心理的安全性が高まり、業務効率も向上しています。これからもデータに基づく人事施策を通じ、さらなる組織の強化と発展を図ります。

 

受講者の声
相互理解を通して、チームの結束力と仲間意識が高まった!

受講者からは、「LIFOを通じて自分の特性を理解できた」「チームメンバーとのコミュニケーションが円滑になった」といった声が寄せられています。特に、新入社員にとっては、先輩社員との距離を縮める良いきっかけとなったようです。

 <受講者の声>

  • 日頃一緒に仕事をしている方からのフィードバックは、自分の行動を見直す上でありがたい!
  • 普段はあまりゆっくり話し合う機会がないため、チームの方向性が明確になった。
  • 同じ専門性を持つ人ばかりでも、想像以上にみんな違いがあって面白かった。
  • 自分の診断結果や他者の診断結果を知ることができ、面白かった。自部署で取り組みたいことなどを話し合うためのいいきっかけになった。
  • 互いの指摘を通じて相互理解が深まり、仲間意識が深まったと感じる。職場や個人の成長に結びつくと思う。
  • 面白い取り組みであり、年に1~2回このようなグループワークを行うことは効果的だと感じる。
  • 自部署内で世代を超えてこのような研修を受講することが新鮮だった。
  • 業務に関係のない内容で職場メンバーとグループワークをすることは、とても良い機会だと感じる。
  • LIFOスコアの共有を通して新しい発見もあり、前向きな気持ちとなることで職場の雰囲気が良くなると思う。
  • LIFOのワークショップを通じて職場のガイドラインを作成したことにより、結束力が高まった!

 

課題と今後の取り組み
LIFOワークショップ実施率の向上と、オンボーディング施策の強化

今後の課題は、コミュニケーションのさらなる強化と、データ活用による効果的な人事戦略の推進です。

LIFOを全社展開し、共通言語化することについては、一定の成果を感じています。しかし、この成果を継続させ、さらに強化していくためには、全社員に対して定期的にLIFOを活用し、コミュニケーションの質を維持・向上させることが必要です。

具体的には、オンボーディング施策において、より効果的に活用していくことを検討しています。新入社員やキャリア入社社員においては、入社後いかに早く職場の人間関係を構築できるかが、その後のパフォーマンスや成長につながります。

そのため、新しくメンバーが配属されたチームにおいては、配属から間もない時期にLIFOワークショップを実施させたいと考えています。現状は希望するチームからの手挙げ式で実施していますが、まだまだ足りないと感じており、私たちからの啓発活動も強化していきます。

加えて、社員の特性を把握するためのデータを活用し、より効果的な人事戦略を構築していく必要があります。

LIFOスコアのデータ分析の結果次第では、上司との効果的な組み合わせを加味した異動配置や配属が実現できる可能性を感じています。

データ分析による人事戦略の活用や施策の改善がうまくいけば、ゆくゆくはグループ企業にも展開していきたいと考えています。

また、弊社ではLIFOプログラムと併せて、ITSプログラムという「創造性開発」をテーマにした内製化支援プログラムも導入しています。このプログラムは元々、「面白い社員を育成したい」という想いで導入を決めましたが、現在では昇格時研修での活用の他、近隣他社の方たちとの異業種交流のコンテンツとしても活用しています。さらに、昨年から新規事業推進課が新設され、ビジネスコンテスト「KYO Color」という取り組みの下、医薬以外の事業も含めて新しい事業を創っていこうと動いています。

LIFOやITSのプログラムを活用しながら、社員の変化対応力を磨き、さらなる組織力向上を目指して、引き続き取り組んでいきたいと思います。

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